2.5.3 ネイティブエージェントアダプターの設定方法

ネイティブエージェントアダプターを設定するには,naa.cnf定義ファイル(/etc/srconf/agt/naa.cnf)を編集します。編集後,SNMPエージェントを起動すると設定が有効になります。

ファイルの各行のフォーマットを次に示します。

タグ  値

タグにはキーワードを,にはキーワードに対応する設定値を指定します。

naa.cnf定義ファイルに指定する内容を次に示します。

<この項の構成>
(1) ネイティブエージェントのMIBオブジェクトの登録
(2) ネイティブエージェントのコミュニティ名

(1) ネイティブエージェントのMIBオブジェクトの登録

ネイティブエージェントから取得,または設定したいMIBオブジェクトをnaa.cnf定義ファイルに設定します。取得する場合は,タグにreadを指定し,にMIBのオブジェクトIDを指定します。設定する場合は,タグにwriteを指定し,にMIBのオブジェクトIDを指定します。

デフォルトでnaa.cnf定義ファイルに定義されているMIBオブジェクトIDを次の表に示します。

表2-5 naa.cnf定義ファイルにデフォルトで定義されているMIBオブジェクトID

MIBオブジェクトIDread/write適用OS
SolarisAIXLinux,Linux (IPF)
.1.3.6.1.2.1.2read
.1.3.6.1.2.1.3read
.1.3.6.1.2.1.4read
.1.3.6.1.2.1.5read
.1.3.6.1.2.1.6read
.1.3.6.1.2.1.7read
.1.3.6.1.2.1.10read
.1.3.6.1.2.1.12read
.1.3.6.1.2.1.25read
.1.3.6.1.4.1.42read
.1.3.6.1.4.1.2read
.1.3.6.1.4.1.4read
.1.3.6.1.4.1.2021read
(凡例)
○:naa.cnf定義ファイルに定義あり。
-:naa.cnf定義ファイルに定義なし。
注※
Solaris 10でネイティブエージェントから「.1.3.6.1.2.1.25」と「.1.3.6.1.4.1.2021」グループのMIBを取得できます。必要があればnaa.cnf定義ファイルにデフォルトで定義されているMIBオブジェクトに追加してください。

読み取り専用MIBオブジェクトの追加

MIBのサブツリー,または個別のMIBオブジェクトを読み取り専用として設定するには,naa.cnf定義ファイルに,readタグの定義行を追加します。追加する行のフォーマットを次に示します。

read オブジェクトID

オブジェクトIDは,MIBのサブツリー,または個別のMIBオブジェクトのオブジェクト識別子です。オブジェクトIDは,数値形式で指定します。オブジェクトの名称は使用できません。オブジェクトIDに接尾辞を指定してもエラーにはなりません。なお,オブジェクトIDの最初の「.(ドット)」は指定しないでください。

(例)
naa.cnf定義ファイルが次のような定義の場合,ネイティブエージェントアダプターは,MIB-IIのinterfaces,at,ip,icmp,tcp,udp,hostの各グループをネイティブエージェントから取得します。

read 1.3.6.1.2.1.2
read 1.3.6.1.2.1.3
read 1.3.6.1.2.1.4
read 1.3.6.1.2.1.5
read 1.3.6.1.2.1.6
read 1.3.6.1.2.1.7
read 1.3.6.1.2.1.25

読み書き可能MIBオブジェクトの追加

個別のMIBオブジェクトを読み書き可能として設定するには,naa.cnf定義ファイルに,writeタグの定義行を追加します。追加する行のフォーマットを次に示します。

write オブジェクトID

オブジェクトIDは,個別のMIBオブジェクトのオブジェクト識別子です。オブジェクトIDは,数値形式で指定します。オブジェクトの名称は使用できません。また,オブジェクトIDに接尾辞を指定してもエラーにはなりません。なお,オブジェクトIDの最初の「.(ピリオド)」は指定しないでください。

MIBのサブツリーを読み書き可能として登録することもできますが,この方法はお勧めしません。

(例)
naa.cnf定義ファイルが次のような定義の場合,ネイティブエージェントアダプターは,サブツリーenterprises.116の下のMIBオブジェクトをネイティブエージェントに登録します。

write 1.3.6.1.4.1.116

(2) ネイティブエージェントのコミュニティ名

ネイティブエージェントアダプターがネイティブエージェントに対して送信するGETリクエスト,またはSETリクエストをnaa.cnf定義ファイルに設定します。GETリクエストの場合は,タグにreadcommを指定し,にコミュニティ名を指定します。SETリクエストの場合は,タグにwritecommを指定し,にコミュニティ名を指定します。

GETリクエストで使用するコミュニティ名の指定

ネイティブエージェントアダプターがネイティブエージェントに対して送信するGETリクエスト中のコミュニティ名(デフォルトは「public」)を設定するには,naa.cnf定義ファイルにreadcommタグの定義行を追加します。追加する行のフォーマットを次に示します。

readcomm コミュニティ名

GETリクエストで使用するコミュニティ名を指定する場合の注意事項を次に示します。

(例)
naa.cnf定義ファイルで次のように定義している場合,ネイティブエージェントアダプターはネイティブエージェントに対してGETリクエスト中のコミュニティ名に「snmpread」を使用します。

readcomm snmpread

SETリクエストで使用するコミュニティ名の指定

ネイティブエージェントアダプターがネイティブエージェントに対して送信するSETリクエスト中のコミュニティ名(デフォルトは「public」)を設定するには,naa.cnf定義ファイルにwritecommタグの定義行を追加します。追加する行のフォーマットを次に示します。

writecomm コミュニティ名

SETリクエストで使用するコミュニティ名を指定する場合の注意事項を次に示します。

(例)
naa.cnf定義ファイルが次に示す定義の場合,ネイティブエージェントアダプターはネイティブエージェントに対してSETリクエスト中のコミュニティ名に「snmpwrite」を使用します。

writecomm snmpwrite