5.2 ハイパーバイザと関連する環境の構築

仮想化システムを運用・管理する仮想サーバマネージャは,管理対象マシンおよび仮想サーバイメージ管理ホストを対象とします。これらには,ハイパーバイザを構築する必要があります。また,これら以外の運用用物理マシンをハイパーバイザ上で動作させるためにも,ハイパーバイザの環境が必要になります。ここでは,ハイパーバイザと関連する環境を構築するための手順について説明します。

システム構成パターンと必要な作業項目を次の表に示します。

表5-1 システム構成パターンと必要な作業項目(ハイパーバイザと関連する環境の構築)

作業項目システム構成パターンによる作業の要否
パターン1パターン2パターン3パターン4
管理LANのIPアドレスの決定
ネットワークラベルの決定×
VMware vSphere Clientのインストール
運用用データストア用のストレージの準備××
運用用物理マシンへのハイパーバイザのインストール××
ハイパーバイザ管理ホストの仮想マシンの作成××
VMware vCenter Serverのインストールと初期設定
管理対象マシンへのハイパーバイザのインストール
仮想サーバイメージ管理ホストへのハイパーバイザのインストール××
VMware vCenter Serverへの管理対象の設定
管理対象マシンのハイパーバイザの初期設定×
仮想サーバイメージ管理ホストのハイパーバイザの初期設定×××
(凡例)
○:必要な作業です。
×:不要な作業です。

ハイパーバイザと関連する環境を構築する手順を次に示します。

注意
パターン4の場合,「管理LANのIPアドレス」を「IPアドレス」と読み替えてください。
<この節の構成>
(1) 管理LANのIPアドレスの決定
(2) ネットワークラベルの決定
(3) VMware vSphere Clientのインストール
(4) 運用用データストア用のストレージの準備
(5) 運用用物理マシンへのハイパーバイザのインストール
(6) ハイパーバイザ管理ホストの仮想マシンの作成
(7) VMware vCenter Serverのインストールと初期設定
(8) 管理対象マシンへのハイパーバイザのインストール
(9) 仮想サーバイメージ管理ホストへのハイパーバイザのインストール
(10) VMware vCenter Serverへの管理対象の設定
(11) 管理対象マシンのハイパーバイザの初期設定
(12) 仮想サーバイメージ管理ホストのハイパーバイザの初期設定

(1) 管理LANのIPアドレスの決定

物理マシンごとに割り当てる管理LANのIPアドレスを決定します。

各マシンに割り当てる管理LANのIPアドレスの例については,「5.1 仮想化システムで使用する環境の準備」を参照してください。

(2) ネットワークラベルの決定

管理LANと業務LANのネットワークラベルを決定します。

管理LANと業務LANのネットワークラベルの例については,「5.1 仮想化システムで使用する環境の準備」を参照してください。

(3) VMware vSphere Clientのインストール

操作端末に,OSおよびVMware vSphere Clientをインストールします。OSには管理LANのIPアドレスを割り当てます。

インストールする製品については,「2.3.2(7) 操作端末の前提条件」を参照してください。OSおよびVMware vSphere Clientのインストール方法については,各製品のドキュメントを参照してください。

(4) 運用用データストア用のストレージの準備

ストレージ装置上から運用用データストアに使用するストレージ(LUN)を割り当てます。

詳細については,ストレージ装置のドキュメントを参照してください。

(5) 運用用物理マシンへのハイパーバイザのインストール

現用系と予備系の運用用物理マシンそれぞれに対して,次の作業を実施します。すべての作業が終了したら,予備系の運用用物理マシンはシャットダウンします。

  1. ハイパーバイザをインストールします。
  2. ハイパーバイザに管理LANのIPアドレスを指定します。
  3. OSの時刻を正確な時刻に調整するために,NTPクライアントを導入し,ハイパーバイザにNTPサーバを指定します。システム全体で同じNTPサーバを指定してください。
  4. 操作端末のVMware vSphere Clientからハイパーバイザに接続して,次の作業を実施します。
    • 運用用データストア用のストレージへの接続がiSCSIまたはNFS version 3 over TCP(Linuxの場合)の場合には,ハイパーバイザにストレージ接続用の管理LANのIPアドレスを設定します。
    • 現用系では割り当てたストレージに運用用データストアを作成します。予備系では作成した運用用データストアを認識させます。
    • 管理LANの物理NICを割り当てられている既存の仮想スイッチに,管理LANのネットワークラベルを設定したポートグループを作成します。
    • 物理NICを割り当てない仮想スイッチを作成し,業務LANのネットワークラベルを設定したポートグループを作成します。
    • 業務用データストア用のストレージへの接続がiSCSIまたはNFS version 3 over TCP(Linuxの場合)の場合には,ハイパーバイザにストレージ接続用の管理LANのIPアドレスを設定します。

(6) ハイパーバイザ管理ホストの仮想マシンの作成

操作端末のVMware vSphere Clientから,運用用物理マシン(現用系)のハイパーバイザに接続して,ハイパーバイザ管理ホストで使用する仮想マシンを作成します。データストアは運用用データストアを使用します。この仮想マシンは仮想NICを一つ構成し,管理LANのネットワークラベルに関連づけます。

(7) VMware vCenter Serverのインストールと初期設定

ハイパーバイザ管理ホストに,OSおよびVMware vCenter Serverをインストールして,初期設定をします。OSには管理LANのIPアドレスを割り当てます。また,OSの時刻を正確な時刻に調整するために,NTPクライアントを導入し,NTPサーバの設定をします。システム全体で同じNTPサーバを指定してください。時刻の調整はslewモードで実行する設定にします。

パターン3の場合は,ここで説明している作業を現用系と予備系のマシン両方に対して実施します。作業が終了したら,予備系のマシンはシャットダウンします。

インストールできるOSおよびVMware vCenter Serverについては,「2.3.2(2) ハイパーバイザ管理ホストの前提条件」を参照してください。なお,VMware vCenter Serverのインストール時,接続情報httpsポートに「443(デフォルト)」を設定してください。OSおよびVMware vCenter Serverのインストール方法,ならびに初期設定については,各製品のドキュメントを参照してください。

(8) 管理対象マシンへのハイパーバイザのインストール

管理対象マシンにハイパーバイザをインストールします。ハイパーバイザのインストール時に管理LANのIPアドレスを指定します。また,OSの時刻を正確な時刻に調整するために,NTPクライアントを導入し,NTPサーバの設定をします。システム全体で同じNTPサーバを指定してください。ここで説明する作業は,管理対象マシンの台数分実施します。

インストールする製品については,「2.3.2(4) 管理対象マシンの前提条件」を参照してください。インストール方法については,ハイパーバイザのドキュメントを参照してください。

(9) 仮想サーバイメージ管理ホストへのハイパーバイザのインストール

仮想サーバイメージ管理ホストにハイパーバイザをインストールします。ハイパーバイザのインストール時に管理LANのIPアドレスを指定します。また,OSの時刻を正確な時刻に調整するために,NTPクライアントを導入し,NTPサーバの設定をします。システム全体で同じNTPサーバを指定してください。

インストールする製品については,「2.3.2(3) 仮想サーバイメージ管理ホストの前提条件」を参照してください。インストール方法については,ハイパーバイザのドキュメントを参照してください。

(10) VMware vCenter Serverへの管理対象の設定

操作端末のVMware vSphere Clientから,ハイパーバイザ管理ホストのVMware vCenter Serverに接続して,すべてのハイパーバイザをVMware vCenter Serverの管理対象として設定します。

詳細については,ハイパーバイザのドキュメントを参照してください。

(11) 管理対象マシンのハイパーバイザの初期設定

VMware vCenter Serverで,管理対象マシンのハイパーバイザを初期設定します。ここで説明する作業は,管理対象マシンの台数分実施します。

各作業の詳細については,ハイパーバイザのドキュメントを参照してください。

(12) 仮想サーバイメージ管理ホストのハイパーバイザの初期設定

VMware vCenter Serverで,仮想サーバイメージ管理ホストのハイパーバイザを初期設定します。

各作業の詳細については,ハイパーバイザのドキュメントを参照してください。