11.2.2 SSOクラスタシステム環境の構築(Windowsの場合)

Windowsを使用している場合に,SSOクラスタシステムの実行系および待機系のクラスタ環境を構築する方法について説明します。

なお,ここでは次に示す設定内容を例にして説明します。

<この項の構成>
(1) 実行系のクラスタ環境の構築
(2) 待機系のクラスタ環境の構築

(1) 実行系のクラスタ環境の構築

実行系のクラスタ環境の構築は,次の順序で実施します。

  1. 共有ディスクのマウント
  2. SSOクラスタ環境の設定
  3. JP1認証論理ホストの設定
  4. クラスタ制御スクリプトの作成
  5. NNMiリソースグループへのSSOリソースの追加
  6. NNMiへの接続情報の追加

次に,それぞれの内容について説明します。

(a) 共有ディスクのマウント

実行系が共有ディスクをマウントしている状態であることを確認します。

(b) SSOクラスタ環境の設定

クラスタ環境設定コマンド(ssoclustersetup.vbs)を実行して,実行系のSSOクラスタ環境の設定を実施します。クラスタ環境設定コマンド(ssoclustersetup.vbs)については,「6. コマンド ssoclustersetup.vbs」を参照してください。

クラスタ環境設定コマンドの引数には,次の内容を指定してください。

引数指定する値
第一引数-construction(構築指定)
第二引数-primary(実行系指定)
第三引数共有ディスク上の共有データフォルダ
第四引数論理IPアドレス(XXX.XXX.XXX.XXX 形式)
注※
SSOのデータを格納するフォルダはコマンドで作成してください。また,SSOのデータを格納するフォルダの親フォルダがあることを確認してください。

共有ディスク上にあるフォルダにSSOフォルダ(K:¥shared¥SSO)を作成し,論理IPアドレス(133.108.120.4)を指定して共有フォルダとして設定するコマンドの指定例を次に示します。

cscript.exe $SSO_BIN¥ssoclustersetup.vbs -construction -primary K:¥shared¥SSO 133.108.120.4

エラーが発生した場合は,画面に出力されたメッセージを参照して問題を解決してください。問題が解決したら,コマンドを再実行してください。

(c) JP1認証論理ホストの設定

認証方式にJP1認証方式を採用し,論理ホストでJP1認証を実施する場合,クラスタ環境設定コマンド(ssoclustersetup.vbs)を実行してSSOのJP1認証論理ホストの設定を実施します。クラスタ環境設定コマンド(ssoclustersetup.vbs)については,「6. コマンド ssoclustersetup.vbs」を参照してください。

クラスタ環境設定コマンドの引数には,次の内容を指定してください。

引数指定する値
第一引数-logicalset(JP1論理ホスト指定)
第二引数JP1論理ホスト名

JP1論理ホスト名(rhost)を設定するコマンドの指定例を次に示します。

cscript.exe $SSO_BIN¥ssoclustersetup.vbs -logicalset rhost

エラーが発生した場合は,画面に出力されたメッセージを参照して問題を解決してください。問題が解決したら,コマンドを再実行してください。

(d) クラスタ制御スクリプトの作成

SSOが提供するクラスタ制御スクリプトのサンプルデータを基に,クラスタ制御スクリプトを作成します。

クラスタ制御スクリプトの作成手順を次に示します。

  1. クラスタ制御スクリプトのサンプルデータをコピーする。
    任意のフォルダにクラスタ制御スクリプトのサンプルデータをコピーします。作成したクラスタ制御スクリプトは,ローカルディスク(%TEMP%)に保存してください。
    サンプルデータは,次の場所に格納されています。

    $SSO_SAMPLE¥ha¥sso_cluster.vbs

  2. クラスタ制御スクリプトをカスタマイズする。
    クラスタ制御スクリプトのキーをカスタマイズします。カスタマイズするキー名および設定例を,次の表に示します。

    表11-2 カスタマイズするキー名および設定例

    項番キー名デフォルト値説明
    1c_installdirC:¥Program Files (x86)¥Hitachi¥JP1Cm2SSOSSOのインストールフォルダを設定します。
    インストール先をデフォルトから変更した場合は,このキーの値を変更してください。
    2c_mustrunSSOの監視プロセス名を設定します。
    デフォルトは空指定で,SSOのプロセスを監視対象としないで,NNMiのフェールオーバーを契機に切り替えが実施されます。
    SSOのプロセスを契機としてフェールオーバーする場合,監視プロセス名を半角カンマで区切り,次のように指定します。
    (例)

    c_mustrun="ssospmd.exe,ssoapmon.exe"

    3c_term_retry_count5(回)オフラインに切り替わる際,SSOの停止処理をリトライする回数を設定します。
    4c_term_retry_interval30(秒)オフラインに切り替わる際,SSOの停止処理のリトライ間隔を設定します。
    (凡例)
    -:なし

    SSOの状態によっては,停止処理が失敗する場合があります。このため,SSOを正常終了させるために,SSOの停止処理をリトライさせてください。
    このキーの値は,表11-3に示す「待ちのタイムアウト(MSCSの場合)」および「保留タイムアウト(WSFCの場合)」との間に,次の関係式が成り立つように指定してください。

    c_term_retry_count × c_term_retry_interval + 120 < 待ちのタイムアウト
    c_term_retry_count × c_term_retry_interval + 120 < 保留タイムアウト

SSOの全プロセスを監視する場合の設定例(太字部分)を次に示します。

Function IsAlive( )

   IsAlive = True

   Dim g_fs, g_logstream, g_sh, g_wmi, g_logfilename, g_instdir, rc
   rc = MainInit( g_fs, g_logstream, g_sh, g_wmi, g_logfilename, g_instdir )

   ' Watch Process Name
   Const c_mustrun = "ssospmd.exe,ssoapmon.exe,ssocollectd.exe,ssocolmng.exe,ssorptd.exe,ssoconsoled.exe"

   ' Maintenance file

(e) NNMiリソースグループへのSSOリソースの追加

クラスタアドミニストレータウィンドウ上で,NNMiが作成したリソースグループに対し,SSOリソースを追加します。リソース追加時の設定項目および設定例を,次の表に示します。

表11-3 リソース追加時の設定項目

クラスタ名設定項目設定例
MSCS/WSFCリソースの名前jp1cm2sso
リソースの種類汎用スクリプト
リソースの依存関係NNMiリソースjp1cm2nnmi
論理IPアドレス133.108.120.4
共有ディスクK:
MSCS汎用スクリプトパラメタ%TEMP%¥sso_cluster.vbs
待ちのタイムアウト300(秒)
しきい値0
WSFCスクリプトファイルパス%TEMP%¥sso_cluster.vbs
保留タイムアウト5(分)
指定期間内での再起動の試行回数0(回)

次に,それぞれの設定項目について,MSCS(Windows Server 2003)の場合とWSFC(Windows Server 2008)の場合に分けて説明します。

MSCS(Windows Server 2003)の場合
  • リソースの名前
    SSOリソースの名前を設定します。
  • リソースの種類
    SSOリソースの種類を設定します。リストボックスから「汎用スクリプト」を選択してください。
  • リソースの依存関係
    SSOリソースが依存するリソースを設定します。依存するリソースにNNMiリソース,論理IPアドレス,および共有ディスクを指定してください。
  • 汎用スクリプトパラメタ
    SSOリソースで実行されるスクリプトを設定します。「(d) クラスタ制御スクリプトの作成」で作成したクラスタ制御スクリプトをフルパスで指定してください。
以上の設定で,SSOリソースが作成され,NNMiのリソースグループに追加されます。
 
以降に示す項目は,作成したSSOリソースのプロパティダイアログで設定してください。
  • 待ちのタイムアウト
    フェールオーバーやSSOリソースがオフラインのとき,オフライン処理の最大終了待ち時間を設定します。[詳細設定]タブで,[待ちのタイムアウト]を秒単位で設定してください。なお,この設定値は,表11-2に示す「c_term_retry_count」および「c_term_retry_interval」との間に次の関係式が成り立つように指定してください。
     
    c_term_retry_count × c_term_retry_interval + 120 < 待ちのタイムアウト
     
  • しきい値
    しきい値を設定します。[詳細設定]タブで,[再開する]が選択されていることを確認したあと,[しきい値]を0に設定してください。
WSFC(Windows Server 2008)の場合
  • リソースの種類
    SSOリソースの種類を設定します。作成するリソース種別に「汎用スクリプト」を選択してリソースを作成してください。
  • スクリプトファイルパス
    SSOリソースで実行されるスクリプトを設定します。「(d) クラスタ制御スクリプトの作成」で作成したクラスタ制御スクリプトをフルパスで指定してください。
以上の設定で,SSOリソースが作成され,NNMiのリソースグループに追加されます。
 
以降に示す項目は,作成したSSOリソースのプロパティダイアログで設定してください。
  • リソースの名前
    SSOリソースの名前を設定します。
  • リソースの依存関係
    SSOリソースが依存するリソースを設定します。依存するリソースにNNMiリソース,論理IPアドレス,および共有ディスクを指定してください。
  • 保留タイムアウト
    フェールオーバーやSSOリソースがオフラインのとき,オフライン処理の最大終了待ち時間を設定します。[ポリシー]タブで,[保留タイムアウト]を分単位で設定してください。なお,この設定値は,表11-2に示す「c_term_retry_count」および「c_term_retry_interval」との間に,次の関係式が成り立つように指定してください。
     
    c_term_retry_count × c_term_retry_interval + 120 < 保留タイムアウト × 60
     
  • 指定期間内での再起動の試行回数
    指定期間内での再起動の試行回数を設定します。[ポリシー]タブで,[リソースが失敗状態になった場合は,現在のノードで再起動を試みる]が選択されていることを確認したあと,[指定期間内での再起動の試行回数]を0に設定してください。
    [再起動の試みが全て失敗した場合は,指定した時間(hh:mm)後にもう一度再起動を開始する(S)]にチェックがある場合は,チェックを外してください。

(f) NNMiへの接続情報の追加

ssonnmsetup コマンドを実行して,NNMiへの接続情報を追加します。ssonnmsetup コマンドについては,「6. コマンド ssonnmsetup」を参照してください。

(2) 待機系のクラスタ環境の構築

待機系のクラスタ環境の構築は,次の順序で実施します。

  1. 共有ディスクの切り替え(Windows Server 2003の場合だけ)
  2. SSOクラスタ環境の設定
  3. クラスタ制御スクリプトの作成
  4. 共有ディスクの切り替え(Windows Server 2003の場合だけ)

次に,それぞれの内容について説明します。

(a) 共有ディスクの切り替え(Windows Server 2003の場合だけ)

MSCS上にクラスタ環境を構築している場合,系切り替えを実施して待機系から共有ディスクにアクセスできる状態にします。クラスタアドミニストレータウィンドウ上でNNMiリソースグループを選択し,「グループの移動」を実行してください。

(b) SSOクラスタ環境の設定

クラスタ環境設定コマンド(ssoclustersetup.vbs)を実行して,待機系のSSOクラスタ環境の設定を実施します。クラスタ環境設定コマンド(ssoclustersetup.vbs)については,「6. コマンド ssoclustersetup.vbs」を参照してください。

クラスタ環境設定コマンドの引数には,次の内容を指定してください。

引数指定する値
第一引数-construction(構築指定)
第二引数-secondary(待機系指定)
第三引数共有ディスク上の共有データフォルダ

コマンドの指定例を次に示します。

cscript.exe $SSO_BIN¥ssoclustersetup.vbs -construction -secondary K:¥shared¥SSO

エラーが発生した場合は,画面に出力されたメッセージを参照して問題を解決してください。問題が解決したら,コマンドを再実行してください。

(c) クラスタ制御スクリプトの作成

(1)(d) クラスタ制御スクリプトの作成」を参照して,クラスタ制御スクリプトをコピーし,カスタマイズを実施します。スクリプトの内容および保存先のパスは,実行系と同じ内容になるようにしてください。

(d) 共有ディスクの切り替え(Windows Server 2003の場合だけ)

MSCS上に構築している場合,系切り替えを実施し,実行系から共有ディスクにアクセスできる状態にします。クラスタアドミニストレータウィンドウ上でNNMiリソースグループを選択し,「グループの移動」を実行してください。

 

以上の設定が完了すると,NNMiリソースグループが起動できるようになります。クラスタアドミニストレータウィンドウでSSOリソースを選択し,起動してください。