NAT変換の対象となるのは,IPヘッダ部とデータ部があります。JP1/Cm2/IGSでは,カプセル化されJP1/Cm2/IGSのデータとなったアプリケーションデータのIPヘッダ部分とデータ部分に含まれるアドレスの変換ができます。NAT変換の対象部分を,次の図に示します。
図2-9 JP1/Cm2/IGSのNAT変換対象部分
(1) ヘッダ部
カプセル化およびカプセル化解除時の変換について説明します。
(a) カプセル化時のNAT変換
送信元IPアドレスを,プライベートアドレスからグローバルアドレスに変換します。
スタティック変換方式では,環境設定で定義されたプライベートアドレスは,対応するグローバルアドレスに変換されます。
(b) カプセル化解除時のNAT変換
宛先IPアドレスを,グローバルアドレスからプライベートアドレスに変換します。
スタティック変換方式では,環境設定で定義されたグローバルアドレスは,対応するプライベートアドレスに変換されます。
(2) データ部
プロトコルデータ部に含まれるIPアドレスを変換します。
変換できるプロトコルデータを説明します。
表2-3 SNMPパケットに含まれるIPアドレス情報
IPアドレス情報 | 対象/非対象 |
---|---|
SNMPメッセージ自体のパケットとしての送信先,送信元のアドレス | 対象 |
SNMPトラップ中のagent-addrフィールド | 対象 |
VarBind中のMIB値のうち,SYNTAXがIpAddressまたはNetworkAddressの値 | 対象 |
VarBind中のオブジェクトIDにインスタンス識別子として含まれるIPアドレス。テーブル型MIBの定義のINDEX節にSYNTAXがIpAddressまたはNetworkAddressのMIBを使用するように定義されているMIBのインスタンス識別子の部分が該当する。 | 対象※ |
文字列型(OCTET STRINGまたはDisplayString)のMIB値中に現れる数字とドットを使用したx.x.x.x形式のIPアドレスのうち,出現位置が文字列中で固定のもの。 | 対象※ |
文字列型(OCTET STRINGまたはDisplayString)のMIB値中に現れる数字とドットを使用したx.x.x.x形式のIPアドレスのうち,出現位置が文字列中で可変のもの。 | 非対象 |
注※ 事前に変換対象となるMIBオブジェクトの定義が必要です。詳細については「4.3.3 SNMPデータ部のNAT変換をする場合の設定」を参照してください。