3.5.2 運用上の注意事項(AIXの場合)
システムのOSがAIXであるSNMPエージェントの,AIX固有の運用上の注意事項について説明します。OS共通の注意事項については,「3.5 運用上の注意事項」を参照してください。
- AIXのMIB pageグループの取得時の注意事項
システム構成によっては,日立企業固有MIBのpageグループのMIBを取得しようとすると,エラーが頻発する場合があります。この場合,まず,SNMPエージェントが提供するpage.exeコマンドの実行時間を計測してください。
page.exeコマンドの実行が10秒以上掛かる場合,pageグループのMIBを正しく取得することはできません。その状態のまま運用を続けると,page情報取得時に実行されるOSコマンドのプロセスが不当に動作し続け,システムに負荷を掛けるおそれがあります。
この問題を回避するためにpage.exeを次のように修正してください。修正をするとpageグループのMIBを取得した場合も,コマンドは実行されなくなり,pageグループのMIB値としては常にページ数0を意味する擬似情報が返されます。
- (修正前)
export PATH=$PATH:/usr/sbin
export LANG=C
lsps -a
- (修正後)
export PATH=$PATH:/usr/sbin
export LANG=C
echo
- ネイティブエージェント機能の注意事項
- /usr/CM2/ESA/opt/SnmpNativeをviなどのエディタで開く。
- 次に示す行の「public」をSNMPエージェントがget/get-next-requestを許可しているコミュニティ名に変更する。
SNMP_SNMPMIBD_OPTIONS="-c public"
SNMP_HOSTMIBD_OPTIONS="-c public"
SNMP_AIXMIBD_OPTIONS="-c public"
- SNMPエージェントを再起動する。
SNMPエージェントを再起動することでhostmibd,aixmibd,snmpmibdも再起動されます。次のコマンドを実行してください。
/usr/CM2/ESA/bin/snmpstart |
- OSのメモリー不足によるプロセス終了の回避についての注意事項
AIXではOSでメモリー不足が生じるとSIGKILLが発行され,プロセスが終了することがあります。この現象を回避するには,SNMPエージェントを起動するユーザーの環境変数にPSALLOC=earlyを設定し,設定後,SNMPエージェントを起動してください。なお,環境変数PSALLOCにearlyを設定する場合には,同時に環境変数NODISCLAIM=trueを設定してください。指定後にSNMPエージェントを再起動してください。
環境変数PSALLOCおよびNODISCLAIMはSnmpMasterファイルに設定してください。
次に例を示します。
- (例)
SNMP_MASTER_OPTIONS="-tcplocal" # Master Agent options
export SNMP_MASTER_OPTIONS
PSALLOC=early
export PSALLOC
NODISCLAIM=true
export NODISCLAIM
- CPU利用率情報の取得についての注意事項
SNMPエージェントが取得するCPU利用率は,デフォルトでは個々のCPUの利用率を加算しCPU数で割り算した結果の小数点以下を切り捨てた値です。
SMT環境では,環境変数定義ファイルSnmpHtcMonagt1でSNMP_HTC_AIX_CPU_SMT環境変数にYを指定すると,マシン全体のCPU利用率を取得できます。環境変数定義ファイルのパスは,「付録A SNMPエージェントのファイルの一覧」を参照してください。
SNMP_HTC_AIX_CPU_SMT環境変数の指定例を次に示します。
- (例)
SNMP_HTC_AIX_CPU_SMT=Y
export SNMP_HTC_AIX_CPU_SMT
- 使用中の物理メモリー容量の取得についての注意事項
AIXでは使用中の物理メモリーをファイルキャッシュとして利用することで,ファイルアクセスを向上させています。そのため,SNMPエージェントが取得する使用中の物理メモリー容量には,デフォルトでファイルキャッシュ値が含まれています。
環境変数定義ファイルSnmpHpunixファイルでSNMP_HTC_AIX_EXCEPT_FILECACHE環境変数にYを指定すると,ファイルキャッシュ値を含まない使用中の物理メモリー容量を取得できます。環境変数定義ファイルのパスは,「付録A SNMPエージェントのファイルの一覧」を参照してください。
SNMP_HTC_AIX_EXCEPT_FILECACHE環境変数の指定例を次に示します。
- (例)
SNMP_HTC_AIX_EXCEPT_FILECACHE=Y
export SNMP_HTC_AIX_EXCEPT_FILECACHE