6.1.2 業務を実行する環境で使用するネットワークおよび機器の設定

業務のサイジングによって,仮想サーバとリソースの構成が決定したら,仮想サーバで使用するネットワークの設定と,機器の設定をします。ここでは,ネットワークおよび機器を設定する手順について説明します。

システム構成パターンと必要な作業項目を次の表に示します。

表6-5 システム構成パターンと必要な作業項目(業務を実行する環境で使用するネットワークおよび機器の設定)

作業項目システム構成パターンによる作業の要否
パターン1パターン2パターン3パターン4
業務用データストア用のストレージの準備×
業務用データストアの作成×
ローカルディスク上のデータストアの名称の設定×××
業務ごとの情報の決定
DNSサーバへの仮想サーバの登録×
Microsoft Sysprepツールのインストール
データベースの構成
負荷分散機の構成×××
(凡例)
○:必要な作業です。
×:不要な作業です。

ネットワークおよび機器の設定手順を次に示します。

<この項の構成>
(1) 業務用データストア用のストレージの準備
(2) 業務用データストアの作成
(3) ローカルディスク上のデータストアの名称の設定
(4) 業務ごとの情報の決定
(5) DNSサーバへの仮想サーバの登録
(6) Microsoft Sysprepツールのインストール
(7) データベースの構成
(8) 負荷分散機の構成

(1) 業務用データストア用のストレージの準備

ストレージ装置から業務用データストアに使用するストレージ(LUN)を割り当てます。

詳細については,ストレージ装置のドキュメントを参照してください。

(2) 業務用データストアの作成

VMware vSphere ClientからVMware vCenter Serverに接続して,「(1) 業務用データストア用のストレージの準備」で作成したストレージ(LUN)に業務用データストアを作成します。この作業は,管理対象マシンおよび仮想サーバイメージ管理ホストのハイパーバイザのうち,どれか1台に対して実施します。

業務用データストアの名称を「datastore1」とします。ほかのハイパーバイザでは作成したデータストアを認識させます。詳細については,VMwareのドキュメントを参照してください。

(3) ローカルディスク上のデータストアの名称の設定

VMware vSphere ClientからVMware vCenter Serverに接続して,管理対象マシンおよび仮想サーバイメージ管理ホストのハイパーバイザが保持するローカルディスク上のデータストアの名称を設定します。ハイパーバイザのローカルディスクを使用する場合に必要な設定です。ホストごとのデータストアの名称の設定例を次の表に示します。

表6-6 ホストごとのデータストアの名称の設定例

ホストの種類設定するデータストア名称
仮想サーバイメージ管理ホストdatastore0
管理対象マシンhv1datastore1
管理対象マシンhv2datastore2
管理対象マシンhv3datastore3
管理対象マシンhv4datastore4

(4) 業務ごとの情報の決定

業務ごとに次の情報を決定します。

システム構成パターンごとに,業務で決定する情報の例を示します。

●パターン1の場合

パターン1の業務ごとに決定する情報の例を次の表に示します。

表6-7 パターン1(テスト環境のオンデマンド提供)の業務ごとに決定する情報の例

業務の名称管理ユニット名仮想サーバのゲストOS仮想サーバに付与される業務LANのIPアドレスの範囲仮想サーバに付与される管理LANのIPアドレスの範囲作業用のIPアドレス
業務(テスト環境)Aunit_aWindows Server 2003 R2 Enterprise Edition192.168.1.101~192.168.1.120192.168.2.101~192.168.2.120192.168.2.31
業務(テスト環境)Bunit_bRed Hat Enterprise Linux 5(x86)192.168.1.121~192.168.1.130192.168.2.121~192.168.2.130192.168.2.32
●パターン2の場合

パターン2の業務ごとに決定する情報の例を次の表に示します。

表6-8 パターン2(実行環境の持続的運用)の業務ごとに決定する情報の例

業務の名称管理ユニット名仮想サーバのゲストOS仮想サーバに付与される業務LANのIPアドレスの範囲仮想サーバに付与される管理LANのIPアドレスの範囲作業用のIPアドレス
業務Aunit_aWindows Server 2003 R2 Enterprise Edition192.168.1.101~192.168.1.120192.168.2.101~192.168.2.120192.168.2.31
業務Bunit_bRed Hat Enterprise Linux 5(x86)192.168.1.121~192.168.1.130192.168.2.121~192.168.2.130192.168.2.32
●パターン3の場合

パターン3の業務ごとに決定する情報の例を次の表に示します。

表6-9 パターン3(実行環境のスケールアウト)の業務ごとに決定する情報の例

業務の名称管理ユニット名仮想サーバのゲストOS仮想サーバに付与される業務LANのIPアドレスの範囲仮想サーバに付与される管理LANのIPアドレスの範囲作業用のIPアドレス
業務Aunit_aWindows Server 2003 R2 Enterprise Edition192.168.1.101~192.168.1.120192.168.2.101~192.168.2.120192.168.2.31
業務Bunit_bRed Hat Enterprise Linux 5(x86)192.168.1.121~192.168.1.130192.168.2.121~192.168.2.130192.168.2.32
業務Cunit_cWindows Server 2003 R2 Enterprise Edition192.168.1.131~192.168.1.140192.168.2.131~192.168.2.140192.168.2.33
業務Dunit_dWindows Server 2003 R2 Enterprise Edition192.168.1.141~192.168.1.150192.168.2.141~192.168.2.150192.168.2.34

また,パターン3では,負荷分散機に関する情報も業務ごとに決定します。業務ごとに決定する負荷分散機に関する情報の例を次の表に示します。

表6-10 パターン3(実行環境のスケールアウト)の業務ごとに決定する負荷分散機に関する情報の例

業務の名称負荷分散機の名称cookieスイッチング機能※1の使用可否(cookieの名称)負荷分散機の仮想サーバ※2の名称負荷分散機に付与する業務LANのIPアドレス負荷分散機の仮想サーバ※2のhttpポート番号
業務AMyBIGIPv9使用する
(CMX_SERVER_ID)
www.example1.com192.168.1.5180
業務BMyBIGIPv9使用する
(CMX_SERVER_ID)
www.example2.com192.168.1.5280
業務CMyBIGIPv9使用する
(CMX_SERVER_ID)
www.example3.com192.168.1.5380
業務DMyBIGIPv9使用する
(CMX_SERVER_ID)
www.example4.com192.168.1.5480
注※1
負荷分散機で提供しているサーバスイッチング機能の一つです。cookieスイッチング機能を使用すると,クライアントからのリクエストパケット内のcookie情報に基づいて,同じサーバにセッションをリダイレクトします。
注※2
負荷分散機で複数の実サーバを管理するための仮想的なサーバです。負荷分散機では,クライアントから仮想サーバにアクセスされたトラフィックを,実サーバに自動分配します。

●パターン4の場合

パターン4の業務ごとに決定する情報の例を次の表に示します。

表6-11 パターン4(小規模部門サーバの集約)の業務ごとに決定する情報の例

業務の名称管理ユニット名仮想サーバのゲストOS仮想サーバに付与されるLANのIPアドレスの範囲作業用のIPアドレス
業務Aunit_aWindows Server 2003 R2 Enterprise Edition192.168.1.101~192.168.1.120192.168.1.31
業務Bunit_bRed Hat Enterprise Linux 5(x86)192.168.1.121~192.168.1.130192.168.1.32
業務Cunit_cWindows Server 2003 R2 Enterprise Edition192.168.1.131~192.168.1.140192.168.1.33
業務Dunit_dWindows Server 2003 R2 Enterprise Edition192.168.1.141~192.168.1.150192.168.1.34
業務Eunit_eWindows Server 2003 R2 Enterprise Edition192.168.1.151~192.168.1.160192.168.1.35
業務Funit_fWindows Server 2003 R2 Enterprise Edition192.168.1.161~192.168.1.170192.168.1.36

(5) DNSサーバへの仮想サーバの登録

DNSサーバに仮想サーバのホスト名を登録します。仮想サーバのホスト名は,「(4) 業務ごとの情報の決定」で決定した管理LANのIPアドレスで指定します。

参考
仮想サーバのホスト名は,仮想サーバ名と同じです。仮想サーバ名は,仮想サーバマネージャによって次の形式で自動的に生成されます。
VMX<管理LANのIPアドレス>
管理LANのIPアドレスは,xxx.xxx.xxx.xxxのドット(.)を除いて設定されます。例えば,管理LANのIPアドレスが192.168.2.101の場合,仮想サーバ名と仮想サーバのホスト名は,「VMX192168002101」となります。

(6) Microsoft Sysprepツールのインストール

どれかの業務で,仮想サーバのゲストOSにWindows Server 2003,Windows Server 2003 R2を使用する場合は,Microsoft Sysprepツールを入手して,VMware vCenter Serverに対して,Microsoft Sysprepツールをインストールします。

インストール方法については,VMwareのドキュメントを参照してください。

(7) データベースの構成

データベースを構成し,接続用のアカウントを作成します。また,接続情報を入手します。ここでは,Oracleを構成します。

各データベース製品のインストール方法については,データベースのマニュアルを参照してください。また,各データベースで必要な設定については,マニュアル「Cosminexus アプリケーションサーバ システム構築・運用ガイド」のデータベースを使用するための設定,またはデータベース(XDM/RD E2・SQL Server)の設定に関する説明を参照してください。

(8) 負荷分散機の構成

負荷分散機を構成し,接続するアカウントを作成します。ここでは,BIG-IP v9を構成します。

作成するアカウントの例を次に示します。