Tuning Manager - Agent for Network Attached Storage

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2.1.4 HTM - Agent for NASのセットアップ手順

ここでは,HTM - Agent for NASを運用するための,セットアップについて説明します。

[図]は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。

この項の構成
(1) HTM - Agent for NASの登録
(2) インスタンス環境の設定
(3) ネットワークの設定[図]
(4) ログのファイルサイズ変更[図]
(5) パフォーマンスデータの格納先の変更[図]
(6) HTM - Agent for NASの接続先PFM - Managerの設定
(7) 動作ログ出力の設定[図]

(1) HTM - Agent for NASの登録

PFM - ManagerおよびPerformance Reporterを使ってPFM - Agentを一元管理するために,PFM - ManagerおよびPerformance ReporterにHTM - Agent for NASを登録する必要があります。

HTM - Agent for NASの情報は,Tuning Manager serverのインストール時にPFM - ManagerおよびPerformance Reporterに登録されるため,通常この手順は不要です。ただし,データモデルバージョンがバージョンアップした修正版のHTM - Agent for NASをインストールした場合は,この手順を実施する必要があります。

HTM - Agent for NASの登録の流れを次に示します。

図2-2 HTM - Agent for NASの登録の流れ(Windowsの場合)

[図]

注意
  • すでにHTM - Agent for NASの情報が登録されているPerformance Managementシステムに,新たに同じバージョンのHTM - Agent for NASを追加した場合,HTM - Agent for NASの登録は必要ありません。
  • バージョンが異なるHTM - Agent for NASを,異なるホストにインストールする場合,古いバージョン,新しいバージョンの順でセットアップしてください。
  • PFM - Managerと同じホストにHTM - Agent for NASをインストールした場合,jpcconf agent setupjpcagtsetup)コマンドが自動的に実行されます。共通メッセージログに「KAVE05908-I エージェント追加セットアップは正常に終了しました」と出力されるので,結果を確認してください。コマンドが正しく実行されていない場合は,コマンドを実行し直してください。コマンドの実行方法については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドの章を参照してください。
  • HTM - Agent for NASの情報を登録する作業では,Performance Reporterの[レポート階層]タブおよび[アラーム階層]タブに「NAS」という名前のフォルダが作成されます。[レポート階層]タブで,すでに独自に「NAS」という名前のフォルダまたはファイルを作成していた場合には,名前を変更してから作業を始めてください。

HTM - Agent for NASのセットアップファイルをコピーする

HTM - Agent for NASをインストールしたホストにあるセットアップファイルをPFM - ManagerおよびTuning Manager serverをインストールしたホストにコピーします。手順を次に示します。

  1. Performance Reporterが起動されている場合は,停止する。
  2. HTM - Agent for NASのセットアップファイルをバイナリーモードでコピーする。
    ファイルが格納されている場所およびファイルをコピーする場所を次の表に示します。

    表2-3 コピーするセットアップファイル(Windowsの場合)

    HTM - Agent for NASの
    セットアップファイル
    コピー先
    プログラム名 OS コピー先フォルダ
    インストール先フォルダ\setup\jpcagtnw.EXE PFM - Manager Windows PFM - Managerのインストール先フォルダ\setup\
    インストール先フォルダ\setup\jpcagtnu.Z UNIX /opt/jp1pc/setup/
    インストール先フォルダ\setup\jpcagtnw.EXE Performance Reporter Windows Tuning Manager serverのインストール先フォルダ\PerformanceReporter\setup\
    インストール先フォルダ\setup\jpcagtnu.Z UNIX /opt/HiCommand/TuningManager/PerformanceReporter/setup/

PFM - Managerのセットアップコマンドを実行する

PFM - Managerをインストールしたホストで,HTM - Agent for NASをPFM - Managerに登録するためのセットアップコマンドを実行します。

jpcconf agent setup -key NAS(jpcagtsetup agtn)

ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf agent setupコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf agent setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。

注意
コマンドを実行するローカルホストのPerformance Managementのプログラムおよびサービスが完全に停止していない状態でjpcconf agent setupjpcagtsetup)コマンドを実行した場合,エラーが発生することがあります。その場合は,Performance Managementのプログラムおよびサービスが完全に停止したことを確認したあと,再度jpcconf agent setupjpcagtsetup)コマンドを実行してください。

PFM - Managerをインストールしたホストにコピーしたセットアップファイルは,セットアップコマンドを実行したあと,削除してもかまいません。

Performance Reporterのセットアップコマンドを実行する

Tuning Manager serverをインストールしたホストで,HTM - Agent for NASをPerformance Reporterに登録するためのセットアップコマンドを実行します。

jpcpragtsetup

Tuning Manager serverをインストールしたホストにコピーしたセットアップファイルは,セットアップコマンドを実行したあと,削除してもかまいません。

(2) インスタンス環境の設定

HTM - Agent for NASで監視するNASシステムのインスタンス情報を設定します。インスタンス情報の設定は,PFM - Agentホストで実施します。

設定するインスタンス情報を次の表に示します。セットアップの操作を始める前に,次の情報をあらかじめ確認してください。

表2-4 HTM - Agent for NASのインスタンス情報(Windowsの場合)

項目 説明
destination_address VLAN使用時 NASシステムの管理ポートの実IPアドレスを指定する※1。この項目は必須。
VLAN未使用時 NASシステムのNICの固有IPアドレス※2を指定する※1。この項目は必須。
portnumber NASシステムの情報収集で使用するポート番号を指定する。必ずデフォルト値(20265)を設定すること。この項目は必須。
detour_address VLAN使用時 NASシステムに設けられている別の管理ポートの実IPアドレスを迂回路として指定する※1。迂回路を設けない場合は省略する。
VLAN未使用時 NASシステムに設けられている別のNICの固有IPアドレス※2を迂回路として指定する※1。迂回路を設けない場合は省略する。
detour_portnumber NASシステムの情報収集で使用するポート番号を迂回路として指定する。迂回路を設ける場合は,必ず20265を設定すること。迂回路を設けない場合は省略する。
Store Version※3 使用するStoreバージョンを指定する。Storeバージョンについては「2.4.2 Storeバージョン2.0への移行」を参照のこと。デフォルト値は2.0。指定できる値は,1.0または2.0。この項目は必須。

注※1
HTM - Agent for NAS のインスタンス環境設定時のIPアドレス表記形式および入力例を次の表に示します。

表2-5 IPアドレス表記形式および入力例

指定するIPアドレス 表記形式 入力例
IPv4アドレス 10進数ドット表記 192.168.123.123
IPv6アドレス 16進数コロン表記 2001::225:b3ff:fece:1111

注※2
NASシステムの各NICに付与されている固有IPアドレス,またはNASシステム管理者によって変更されたNASシステムの固有IPアドレスです。サービスIPアドレスではありません。

注※3
Store Versionは新規にインスタンス環境を設定するときだけ指定できる項目です。インスタンス環境を更新するときは指定できません。

注意
  • インスタンス環境を設定していない場合,HTM - Agent for NASのサービスを起動できません。
  • jpcconf inst setupjpcinssetup)コマンドを使用してインスタンス環境を構築する際,インスタンス項目に誤りのある値を指定した場合でもコマンドは正常に終了します。しかし,その後レコードの収集を開始すると,エラーとなりパフォーマンスデータが収集されません。
  • 1つの監視対象を複数のPFM - Agentのインスタンスから重複して監視することはできません。

インスタンス環境を構築するには,jpcconf inst setupjpcinssetup)コマンドを使用します。

次に,jpcconf inst setupjpcinssetup)コマンドの実行手順を,対話形式の場合と非対話形式の場合に分けて説明します。jpcconf inst setupjpcinssetup)コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。

対話形式で実行する場合

  1. サービスキーおよびインスタンス名(32バイト以内の半角英数字で構成されるユニークな値)を指定して,jpcconf inst setupjpcinssetup)コマンドを実行する。
    例えば,HTM - Agent for NASのインスタンス名NS21のインスタンス環境を構築する場合,次のように指定してコマンドを実行します。
    jpcconf inst setup -key NAS -inst NS21(jpcinssetup agtn -inst NS21)
    ネットワーク上のすべてのPFM - Agentのインスタンスで,ユニークなインスタンス名を使用してください。
    jpcconf inst setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。
  2. NASシステムのインスタンス情報を設定する。
    表2-4 HTM - Agent for NASのインスタンス情報(Windowsの場合)」に示した項目を,コマンドの指示に従って入力してください。デフォルトで表示されている値を,項目の入力とする場合はリターンキーだけを押してください。

複数のインスタンスで稼働させる場合は,1および2の手順を繰り返し,各インスタンスについて設定してください。

非対話形式で実行する場合

  1. jpcconf inst setupコマンドで,定義ファイルのテンプレートを作成する。
    次のようにコマンドを実行します。
    jpcconf inst setup -key NAS -noquery -template 定義ファイル名
    インスタンス環境の設定項目に対応するセクションおよびラベルが定義ファイルに出力されます。なお,[Instance Definitions]セクションのラベルに対応する値は,空白のままです。
  2. 手順1で作成した定義ファイルのテンプレートを編集する。
    インスタンス環境に合わせてテンプレートの設定値を編集します。定義ファイルで指定するプロダクト固有のラベルについては,「表2-4 HTM - Agent for NASのインスタンス情報(Windowsの場合)」を参照してください。
  3. jpcconf inst setupコマンドで,NASシステムのインスタンス情報を設定する。
    インスタンス名を「NS21」とするインスタンス環境を設定する場合のコマンド実行例を次に示します。インスタンス名には,32バイト以内の半角英数字で構成されるユニークな値を指定します。-inputオプションには,手順2で編集した定義ファイルを指定します。
    jpcconf inst setup -key NAS -inst NS21 -noquery -input 定義ファイル名
重要
定義ファイルにパスワードなどの秘匿情報が含まれる場合,定義ファイルはセキュリティを確保した安全な場所に保存し,使用後は削除するようにしてください。また,定義ファイルをホスト間で転送したいときには,SFTP(SSHトンネル経由のFTP)など,盗聴のおそれがない安全な方法を使用することをお勧めします。

複数のインスタンスで稼働させる場合は,1から3の手順を繰り返し,各インスタンスについて設定してください。

すべての入力が終了すると,インスタンス環境が構築されます。

構築されるインスタンス環境を次に示します。

(3) ネットワークの設定[図]

Performance Managementを使用するネットワーク構成に応じて行う設定です。

ネットワークの設定には次の2つの項目があります。

(4) ログのファイルサイズ変更[図]

Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。共通メッセージログのファイルサイズを設定する手順の詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。

(5) パフォーマンスデータの格納先の変更[図]

HTM - Agent for NASで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先またはインポート先のフォルダを変更したい場合に,必要な設定です。

パフォーマンスデータは,デフォルトで,次の場所に保存されます。

論理ホストで運用する場合のデフォルトの保存先については,「インストール先フォルダ」を「環境ディレクトリ\jp1pc」に読み替えてください。

注※
環境ディレクトリは,論理ホスト作成時に指定した共有ディスク上のディレクトリです。

詳細については,「2.4.1 パフォーマンスデータの格納先の変更」を参照してください。

(6) HTM - Agent for NASの接続先PFM - Managerの設定

PFM - Agentがインストールされているホストで,そのPFM - Agentを管理するPFM - Managerを設定します。接続先のPFM - Managerを設定するには,jpcconf mgrhost definejpcnshostname)コマンドを使用します。

注意
  • 同一ホスト上に,複数のPFM - Agentがインストールされている場合でも,接続先に指定できるPFM - Managerは,1つだけです。PFM - Agentごとに異なるPFM - Managerを接続先に設定することはできません。
  • PFM - AgentとPFM - Managerが同じホストにインストールされている場合,PFM - Agentの接続先PFM - ManagerはローカルホストのPFM - Managerとなります。この場合,接続先のPFM - ManagerをほかのPFM - Managerに変更できません。

手順を次に示します。

  1. Performance Managementのプログラムおよびサービスを停止する。
    セットアップを実施する前に,ローカルホストでPerformance Managementのプログラムおよびサービスが起動されている場合は,すべて停止してください。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,Performance Managementの起動と停止について説明している章を参照してください。
    jpcconf mgrhost definejpcnshostname)コマンド実行時に,Performance Managementのプログラムおよびサービスが起動されている場合は,停止を問い合わせるメッセージが表示されます。
  2. 接続先のPFM - Managerホストのホスト名を指定して,jpcconf mgrhost definejpcnshostname)コマンドを実行する。
    例えば,接続先のPFM - Managerがホストhost01上にある場合,次のように指定します。
    jpcconf mgrhost define -host host01(jpcnshostname -s host01)
    ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf mgrhost defineコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf mgrhost defineコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。

(7) 動作ログ出力の設定[図]

アラーム発生時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。

設定方法については,「付録I. 動作ログの出力」を参照してください。

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