1.3.2 レンディション変換の実行

ここでは,レンダリングオプションでの処理について説明します。まず,レンダリングオプションの一連の処理の流れを説明して,次にレンダリングオプションが変換対象文書を特定する条件について説明します。

<この項の構成>
(1) レンダリングオプションの処理の流れ
(2) 変換対象文書の特定

(1) レンダリングオプションの処理の流れ

レンダリングオプションの処理の流れは,次のとおりです。

  1. レンディション変換要求コマンドからレンディション変換要求を一つ受け付けます。
    レンダリングオプションは,レンディション変換要求を一つ受け付けて処理を始めると,処理が完了するまで,次のレンディション変換要求の処理を行いません。
    なお,該当するレンディション変換プラグインが存在しない場合は,受け付けを拒否します。
    レンダリングオプションがレンディション変換要求を受け付けたかどうかは,変換要求受け付けログで確認できます。
  2. 受け付けたレンディション変換要求に従い,変換対象文書をDocumentBrokerサーバで検索して特定します。
    この際,レンダリングオプションは,レンディション変換環境設定ファイルの定義に従ってDocumentBrokerサーバにアクセスします。
    変換対象文書の特定については,「(2) 変換対象文書の特定」を参照してください。
  3. 該当するレンディション変換プラグインを起動して,2.で特定した変換対象文書の変換処理を実行させます。
  4. 変換処理で作成された変換先ファイルを,指定された変換先レンディションに登録します。
    変換結果については,変換結果ログで確認できます。
  5. レンディション変換処理がすべて完了したら,次のレンディション変換要求の処理を開始します。また,次のレンディション変換要求がないときは,レンダリングオプションを停止します。
    なお,変換処理中にレンダリングオプションを停止した場合は,未変換の文書は次のレンディション変換要求で別途処理されます。

レンダリングオプションの処理の流れを次の図に示します。

図1-7 レンダリングオプションの処理の流れ

[図データ]

図中の各項目について説明します。

レンディション変換環境設定ファイルEDMRDRSetup.ini
レンダリングオプションが稼働するための環境情報を定義する環境設定ファイルです。
レンディション変換プラグイン
文書ファイルの変換処理を行うアプリケーションプログラムへのプラグインです。変換先レンディションタイプに応じて複数存在します。レンディション変換プラグインの情報については,環境設定ファイルのレンディション変換プラグイン設定ファイルEDMRDRPlugins.ini)に定義します。
トレース情報EDMRDRTrc.log
レンダリングオプションの起動から終了までの履歴が記録されます。
イベントログ
Windowsのイベントログです。レンダリングオプションで発生したエラーのうち,特に重要度の高いものが出力されます。
エラーログEDMRDRErr.log
レンダリングオプションで発生したエラー情報が記録されます。
変換要求受け付けログEDMRDRReq.log
レンディション変換要求コマンドからの変換要求の受け付け履歴が記録されます。
変換処理ログEDMRDRCnv.log
変換対象の各文書に対するレンディション変換の結果が記録されます。
変換結果ログEDMRDRRes.log
レンディション変換要求コマンド単位の実行結果が記録されます。

(2) 変換対象文書の特定

レンダリングオプションが変換対象文書を特定する条件について説明します。レンダリングオプションが変換対象文書を特定する条件は次のとおりです。

「変換要」を示すdbrProp_RenditionStatusプロパティの値について説明します。

変換要」を示すdbrProp_RenditionStatusプロパティの値
「変換要」を示すdbrProp_RenditionStatusプロパティの値を次の表に示します。なお,dbrProp_RenditionStatusプロパティの上位2バイトを変換フラグ,下位2バイトを状態フラグといいます。以降,このマニュアルでは,dbrProp_RenditionStatusプロパティの変換フラグを単に変換フラグ,dbrProp_RenditionStatusプロパティの状態フラグを単に状態フラグと表記します。

表1-3 「変換要」を示すdbrProp_RenditionStatusプロパティの値


(変換フラグ|状態フラグ)
意味
0x00010001​
CONVERT_REQUIRED|NO_SUBREND1
変換先レンディションの文書ファイルが登録されていないため,レンディション変換を実行して文書ファイルを作成・登録する必要があることを示します。
変換要サブ空
変換フラグおよび状態フラグの値は,文書ファイルを登録しない空のレンディションを追加するときの,メソッドのパラメタ指定によって設定します。空のレンディションの追加方法については,「4.2.1 新規にレンディション変換をする場合」を参照してください。
0x00010004​
CONVERT_REQUIRED|MASTERREND_UPDATE2
変換先レンディションの文書ファイルの登録後に,マスタレンディションの文書ファイルが更新されたため,レンディション変換を再実行して変換先レンディションの文書ファイルを更新する必要があることを示します。
変換要マスタ/サブ不一致
状態フラグの値は,マスタレンディションの文書ファイルを更新したときにDocumentBrokerによって設定されます。変換フラグの値は,ユーザが設定します。変換フラグの値の設定方法については,「4.2.2 マスタレンディションを更新して再びレンディション変換する場合」を参照してください。
注※1
C++ クラスライブラリで開発したクライアントアプリケーションの場合はDBR_RENDSTATUS_CONVERT_REQUIRED|DBR_RENDSTATUS_NO_SUBREND,Java クラスライブラリで開発したクライアントアプリケーションの場合はDbjDef.RENDSTATUS_CONVERT_REQUIRED|DbjDef.RENDSTATUS_NO_SUBRENDです。
注※2 
C++ クラスライブラリで開発したクライアントアプリケーションの場合はDBR_RENDSTATUS_CONVERT_REQUIRED|DBR_RENDSTATUS_MASTERREND_UPDATE,Java クラスライブラリで開発したクライアントアプリケーションの場合はDbjDef.RENDSTATUS_CONVERT_REQUIRED|DbjDef.RENDSTATUS_MASTERREND_UPDATEです。

変換対象文書の特定の例を次の図に示します。

図1-8 変換対象文書の特定の例

[図データ]

変換フラグおよび状態フラグの詳細については,マニュアル「DocumentBroker Version 3 クラスライブラリ C++ 解説」またはマニュアル「DocumentBroker Version 3 クラスライブラリ Java 解説」を参照してください。