3.1.1 インストールとセットアップの前に
HTM - Agent for NASをインストールおよびセットアップする前に確認しておくことを説明します。
- この項の構成
- (1) 前提OS
- (2) 監視対象NASシステム
- (3) ネットワークの環境設定
- (4) インストールに必要なOSユーザー権限について
- (5) 前提プログラム
- (6) クラスタシステムでのインストールとセットアップについて
- (7) インストール済みのHTM - Agent for NASのバージョンを確認する
- (8) セキュリティ関連プログラムの有無を確認する
- (9) 注意事項
(1) 前提OS
HTM - Agent for NASの前提OSについては,「ソフトウェア添付資料」の適用OSについて説明している個所を参照してください。
(2) 監視対象NASシステム
監視対象NASシステムは,インスタンスのセットアップ時に指定する固有IPアドレスに対応するNASシステムです。
HTM - Agent for NASは,次のNAS Managerで管理されるNASシステムをサポートしています。
- Hitachi Network Attached Storage/Management
- NAS Blade Manager
- NAS Manager Modular
- NAS Manager
- Hitachi NAS Base Suite
- Hitachi File Services Manager
NASシステムは次の表に示すストレージシステムおよびファイルサーバをサポートしています。
表3-1 監視対象ストレージシステムおよびファイルサーバ(UNIXの場合)
管理対象 |
---|
ストレージシステム | HUS VM |
Virtual Storage Platform シリーズ |
Universal Storage Platform V/VM シリーズ |
Hitachi USP |
SANRISE9900Vシリーズ |
HUS100シリーズ |
Hitachi AMS2000/AMS/WMSシリーズ |
ファイルサーバ | Hitachi Virtual File Platform |
Hitachi Essential NAS Platform |
- 注意
- HTM - Agent for NASを使用するには,HTM - Agent for NASをインストールしたホストと監視対象NASシステムがLANで接続されている必要があります。
- HTM - Agent for NASが監視できるNASシステムは,クラスタ構成のNASシステムです。シングル構成のNASシステムは監視できません。
- 仮想NASシステムは監視できません。
(3) ネットワークの環境設定
Performance Managementが動作するためのネットワーク環境について説明します。
IPアドレスの設定
PFM - Agentのホストは,ホスト名でIPアドレスが解決できる環境を設定してください。IPアドレスを解決できない環境では,PFM - Agentは起動できません。
監視ホスト名(Performance Managementシステムのホスト名として使用する名前)には,実ホスト名またはエイリアス名を使用できます。
- 監視ホスト名に実ホスト名を使用している場合
uname -nコマンドを実行して確認したホスト名で,IPアドレスを解決できるように環境を設定してください。
hostnameコマンドで取得するホスト名を使用することもできます。詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
- 監視ホスト名にエイリアス名を使用している場合
設定しているエイリアス名でIPアドレスが解決できるように環境設定をしてください。
監視ホスト名の設定については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
ホスト名とIPアドレスは,次のどれかの方法で設定してください。
- Performance Managementのホスト情報設定ファイル(jpchostsファイル)
- hostsファイル
- DNS
注意- 監視ホスト名は,ドメイン名を除いて指定してください。Performance Management は,DNS環境でも運用できますが,FQDN形式のホスト名には対応していません。
- Performance Managementは,DHCPによる動的なIPアドレスが割り振られているホスト上では運用できません。Performance Managementを導入するすべてのホストに,固定のIPアドレスを設定してください。
- 複数のLAN環境で使用する場合は,jpchostsファイルでIPアドレスを設定してください。詳細は,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
- 名前解決を実施するホスト名のIPアドレスにループバックアドレスは設定できません。
- hostsファイルにlocalhostとしてループバックアドレスの設定が必要です。
Performance Managementでは,ネットワーク構成がIPv4環境だけでなくIPv6環境にも対応しています。そのため,IPv4環境とIPv6環境が混在するネットワーク構成でも,Performance Managementを運用できます。IPv4環境とIPv6環境が混在するネットワーク構成でのPerformance Managementの運用については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,ネットワークの構成について説明している個所,およびインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
ポート番号の設定
Performance Managementプログラムのサービスは,デフォルトで次の表に示すポート番号が割り当てられています。これ以外のサービスまたはプログラムに対しては,サービスを起動するたびに,そのときシステムで使用されていないポート番号が自動的に割り当てられます。また,ファイアウォール環境で,Performance Managementを使用するときは,ポート番号を固定してください。ポート番号の固定の手順については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
表3-2 デフォルトのポート番号とPerformance Managementプログラムのサービス(UNIXの場合)
機能 | サービス名 | パラメーター | ポート番号 | 備考 |
---|
サービス構成情報管理機能 | Name Server | jp1pcnsvr | 22285 | PFM - ManagerのName Serverサービスで使用されるポート番号。Performance Managementのすべてのホストで設定される。 |
NNM連携機能 | NNM Object Manager | jp1pcovsvr | 22292 | PFM - ManagerおよびPFM - BaseのNNM連携機能で,マップマネージャとオブジェクトマネージャの間の通信で使用されるポート番号。PFM - ManagerおよびPFM - Baseがインストールされているホストで設定される。 |
サービス状態管理機能 | Status Server | jp1pcstatsvr | 22350 | PFM - ManagerおよびPFM - BaseのStatus Serverサービスで使用されるポート番号。 PFM - ManagerおよびPFM - Baseがインストールされているホストで設定される。 |
これらのPFM - Agentが使用するポート番号で通信できるように,ネットワークを設定してください。
(4) インストールに必要なOSユーザー権限について
HTM - Agent for NASをインストールするときは,必ず,rootユーザー権限を持つアカウントで実行してください。
(5) 前提プログラム
HTM - Agent for NASを管理するためのプログラムについては,「ソフトウェア添付資料」の同一装置内前提ソフトウェアまたはシステム内前提ソフトウェアについて説明している個所を参照してください。また,仮想化システムで運用する場合に必要な製品については,「ソフトウェア添付資料」の機能別/条件付前提ソフトウェアについて説明している個所を参照してください。
(6) クラスタシステムでのインストールとセットアップについて
クラスタシステムでのインストールとセットアップは,前提となるネットワーク環境やプログラム構成が,通常の構成のセットアップとは異なります。また,実行系ノードと待機系ノードでの作業が必要になります。詳細については,「4. クラスタシステムでの運用」を参照してください。
(7) インストール済みのHTM - Agent for NASのバージョンを確認する
インストール済みのHTM - Agent for NASのバージョンを確認する方法について説明します。バージョンの確認には,jpctminfoコマンドを使います。jpctminfoコマンドは,実行ホストにインストールされたHTM - Agent for NASの製品情報を表示するコマンドです。このコマンドを使用すると,バージョンおよび修正パッチ履歴情報を確認できます。
コマンドの格納先ディレクトリを次に示します。
/opt/jp1pc/tools/
HTM - Agent for NASのバージョンを確認したい場合,次のように指定してコマンドを実行します。
jpctminfo agtn
コマンドを実行すると,次の例のように,製品のバージョンが表示されます。
(例)
PRODUCT Hitachi Tuning Manager - Agent for Network Attached Storage
VERSION 7.0.0-00(07-00-00)
また,修正パッチ履歴情報を付加して製品情報を表示したい場合,次のように-pオプションを指定してコマンドを実行します。
jpctminfo agtn -p
修正パッチがインストールされている場合,-pオプションを指定してコマンドを実行すると,次の例のように,修正パッチのバージョンとインストール日が表示されます。
(例)
PRODUCT Hitachi Tuning Manager - Agent for Network Attached Storage
VERSION 7.0.0-02(07-00-02)
PATCH DATE
070001 2010/01/31
070002 2010/02/28
修正パッチがインストールされていない場合,-pオプションを指定してコマンドを実行すると,次の例のように,修正パッチのインストール履歴がないことを示すメッセージが表示されます。
(例)
PRODUCT Hitachi Tuning Manager - Agent for Network Attached Storage
VERSION 7.0.0-00(07-00-00)
KAVF24903-I 修正パッチの履歴情報はありません
(8) セキュリティ関連プログラムの有無を確認する
次に示すプログラムがインストールされていないかどうか確認してください。インストールされている場合,次の説明に従って対処してください。
- セキュリティ監視プログラム
セキュリティ監視プログラムを停止するか,または設定を変更して,HTM - Agent for NASのインストールが妨げられないようにしてください。
- ウィルス検出プログラム
ウィルス検出プログラムを停止してからHTM - Agent for NASをインストールすることを推奨します。
HTM - Agent for NASのインストール中にウィルス検出プログラムが稼働している場合,インストールの速度が低下したり,インストールが実行できなかったり,または正しくインストールできなかったりすることがあります。
- プロセス監視プログラム
プロセス監視プログラムを停止するか,または設定を変更して,HTM - Agent for NASのサービスまたはプロセスを監視しないようにしてください。
HTM - Agent for NASのインストール中に,プロセス監視プログラムによって,これらのサービスまたはプロセスが起動されたり停止されたりすると,インストールに失敗することがあります。
(9) 注意事項
ここでは,Performance Managementをインストールおよびセットアップするときの注意事項を説明します。
環境変数に関する注意事項
Performance Managementが使用しているため,JPC_HOSTNAMEを環境変数として設定しないでください。設定した場合は,Performance Managementが正しく動作しません。
同一ホストにPerformance Managementプログラムを複数インストール,セットアップするときの注意事項
Performance Managementは,同一ホストにPFM - ManagerとPFM - Agentをインストールすることもできます。その場合の注意事項を次に示します。
参考- システムの性能や信頼性を向上させるため,PFM - ManagerとPFM - Agentをそれぞれ別のホストで運用することをお勧めします。
- Performance Managementのプログラムをインストールするときは,ローカルホストのPerformance Managementのプログラムおよびサービスをすべて停止しておいてください。なお,停止するサービスは物理ホスト上および論理ホスト上のすべてのサービスです。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,Performance Managementの起動と停止について説明している章を参照してください。
- PFM - ManagerとPFM - Agentを同一ホストにインストールする場合,PFM - Baseは不要です。この場合,PFM - Agentの前提プログラムはPFM - Managerになるため,PFM - Managerをインストールしてから PFM - Agentをインストールしてください。
- PFM - BaseとPFM - Managerは同一ホストにインストールできません。PFM - BaseとPFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Managerをインストールする場合は,PFM - BaseとPFM - AgentをアンインストールしたあとにPFM - Manager,PFM - Agentの順でインストールしてください。また,PFM - Manager とPFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Baseをインストールする場合も同様に,PFM - ManagerとPFM - AgentをアンインストールしたあとにPFM - Base,PFM - Agentの順でインストールしてください。
- PFM - ManagerがインストールされているホストにPFM - Agentをインストールすると,接続先PFM - ManagerはローカルホストのPFM - Managerとなります。この場合,PFM - Agentの接続先PFM - ManagerをリモートホストのPFM - Managerに変更できません。リモートホストのPFM - Managerに接続したい場合は,インストールするホストにPFM - Managerがインストールされていないことを確認してください。
- Tuning Manager serverがインストールされているホストに,Performance Managementプログラムをインストールする場合は,ブラウザーの画面をすべて閉じてからインストールを実施してください。
- Performance Managementプログラムを新規にインストールした場合は,ステータス管理機能がデフォルトで有効になります。ただし,07-50から08-00以降※にバージョンアップインストールした場合は,ステータス管理機能の設定状態はバージョンアップ前のままとなります。ステータス管理機能の設定を変更する場合は,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のPerformance Managementの障害検知について説明している章を参照してください。
注※ Hitachi Tuning ManagerのAgentの場合,「07-50から08-00以降」は「ステータス管理機能をサポートしているバージョンから05-70以降」と読み替えてください。
バージョンアップの注意事項
古いバージョンのPFM - Agentからバージョンアップする場合の注意事項を次に示します。
なお,バージョンアップについての詳細は,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の付録を参照してください。
その他の注意事項
- インストール先ディレクトリにリンクを張りHTM - Agent for NASをインストールすることはできません。また,インストールパスにはシンボリックリンクを含まないようにしてください。
- /opt/jp1pc/setupディレクトリにHTM - Agent for NASのセットアップファイルがある場合,新規HTM - Agent for NASの追加セットアップが実行されます。HTM - Agent for NASの追加セットアップが成功した場合の実行結果は共通メッセージログに「KAVE05908-I エージェント追加セットアップは正常に終了しました」と出力されます。確認してください。
- HTM - Agent for NASがインストールされているホストからNASシステムへのアクセスにはLAN接続を使用します。HTM - Agent for NASは,LANでNASシステムに接続されたホストにインストールする必要があります。
- HTM - Agent for NASがインストールされたままの状態でLinux 5からLinux 6へアップグレードすると,HTM - Agent for NASを使用できなくなります。HTM - Agent for NASがインストールされているホストでLinux 5をLinux 6へアップグレードする場合は,次に示す手順でアップグレードしてください。
- jpctminfoコマンドで,OSをアップグレードするホストのHTM - Agent for NASのバージョンを確認する。
- jpcconf inst list(jpcinslist)コマンドで,OSのアップグレード前のインスタンス情報を確認する。
OSのアップグレード前後で,同じインスタンス名でインスタンス環境を作成する必要があります。また,収集したレコードをStoreデータベースに記録するかどうかやレコードの収集間隔などの設定を必要に応じて確認してください。
- jpctool db backup(jpcctrl backup)コマンドで,HTM - Agent for NASのStoreデータベースのバックアップを取得する。
- HTM - Agent for NASをアンインストールする。
- OSをLinux 6へアップグレードする。
ホスト名はアップグレード前と同じにしてください。
- HTM - Agent for NASをインストールする。
- OSのアップグレード前と同じインスタンス名でインスタンス環境を作成する。
- HTM - Agent for NASの収集対象のレコードおよびStoreデータベースの格納先などの環境を設定する。
- jpctool db restore(jpcresto)コマンドで,HTM - Agent for NASのStoreデータベースをリストアする。
- HTM - Agent for NASをTuning Manager serverに接続し,Main ConsoleのGUIからHTM - Agent for NASの情報を表示できることを確認する。
- HTM - Agent for NASをSolarisホストにインストールする場合,インストール前に/var/tmpディレクトリにGroup/Otherユーザの実行権限があること(711以上)を確認してください。
- UNIXの場合,インストール先のディレクトリ属性が製品に設定したディレクトリ属性に変更される場合があります。