Cosminexusのアプリケーションサーバでは,仮想化システムのアプリケーションサーバを構築・運用するためのプロセスとして,仮想サーバマネージャを提供しています。ここでは,仮想サーバマネージャを構築する手順について説明します。仮想サーバマネージャは,仮想サーバ運用管理ホストに構築します。
システム構成パターンと必要な作業項目を次の表に示します。
表5-2 システム構成パターンと必要な作業項目(仮想サーバマネージャの構築)
作業項目 | システム構成パターンによる作業の要否 | |||
---|---|---|---|---|
パターン1 | パターン2 | パターン3 | パターン4 | |
VMware vCenter Serverのアカウントの作成 | ○ | ○ | ○※ | ○ |
仮想サーバ運用管理ホストの仮想マシンの作成 | ○ | ○ | × | × |
仮想サーバ運用管理ホストへのOSのインストール | ○ | ○ | × | × |
仮想サーバ運用管理ホストへのApplication Server Enterpriseのインストール | ○ | ○ | ○※ | ○ |
仮想サーバマネージャのセットアップ | ○ | ○ | ○ | ○ |
VMware vCenter ServerとSSL接続するための準備 | ○ | ○ | ○ | ○ |
仮想サーバマネージャのプロパティの設定 | ○ | ○ | ○ | ○ |
vmx.propertiesへのアクセス権の設定 | ○ | ○ | ○ | ○ |
仮想サーバマネージャの自動起動の設定 | ○ | ○ | ○ | ○ |
コマンドの共通引数のデフォルト値の設定 | ○ | ○ | ○ | ○ |
JP1/IMによる障害監視をするための設定 | ○ | ○ | ○ | × |
JP1/AJS3による自動運用をするための設定 | × | ○ | ○ | × |
バックアップ用ストレージの準備 | × | × | ○※ | × |
仮想サーバマネージャの起動 | ○ | ○ | ○ | ○ |
仮想サーバマネージャで運用・管理する管理対象マシン情報の作成 | ○ | ○ | ○ | ○ |
仮想サーバマネージャへの管理対象マシン情報の登録 | ○ | ○ | ○ | ○ |
仮想サーバマネージャを構築する手順を次に示します。
ハイパーバイザ管理ホストのVMware vCenter Serverで,仮想サーバマネージャ用に,VMware vCenter Serverのすべての権限を持ったアカウントを作成します。詳細については,ハイパーバイザのドキュメントを参照してください。
作成するVMware vCenter Serverのアカウントの例を次に示します。
操作端末のVMware vSphere ClientからVMware vCenter Serverに接続し,運用用物理マシン(現用系)のハイパーバイザを使用して,仮想サーバ運用管理ホストで使用する仮想マシンを作成します。データストアは,運用用データストアを使用します。この仮想マシンは仮想NICを一つ構成し,管理LANのネットワークラベルに関連づけます。
仮想サーバ運用管理ホストに,OSをインストールします。OSには管理LANのIPアドレスを割り当てます。また,OSの時刻を正確な時刻に調整するために,NTPクライアントを導入し,NTPサーバの設定をします。システム全体で同じNTPサーバを指定してください。
インストールできるOSについては,「2.3.2(1) 仮想サーバ運用管理ホストの前提条件」を参照してください。
仮想サーバ運用管理ホストに管理者権限でログインし,Application Server Enterpriseをインストールします。インストールできるApplication Server Enterpriseについては,「2.3.2(1) 仮想サーバ運用管理ホストの前提条件」を参照してください。また,Application Server Enterpriseのインストール方法については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ システム構築・運用ガイド」のインストール方法,および環境変数の設定に関する説明を参照してください。
仮想サーバマネージャをセットアップする手順を次に示します。仮想サーバマネージャのセットアップ時には,管理ユーザアカウントの設定もします。
com.cosminexus.mngsvr.vmx.enabled=true |
<Cosminexusのインストールディレクトリ>¥manager¥bin¥mngsvrctl setup -u admin -p admin |
# /opt/Cosminexus/manager/bin/mngsvrctl setup -u admin -p admin |
仮想サーバマネージャがVMware vCenter ServerとSSL接続で通信するために,次の作業を実施します。
<Cosminexusのインストールディレクトリ>¥jdk¥bin¥keytool -import -file vCenterServer.cer -alias vCenterServer -keystore C:¥work¥vCenterServer.keystore -storepass keystore_pass |
# /opt/Cosminexus/jdk/bin/keytool -import -file vCenterServer.cer -alias vCenterServer -keystore /work/vCenterServer.keystore -storepass keystore_pass |
vmx.properties(仮想サーバマネージャプロパティファイル)で,VMware vCenter Serverと接続するための設定など,仮想サーバマネージャが動作するために必要な設定をします。
vmx.propertiesで必要な設定を次に示します。ここで説明していないプロパティはデフォルト値を使用します。vmx.propertiesの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」を参照してください。
vmx.vcenterserver.host=vcenterhost |
vmx.vcenterserver.host=vmngvcenterhost |
vmx.vcenterserver.host=vmngvcenterhost |
vmx.propertiesには,VMware vCenter Serverのユーザとパスワードを設定します。このため,vmx.propertiesのアクセス権の設定が適切でないと,すべてのユーザから参照されてしまうおそれがあります。vmx.propertiesには,適切なアクセス権を設定しておく必要があります。vmx.propertiesのアクセス権の設定方法を次に示します。
vmx.propertiesのデフォルトのアクセス権は,一般ユーザに対して読み取りが許可されています。次に示すグループまたはユーザに対して,読み取りと書き込み権限を許可して,そのほかのグループまたはユーザのアクセスを許可しないようにする必要があります。
vmx.propertiesのデフォルトのアクセス権は,スーパーユーザに対して読み取りと書き込みが許可され,一般ユーザに対して読み取りと書き込みは許可されていません。このため,アクセス権を変更する必要はありません。
仮想サーバマネージャをOSと同時に起動するように設定します。自動起動するためにはあらかじめ設定が必要です。自動起動の設定は,mngautorunコマンドに引数「server」を指定して実行します。mngautorunコマンドの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」のmngautorun(サービスの設定)に関する説明を参照してください。
mngautorunコマンドの実行例を,仮想サーバ運用管理ホストのOSごとに示します。
<Cosminexusのインストールディレクトリ>¥manager¥bin¥mngautorun server |
# ln -s /etc/rc.d/init.d/MngSvr /etc/rc.d/rc2.d/S90MngSvr |
仮想化システムで使用するコマンド(vmxから始まるコマンド)には,共通引数があります。共通引数を省略した場合に設定されるデフォルト値を,vmxclient.properties(仮想サーバマネージャのクライアント共通設定プロパティファイル)に設定できます。
vmxclient.propertiesで必要な設定を次に示します。vmxclient.propertiesの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」を参照してください。
vmx.connect.host=localhost |
JP1/Baseのログファイルトラップで,仮想サーバマネージャの障害を監視するための設定をします。
設定手順を次に示します。設定はすべて仮想サーバ運用管理ホストで実施します。なお,各手順の詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
FILETYPE=HTRACE |
JP1/AJS3のジョブスケジュールで,仮想サーバマネージャのコマンドを実行するための設定をします。
設定手順を次に示します。設定はすべて仮想サーバ運用管理ホストで実施します。なお,各手順の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1」を参照してください。
バックアップ用のデータを格納するストレージ(バックアップ用ストレージ)を用意します。用意したストレージをNFS version 3 over TCP(Linuxの場合)またはCIFSで仮想サーバ運用管理ホストからネットワーク共有できるようにします。
仮想サーバ運用管理ホストで,mngsvrctlコマンドに,引数「start」を指定して仮想サーバマネージャを起動します。起動方法を次に示します。なお,Windowsの場合はサービスからも起動できます。
<Cosminexusのインストールディレクトリ>¥manager¥bin¥mngsvrctl start |
# /opt/Cosminexus/manager/bin/mngsvrctl start |
管理対象マシン情報ファイル(machine_info.xml)で,仮想サーバマネージャで運用・管理する管理対象マシンの情報(マシン名やIPアドレス)を作成します。管理対象マシン情報ファイルはテンプレートファイルが提供されていますので,必要な個所を設定してください。管理対象マシン情報ファイルで必要な設定を次に示します。管理対象マシン情報ファイルの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス 定義編(サーバ定義)」を参照してください。
システム構成パターンごとに,管理対象マシン情報ファイル(machine_info.xml)の設定例を示します。なお,設定値については,次の個所を参照してください。
6台分の管理対象マシンを設定します。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> |
4台分の管理対象マシンを設定します。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> |
仮想サーバマネージャで管理対象マシンを運用・管理できるようにするために,管理対象マシン情報を仮想サーバマネージャへ登録する必要があります。vmx_set_machine_infoコマンドを使用して,管理対象マシン情報を設定した管理対象マシン情報ファイルを仮想サーバマネージャへ登録します。vmx_set_machine_infoコマンドの-machine_infoオプションには,管理対象マシン情報ファイルのパスを指定します。vmx_set_machine_infoコマンドの詳細については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ リファレンス コマンド編」を参照してください。
ここでは,管理対象マシン情報ファイルのパスを,Windowsの場合には「C:¥work¥machine_info.xml」,Linuxの場合には「/work/machine_info.xml」とします。vmx_set_machine_infoコマンドの実行例を,仮想サーバ運用管理ホストのOSごとに示します。
<Cosminexusのインストールディレクトリ>¥manager¥vmx¥bin¥vmx_set_machine_info -machine_info C:¥work¥machine_info.xml |
# /opt/Cosminexus/manager/vmx/bin/vmx_set_machine_info -machine_info /work/machine_info.xml |