2.2.2 データベース容量の見積もり

HiRDBでデータベースシステムを構築するために必要なデータベース容量として,次の容量を確保してください。

データベース容量 = RDエリアの容量 + システムファイルの容量

RDエリアは,HiRDBが管理する表およびインデクスを格納する論理的なエリアのことです。DocumentBroker Standard GUIで使用するRDエリアを次の表に示します。

表2-4 DocumentBroker Standard GUIで使用するRDエリア

分類RDエリアの種類説明
システム用RDエリアマスタディレクトリ用RDエリアデータベースシステムの情報を格納します。
データディレクトリ用RDエリア
データディクショナリ用RDエリア
システムLOB用RDエリアデータディクショナリLOB用RDエリア
レジストリ用RDエリアレジストリ用RDエリアHiRDB Text Search Plug-in,またはHiRDB XML Extensionを利用した全文検索機能を使用する場合に,HiRDB Text Search Plug-in,またはHiRDB XML Extensionのレジストリ情報を格納します。
レジストリLOB用RDエリア
ユーザ用RDエリアユーザ表用RDエリア次の情報を格納します。
  • クラスに対応する表
  • DocumentBroker Standard GUIのメタ情報
ユーザインデクス用RDエリア次の情報を格納します。
  • クラスに対応する表のインデクス
  • DocumentBroker Standard GUIのメタ情報のインデクス
ユーザLOB用RDエリアコンテント格納用RDエリア文書ファイルの実体を格納します。
SGMLTEXTデータ格納用RDエリアHiRDB Text Search Plug-in,またはHiRDB XML Extensionを利用した全文検索機能を使用する場合に,コンテントのテキストデータ,テキストデータのインデクスを格納します。
n-gramインデクス情報格納用RDエリア
注※
DocumentBroker Standard GUIでフォルダや文書などのプロパティを格納する表を作成するためのひな形です。

このマニュアルでは,ユーザ用RDエリアの容量の見積もり方法について説明します。ユーザ用RDエリア以外の容量の見積もり方法は,次に示すマニュアルを参照してください。

表2-5 ユーザ用RDエリア以外の容量を見積もる場合の参照マニュアル

見積もり対象参照マニュアル
システム用RDエリアの容量HiRDB システム導入・設計ガイド
システムLOB用RDエリアの容量
システムファイルの容量
レジストリ用RDエリアの容量HiRDB Text Search Plug-in,またはHiRDB XML Extension
ユーザLOB用RDエリアの容量DocumentBroker Version 3 システム導入・運用ガイド

 

DocumentBroker Version 3と連携する場合は,次の図に示す手順でユーザ用RDエリアの見積もりをしてください。

図2-2 ユーザ用RDエリアの容量の見積もり手順(DocumentBroker Version 3の場合)

[図データ]

DocumentBroker Version 5と連携する場合は,「(5) DocumentBroker Version 5と連携する場合のユーザ用RDエリアの見積もり」を参照してユーザ用RDエリアの見積もりをしてください。

<この項の構成>
(1) データベース容量見積もり支援ツールの実行
(2) 文書空間の定義コマンドの実行
(3) ユーザ用RDエリアの容量の見積もり
(4) フォルダの容量制限機能を使用する場合のユーザ用RDエリアの容量の見積もり
(5) DocumentBroker Version 5と連携する場合のユーザ用RDエリアの見積もり

(1) データベース容量見積もり支援ツールの実行

DocumentBroker Version 3と連携する場合は,ユーザ用RDエリアの容量を見積もるために必要な情報を,データベース容量見積もり支援ツールに入力して,次に示すファイルを出力します。

データベース容量見積もり支援ツールの操作方法を次に示します。

  1. {DocumentBroker Standard GUIのインストールフォルダ} ¥tools¥ecmDefSupport.xlsをダブルクリックします。
    データベース容量見積もり支援ツールの画面が表示されます。

    [図データ]

  2. DocumentBroker Standard GUIを構築する環境の規模を選択します。
    利用環境に対する質問の設定値に,選択した規模に応じた値が設定されます。
    規模を選択しないで,利用環境に対する質問の設定値に直接値を入力する場合,この操作は必要ありません。
  3. 利用環境に対する質問の設定値に値を入力します。
    各設定値に入力できる値については,表2-3を参照してください。
    2の操作で設定された値のままで見積もる場合,この操作は必要ありません。
  4. [EDMCDefDocSpaceコマンドの入力ファイルを出力する]ボタンをクリックします。
    [名前を付けて保存]ダイアログが表示されます。
  5. 文書クラス定義ファイルの保存先とファイル名にEDMCDefDocSpace.csvを指定して,[保存]ボタンをクリックします。
    再度,[名前を付けて保存]ダイアログが表示されます。
  6. 文書空間情報ファイルの保存先とファイル名にEDMdocinfo.txtを指定して,[保存]ボタンをクリックします。
    文書クラス定義ファイルと文書空間情報ファイルが出力されます。

 

次のカスタマイズをする場合,出力した「文書空間情報ファイル」の内容を書き換えてください。

なお,MultiDocTblNameはDocumentBroker Standard GUIで使用しないため,値を設定する必要はありません。

データベース容量見積もり支援ツールで出力する文書空間情報ファイル(EDMdocinfo.txt)では,SgmlTblNameエントリは必ず出力されます。ただし,uCosminexus DocumentBroker Server Version 3 03-60以降を使用する場合,SgmlTblNameエントリの指定は無視されます。

データベース容量見積もり支援ツールの利用環境に対する質問の設定値として入力できる値を次の表に示します。

表2-6 利用環境に対する質問の設定値として入力できる値

利用環境に対する質問説明
登録する文書の最大数1~10000000​の値が入力できます。
1文書当たりの平均履歴数1~1000の値が入力できます。
1文書当たりの平均サイズ1~100000の値が入力できます(単位:キロバイト)。
1文書当たりに付与するアクセス権限対象の平均数1~64の値が入力できます。
ルートフォルダの数1~1000の値が入力できます。
フォルダの平均階層数1~10の値が入力できます。
1フォルダ当たりに作成する平均サブフォルダ数1~1000の値が入力できます。
登録する案件ルートの最大数1~10000000​の値が入力できます。
案件ルートの平均ルート数1~20の値が入力できます。
登録する案件の最大数1~10000000​の値が入力できます。
1案件に添付する文書の平均数1~10000000​の値が入力できます。
信頼ポイント生成の最大実行回数1~10000000​の値が入力できます。
平均利用者数1~10000000​の値が入力できます。
1日1人当たりの平均文書参照数1~10000000​の値が入力できます。
1日1人当たりの平均文書更新数1~10000000​の値が入力できます。
文書間リンク元となる文書の割合0~100の値が入力できます(単位:%)。
文書間リンク先とする文書の平均数1~10000000​の値が入力できます。
登録する文書種別の最大数1~10000000​の値が入力できます。
登録する属性値マスタの最大数1~10000000​の値が入力できます。
利用環境に対する質問の設定値は,すべて省略できません。必ず値を入力してください。

(2) 文書空間の定義コマンドの実行

DocumentBroker Version 3と連携する場合は,文書クラス定義ファイル(EDMCDefDocSpace.csv)と文書空間情報ファイル(EDMdocinfo.txt)を入力して,文書空間の定義コマンドEDMCDefDocSpace)を実行します。文書空間の定義コマンドの詳細は,マニュアル「DocumentBroker Version 3 システム導入・運用ガイド」を参照してください。

文書空間の定義コマンドを実行すると,{DocumentBrokerのインストールフォルダ} ¥Server¥envに次に示すファイルが出力されます。

(3) ユーザ用RDエリアの容量の見積もり

DocumentBroker Version 3と連携する場合は,見積もり基礎情報ファイル(EDMestimate.csv)を基にして,実際に使用するRDエリアの容量を算出してください。RDエリアの容量の算出方法については,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」を参照してください。

見積もり基礎情報ファイルには,次の値が出力されます。

(a) 各表に格納するレコードの総数

見積もり基礎情報ファイルのRecord Countエントリに,表に格納するレコードの総数が出力されます。

(b) 各表に定義する列の総数

見積もり基礎情報ファイルのColumn Countエントリに,表に定義する列の総数が出力されます。

(c) 各列のデータサイズ

見積もり基礎情報ファイルのRecord Lengthエントリに,列(レコード)のデータサイズが出力されます。

(d) インデクス

見積もり基礎情報ファイルのColumn Lengthエントリに出力された列の定義長と,AvColumn Lengthエントリに出力された列の平均文字列長を基に,インデクスのキー長を算出してください。

なお,EDMS_META_で始まる名称の表には,次に示す複数列インデクスが一つ定義されます。

EDMSMETAREGENVIDの表には,次に示す単一列インデクスが一つ定義されます。

EDMSMETAclassdefの表およびEDMSMETAdocinfoの表には,次に示す単一列インデクスが一つ定義されます。

これらを考慮してインデクスを算出してください。

注意
見積もり基礎情報ファイル中の「edmClass_ACL」テーブルの見積もり結果については,ほかのテーブルと比べて容量が大きくなります。これは,文書空間の定義コマンドが容量の最大値を見積もっているためです。実際の運用では,ここで算出された容量は必要ありません。このため,「edmClass_ACL」テーブルの必要容量については,マニュアル「DocumentBroker Version 3 システム導入・運用ガイド」の「アクセス制御機能を使用する場合のデータベース容量の見積もり」の「edmClass_ACL」のレコード数見積もり方法で容量の見積もりを実施してください。
また,容量を見積もるときに利用する変数には次の値を代入してください。
  • m:1文書当たりに付与するアクセス権限対象の平均数
  • n:0

(4) フォルダの容量制限機能を使用する場合のユーザ用RDエリアの容量の見積もり

DocumentBroker Version 3と連携する場合で,フォルダの容量制限機能を使用するときは,容量を制限するフォルダの個数に応じてユーザ用RDエリア容量を確保する必要があります。次に示す式で見積もった値を「(3) ユーザ用RDエリアの容量の見積もり」での見積もり結果に加えてください。

見積もり式(単位:バイト)
=容量を制限するフォルダの個数×748

なお,容量を制限するフォルダとは,最上位の階層にあり,[フォルダの作成]画面または[フォルダのプロパティ]画面で[容量制限]を「する」に設定するフォルダのことです。[フォルダの作成]画面または[フォルダのプロパティ]画面の詳細は,マニュアル「DocumentBroker Version 3 Standard GUI 操作ガイド」を参照してください。

(5) DocumentBroker Version 5と連携する場合のユーザ用RDエリアの見積もり

DocumentBroker Version 5と連携する場合は,次の表に示す項目を「DocumentBroker Version 5 システム導入・運用ガイド」の「ユーザ用RDエリアが使用するデータベースリソースの所要量」および「アクセス制御機能に関連するデータベース容量の見積もり」に関する記述に従って見積もりします。なお,「表2-8 ユーザエントリで必要なプロパティ項目」に記載しているDocumentBroker Standard GUIで定義するサブクラス,ユーザプロパティ列数,およびサイズを勘案して見積もりしてください。

表2-7 DocumentBroker Version 5と連携する場合に見積もる項目

項番名前スーパークラスの表名サブクラスの表名ユーザプロパティ列数(利用する列数)ユーザプロパティ列データサイズの最大値(単位:バイト)ユーザプロパティ計算の目安(単位:バイト)
1フォルダedmClass_ContainerVersion※1ecmClass_DocContainer2729811500※2×システムへ登録するフォルダ数
2文書(バージョン共通)dmaClass_ConfigHistory
 
以下についても考慮が必要です。
  • dmaClass_VersionSeries
  • dmaClass_VerDescription
ecmClass_FileDocCH1520681000※2×システムへ登録する文書数(案件文書は含みません。一般文書,公開文書の履歴は含みません。)
3文書(バージョン個別)edmClass_VTDocVersion
 
以下についても考慮が必要です。
  • dmaClass_ContentTransfer
  • 全文検索機能付き文書クラス
  • リファレンスファイル管理機能を使用する場合:dmaClass_ContentReference
  • PDF変換機能を利用する場合:dmaClass_Rendition
ecmClass_FileDocDV772982110000※3×システムへ登録する文書数(案件文書は含みません。一般文書,公開文書の履歴は含みます。)
4案件文書(バージョン共通)dmaClass_ConfigHistory
 
以下についても考慮が必要です。
  • dmaClass_VersionSeries
  • dmaClass_VerDescription
ecmClass_FlowDocCH1621201000※2×システムへ登録する案件文書数
5案件文書(バージョン個別)edmClass_VTDocVersion
 
以下についても考慮が必要です。
  • dmaClass_ContentTransfer※1
ecmClass_FlowDocDV612815510000※3×システムへ登録する案件文書数
6案件ルートedmClass_IndPersistenceecmClass_FlowRoute17233538000※3×システムへ登録する案件ルート数
7審査・承認案件edmClass_IndPersistenceecmClass_Flow41265979000※3×案件数
8審査・承認結果edmClass_IndPersistenceecmClass_Approve2234271800※2×案件の審査承認履歴数
9文書番号採番用edmClass_IndPersistenceecmClass_DocNum1831001600※2×(自動採番に利用する文書種別マスタのマスタ型プロパティ値の全組み合わせ総数+(審査承認機能を利用する場合:1))
10監査証跡ログクラスedmClass_IndPersistenceecmClass_InspectionInfo876271021000※3×監査ログ出力数(全ユーザの操作回数)
11文書種別マスタedmClass_IndPersistenceecmClass_DocTypeMaster2448812500※2×システムへ登録する文書種別マスタ数
12属性値マスタedmClass_IndPersistenceecmClass_TypePropValueMaster2036101800※2×システムへ登録する属性値マスタ数
13文書間リンクedmClass_Relationshipなし1224191200※2×システムへ登録する文書間リンク数
14リファレンスファイル文書化指示情報edmClass_IndPersistenceecmClass_JobInfo2541802200※2×リファレンスファイル文書化指示のジョブ作成数
15フォルダ下容量管理クラスedmClass_IndPersistenceecmClass_FolderCapacity183100748×容量管理を行うフォルダ数
16アクセス制御対象オブジェクトDocumentBrokerオブジェクトのトップオブジェクトに該当する表なしなしなし「DocumentBroker Version 5 システム導入・運用ガイド」の「アクセス制御機能に関連するデータベース容量の見積もり」のレコード数は次の値で見積もりしてください。
  • 「すべてのDocumentBrokerオブジェクトのトップオブジェクト数」は注※4を参照してください。
容量を見積もるときに利用する変数には次の値を代入してください。
  • n:1
17ACLedmClass_ACLなしなしなし「DocumentBroker Version 5 システム導入・運用ガイド」の「アクセス制御機能に関連するデータベース容量の見積もり」のレコード数は次の値で見積もりしてください。
  • アクセス権限方式が「個別に設定」の文書フォルダ数およびその下位に登録されている文書の合計数
容量を見積もるときに利用する変数には次の値を代入してください。
  • m:1フォルダまたは文書当たりに付与するアクセス権限対象の平均数
  • n:0
18パブリックACLedmClass_PublicACLなし1255128※2×(「同じ権限を共有」のアクセス権を持つフォルダ数(同じフォルダの下位フォルダは含みません)+公開する範囲が「公開範囲を限定」の公開フォルダ数+案件ルート数)
なお,「DocumentBroker Version 5 システム導入・運用ガイド」の「アクセス制御機能に関連するデータベース容量の見積もり」の容量を見積もるときに利用する変数には次の値を代入してください。
  • m:1つの上記フォルダまたは案件ルート当たりに付与するアクセス権限対象の平均数
  • n:0
19バインドedmClass_BindRelationshipなしなしなし「DocumentBroker Version 5 システム導入・運用ガイド」の「アクセス制御機能に関連するデータベース容量の見積もり」のレコード数は次の値で見積もりしてください。
  • (「同じ権限を共有」のアクセス権を持つフォルダ数(同じフォルダの下位フォルダは含みません)+公開する範囲が「公開範囲を限定」の公開フォルダ数+案件ルート数)×1つのフォルダまたは案件ルート当たりに付与するアクセス権限対象の平均数
注※1
版管理はしないため,1世代だけです。
注※2
「ユーザプロパティ列データサイズの最大値」の1/2程度の値を目安とします。
注※3
「ユーザプロパティ列データサイズの最大値」の1/3程度の値を目安とします。
注※4
「すべてのDocumentBrokerオブジェクトののトップオブジェクト数」が指す個数は以下の合計数となります。
  • 文書数[バージョン共通(ecmClass_FileDocCH表)用](案件文書は含みません。一般文書,公開文書の履歴は含みません。)
  • 文書数[バージョン個別(ecmClass_FileDocDV表)用](案件文書は含みません。一般文書,公開文書の履歴は含みます。)
  • 案件文書数[バージョン共通(ecmClass_FlowDocCH表)用]
  • 案件文書数[バージョン個別(ecmClass_FlowDocDV表)用]
  • フォルダ数
  • 案件ルート数
  • 案件数
  • 案件の審査承認履歴数
  • 自動採番に利用する文書種別マスタのマスタ型プロパティ値の全組み合わせ総数+(審査承認機能を利用する場合:1)
  • 監査ログ出力数(全ユーザの操作回数)
  • 文書種別マスタ数
  • 属性値マスタ数
  • リファレンスファイル文書化指示のジョブ作成数
  • 容量管理をするフォルダ数