付録D 用語解説

(英字)
CA(Certificate Authority)
認証局と呼ばれる,証明書を発行する機関です。
ほかのエンティティのために有効な証明書を発行する,信頼のおけるエンティティです。次に示す種類があります。
  • ルートCA
    上位のCAによる認証を受けないで,自分の正当性を自ら証明します。
  • 中間CA
    自分の正当性を証明するために,上位のCAによる認証を受けています。
Eclipse
Eclipseプロジェクト(eclipse.org)が提供するオープンソースの統合開発環境です。ソースコードの編集支援機能やデバッグ機能など,アプリケーションの開発効率を向上させる各種機能を備えています。
Cosminexus サービスプラットフォームでは,Eclipseに必要な機能をプラグインして利用します。
HCSC-Data Transformデータ変換基盤
データ変換定義に従って,要求電文・応答電文の電文フォーマットを変換する機能です。
HCSCTE
Cosminexus サービスプラットフォームの開発環境で利用する開発支援機能です。HCSCTEで提供される機能は,Eclipseにプラグインして利用します。
アダプタやビジネスプロセスの作成・定義機能などが含まれます。
HCSCコンポーネント
開発環境で作成するサービスアダプタ,DBアダプタ,ビジネスプロセス,およびユーザ定義受付の総称です。
HCSCサーバ
実行環境でサービス部品の実行を管理するサーバ機能です。メッセージング基盤,DBアダプタ連携基盤,ビジネスプロセス基盤,データ変換基盤など,実行環境に必要な機能が含まれます。また,リクエスタサービス,および連携サービスなどの機能も含まれます。
J2EEサーバ
アプリケーションを実行するためのサーバ基盤であるJ2EEコンテナを生成,実行する環境です。Cosminexus サービスプラットフォームは,J2EEサーバとしてCosminexus Component Containerを使用します。
MyEclipse
Javaアプリケーションの開発環境です。MyEclipseには,Eclipseでアプリケーションを開発するときに使用するプラグインがまとめられています。MyEclipseを使用すると,アプリケーションの作成,J2EEサーバへのアプリケーションのデプロイ,J2EEサーバの起動・停止,データベースの操作などができます。
Cosminexusでは,構成ソフトウェアとして,MyEclipseの日本語版環境であるMyEclipse for Cosminexusを提供しています。
RAPサーバ
リモートAPI接続時に,クライアントからの要求を代理実行するサービスです。
RAPリスナー
リモートAPI接続で,クライアントからのコネクション確立要求を受け付けるサービスです。
RPC
UAPを実行するプロセス間で通信する機能です。
SOAP
ネットワーク上のサービスを呼び出す際のメッセージを規定したものです。HTTPとXMLがベースとなっています。
SPP
OpenTP1のUAPのうち,ファイルへのアクセスなどサーバの役割をするプログラムです。
SSL(Secure Sockets Layer)
情報を暗号化してネットワークで送受信するためのプロトコルの一つです。
TLS(Transport Layer Security)
情報を暗号化してネットワークで送受信するためのプロトコルの一つです。SSLを基に改良が加えられたプロトコルです。
TP1/Client/J
WWWブラウザで動作するJavaアプレット,Javaアプリケーション,およびアプリケーションサーバで動作するJavaサーブレットから,OpenTP1のサーバUAPへRPCでサービスを要求するための製品です。
UAP
ユーザの業務をプログラムとして作成したものです。
uCosminexus Service Architect
Cosminexus サービスプラットフォームの開発環境を構築・運用するための製品です。
uCosminexus Service Platform
Cosminexus サービスプラットフォームの実行環境・運用環境を構築・運用するための製品です。
XMLスキーマ
W3C勧告で定められた仕様で,XML文書内の論理的なデータ構造を規定するための仕組みです。
XMLフォーマット定義ファイル
XML形式のデータを扱う場合に利用する電文フォーマット定義ファイルです。XMLスキーマファイルとして作成します。
(ア行)
アクティビティ
ビジネスプロセスの処理フローを定義する部品です。基本アクティビティと構造アクティビティに分類されます。複数のアクティビティを画面上に配置し,コネクションで連結して,ビジネスプロセスの処理フローを定義します。
アダプタ
Cosminexus サービスプラットフォームから,各種のソフトウェア部品をサービスとして呼び出すためのインターフェースとなるコンポーネントです。
アダプタには,サービスアダプタとカスタムアダプタがあります。
アダプタ名
TP1アダプタを識別する名称です。サービスアダプタ定義画面(基本)の「サービスID」で指定します。
運用環境
開発環境で作成したEARファイルをリポジトリから読み込み,実行環境に配備する環境です。また,実行環境で利用するHCSCサーバをセットアップします。実行環境での業務の運用を開始したあとは,システムの起動・停止,および状態を監視します。
応答電文
サービスの実行結果を返すための電文です。応答電文には,サービス部品からHCSCサーバに送信される電文と,HCSCサーバからサービスリクエスタに送信される電文があります。
(カ行)
開発環境
実行環境でサービス部品を呼び出すために必要なHCSCコンポーネントを作成したり,作成したHCSCコンポーネントをHCSCサーバおよびクラスタにどのように配備するか定義(配備定義)したりする環境です。
カスタムアダプタ
呼び出すサービスの種類が,Webサービス,SessionBean,MDB(WS-R),およびMDB(DBキュー)以外のアダプタです。
キーストア
秘密鍵,公開鍵,および証明書を持つ,保護されたデータベースです。
クライアント認証
サーバが,クライアントから送られてきたクライアントの証明書を基に,信頼できるクライアントかどうかを確認することです。
クラスタ
ある共通の機能を提供するサーバの集合です。
Cosminexus サービスプラットフォームでは,複数のHCSCサーバでクラスタを構成するロードバランスクラスタと,二つのHCSCサーバで実行系と待機系を構成するHAクラスタがあります。
公開鍵
特定のエンティティ(署名者)に関連づけられた数値です。
該当するエンティティとの間に信頼できる関係を持つ必要がある,すべての人に対して公開することを意図しています。署名の検証に使用されます。
コネクション
OpenTP1システムなどの接続先システムとの間に確立する論理的な通信路のことです。OpenTP1システムとはコネクション単位に送受信を行います。
(サ行)
サーバ認証
クライアントが,サーバから送られてきたサーバの証明書を基に,信頼できるサーバかどうかを確認することです。
サービス
業務と1対1に対応し,業務に必要な機能を再利用できるソフトウェア部品のことです。SOAでは,サービスを組み合わせて業務システムを構築します。これによって,業務の変化に対して,システムを迅速に変更できます。
サービスアダプタ
どのサービスを実行するかを定義したHCSCコンポーネントです。呼び出すサービス部品の種類(Webサービス,SessionBean,MDB(WS-R),MDB(DBキュー))ごとに定義する内容は異なります。
サービス部品
サービスアダプタおよびDBアダプタから実行できる業務処理のことです。Webサービス,SessionBean,MDB(WS-R),MDB(DBキュー),およびデータベースの操作をサービス部品として利用できます。
サービス部品電文
サービス部品独自の電文フォーマットを持った電文です。サービス部品がデータベースの操作の場合,DBアダプタ電文といいます。
サービスリクエスタ
HCSCサーバへサービスの実行要求(要求電文)を送信するアプリケーションです。HCSCサーバの標準受付が同期標準受付(Webサービス/SessionBean)か,非同期標準受付(MDB(WS-R)/MDB(DBキュー))か,またはユーザ定義受付(Webサービス)かによって,作成するサービスリクエスタの形式が異なります。
標準受付にサービスの実行を要求するサービスリクエスタを作成するときは,HCSCサーバに送信される要求電文の電文フォーマットを,標準電文に合わせる必要があります。
ユーザ定義受付にサービスの実行を要求するサービスリクエスタを作成するときは,サービスまたはビジネスプロセスに定義した電文フォーマット(WSDL)に合わせることができます。
システム構成定義
HCSCサーバおよびクラスタのセットアップ情報と,HCSCコンポーネントをHCSCサーバおよびクラスタにどのように配備するかの情報が含まれる定義情報です。
HCSCサーバおよびクラスタのセットアップ情報は,運用環境で更新されます。開発環境では,HCSCサーバおよびクラスタにHCSCコンポーネントをどのように配備するかの情報を定義します。
実行環境
サービスリクエスタで受け付けた実行要求に応じて,HCSCサーバを介して適切なサービス部品を呼び出し,業務を実行する環境です。
常設コネクション
コネクションを確立する契機となった要求が終了しても,コネクションを解放しないで利用し続ける確立方式です。
証明書
公開鍵証明書です。あるエンティティの識別情報および公開鍵の内容を証明します。証明書には,自己署名付き証明書と,CA(認証局)から発行された証明書があります。
性能解析トレース
Cosminexusシステムの性能解析をするためのトレース情報です。
(タ行)
データ変換
標準電文とサービス部品電文の電文フォーマットが異なる場合に,データ変換定義に従って,標準電文をサービス部品電文の電文フォーマットに変換することです。
データ変換定義
標準電文とサービス部品電文の電文フォーマットの相違を解消するためのデータ変換方法を定義したものです。標準電文とサービス部品電文の電文フォーマット定義ファイルの各要素をマッピングし,必要に応じてファンクションを設定して定義します。
電文フォーマット
要求電文および応答電文のデータ構造です。
サービスリクエスタからHCSCサーバに送信される要求電文の電文フォーマットは,標準電文の電文フォーマットに合わせる必要があります。標準電文とサービス部品に実行要求するための電文(サービス部品電文)の電文フォーマットが異なる場合は,データ変換定義を作成して,電文フォーマットの相違を解消します。
電文フォーマット定義ファイル
電文の構造(電文フォーマット)を定義したファイルです。XMLフォーマット定義ファイルとバイナリフォーマット定義ファイルとがあります。サービスの実行に利用する電文でXML形式のデータを扱う場合は,XMLフォーマット定義ファイルを,XML形式以外のバイナリ形式のデータを扱う場合は,バイナリフォーマット定義ファイルを利用します。
トラストストア
信頼できる証明書を格納したキーストアです。サーバ認証をする場合に,このトラストストアに格納されている証明書を基に,そのサーバが信頼できるかどうかが判断されます。
(ナ行)
ノード
データ変換定義画面で,ツリービューアに表示される各要素のことです。データ変換の元になる変換元ノードと,変換先になる変換先ノードがあります。
(ハ行)
バイナリフォーマット定義ファイル
XML形式以外のバイナリ形式のデータを扱う場合に利用する電文フォーマット定義ファイルです。XMLスキーマファイルとして作成します。バイナリ形式のデータ内の値の格納形式を定義し,定義した情報をXMLスキーマファイルに付加したファイル(拡張子:.fdx)です。
配備
HCSCコンポーネントを適切なHCSCサーバに配置することです。開発環境で作成したHCSCコンポーネントは,運用環境を利用して実行環境(HCSCサーバ)に配備します。
配備定義
開発環境で,HCSCコンポーネントをHCSCサーバおよびクラスタにどのように配備するか定義し,システム構成定義を更新することです。運用環境からHCSCコンポーネントを配備するときには,開発環境で配備定義したシステム構成定義の内容に従って配備します。
パッケージング
開発環境で作成したHCSCコンポーネントを,実行環境に配備できるようにEARファイルに組み立てることです。
ビジネスプロセス
複数のサービスコンポーネントを疎結合で連携させて,一連の業務の流れとして定義したサービスコンポーネントです。複数の基本アクティビティおよび構造アクティビティをコネクションで連結して定義します。
非常設コネクション
コネクションを確立する契機となった要求の処理が終了した場合に,そのつどコネクションを解放する確立方式です。
秘密鍵
特定のエンティティだけが知っている数値のことです。この数値を「エンティティの秘密鍵(または非公開鍵)」と呼びます。
秘密鍵は秘密にすることが前提です。秘密鍵と公開鍵は,すべての公開鍵暗号化システムで対になって存在します。
ファンクション
データ変換を定義する場合に,変換元ノードの値を加工して変換先ノードにマッピングする場合に使用するときの加工の方法を定義するものです。
文字列や数値を変換するファンクション,ノードの名称を取得するファンクション,条件による処理の選択や繰り返しを定義するファンクションなどがあります。
(マ行)
マッピング
データ変換を定義する場合に,変換元と変換先のノードを連結することです。マッピングの始点をマッピング元,終点をマッピング先といいます。
メソッドトレース
障害が発生し,原因の究明が困難な場合に必要な情報です。
(ヤ行)
ユーザ電文
サービスリクエスタから送信される要求電文です。
要求電文
サービスの実行を要求するための電文です。要求電文には,サービスリクエスタからHCSCサーバに送信される電文とHCSCサーバ内のアダプタからサービス部品に送信される電文があります。
(ラ行)
リクエスタサービス
サービスリクエスタからの要求電文を受け付けるための機能(インターフェース)です。HCSCサーバに含まれる機能です。リクエスタサービスを開始すると,サービスリクエスタからの要求電文を受け付けられる状態になります。
同期受付(Webサービス/SessionBean)および非同期受付(MDB(WS-R)/MDB(DBキュー))の要求を受け付けることができます。
リポジトリ
定義したHCSCコンポーネントやシステム構成定義を格納するディレクトリです。格納した情報は,リポジトリの管理機能(リポジトリのインポート/エクスポート機能)を利用して,開発環境と運用環境との間で受け渡しします。