4.6.5 機器情報を管理するための検討
日々増減する組織内の機器情報を正確に管理するためには、定期的に探索を実行して、管理対象とする機器をすべて登録する必要があります。また、管理している機器情報は最新に保つ必要があります。
機器情報を管理するためには、探索の範囲やスケジュール、探索で発見したコンピュータにエージェントを配信するかどうかなどを検討します。また、コンピュータの機器情報を収集および更新するための運用スケジュールを検討します。
機器の探索の検討
機器の探索について次の内容を検討します。
- 探索範囲
機器の探索範囲を検討します。設定時には探索の対象となるIPアドレスを指定するため、探索対象となる機器のIPアドレスの範囲を検討してください。
探索範囲は複数設定できます。組織内で使用しているIPアドレスの範囲だけを設定することをお勧めします。設定した範囲内のすべてのIPアドレスに接続を試みるので、使用していないIPアドレスを探索範囲に含めると、探索完了までに時間が掛かってしまいます。
なお、組織内のすべての機器を発見したい場合は、探索範囲内にサイトサーバを設置することをお勧めします。サイトサーバ経由でネットワークが探索されるため、管理用サーバから直接参照できない機器も発見できるようになります。
- 探索スケジュール
機器の探索をいつ実施するかを検討します。定期的に機器の探索を実施する場合は、探索の開始時刻、実施する日などを検討してください。例えば、毎月第1月曜日の8:00に探索するなどのように、曜日や時間を指定してスケジュールを設定できます。
なお、電源の入っていない機器は探索で発見できません。このため、JP1/IT Desktop Managementを導入して最初の1週間程度は、繰り返し探索を実行するように設定して、発見漏れのないようにします。一とおりの機器が登録できたら、組織への機器導入の頻度に合わせて、探索スケジュールを設定します。
- 認証情報の設定と割り当て
探索時に機器の種別やOSなどの情報を収集したい場合は、探索時に使用する認証情報を登録する必要があります。探索時には、SNMPおよびWindowsの管理共有の2種類の認証情報を使用します。
- SNMPの認証情報
- SNMPを利用して機器に接続するためのコミュニティ名を登録します。
- ネットワークにコミュニティ名を設定していない場合、コミュニティ名は「public」となります。デフォルトでは「public」が設定された認証情報が登録されているため、コミュニティ名を設定していない場合は、SNMPの認証情報は登録不要です。
- Windowsの管理共有の認証情報
- Windowsの管理共有にアクセスするためのIDとパスワードを登録します。
- 登録した認証情報は、探索範囲ごとに使用する情報を設定できます。各探索範囲でコンピュータの認証情報が異なる場合は、必要な認証情報を登録し、探索範囲ごとに設定する必要があります。
- なお、認証情報を登録しない場合、探索時には機器情報を収集できません。機器の存在確認だけできます。
- 発見した機器への操作
機器の探索を実行して、新しい機器を発見したときのアクションについて検討します。実施できるアクションは次のとおりです。
- 発見した機器を自動的に管理対象にする
セキュリティ管理しない機器も管理対象とするときや、保有している機器の管理表を作成または更新するときに設定します。探索で発見された機器のうち、OSがWindowsと認識されたコンピュータが自動的に管理対象になります。
- 発見した機器に自動的にエージェントを配信する
機器をセキュリティ管理の対象とするときや、セキュリティ管理するコンピュータの管理表を作成または更新するときに設定します。エージェントがインストールされると、そのコンピュータが自動的に管理対象となり、セキュリティ管理の対象となります。
なお、エージェントをコンピュータに配信する場合は、Windowsの管理共有の認証情報の登録および割り当てが必要です。
機器情報の収集・更新間隔の検討
運用時に、機器情報をどのように収集し、更新するかを検討します。機器情報の更新方法は、管理対象のコンピュータにエージェントを導入するかどうかによって異なります。
- エージェントを導入済みのコンピュータの場合
エージェントがコンピュータの情報を収集し、定期的に管理用サーバに通知します。これによって、管理用サーバが保持しているコンピュータの情報を最新情報に自動で更新できます。
また、定期的に自動収集するほかに、コンピュータの情報を任意のタイミングで収集することもできます。
- エージェントレスのコンピュータの場合
エージェントレスのコンピュータからは、自動的に管理用サーバに情報を通知できません。このため、エージェントレスのコンピュータの機器情報は、定期的に収集・更新されるように設定されています。デフォルトでは、1時間間隔で情報が収集されるように設定されています。
エージェントレスのコンピュータの台数が多く、情報収集によってネットワークに負荷が掛かってしまうような場合は、環境に合わせて適切な収集間隔を検討します。
なお、エージェントを導入しているコンピュータの方が、エージェントレスのコンピュータに比べて詳細な情報を収集・管理できます。機器情報をどのように更新するかとあわせて、コンピュータへのエージェントの導入も検討してください。