SNMPエージェントはエージェントシステムで発生した変化をSNMPトラップとしてマネージャーに送信します。SNMPトラップの発行の概要を次の図に示します。
図1-3 SNMPトラップの発行の概要
SNMPエージェントは,起動時やマネージャーからの不当なSNMP要求を受信した場合などに,SNMPトラップメッセージを作成し,マネージャーに送信します。なお,SNMPトラップメッセージはSNMPv1に対応しています。
次に,SNMPトラップについて説明します。
(1) SNMPトラップの標準トラップ番号
SNMPトラップには一般トラップと拡張トラップがあります。それぞれのSNMPトラップはRFC1157で次のように規定されています。
SNMPトラップの種別と標準トラップ番号を次の表に示します。
表1-2 SNMPトラップの種別と標準トラップ番号一覧
SNMPトラップの種別 | 標準トラップ番号 | 意味 |
---|---|---|
一般トラップ※ | 0 | ColdStart |
1 | WarmStart | |
2 | LinkDown | |
3 | LinkUp | |
4 | AuthentificationFailure | |
5 | EgpNeighborLoss | |
拡張トラップ | 6 | EnterpriseSpecific |
注※ SNMPエージェントが発行する一般トラップは,ColdStartトラップおよび,AuthentificationFailureトラップです。その他の一般トラップは発行しません。
ここでは,一般トラップについて説明します。拡張トラップについては,「1.2.3(2) 拡張トラップの定義」を参照してください。
(2) SNMPトラップ発行時のエージェントアドレス
SNMPトラップ発行時のエージェントアドレスは,SNMPエージェントがインストールされたマシンのIPアドレスです。該当するシステムのOSの関数を使用して取得したホスト名を,OSの関数を使用してIPアドレスに変換して取得します。
(3) エンタープライズID
SNMPトラップ中に設定されるエンタープライズIDを次の表に示します。
表1-3 トラップ中に設定するエンタープライズID
SNMPエージェントが稼働しているOS | エンタープライズID | 該当するシステムの構成 |
---|---|---|
Solaris | .1.3.6.1.4.1.116.3.8.1.1 | SNMPエージェントおよびNNMがシステムに共存している。 |
.1.3.6.1.4.1.116.3.8.1.2 | SubManager | |
.1.3.6.1.4.1.116.3.8.1.3※ | SNMPエージェントおよびNNMがシステムに共存していない。 | |
.1.3.6.1.4.1.116.3.8.1.4 | SNMPエージェント,NNMおよびHierarchical Agentがシステムに共存している。 | |
HP-UX (IPF) | .1.3.6.1.4.1.116.3.9.1.1 | SNMPエージェントおよびNNMがシステムに共存している。 |
.1.3.6.1.4.1.116.3.9.1.2 | SubManager | |
.1.3.6.1.4.1.116.3.9.1.3※ | SNMPエージェントおよびNNMがシステムに共存していない。 | |
.1.3.6.1.4.1.116.3.9.1.4 | SNMPエージェント,NNMおよびHierarchical Agentがシステムに共存している。 | |
AIX | .1.3.6.1.4.1.116.3.13.1.2 | SubManager |
.1.3.6.1.4.1.116.3.13.1.3 | SNMPエージェントがインストールされている。 | |
Linux, Linux (IPF) | .1.3.6.1.4.1.116.3.14.1.3※ | SNMPエージェントがインストールされている。 |
注※ SNMPエージェントとNNMiがシステムに共存している場合でも末尾が3のエンタープライズIDが設定されます。
SNMPトラップ中に設定するエンタープライズIDは,SNMPエージェントの標準MIBオブジェクトであるSystemグループのsysObjectIDの値が設定されます。