7.4.3 データベースをアップグレードする

Embedded RDBを使用したJP1/NETM/DM Managerをバージョンアップした場合,Embedded RDBをアップグレードする必要があります。また,JP1 Version 7iのJP1/NETM/DM Manager Embedded RDB Editionから,Embedded RDBを使用したJP1 Version 8のJP1/NETM/DM Managerへ移行する場合にも,この項目からデータベースをアップグレードします。

<この項の構成>
(1) 08-00以前のバージョンから08-02以降のバージョンへアップグレードする場合の注意事項
(2) データベースのアップグレード(Embedded RDBの場合)
(3) DPTInpt.exe(データベースへのパッチ格納)

(1) 08-00以前のバージョンから08-02以降のバージョンへアップグレードする場合の注意事項

08-00以前のバージョンから08-02以降のバージョンへアップグレードする場合,データベースの構造が変更されているため,データベースの所要量が異なります。そのため,アップグレード時に容量の不足によるエラーが発生するおそれがあります。

この場合,データベースの所要量を見積もり直してからアップグレードを実行してください。データベースの容量は,アップグレードするときに変更できます。08-00以前のバージョンから08-02以降のバージョンへアップグレードする場合の容量の見積もりについては,マニュアル「導入・設計ガイド」の「5.4.1(9) 08-00以前と08-02以降の容量の差分について」を参照してください。

データベースのアップグレード前に取得したバックアップファイルは,アップグレードしたあとはデータベースの構造が異なるため復元できません。データベースをアップグレードしたあと,再度バックアップを取得してください。

(2) データベースのアップグレード(Embedded RDBの場合)

注意事項
  • データベースのアップグレードは,[コントロールパネル]の[管理ツール]-[サービス]で,「Remote Install Server」サービスを停止してから実行してください。
  • 「Asset Information Manager Limited」を使用している場合は,「Asset Information Manager Limited」のサービスを次に示す順番で停止してください。
    1. World Wide Web Publishing ServiceまたはWorld Wide Web Publishing
    2. Asset Information Synchronous Service,「Asset Information Manager Limited」のコマンドおよびタスク
    3. JP1/NETM/Client Security Control - Manager(JP1/NETM/CSCと連携している場合)
    また,データベースマネージャの操作後に「Asset Information Manager Limited」を使用するときは,停止時と逆の順番でサービスを起動してください。
  • ODBCデータソースで接続プールが設定されている場合,「Asset Information Manager Limited」の業務を停止させてから,接続プールで設定されているタイムアウトの時間が経過するまで接続状態になります。そのため,接続状態の解除を待ってから,データベースをアップグレードしてください。

データベースをアップグレードする手順を次に示します。

  1. [Welcome]ダイアログボックスで「データベースをアップグレードする」を選択して,[次へ]ボタンをクリックする。
    [データベースの認証情報]ダイアログボックスが表示されます。
  2. [データベースの認証情報]ダイアログボックスでパスワードを指定して,[次へ]ボタンをクリックする。
    [クラスタシステム環境の設定]ダイアログボックスが表示されます。

    図7-11 [クラスタシステム環境の設定]ダイアログボックス

    [図データ]

    アップグレードするデータベースがクラスタ環境で使用されている場合は,既存のデータベースを新規作成したときと同じ設定にしてください。
  3. [クラスタシステム環境の設定]ダイアログボックスの項目を設定して,[次へ]ボタンをクリックする。
    [管理データベースの設定]ダイアログボックスが表示されます。

    図7-12 [管理データベースの設定]ダイアログボックス

    [図データ]

    作業表領域のサイズを変更できます。デフォルトは,新規作成時に設定した値が表示されます。ただし,自動増分を指定している場合は現在のサイズが表示されます。
    現在割り当てられている作業表領域の値が,見積もりで算出したサイズと変わらない場合は,自動増分をする設定にしてください。
    クラスタシステム環境で使用する場合,「自動増分を行う」チェックボックスは,実行系と待機系で同じ設定にしてください。
  4. [管理データベースの設定]ダイアログボックスの項目を設定して,[次へ]ボタンをクリックする。
    [データベースの詳細設定]ダイアログボックスが表示されます。

    図7-13 [データベースの詳細設定]ダイアログボックス

    [図データ]

    データベース領域ファイルのサイズを変更できます。デフォルトは,新規作成時に設定した値が表示されます。
    [クラスタシステム環境の設定]ダイアログボックスで「待機系」を選択した場合,ダイアログボックスは表示されません。
  5. [データベースの詳細設定]ダイアログボックスの項目を設定して,[次へ]ボタンをクリックする。
    更新プログラム管理機能で取得したパッチを移行するかどうか選択するダイアログボックスが表示されます。なお,このダイアログボックスは,次に示す場合は表示されません。
    • 08-10より古いバージョンのデータベースからアップグレードしている場合
    • バージョンが08-10のデータベースで更新プログラム管理用のテーブルを作成していない場合

      図7-14 更新プログラム管理機能で取得したパッチを移行するかどうかを選択するダイアログボックス

      [図データ]

    ダウンロードされているパッチを移行する
    データベースのアップグレード時に,更新プログラム管理機能で取得したパッチを移行する場合に選択します。
    この項目を選択するとパッチを一時的に退避するため,データベースのアップグレードに掛かる時間が増加します。この項目を選択して,[次へ]ボタンをクリックすると,アップグレードの増加時間の目安を確認するダイアログボックスが表示されます。
    また,パッチを一時的に退避するため,JP1/NETM/DM Managerのインストール先ディレクトリに十分な空き容量が必要になります。JP1/NETM/DM Managerのインストール先ディレクトリに必要な空き容量は,更新プログラム管理機能で取得したパッチを移行するかどうかを選択するダイアログボックスに表示されています。
    ダウンロードされているパッチを移行しない
    データベースのアップグレード時に,更新プログラム管理機能で取得したパッチを移行しない場合に選択します。
    なお,この項目を選択しても,パッチをパッケージングしたパッケージは削除されません。パッチをパッケージングしている場合や,パッチを再度取得できる場合は,この項目を選択することをお勧めします。
    この項目を選択して,[次へ]ボタンをクリックすると,パッチを削除してよいかどうかを確認するダイアログボックスが表示されます。
  6. 更新プログラム管理機能で取得したパッチを移行するかどうかを選択するダイアログボックスの項目を設定して,[次へ]ボタンをクリックする。
    [アップグレード用一時ファイル出力先の指定]ダイアログボックスが表示されます。

    図7-15 [アップグレード用一時ファイル出力先の指定]ダイアログボックス

    [図データ]

    データベースのアップグレード時に出力される,一時ファイルの出力先を指定します。
    [クラスタシステム環境の設定]ダイアログボックスで「待機系」を選択した場合,ダイアログボックスは表示されません。
    アップグレード用一時ファイル格納先のパス
    アップグレード時の一時ファイルの出力先フォルダを指定します。指定したフォルダには,次のファイルが出力されます。
    ・netmUpgTemp
    ・netmdm_cabinet
    ・netmdm_collect
    ・netmdm_inspackage
    ・netmdm_jobgen_collect
    ・netmdm_jobgen_pack
    ・netmdm_package_inf
    ・UPGTemp.log
  7. [アップグレード用一時ファイル出力先の指定]ダイアログボックスの項目を設定して,[次へ]ボタンをクリックする。
    [データベースのアップグレードの実行]ダイアログボックスが表示されます。

    図7-16 [データベースのアップグレードの実行]ダイアログボックス

    [図データ]

  8. [実行]ボタンをクリックする。
    データベースがアップグレードされます。
    アップグレードが完了すると,アップグレード時の一時ファイルは自動的に削除されます。
    アップグレード時に,データベースへのパッチの移行が失敗した旨のエラーが表示された場合,DPTInpt.exeコマンドを実行することで,パッチをデータベースに格納できます。なお,このときアップグレードは正常終了します。DPTInptコマンドの詳細については,「(3) DPTInpt.exe(データベースへのパッチ格納)」を参照してください。
    アップグレード時にデータベース領域ファイルのサイズが不足している旨のエラーが表示された場合,必要なデータベース容量を見積もり直して,アップグレード時に十分なサイズを指定してください。
    「データベースのアップグレードが正常終了しました」というメッセージが表示されても,次の表に示すイベントがアプリケーションログに出力されることがあります。この場合,アップグレードは正常終了しているので対処は不要です。
    項番ソース種類イベントIDメッセージID
    1HiRDBEmbeddedEdition_JN1警告30001KFPH22004-W
    2HiRDBEmbeddedEdition_JN1警告30001KFPH22012-W
    3HiRDBEmbeddedEdition_JN1警告30001KFPS04604-W
    4HiRDBEmbeddedEdition_JN1警告30001KFPX24231-W
    5HiRDBEmbeddedEdition_JN1エラー30001KFPH00142-E
    6HiRDBEmbeddedEdition_JN1エラー30001KFPH00306-E
    7HiRDBEmbeddedEdition_JN1エラー30001KFPH22003-E
    8HiRDBEmbeddedEdition_JN1エラー30001KFPS00349-E
    9HiRDBEmbeddedEdition_JN1エラー30001KFPX14236-E

(3) DPTInpt.exe(データベースへのパッチ格納)

リレーショナルデータベースにEmbedded RDBを使用している場合,データベースにパッチを移行するDPTInptコマンドについて説明します。このコマンドは,JP1/NETM/DM Managerの「サーバ本体機能」インストールされているPCで実行できます。このコマンドを実行するには,Embedded RDBが起動している必要があります。

機能
パッチをデータベースに格納します。バージョンが08-10以降のEmbedded RDBのアップグレードで,パッチを移行する場合,パッチの移行に失敗したときにこのコマンドを実行してください。
形式

DPTInpt.exe /U ユーザ名 /P パスワード

引数
  • /U
    Embedded RDBにアクセスするためのログインIDを指定します。先頭が英字の8文字以内の半角英数字で指定します。
  • /P
    Embedded RDBにアクセスするためのパスワードを指定します。先頭が英字の30文字以内の半角英数字で指定します。なお,スペースは使用できません。
リターンコード
DPTInptコマンド実行時のリターンコードを次の表に示します。
コード意味対処
0正常終了した。なし。
1引数に不正な値が指定されている。コマンドの引数の設定値を確認してください。
2内部エラーが発生した。Embedded RDBが起動しているかどうか確認してください。
注意事項
  • DPTInptコマンドは二重で実行しないでください。
  • DPTInptコマンド実行中は,更新プログラム管理機能を起動しないでください。なお,更新プログラム管理機能は,タスクスケジューラを利用して起動できます。そのため,タスクスケジューラを利用している場合は,DPTInptコマンド実行中に更新プログラム管理機能が起動しないよう注意してください。
  • 次に示す場合は,DPTInptコマンドを実行しないでください。
  • データベースマネージャが起動している場合
  • 更新プログラム管理機能が起動している場合
実行例
DPTInptコマンドを実行したときの,ログインIDが「netmdm」,パスワードが「abcde12345」の場合,コマンドは次のように指定してください。

DPTInpt.exe /U netmdm /P abcde12345