業務のサイジングによって,仮想サーバとリソースの構成が決定したら,仮想サーバで使用するネットワークの設定と,機器の設定をします。ここでは,ネットワークおよび機器を設定する手順について説明します。
システム構成パターンと必要な作業項目を次の表に示します。
表6-5 システム構成パターンと必要な作業項目(業務を実行する環境で使用するネットワークおよび機器の設定)
作業項目 | システム構成パターンによる作業の要否 | |||
---|---|---|---|---|
パターン1 | パターン2 | パターン3 | パターン4 | |
業務用データストア用のストレージの準備 | ○ | ○ | ○ | × |
業務用データストアの作成 | ○ | ○ | ○ | × |
ローカルディスク上のデータストアの名称の設定 | × | × | × | ○ |
業務ごとの情報の決定 | ○ | ○ | ○ | ○ |
DNSサーバへの仮想サーバの登録 | ○ | ○ | ○ | × |
Microsoft Sysprepツールのインストール | ○ | ○ | ○ | ○ |
データベースの構成 | ○ | ○ | ○ | ○ |
負荷分散機の構成 | × | × | ○ | × |
ネットワークおよび機器の設定手順を次に示します。
ストレージ装置から業務用データストアに使用するストレージ(LUN)を割り当てます。
詳細については,ストレージ装置のドキュメントを参照してください。
VMware vSphere ClientからVMware vCenter Serverに接続して,「(1) 業務用データストア用のストレージの準備」で作成したストレージ(LUN)に業務用データストアを作成します。この作業は,管理対象マシンおよび仮想サーバイメージ管理ホストのハイパーバイザのうち,どれか1台に対して実施します。
業務用データストアの名称を「datastore1」とします。ほかのハイパーバイザでは作成したデータストアを認識させます。詳細については,VMwareのドキュメントを参照してください。
VMware vSphere ClientからVMware vCenter Serverに接続して,管理対象マシンおよび仮想サーバイメージ管理ホストのハイパーバイザが保持するローカルディスク上のデータストアの名称を設定します。ハイパーバイザのローカルディスクを使用する場合に必要な設定です。ホストごとのデータストアの名称の設定例を次の表に示します。
表6-6 ホストごとのデータストアの名称の設定例
ホストの種類 | 設定するデータストア名称 |
---|---|
仮想サーバイメージ管理ホスト | datastore0 |
管理対象マシンhv1 | datastore1 |
管理対象マシンhv2 | datastore2 |
管理対象マシンhv3 | datastore3 |
管理対象マシンhv4 | datastore4 |
業務ごとに次の情報を決定します。
システム構成パターンごとに,業務で決定する情報の例を示します。
パターン1の業務ごとに決定する情報の例を次の表に示します。
表6-7 パターン1(テスト環境のオンデマンド提供)の業務ごとに決定する情報の例
業務の名称 | 管理ユニット名 | 仮想サーバのゲストOS | 仮想サーバに付与される業務LANのIPアドレスの範囲 | 仮想サーバに付与される管理LANのIPアドレスの範囲 | 作業用のIPアドレス |
---|---|---|---|---|---|
業務(テスト環境)A | unit_a | Windows Server 2003 R2 Enterprise Edition | 192.168.1.101~192.168.1.120 | 192.168.2.101~192.168.2.120 | 192.168.2.31 |
業務(テスト環境)B | unit_b | Red Hat Enterprise Linux 5(x86) | 192.168.1.121~192.168.1.130 | 192.168.2.121~192.168.2.130 | 192.168.2.32 |
パターン2の業務ごとに決定する情報の例を次の表に示します。
表6-8 パターン2(実行環境の持続的運用)の業務ごとに決定する情報の例
業務の名称 | 管理ユニット名 | 仮想サーバのゲストOS | 仮想サーバに付与される業務LANのIPアドレスの範囲 | 仮想サーバに付与される管理LANのIPアドレスの範囲 | 作業用のIPアドレス |
---|---|---|---|---|---|
業務A | unit_a | Windows Server 2003 R2 Enterprise Edition | 192.168.1.101~192.168.1.120 | 192.168.2.101~192.168.2.120 | 192.168.2.31 |
業務B | unit_b | Red Hat Enterprise Linux 5(x86) | 192.168.1.121~192.168.1.130 | 192.168.2.121~192.168.2.130 | 192.168.2.32 |
パターン3の業務ごとに決定する情報の例を次の表に示します。
表6-9 パターン3(実行環境のスケールアウト)の業務ごとに決定する情報の例
業務の名称 | 管理ユニット名 | 仮想サーバのゲストOS | 仮想サーバに付与される業務LANのIPアドレスの範囲 | 仮想サーバに付与される管理LANのIPアドレスの範囲 | 作業用のIPアドレス |
---|---|---|---|---|---|
業務A | unit_a | Windows Server 2003 R2 Enterprise Edition | 192.168.1.101~192.168.1.120 | 192.168.2.101~192.168.2.120 | 192.168.2.31 |
業務B | unit_b | Red Hat Enterprise Linux 5(x86) | 192.168.1.121~192.168.1.130 | 192.168.2.121~192.168.2.130 | 192.168.2.32 |
業務C | unit_c | Windows Server 2003 R2 Enterprise Edition | 192.168.1.131~192.168.1.140 | 192.168.2.131~192.168.2.140 | 192.168.2.33 |
業務D | unit_d | Windows Server 2003 R2 Enterprise Edition | 192.168.1.141~192.168.1.150 | 192.168.2.141~192.168.2.150 | 192.168.2.34 |
また,パターン3では,負荷分散機に関する情報も業務ごとに決定します。業務ごとに決定する負荷分散機に関する情報の例を次の表に示します。
表6-10 パターン3(実行環境のスケールアウト)の業務ごとに決定する負荷分散機に関する情報の例
業務の名称 | 負荷分散機の名称 | cookieスイッチング機能※1の使用可否(cookieの名称) | 負荷分散機の仮想サーバ※2の名称 | 負荷分散機に付与する業務LANのIPアドレス | 負荷分散機の仮想サーバ※2のhttpポート番号 |
---|---|---|---|---|---|
業務A | MyBIGIPv9 | 使用する (CMX_SERVER_ID) | www.example1.com | 192.168.1.51 | 80 |
業務B | MyBIGIPv9 | 使用する (CMX_SERVER_ID) | www.example2.com | 192.168.1.52 | 80 |
業務C | MyBIGIPv9 | 使用する (CMX_SERVER_ID) | www.example3.com | 192.168.1.53 | 80 |
業務D | MyBIGIPv9 | 使用する (CMX_SERVER_ID) | www.example4.com | 192.168.1.54 | 80 |
パターン4の業務ごとに決定する情報の例を次の表に示します。
表6-11 パターン4(小規模部門サーバの集約)の業務ごとに決定する情報の例
業務の名称 | 管理ユニット名 | 仮想サーバのゲストOS | 仮想サーバに付与されるLANのIPアドレスの範囲 | 作業用のIPアドレス |
---|---|---|---|---|
業務A | unit_a | Windows Server 2003 R2 Enterprise Edition | 192.168.1.101~192.168.1.120 | 192.168.1.31 |
業務B | unit_b | Red Hat Enterprise Linux 5(x86) | 192.168.1.121~192.168.1.130 | 192.168.1.32 |
業務C | unit_c | Windows Server 2003 R2 Enterprise Edition | 192.168.1.131~192.168.1.140 | 192.168.1.33 |
業務D | unit_d | Windows Server 2003 R2 Enterprise Edition | 192.168.1.141~192.168.1.150 | 192.168.1.34 |
業務E | unit_e | Windows Server 2003 R2 Enterprise Edition | 192.168.1.151~192.168.1.160 | 192.168.1.35 |
業務F | unit_f | Windows Server 2003 R2 Enterprise Edition | 192.168.1.161~192.168.1.170 | 192.168.1.36 |
DNSサーバに仮想サーバのホスト名を登録します。仮想サーバのホスト名は,「(4) 業務ごとの情報の決定」で決定した管理LANのIPアドレスで指定します。
どれかの業務で,仮想サーバのゲストOSにWindows Server 2003,Windows Server 2003 R2を使用する場合は,Microsoft Sysprepツールを入手して,VMware vCenter Serverに対して,Microsoft Sysprepツールをインストールします。
インストール方法については,VMwareのドキュメントを参照してください。
データベースを構成し,接続用のアカウントを作成します。また,接続情報を入手します。ここでは,Oracleを構成します。
各データベース製品のインストール方法については,データベースのマニュアルを参照してください。また,各データベースで必要な設定については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ システム構築・運用ガイド」のデータベースを使用するための設定,またはデータベース(XDM/RD E2・SQL Server)の設定に関する説明を参照してください。
負荷分散機を構成し,接続するアカウントを作成します。ここでは,BIG-IP v9を構成します。
作成するアカウントの例を次に示します。