6.7.2 トラブル要因の特定
(1) トラブル要因の特定方法
Asset Information Manager LimitedのサーバおよびWebブラウザでのトラブルの確認方法について,次に説明します。
(a) Asset Information Manager Limitedのサーバでのトラブル確認方法
- メッセージログファイルからトラブル発生時の出力メッセージの有無を確認します。
- メッセージが出力されている場合,次の要因のどれかに特定します。
- Asset Information Manager Limitedのデータベースに対するトラブル
- Asset Information Manager Limitedと連携するプログラムのトラブル
- Microsoft Internet Information Servicesのトラブル
- Asset Information Manager Limitedのデータベースに対するアクセスエラーの場合は,メッセージログを確認します。
- Asset Information Manager Limitedと連携するプログラムのトラブルの場合は,メッセージログファイルの内容を見て,プログラムの連携に異常がないか確認します。
- Microsoft Internet Information Servicesのトラブルの場合は,Microsoft Internet Information Servicesのログの内容を見て,通信シーケンスに異常がないか確認します。
なお,通信シーケンスで異常が確認されなかった場合は,Microsoft Internet Information ServicesとWebブラウザの間でのトラブルと考えられます。
(b) Webブラウザでのトラブル確認方法
ランタイムエラーが発生した場合は,Microsoft Internet Explorerのバージョンが古いことがあります。Microsoft Internet Explorerのバージョン,および必要なサービスパックがインストールされているか確認してください。Microsoft Internet Explorerのバージョンについては,マニュアル「構築ガイド」の「1.1.2(1) JP1/NETM/DM Managerのコンポーネント」を参照してください。
(2) メッセージの確認
トラブルが発生した場合,まず,イベントログ,標準出力またはAsset Information Manager Limitedのサーバが作成するログファイルにエラーメッセージが出力されているかどうかを確認してください。
エラーメッセージが出力されているときは,エラーメッセージのメッセージ種別からエラーが発生しているプログラム,トラブルの要因が特定できます。エラーメッセージの詳細については,「(3) メッセージの見方」を参照してください。
Asset Information Manager Limitedの重度のトラブルに関するエラーメッセージは,イベントログファイルに出力されます。イベントログファイルを確認してください。
また,Asset Information Manager Limitedのサーバが出力するエラーメッセージは,ファイルとして出力されます。エラーメッセージが出力されるファイルの格納先を次に示します。
JP1/NETM/DM Managerのインストール先フォルダ¥jp1asset¥log
logフォルダは,Asset Information Managerをインストールしたときに,デフォルトで作成されます。logフォルダの下にAsset Information Manager Limitedが出力するメッセージログファイルを次の表に示します。
表6-18 logフォルダに作成されるファイル
ファイル名 | 説明 |
---|
ASTCIMn.LOG | - データベースアクセス用のAPIのメッセージログを出力します。
|
ASTMESn.LOG | - Asset Information Manager Limitedのサーバの起動・停止などの情報メッセージ,プログラムのトラブル,通信トラブル,データベースのトラブルなどの警告メッセージおよびエラーメッセージを出力します。
- メッセージログは,Asset Information Manager Limitedの運用状況の確認に利用できます。
|
- (凡例)
- nは,1~9のファイル名の通番を示します。
- 現在のファイルにログを出力していき,出力できるログの上限を超えた場合に,番号を一つ繰り上げたログファイルが作成されます。ただし,番号が9まで設定された場合は,1に戻ります。最新のログファイルは,ファイル属性(日付・時間)で見分けてください。
なお,JP1/NETM/DM Managerのインストール先フォルダ¥jp1asset¥log¥exp.defは変更しないでください。
(3) メッセージの見方
ここでは,標準出力のメッセージログ,およびメッセージログファイルに出力されるメッセージの見方について説明します。
(a) 標準メッセージログの見方
Asset Information Manager Limitedのサーバで出力されるメッセージログは,メッセージIDとそれに続くメッセージテキストで構成されます。
- メッセージの形式
- KDAM nnnn-m メッセージテキスト
- KDAM
- メッセージを出力したプログラムがAsset Information Manager Limitedのサーバであることを表します。
- nnnn
- メッセージを出力したコンポーネントコード(いちばん左のn)+通番を表します。表示されるコンポーネントコードを次に示します。
- m
- メッセージの種別を表します。各種別を説明します。
- E(ERROR)
プログラムを終了させなければならない,致命的なエラーが発生したことを通知するメッセージです。
- W(WARNING)
プログラムを終了させる必要はありませんが,一部機能が使えないなどのトラブルが発生したことを通知するメッセージです。
- Q(QUESTION)
ユーザが応答する必要のあるメッセージです。
- K(WORKING)
処理の継続を通知するメッセージです。
- I(INFORMATION)
情報を通知するメッセージです。
(b) メッセージログファイルの見方
Asset Information Manager Limitedのサーバで出力されるメッセージログファイルは,メッセージ出力時間,メッセージIDとそれに続くメッセージテキストで構成されます。
- メッセージの形式
- yyyymmddhhmmss.ttt pid(tid) KDAM nnnn-m メッセージテキスト
- yyyymmddhhmmss.ttt
- メッセージを出力した日時を表します。
- pid
- メッセージを出力したプロセスIDを表します。
- tid
- メッセージを出力したスレッドIDを表します。
- KDAM
- メッセージを出力したプログラムがAsset Information Manager Limitedのサーバであることを表します。
- nnnn
- メッセージを出力したコンポーネントコード(いちばん左のn)+通番を表します。表示されるコンポーネントコードを次に示します。
- 0:インストールおよびセットアップ
- 1:Asset Information Manager Limitedのサーバ
- 2,3:エクステンション
- 4,5:データベースアクセスDLL
- 6:Asset Information Manager LimitedのLIBファイルおよびDLLファイル
- 7:コマンド
- 8:インポートおよびエクスポート
- 9:共通DLL
- m
- メッセージの種別を表します。各種別を説明します。
- E(ERROR)
プログラムを終了させなければならない,致命的なエラーが発生したことを通知するメッセージです。
- W(WARNING)
プログラムを終了させる必要はありませんが,一部機能が使えないなどのトラブルが発生したことを通知するメッセージです。
- Q(QUESTION)
ユーザが応答する必要のあるメッセージです。
- K(WORKING)
処理の継続を通知するメッセージです。
- I(INFORMATION)
情報を通知するメッセージです。
(4) トラブル発生後に制限される機能
Asset Information Manager Limitedでトラブルが発生した場合,Asset Information Manager Limitedのサーバからメッセージの種別「E」のメッセージが出力されます。トラブルの発生によって,制限されるAsset Information Manager Limitedの機能を次に説明します。
(a) 緊急・重度のシステムトラブルが発生した場合
トラブルの回復が望めない,または稼働し続けることで情報を破壊するおそれがあるなどの緊急・重度のシステムトラブルが発生した場合,Asset Information Manager Limitedのすべてのサービスが閉塞されます。
緊急・重度のシステムトラブルを次に示します。
- 環境定義ファイルの設定誤りまたは読み込みエラー
- メタ定義・制御テーブル破壊の検出
- 一般保護例外などのプログラム例外
- プログラムの内部エラー
(b) 緊急・重度以外のシステムトラブルが発生した場合
トラブルの回復には時間が掛かりますが,稼働を続けても情報が破壊されるおそれはないなどの緊急・重度以外のシステムトラブルが発生した場合,トラブルが検出された実行中の処理が打ち切られます。
緊急・重度以外のシステムトラブルを次に示します。
- Webブラウザからのメッセージ形式の不正
- メッセージログ出力不可
- DBMSからデータベース接続切断
- Asset Information Manager Limitedと連携するプログラムで発生したトラブルの通知
- 資産情報の追加,変更および削除時のアクセスエラー通知(ただし,キーとなるプロパティのデータがない場合は除く)
- プログラムの内部エラー
(c) 運用上のトラブルが発生した場合
次に示すAsset Information Manager Limitedの運用上のトラブルが発生した場合,Asset Information Manager Limitedのサービスなどの閉塞はありません。
- ユーザIDおよびパスワードの入力誤りによるログイン時のエラー
- Asset Information Manager Limitedで稼働中のインベントリ情報取り込み時のトラブル
(d) 一時的なトラブルが発生した場合
時間を置いてから再度実行することで回復できる可能性のある一時的なトラブルが発生した場合,トラブルが検出された実行中の処理が打ち切られ,セッションが解放されます。
一時的なトラブルの例を次に示します。
- メモリアロケーション不可またはデータベースへの接続エラー
- データベースに対するロックエラー
- Asset Information Manager Limitedで稼働中のインベントリ情報取り込み時のトラブル