2.2.9 管理LANと業務LAN

管理用のサーバを配置したLANを管理LANといい,業務用のサーバを配置したLANを業務LANといいます。管理LANと業務LANを分けるかどうかは,システム構成パターンによって異なります。システム構成パターンについては,「3. システム構成パターンの選択」を参照してください。ここでは,仮想化システムで使用するネットワークの仕組みについて説明します。

仮想化システムのネットワーク構成は,仮想スイッチで実現されます。仮想スイッチは,VMware ESXのハイパーバイザのネットワーク構成で使用する仮想的なスイッチのことで,物理的なネットワークアダプタ(物理NIC)と,仮想的なネットワークアダプタ(仮想NIC)とを接続します。

仮想サーバは,仮想スイッチを経由してネットワーク通信をします。仮想マシンがLANに接続する場合,仮想NIC,仮想スイッチ,物理NICという経路を使用します。また,ハイパーバイザもネットワーク接続のために仮想スイッチを使用します。

仮想スイッチにはポートグループが作成できます。ポートグループは,共通のネットワーク環境が設定された仮想スイッチの接続口の集合のことです。ポートグループには,それぞれを一意に識別するためのネットワークラベルを設定します。仮想サーバの仮想NICにもネットワークラベルが設定され,そのネットワークラベルと同じ仮想スイッチのポートグループに接続されます。

仮想化システムで使用するネットワーク構成例を次の図に示します。この例では,管理LANと業務LANを分けています。

図2-6 仮想化システムで使用するネットワーク構成例

[図データ]

この図の場合,仮想スイッチを物理NICごとに用意して,管理LANと業務LANが使用するポートグループもそれぞれ用意して,ネットワークを分離しています。また,仮想サーバには,それぞれの仮想スイッチを使用するための仮想NICを二つ用意します。ハイパーバイザで使用するポートグループは,管理LANに接続するように設定します。管理LANと業務LANを分けない場合(単一のLANの場合)は,仮想NIC,仮想スイッチ,物理NICがそれぞれ一つの構成になります。