パッケージ配布処理での中継システムの役割について説明します。
(1) 配布指令の有無の確認
中継システムはrdsft -aコマンドを実行して,自UNIXマシンあての配布指令があるかを配布管理システムに確認します。
配布指令がある場合は指令の内容に従ってパッケージが配布され,配布指令がない場合は処理を終了します。配布処理が実行されると,配布されたパッケージのプログラム名がログファイルに出力されます。
自UNIXマシンに対する複数の配布指令の処理中にエラーが発生した場合は,次のようになります。
JP1/NETM/DM Client(中継システム)では,JP1/NETM/DM Managerからの配布指示の有無を定期的に確認(ポーリング)することもできます。中継システムでポーリングを実行するようにしておくと,配布管理システムが起動要求指令に失敗しても,自動的にパッケージ配布を実行できます。ポーリングについては「(2) 配布管理システムへのポーリング」を参照してください。
(2) 配布管理システムへのポーリング
ポーリングの機能は,配布管理システムと接続した中継システムか,その中継システムと接続した中継システムで使えます。中継システムからのポーリングを実行するときは,基本機能の設定ファイルのWatchTimeofOrdersにポーリングの時間間隔を指定しておきます。
配布指令があるかどうかを確認するポーリングの起動には,基本機能のrdsmaコマンドを使います。基本機能のrdsmaコマンドをシステム起動シェル(/etc/localrc)に記述しておけば,中継システムの起動と一緒にポーリングできます。
ポーリングは,システムの停止時に終了します。rdsma -qコマンドを実行してポーリングを停止することもできます。
なお,ポーリングの機能を使うと,設定ファイルに指定した時間間隔で上位システムと自動的に通信するため,ネットワークの条件によっては,負荷が掛かることや回線料金が余分に必要になることがあります。配布指示を確認するときは,ネットワーク環境を十分考慮してください。
(3) パッケージの配布状況の表示
JP1/NETM/DM Client(中継システム)では,自中継システムを経由して実行されているJP1/NETM/DM Managerからのパッケージ配布の状況を確認できます。中継システムでの配布状況の表示を図2-3に示します。
図2-3 中継システムでの配布状況の表示
(a) 配布状況を表示するための環境設定
配布状況を表示する中継システム上には,配布状況を管理するファイル(配布状況ファイル)が必要です。配布状況ファイルを作成するには,基本機能の設定ファイルで「OutPutFileOfDeliveryStatus」および「OrderOfDeliveryStatus」を設定してください。
なお,JP1/NETM/DM/W拡張機能1 05-10以前の製品から配布状況ファイルを引き継ぐ場合は,rdsdlvcnvコマンドでデータを変換する必要があります。rdsdlvcnvコマンドの指定方法については,「第3編 9. コマンドの操作(基本機能・組み込み支援機能)」を参照してください。
また,JP1/NETM/DM/W拡張機能1 05-10以前の製品で提供していたAPIを使用したユーザAPは,JP1/NETM/DM Client(中継システム)の環境では使用できません。JP1/NETM/DM Client(中継システム)の環境の場合には,ユーザAPはリコンパイルする必要があります。
(b) 配布状況の表示方法
配布状況は,基本機能のコマンドを使って表示します。コマンドを実行できるのは,スーパユーザだけです。手順を次に示します。
配布状況サーバを起動した状態でrdsdlv -dコマンドを実行すると,特定の配布状況の情報を削除できます。配布状況ファイルを初期化するときは,配布状況サーバが停止した状態でrdsdlvclrコマンドを実行します。
配布・組み込み指令が「実行完了」となった配布状況は,一世代で管理します。このため,配布済みのパッケージを同じ配布先に再度配布すると,一世代前の配布状況は最後に実行した指令の配布状況に上書きされます。「実行完了」の配布状況は,「配布先名+DM種別コード+資源名」で管理します。資源グループ名,バージョン/リビジョン,および世代番号が異なる場合でも,同一パッケージとして扱います。
(4) パッケージの保管と削除
パッケージング時に満了日付が設定されたパッケージや,設定ファイルで保存日数(LifeofResource)が設定されたパッケージは,期日まで保管庫に保管されます。
満了日付に達したパッケージは,最初に電源を入れたときにJP1/NETM/DM Client(中継システム)が自動的に削除します。日に1回の削除で運用上支障がある場合は,rdsclrコマンドでパッケージを削除することもできます。また,保管庫を初期化するためのrdsft -initコマンドを使用すると,一度にすべてのパッケージを削除できます。
(5) 指令の保管と削除
中継システムは,配布管理システムからの配布指令を指令保管庫で保管します。指令保管庫に保管されている指令はrdsgroupidコマンドで確認または削除できます。運用に応じて,定期的に確認することをお勧めします。
なお,保管庫のパッケージを削除すると,そのパッケージに対応する指令保管庫内の指令が無効になります。基本機能の設定ファイルの「IDCommandDeleteTiming」および「CommandDeletewithResource」で,無効になったファイルを自動的に削除するかどうかを設定できます。
(6) クライアントの起動状態の管理
中継システムでは,下位システム(クライアント)の起動状態を次のように制御できます。
(a) クライアントの起動抑止
中継システムでクライアントあての配布指令を受け取ったときに,クライアントへの起動要求を抑止する場合には,クライアント起動抑止ファイルというフラグファイルを作成します。
クライアント起動抑止ファイルのファイル名は次のとおりです。
このフラグファイルは通常ファイルとして作成してください。ファイルモードとファイルサイズの制限はありません。
また,このフラグファイルを作成しておくと,クライアントからの接続要求が来るまで,指令は実行されません。そのため,定期的にクライアント側から中継システムに配布指示を確認する必要があります。
クライアント起動抑止ファイルの作成方法を次の例(HP-UX以外の場合)に示します。プロンプト画面から次のどちらかの方法で作成します。
(b) 特定のクライアントの起動
特定のクライアントを起動するには,まず「2.4.2(6)(a) クライアントの起動抑止」に示す起動抑止を設定してください。その後,起動するクライアントホスト名を次のファイルに記述してください。
クライアントホスト名1 |
(c) クライアントの起動失敗の通知
配布管理システムから配布指令を受け取ると,中継システムはクライアントを起動します。その際,クライアントの起動に失敗すると,そのエラーを配布管理システムに通知します。
(7) 配布結果の通知
中継システムは,起動と自動的にrdssndコマンドを実行し,自UNIXマシンの配布結果およびクライアントWSから通知された配布結果を配布管理システムに送信します。設定ファイルのWatchTimeofStatusには,配布結果の監視時間を設定しておきます。
配布結果の送信を停止するときは,rdssnd -qコマンドを実行します。