ここでは,仮想化システムで構築できるシステム構成パターンと,システム構成パターンを選択するための指針について説明します。
仮想化システムのシステム構成には,四つのシステム構成パターンがあります。システム構成パターンを次の表に示します。
表3-1 仮想化システムのシステム構成パターン
システム構成パターン | 説明 | 参照先 |
---|---|---|
パターン1(テスト環境のオンデマンド提供) | Webアプリケーションの開発者向けに提供するテスト環境を仮想化し,開発者の要望に応じてオンデマンドに提供する用途を想定しています。 | 3.2 |
パターン2(実行環境の持続的運用) | Webシステムを仮想化環境に構築して性能と信頼性を確保しつつ,各サーバの実行環境を持続的に運用することで安定稼働を維持する用途を想定しています。 | 3.3 |
パターン3(実行環境のスケールアウト) | Webシステムを仮想化環境に構築してシステム構成の柔軟性を生かします。業務量の増大に応じてスケールアウト(拡大)し,各サーバの環境を常に最新に保つ運用を想定しています。 | 3.4 |
パターン4(小規模部門サーバの集約) | 散在する部門サーバを仮想化環境に集約し,TCOを削減するシンプルな構成と運用を想定しています。 | 3.5 |
なお,以降の説明中では,システム構成パターンの表記を省略しています。システム構成パターンの表記と対応するシステム構成パターンを次の表に示します。
表3-2 システム構成パターンの表記と対応するシステム構成パターン
表記 | 対応するシステム構成パターン |
---|---|
パターン1 | パターン1(テスト環境のオンデマンド提供) |
パターン2 | パターン2(実行環境の持続的運用) |
パターン3 | パターン3(実行環境のスケールアウト) |
パターン4 | パターン4(小規模部門サーバの集約) |
システム構成パターンごとの特徴を次の表に示します。システム構成パターンを選択する場合の指針にしてください。
表3-3 システム構成パターンごとの特徴
項目 | システム構成パターン | ||||
---|---|---|---|---|---|
パターン1 | パターン2 | パターン3 | パターン4 | ||
アプリケーションサーバの利用者 | アプリケーション開発者 | アプリケーションの利用者 | |||
アプリケーションサーバの運用管理者 | アプリケーション開発者 | システム(業務)の運用管理者 | システム(部門)の運用管理者 | ||
仮想化システムの運用管理者 | システム(インフラ)の運用管理者 | システム(部門)の運用管理者 | |||
仮想化システムのネットワークの構成 | 管理LANと業務LANを分けた構成 | 単一のLAN(管理LANと業務LANを分けない)による構成 | |||
システムの運用で使用するマシンの配置 | 仮想マシン上に配置 | 物理マシン上に配置 | |||
共有ディスクの構成 | 業務用と運用用の二つの領域を共有ディスクとして使用 | 業務用の領域を共有ディスクして使用 | 共有ディスクを使用しない | ||
負荷分散機の使用 | - | ○ | ○ | - | |
利用する仮想サーバマネージャの機能 | 仮想サーバの作成(管理ユニットの作成とデプロイ) | ○ | ○ | ○ | ○ |
仮想サーバの起動と停止(管理ユニットの一括起動と一括停止) | ○ | ○ | ○ | ○ | |
仮想サーバのスケールアウトとスケールイン | - | - | ○ | - | |
仮想サーバの更新 | ○ | - | ○ | ○ | |
仮想サーバ停止時のログ取得 | ○ | - | ○ | ○ | |
仮想サーバ上のManagement Serverを利用した機能 | 仮想サーバの設定変更,およびアプリケーションのインポートと開始 | - | ○ | - | - |
システムで利用する運用機能 | JP1/IMによる障害監視 | ○ | ○ | ○ | - |
JP1/AJS3による自動運用 | - | ○ | ○ | - | |
JP1/PFMによる負荷監視 | - | ○ | ○ | - |