6.1.1 業務のサイジングによる仮想サーバおよびリソースの構成の決定

業務を実行する環境を整えるために,業務ごとに,業務処理内容の分布や,目標レスポンス,リクエスト数などの基礎情報を分析して,性能要件と処理性能から必要なリソースを算出します。また,信頼性を考慮して業務の実行に必要な仮想サーバの配置や台数を決定します。さらに,業務実行時に使用する共有ディスクやデータベースなどのリソースを見積もります。ここで説明する作業は,すべてのシステム構成パターンで実施します。

業務のサイジングによる仮想サーバおよびリソースの構成の決定手順を次に示します。

  1. 業務の処理内容の分析から性能に関する基礎情報を収集し,必要なリソースを算出します。
  2. 手順1.の分析結果に信頼性要件を適用して,仮想サーバと物理サーバの台数関係と配置を決定します。
  3. 5. 前提となる環境の準備」で構築した仮想化システムに,手順2.で設計した内容を当てはめて,実際の配置を決定します。また,仮想サーバ1台当たりのリソース量を決定します。

ここでは,システム構築およびシステム運用で実行する業務の構成例と仮想サーバの配置例を,システム構成パターンごとに説明します。

<この項の構成>
(1) パターン1の場合
(2) パターン2の場合
(3) パターン3の場合
(4) パターン4の場合

(1) パターン1の場合

パターン1で実行する業務と仮想サーバの配置の例を次の表に示します。

表6-1 パターン1(テスト環境のオンデマンド提供)で実行する業務と仮想サーバの配置の例

業務の名称業務の運用使用する管理対象マシン仮想サーバの配置
業務(テスト環境)Aアプリケーション開発者のテスト環境の申請に従って,仮想サーバを提供
  • hv1
  • hv2
  • hv3
  • hv4
  • hv5
  • hv6
アプリケーション開発者の申請を受けてから,必要な台数を配置
業務(テスト環境)B

(2) パターン2の場合

パターン2で実行する業務と仮想サーバの配置の例を次の表に示します。

表6-2 パターン2(実行環境の持続的運用)で実行する業務と仮想サーバの配置の例

業務の名称業務の運用使用する管理対象マシン仮想サーバの配置
業務A
  • 24時間稼働
  • 毎日8:00~18:00は,すべての仮想サーバで処理
  • 8:00~18:00以外の時間帯は半数の仮想サーバで処理
  • hv1
  • hv2
  • hv3
  • hv4
  • hv5
  • hv6
管理対象マシンごとに2台配置
業務B毎日22:00~2:00に稼働
  • hv1
  • hv2
  • hv3
管理対象マシンごとに1台配置

(3) パターン3の場合

パターン3で実行する業務と仮想サーバの配置の例を次の表に示します。

表6-3 パターン3(実行環境のスケールアウト)で実行する業務と仮想サーバの配置の例

業務の名称業務の運用使用する管理対象マシン仮想サーバの配置
業務A
  • 24時間稼働
  • 日曜日の4:00に再起動
  • hv1
  • hv2
  • hv3
  • hv4
  • hv5
  • hv6
管理対象マシンごとに1台配置(ただし,2台は予備)
業務B毎日6:00~20:00に稼働
  • hv1
  • hv2
管理対象マシンごとに1台配置(予備なし)
業務C毎日22:00~2:00に稼働
  • hv3
  • hv4
  • hv5
  • hv6
業務D毎日22:00~2:00に稼働
  • hv1
  • hv2

(4) パターン4の場合

パターン4で実行する業務と仮想サーバの配置の例を次の表に示します。

表6-4 パターン4(小規模部門サーバの集約)で実行する業務と仮想サーバの配置の例

業務の名称業務の運用使用する管理対象マシン仮想サーバの配置
業務A
  • 月曜日から土曜日までは,24時間稼働
  • 日曜日は,再起動と必要に応じてメンテナンスを実施
  • hv1
  • hv4
管理対象マシンごとに1台配置(ただし,管理対象マシンhv4の1台は予備)
業務B
業務C
業務D
  • hv2
  • hv4
業務E
業務F
  • hv3
  • hv4