3.1.1 標準提供アダプター

Stream Data Platform - AFが提供するアダプターを標準提供アダプターといいます。標準提供アダプターでは,アダプターとして必要な機能をアダプター用定義ファイルの定義で実現できます。アダプター用定義ファイルについては,マニュアル「uCosminexus Stream Data Platform - Application Framework システム構築・運用ガイド」を参照してください。

標準提供アダプターを使用する場合,ストリームデータ処理エンジンには,次のデータを入力できます。

また,標準提供アダプターでは,ストリームデータ処理エンジンでの処理結果を次の出力先に出力できます。

上記以外のデータを入力したり,別の出力先に処理結果を出力したりしたい場合は,カスタムアダプターを使用してください。カスタムアダプターについては「3.1.2 カスタムアダプター」を参照してください。

標準提供アダプターの機能を使用した処理の単位をコールバックといいます。アダプター用定義ファイルには,このコールバック単位に機能を定義します。

また,標準提供アダプターでのコールバックは,入力となるデータの1行ごと(HTTPパケットではリクエストメッセージ,またはレスポンスメッセージごと)に対して実行されます。この1行の単位をレコードといいます。

入力アダプターでのコールバックの構成を次の図に示します。

図3-1 入力アダプターでのコールバックの構成

[図データ]

出力アダプターでのコールバックの構成を次の図に示します。

図3-2 出力アダプターでのコールバックの構成

[図データ]

標準提供アダプターの機能の一覧を次の表に示します。

表3-1 標準提供アダプターの機能の一覧

項番コールバック分類目的説明
1ファイル入力コネクター入力用コールバックファイルの入力ファイルを入力とする場合に使用します。
2HTTPパケット入力コネクターHTTPパケットの入力ネットワーク上のHTTPパケットを入力とする場合に使用します。
3フォーマット変換編集用コールバックファイル入力時または出力時のレコード形式の変換ファイル入力コネクターまたはファイル出力コネクターを使用する場合にだけ指定します。入力アダプター用と出力アダプター用の2種類があります。
入力アダプター用
入力データから取得したレコード(入力形式レコード)をストリームデータ処理エンジンで処理できる形式(共通形式レコード)に変換します。
出力アダプター用
ストリームデータ処理エンジンで処理を終えた共通形式レコードを出力形式レコードに変換します。
4フィルターレコードのフィルタリングフィルター対象のレコードを取捨選択できます。
フィルターを使用すると,「2.3.2 条件を満たすデータの抽出」で説明したようなCQLで実行する処理をアダプターで実行できます。処理効率向上のため,アダプターで実行することをお勧めします。
5レコード抽出レコードの抽出入力アダプターでだけ使用できます。
レコードを取捨選択して,特定のレコードを取得したあと結合し,新たなレコードを生成できます。
レコード抽出を使用すると,「2.3.6 ストリームデータの結合」で説明したようなCQLで実行する処理をアダプターで実行できます。処理効率向上のため,アダプターで実行することをお勧めします。
6マッピングレコードのマッピング入力アダプター用と出力アダプター用の2種類があります。
入力アダプター用
共通形式レコードを入力ストリームの形式に従った共通形式レコードに変換します。また,必要に応じて,前もって共通形式レコードを次のコールバックでの処理に適した共通形式レコードに変換できます。
出力アダプター用
出力ストリームの形式に従った共通形式レコードを次のコールバックでの処理に適する共通形式レコードに変換します。また,必要に応じて,共通形式レコードを次のコールバックでの処理に適した共通形式レコードに変換できます。
7タプル送信タプル送受信用コールバックストリームデータ処理エンジンへの送信入力アダプターからタプルをストリームデータ処理エンジンに送信するために使用します。
8タプル受信ストリームデータ処理エンジンでの処理結果の受信ストリームデータ処理エンジンで処理されたタプルを出力アダプターが受信するために使用します。
9ファイル出力コネクター出力用コールバックファイルへの出力ストリームデータ処理エンジンでの処理結果をファイルに出力するために使用します。
10ダッシュボード出力コネクターダッシュボードへの出力ストリームデータ処理エンジンでの処理結果をダッシュボードに出力して表示するために使用します。

コールバックの詳細については,マニュアル「uCosminexus Stream Data Platform - Application Framework システム構築・運用ガイド」を参照してください。

なお,このマニュアルでは,「3.2 ファイルの入力」以降で次のコールバックの概要について説明します。

表で示したコールバックは,組み合わせて使用します。コールバックの構成例について説明します。

コールバックの構成例
複数の観測所で気温を観測している場合に,特定の観測所での観測結果だけを集計・分析し,処理結果をファイルに出力する場合を想定します。この処理は,次の条件を満たすものとします。
  • 観測所1(ID:1)から送られてくるデータだけを集計・分析の対象とする。
  • 処理結果は,ファイルに出力する。
このときのアダプターのコールバックの構成を,入力アダプターと出力アダプターに分けて,次の二つの図に示します。

図3-3 入力アダプターのコールバックの構成例と処理の内容

[図データ]

図3-4 出力アダプターのコールバックの構成例と処理の内容

[図データ]
入力アダプターでは,観測所1(ID:1)から送られてくるデータだけを集計・分析の対象とするため,フィルターを使用します。また,出力アダプターでは,処理結果をファイルに出力するため,ファイル出力コネクターを使用します。