ここでは,クラスタシステムでPerformance Managementを運用するための,セットアップについて説明します。
セットアップ手順には,実行系ノードの手順と,待機系ノードの手順があります。実行系ノード,待機系ノードの順にセットアップしてください。
は実行系ノードで行う項目を,
は待機系ノードで行う項目を示します。また,
は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。
(1) PFM - Agentの登録
PFM - ManagerおよびPerformance Reporterを使ってPFM - Agentを一元管理するために,PFM - ManagerおよびPerformance ReporterにHTM - Agent for SAN Switchを登録する必要があります。
HTM - Agent for SAN Switchの情報は,Tuning Manager serverのインストール時にPFM - ManagerおよびPerformance Reporterに登録されるため,通常この手順は不要です。ただし,データモデルバージョンがバージョンアップした修正版のHTM - Agent for SAN Switchをインストールした場合は,この手順を実施する必要があります。
登録はPFM - Manager上およびPerformance Reporter上で実施します。手順は非クラスタシステムの場合と同じです。手順については,「3.1.4 HTM - Agent for SAN Switchのセットアップ手順」の「(3) HTM - Agent for SAN Switchの登録」を参照してください。
(2) 共有ディスクのマウント
共有ディスクがマウントされていることを確認します。共有ディスクがマウントされていない場合は,クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをマウントしてください。
(3) PFM - Agentの論理ホストのセットアップ
jpcconf ha setup(jpchasetup create)コマンドを実行して論理ホスト環境を作成します。コマンドを実行すると,共有ディスクに必要なデータがコピーされ,論理ホスト用の定義が設定されて,論理ホスト環境が作成されます。
手順を次に示します。
jpcconf ha setup -key Switch -lhost jp1-hal -d /jp1(jpchasetup create agtw -lhost jp1-ha1 -d /jp1)
論理ホスト名は,-lhostオプションで指定します。ここでは,論理ホスト名をjp1-ha1としています。DNS運用をしている場合はドメイン名を省略した論理ホスト名を指定してください。jpcconf ha list -key all(jpchasetup list all)
作成した論理ホスト環境が正しいことを確認してください。(4) 接続先PFM - Managerの設定
jpcconf mgrhost define(jpcnshostname)コマンドを実行して,HTM - Agent for SAN Switchを管理するPFM - Managerを設定します。
jpcconf mgrhost define -host jp1 -lhost jp1-hal(jpcnshostname -s jp1 -lhost jp1-ha1)
接続先PFM - Managerのホスト名は,-hostオプションで指定します。接続先PFM - Managerが論理ホスト運用されている場合は,-hostオプションに接続先PFM - Managerの論理ホスト名を指定します。ここでは,PFM - Managerの論理ホスト名をjp1としています。(5) インスタンス環境の設定
jpcconf inst setup(jpcinssetup)コマンドを実行して,HTM - Agent for SAN Switchのインスタンス環境を設定します。
jpcconf inst setup -key Switch -lhost jp1-ha1 -inst FAB01(jpcinssetup agtw -lhost jp1-ha1 -inst FAB01)
論理ホスト名は,-lhostオプションで指定します。ここでは,HTM - Agent for SAN Switchの論理ホスト名をjp1-ha1,インスタンス名をFAB01としています。(6) 他Performance Managementプログラムの論理ホストのセットアップ
HTM - Agent for SAN Switchのほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - ManagerやPFM - Agentがある場合は,この段階でセットアップしてください。
セットアップ手順については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章,または各PFM - Agentマニュアルの,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
(7) ネットワークの設定
Performance Managementを使用するネットワーク構成に応じて,変更する場合に必要な設定です。
ネットワークの設定では次の2つの項目を設定できます。
(8) ログのファイルサイズ変更
Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。共通メッセージログのファイルサイズを設定する手順の詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
(9) パフォーマンスデータの格納先の変更
PFM - Agentで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先,またはインポート先のフォルダを変更したい場合に必要な設定です。
設定方法については,「3.4.1 パフォーマンスデータの格納先の変更」を参照してください。
(10) 動作ログ出力の設定
アラーム発生時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。
設定方法については,「付録I. 動作ログの出力」を参照してください。
(11) 監視対象外のスイッチの設定
監視対象ファブリックにサポート対象外のスイッチまたはサポート対象外のファームウェアバージョンのスイッチが含まれる場合に必要な設定です。
設定手順は非クラスタシステムの場合と同じです。監視対象外のスイッチを設定する方法については,「3.1.4 HTM - Agent for SAN Switchのセットアップ手順」の「(10) 監視対象外のスイッチの設定」を参照してください。
(12) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート
HTM - Agent for SAN Switchの論理ホスト環境が作成できたら,環境定義をファイルにエクスポートします。エクスポートでは,その論理ホストにセットアップされているPerformance Managementのプログラムの定義情報を一括してファイル出力します。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementのプログラムをセットアップする場合は,セットアップが一とおり済んだあとにエクスポートしてください。
論理ホスト環境定義をエクスポートする手順を次に示します。
jpcconf ha export -f lhostexp.txt(jpchasetup export -f lhostexp.txt)
ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf ha exportコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf ha exportコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。(13) 論理ホスト環境定義ファイルの待機系ノードへのコピー
「(12) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート」でエクスポートした論理ホスト環境定義ファイルを,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。
(14) 共有ディスクのアンマウント
ファイルシステムをアンマウントして,作業を終了します。なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,ファイルシステムをアンマウントする必要はありません。
(15) 論理ホスト環境定義ファイルのインポート
実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。
実行系ノードで作成した論理ホストのPerformance Managementのプログラムを,待機系ノードで実行するための設定には,jpcconf ha import(jpchasetup import)コマンドを使用します。1つの論理ホストに複数のPerformance Managementのプログラムがセットアップされている場合は,一括してインポートされます。
なお,このコマンドを実行するときには,共有ディスクをマウントしておく必要はありません。
jpcconf ha import -f lhostexp.txt(jpchasetup import -f lhostexp.txt)
ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf ha importコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf ha importコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。jpcconf ha list -key all(jpchasetup list all)
実行系ノードでjpcconf ha list(jpchasetup list)コマンドを実行したときと同じ内容が表示されることを確認してください。(16) クラスタソフトへのPFM - Agentの登録
Performance Managementのプログラムを論理ホスト環境で運用する場合は,クラスタソフトに登録して,クラスタソフトからの制御でPerformance Managementのプログラムを起動したり停止したりするように環境設定します。
クラスタソフトへHTM - Agent for SAN Switchを登録する方法は,クラスタソフトのマニュアルを参照してください。
一般にUNIXのクラスタソフトに,アプリケーションを登録する場合に必要な項目は「起動」「停止」「動作監視」「強制停止」の4つがあります。
HTM - Agent for SAN Switchでは,次のように設定します。
表4-5 クラスタソフトに登録するHTM - Agent for SAN Switchの制御方法
項目 | 説明 |
---|---|
起動 | 次のコマンドを順に実行して,HTM - Agent for SAN Switchを起動する。 /opt/jp1pc/tools/jpcspm start -key AH -lhost 論理ホスト名(/opt/jp1pc/tools/jpcstart act lhost=論理ホスト名) |
停止 | 次のコマンドを順に実行して,HTM - Agent for SAN Switchを停止する。 /opt/jp1pc/tools/jpcspm stop -key Switch -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名(/opt/jp1pc/tools/jpcstop agtw lhost=論理ホスト名 inst=インスタンス名) なお,障害などでサービスが停止しているときは,jpcspm stop(jpcstop)コマンドの戻り値が3になる。この場合はサービスが停止されているので,正常終了と扱う。戻り値で実行結果を判定するクラスタソフトの場合は,戻り値を0にするなどで対応すること。 |
動作監視 | 次のプロセスが動作していることを,psコマンドで確認する。 ps -ef | grep "プロセス名 論理ホスト名" | grep -v "grep 監視対象のプロセス" |
強制停止 | 強制停止が必要な場合は,次のコマンドを実行する。 /opt/jp1pc/tools/jpcspm stop -key all -lhost 論理ホスト名 -kill immediate(/opt/jp1pc/tools/jpcstop all lhost=論理ホスト名 kill=immediate) 第一引数のサービスキーに指定できるのは,allだけである。
|
(17) クラスタソフトからの起動・停止の確認
クラスタソフトからの操作で,Performance Managementのプログラムの起動および停止を各ノードで実行し,正常に動作することを確認してください。
(18) クラスタシステムでの環境設定
Performance Managementのプログラムのセットアップ終了後,Performance Reporterから,運用に合わせて監視対象の稼働状況についてのレポートを表示できるようにしたり,監視対象で問題が発生したときにユーザーに通知できるようにしたりするために,Performance Managementのプログラムの環境を設定します。
Performance Managementのプログラムの環境を設定する方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。