jirmvmdeploy

機能

仮想化ソフトウェア上に仮想ホストをデプロイするコマンドです。デプロイした仮想ホストは自動的に起動します。このコマンドは,仮想ホストの環境構築を自動で実行する場合などに使用します。

実行時の前提条件

形式

jirmvmdeploy -vmhost 仮想ホスト名
            -desthv デプロイ先仮想化ソフトウェア名
            [-pool デプロイ先リソースプール名]
            -tmpl 仮想イメージテンプレート名
            [-date 滅却予定日時] [-cpu CPU周波数]
            [-cpucore CPUコア数] [-cpumode {share | occupy}]
            [-mem メモリ] [-lcode ライセンスコード] [-p OSパスワード]
            [-domain ドメイン名 | -workgroup ワークグループ名]
            [-dnssuffix DNSサフィックス] [-dnsip DNSサーバIPアドレス]
            [-datastore データストア名]※1
            [-storage ストレージのリソース名]※2
            [-storagepool ストレージプール名]※2
            [-storageport ストレージ接続ポート]※2
            -i ネットワーク設定情報ファイル名
            [-fchba FC-HBA設定情報ファイル名]※2
            [-script ユーザースクリプト] [-sshport SSHポート番号]
            [-wait] [-q]

注※1 デプロイ先の仮想化ソフトウェアがVMwareの場合は,必ず指定してください。

注※2 デプロイ先の仮想化ソフトウェアがHVMの場合は,必ず指定してください。

引数

-vmhost 仮想ホスト名

仮想化ソフトウェア上に作成する仮想ホスト名を1~15バイトの半角文字列で指定します。使用できる文字は,英数字およびハイフン(-)です。文字列の先頭と末尾にハイフン(-)は使用できません。また,数字だけの文字列も指定できません。

-desthv デプロイ先仮想化ソフトウェア名

デプロイ先の仮想化ソフトウェア名を指定します。

-pool デプロイ先リソースプール名

デプロイ先のリソースプール名を指定します。リソースプール名にはデプロイ先の仮想化ソフトウェアに関連する次の名称を指定できます。

-tmpl 仮想イメージテンプレート名

仮想イメージテンプレート名を指定します。指定した仮想イメージテンプレートの設定に基づいて仮想ホストが作成されます。

-date 滅却予定日時

作成する仮想ホストの滅却予定日時をyyyyMMddHHmm形式で,1970/01/02/ 00:00~2038/01/17/ 23:59の範囲で指定します。指定できる文字は半角数字です。

-cpu CPU周波数

-tmplオプションで指定した仮想イメージテンプレートの値を使用しない場合に,作成する仮想ホストのCPU周波数(ギガヘルツ)を0.01~999.99の範囲で指定します。使用できる文字は半角数字とピリオド(.)で,小数点第2位まで有効です。

-cpucore CPUコア数

-tmplオプションで指定した仮想イメージテンプレートの値を使用しない場合に,作成する仮想ホストのCPUコア数を1~4,096の範囲で指定します。使用できる文字は半角数字です。

-cpumode {share | occupy}

-tmplオプションで指定した仮想イメージテンプレートの設定値を使用しない場合に,作成する仮想ホストのCPU占有種別を指定します。

-mem メモリ

-tmplオプションで指定した仮想イメージテンプレートの値を使用しない場合に,作成する仮想ホストが使用するメモリサイズ(ギガバイト)を0.01~999.99の範囲で指定します。ただし,HVMに仮想ホストをデプロイする場合は,0.25ギガバイト単位で指定してください。使用できる文字は半角数字とピリオド(.)で,小数点第2位まで有効です。

-lcode ライセンスコード

-tmplオプションで指定した仮想イメージテンプレートの値を使用しない場合に,作成する仮想ホストが使用するライセンスコードを指定します。

-p OSパスワード

-tmplオプションで指定した仮想イメージテンプレートの値を使用しない場合に,作成する仮想ホストのOSユーザー名のOSパスワードを1~127バイトの半角文字列で指定します。ただし,HVMにWindowsの仮想ホストをデプロイする場合は,1~14バイトの半角文字列で指定してください。使用できる文字は,英数字およびハイフン(-)です。

-domain ドメイン名

-tmplオプションで指定した仮想イメージテンプレートの値を使用しない場合に,作成する仮想ホストのドメイン名を1~63バイトの半角文字列で指定します。使用できる文字は,英数字,アンダーバー(_),ピリオド(.),ハイフン(-)です。文字列の先頭にピリオド(.)は使用できません。

-workgroup ワークグループ名

-tmplオプションで指定した仮想イメージテンプレートの値を使用しない場合に,作成する仮想ホストのワークグループ名を1~15バイトの半角文字列で指定します。指定できる文字は,英数字です。

-dnssuffix DNSサフィックス

-tmplオプションで指定した仮想イメージテンプレートの値を使用しない場合に,作成する仮想ホストのDNSサフィックスを1~63バイトの半角文字列で指定します。指定できる文字は,英数字,ピリオド(.),ハイフン(-)です。文字列の先頭にピリオド(.)とハイフン(-)は使用できません。

-dnsip DNSサーバIPアドレス

作成する仮想ホストのプライマリDNSサーバのIPアドレスを指定します。

-datastore データストア名

デプロイ先のデータストア名を指定します。仮想化ソフトウェア配下のデータストア名を指定できます。

-storage ストレージのリソース名

デプロイ先のストレージのリソース名を指定します。

-storagepool ストレージプール名

デプロイ先のストレージのストレージプール名を指定します。

-storageport ストレージ接続ポート

ストレージへの接続に使用するポートを指定します。

-i ネットワーク設定情報ファイル名

ネットワーク設定を記載したファイルの名称を絶対パス形式で指定します。ネットワーク設定情報ファイルは,CSV形式とし,複数のネットワーク設定を記述できます。ファイル名は任意です。なお,このファイルには-tmplオプションで指定した仮想イメージテンプレートが備える仮想NIC数と同数の定義が必要となります。ネットワーク設定情報ファイルの形式については,「ネットワーク設定情報ファイルの形式」を参照してください。

-fchba FC-HBA設定情報ファイル名

LPARが使用するFC-HBA設定を記載したファイルの名称を絶対パス形式で指定します。FC-HBA設定情報ファイルの形式については,「FC-HBA設定情報ファイルの形式」を参照してください。

-script ユーザースクリプト

-tmplオプションで指定した仮想イメージテンプレートの値を使用しない場合に,デプロイ時に仮想ホスト上で実行するユーザースクリプトを1~255バイトの絶対パスで指定します。

例1:C:¥temp¥xxxx.exe△jp1user(△は半角スペースを示します。)

例2:/home/tasks/job01.sh

-sshport SSHポート番号

仮想イメージテンプレートのOSがLinuxの場合,ユーザースクリプトを実行する際に使用するSSH通信のポート番号を0~65535の範囲で指定します。使用できる文字は,半角数字です。このオプションを省略した場合,SSH通信のポート番号に22が設定されます。仮想イメージテンプレートのOSがLinux以外の場合,このオプションの指定は無効になります。

-wait

デプロイ処理が完了するのを待って,コマンドを終了する場合に指定します。このオプションを省略した場合,デプロイの処理要求をしたあとすぐにコマンドが終了し,処理結果は表示されません。

-q

非対話形式でコマンドを実行するときに指定します。コマンドを自動実行する場合など,ユーザーの確認を省略したいときに使用します。

 
注※
VMwareまたはHyper-Vの場合は,仮想化ソフトウェア名,VMクラスタ名,リソースプール名,およびvApp名は,次の規則に従って指定してください。
  1. jirminfolistコマンドの出力結果の仮想化構成ツリーパス(VMMTREEPATH)に出力される形式で指定してください。
  2. セパレータには「/(スラッシュ)」を使用してください。
  3. パス表記の先頭および末尾にはセパレータ「/(スラッシュ)」を使用しないでください。
例:「vCenter管理/VMC-1/POOL-1」,「vCenter管理/ESX-5/POOL3」
HVMの場合は,jirminfolistコマンドのリソース名(RESOURCENAME)に出力される形式で指定してください。

ネットワーク設定情報ファイルの形式

ネットワーク設定情報ファイルを作成する前に,次の作業を実施してください。

ネットワーク名の確認
次の手順で,ネットワーク名を確認してください。
  1. リソース管理画面の[アクション]メニューから[デプロイ]を選択する。
    [デプロイ設定]画面が表示されます。
  2. 仮想イメージテンプレートを指定して,ネットワーク定義の[設定]ボタンをクリックする。
    [ネットワーク設定]画面が表示されます。
  3. 利用するネットワーク名を[ネットワーク設定]画面で確認する。
仮想ネットワークデバイス名の確認
次の手順で,デプロイ先の仮想化ソフトウェアが保持する仮想ネットワークデバイス名を確認してください。
  1. リソース管理画面の[アクション]メニューから[デプロイ]を選択する。
    [デプロイ設定]画面が表示されます。
  2. 仮想イメージテンプレートを指定して,ネットワーク定義の[設定]ボタンをクリックする。
    [ネットワーク設定]画面が表示されます。
  3. [ネットワーク名]を選択し,IPアドレスの種別を選択後,仮想ネットワークデバイス名の[選択]ボタンをクリックする。
    [仮想ネットワークデバイス選択]画面が表示されます。
  4. 仮想ネットワークデバイス名を[仮想ネットワークデバイス選択]画面で確認する。
IPアドレスの種別やIPアドレスの決定
ネットワークごとにIPアドレスの種別やIPアドレスを決定してください。
仮想ネットワークデバイスの決定
ネットワークごとに設定する仮想ネットワークデバイスを決定してください。

ネットワーク設定情報ファイルに設定する項目を,次の表に示します。

なお,各項目は仮想イメージテンプレートが保持するすべてのネットワークについて設定する必要があります。

表1-22 ネットワーク設定情報ファイルの設定項目

項目内容VMwareHyper-VHVM
WindowsLinuxWindowsWindowsLinux
IPアドレス種別仮想ホストに設定するIPアドレスの種別として次のどれかを指定します。
  • M:管理IPアドレスとして設定
  • B:業務IPアドレスとして設定
  • N:未使用IPアドレスとして設定
必ず管理IPアドレス(M)は1つ指定してください。未使用IPアドレス(N)を指定する場合,ネットワーク名以外の項目は無視されます。
ネットワーク名
VMware,Hyper-Vの場合
仮想イメージテンプレートが保持するネットワーク名を指定します。
HVMの場合
仮想イメージテンプレートが保持する仮想NIC番号を指定します。
IPアドレス作成する仮想ホストに設定するIPアドレスを指定します。
なお,IPアドレス種別が業務IPアドレス(B)の場合,IPアドレスの指定を省略するとDHCPで自動的にIPアドレスを取得します。
※1※1※1※1※1
ネットマスク作成する仮想ホストに設定するネットマスクを指定します。
なお,IPアドレス種別が業務IPアドレス(B)で,IPアドレスの指定を省略した場合,この項目の設定は無視されます。
※1※1※1※1※1
ゲートウェイ作成する仮想ホストに設定するゲートウェイを指定します。この項目を省略した場合,ゲートウェイを設定しません。
なお,IPアドレス種別が業務IPアドレス(B)で,IPアドレスの指定を省略した場合,この項目の設定は無視されます。
※1※1※1※1※1
DNSサーバ作成する仮想ホストに設定するDNSサーバを指定します。この項目は仮想イメージテンプレートのOSが,Windowsの場合だけ有効です。この項目を省略した場合,DNSサーバを設定しません。※1※1※1
DNSサフィックス作成する仮想ホストに設定するDNSサフィックスを指定します。この項目は仮想イメージテンプレートのOSが,Windowsの場合だけ有効です。この項目を省略した場合,DNSサフィックスを設定しません。※1※1
仮想ネットワークデバイス名
VMware,Hyper-Vの場合
デプロイ先の仮想化ソフトウェアに設定されている仮想スイッチ名を指定します。
HVMの場合
仮想NICに割り当てられている共有NICのネットーワークセグメント名を指定します。※2
※1※1※1※1※1
VLAN IDネットワークに割り当てるデプロイ先の仮想化ソフトウェアのVLAN IDを指定します。
この項目を省略した場合,0(VLAN未使用)が仮定されます。また,IPアドレス種別が未使用IPの場合はこの項目は無視されます。
※1※1※1※1※1
(凡例)
○:必ず指定する。
△:任意で指定する。
-:無効になる。
注※1
IPアドレス種別に「N」を指定した場合は無効になります。
注※2
HVMでHVM拡張モードが無効,またはHVM拡張モードをサポートしていない場合,次に示す注意が必要です。
ネットワークセグメントを指定する際の組み合わせとして,「Na」と「Nb」(Nは数字)を選択するときは,必ずNが同じ数字になるように指定してください。また,「Na」と「Nb」を管理と業務で対になるようにLPARに割り当てる必要があります。
HVM拡張モードが有効の場合は,次のようにネットワークセグメントを指定できます。
・仮想ホストにネットワークセグメントをポート単位で指定する。
・複数の仮想ネットワークに同じネットワークセグメントを指定する。

ネットワーク設定情報ファイルを記述する際は,次の点に注意してください。

ネットワーク設定情報ファイルの記述例を次に示します。

#JP1/IT Resource Management - Manager
#IPアドレス種別,ネットワーク名,IPアドレス,ネットマスク,ゲートウェイ,DNSサーバ,DNSサフィックス,仮想ネットワークデバイス名,VLAN ID
M,"Network adapter 1",1.1.1.1,255.0.0.0,1.1.1.6,1.1.1.4,abc.com,vsw1,10
B,"Network adapter 2",2.2.2.2,255.0.0.0,2.2.2.6,2.2.2.4,xyz.com,vsw2,100

FC-HBA設定情報ファイルの形式

FC-HBA設定情報ファイルはCSV形式で作成します。

FC-HBA設定情報ファイルに設定する項目を,次の表に示します。各項目は仮想イメージテンプレートが保持するすべてのFC-HBAについて設定する必要があります。また,1つのFC-HBA設定情報ファイルに複数のFC-HBAを設定できます。

表1-23 FC-HBA設定情報ファイルの設定項目

項目内容VMwareHyper-VHVM
FC-HBA種別仮想ホストに設定するFC-HBA種別として次のどれかを指定します。
  • B:ブート用のFC-HBAとして設定
  • Y:ブート用以外で有効なFC-HBAとして設定
  • N:無効なFC-HBAとして設定
ブート用のFC-HBA(B)は1つだけ設定してください。
PCIデバイス識別情報仮想イメージテンプレートが保持するPCIデバイス識別情報を指定します。[FC-HBA設定]画面の[PCIデバイス識別情報]に表示される情報を指定してください。
(凡例)
○:必ず指定する。
-:無効になる。

FC-HBA設定情報ファイルの記述例を次に示します

#JP1/IT Resource Management - Manager
#FC-HBA種別,PCIデバイス識別情報
B,[5:4:0]
Y,[5:4:1]
N,[6:5:0]

このコマンドで操作する仮想化ソフトウェア種別および仮想ホストのOS種別ごとに,指定できるオプションを次の表に示します。

なお,表中の「-」(無効)のオプションを指定した場合,指定値を無視して処理が続行されます。エラーにはなりません。

表1-24 仮想化ソフトウェア種別および仮想ホストのOS種別ごとに,指定できるオプション

オプションVMwareHyper-VHVM
WindowsLinuxWindowsWindowsLinux
-vmhost
-desthv
-pool
-tmpl
-date
-cpu※1※1
-cpucore
-cpumode
-mem
-lcode
-p
-domain
-workgroup※2
-dnssuffix
-dnsip
-datastore
-storage
-storagepool
-storageport
-i※3
-fchba※4
-script
-sshport
-wait
-q
(凡例)
○:必ず指定する。
△:任意で指定する。
-:無効になる。
注※1
HVMに仮想ホストをデプロイする場合,-cpumodeオプションでCPUの占有種別を占有にすると,-cpuオプションに指定した値は無視されます。
注※2
仮想化ソフトウェアがHVMで,仮想ホストのOSがWindows Server 2008またはWindows Server 2008 R2の場合には,ワークグループ名の指定は無効となるため,-workgroupオプションの指定値は無視されます。
注※3
ネットワーク設定情報ファイルに設定する項目の指定の要否については,「表1-22 ネットワーク設定情報ファイルの設定項目」を参照してください。
注※4
FC-HBA設定情報ファイルに設定する項目の指定の要否については,「表1-23 FC-HBA設定情報ファイルの設定項目」を参照してください。

注意事項

戻り値

0正常終了
1引数不正
2JP1/ITRM ServiceまたはJP1/ITRM DB Serviceが起動していない
8メモリ不足
12通信エラー
16実行権限がない
19ユーザー問い合わせで処理を中止した
35同時に実行できるコマンドの数を超えている
130[Ctrl]+[C]キーを押してコマンドを中止した
136デプロイ先に指定したリソースプールが存在しない
139テンプレートが存在しない
140
  • デプロイ先に指定した仮想化ソフトウェアが存在しない
  • デプロイ先リソースプールに関連した仮想化ソフトウェアではない
145コマンド実行エラー(エラーの詳細はメッセージで確認)
170使用できないIPアドレスを指定した
254重複しているテンプレート名を指定した
255その他のエラー

使用例1

仮想イメージテンプレート「templateT」を基に,仮想ホスト「hostA」を仮想化構成ツリーが「VMMX/DATACENTERX/VMC1/vmX」の仮想化ソフトウェア「vmX」にデプロイする場合(処理が完了するのを待ってコマンド終了する場合)

jirmvmdeploy -vmhost hostA -desthv VMMX/DATACENTERX/VMC1/vmX -tmpl templateT -datastore data_storeS -i C:¥deploy_network1.csv -wait -q

使用例2

仮想イメージテンプレート「templateU」を基に,CPU周波数とメモリサイズを指定して,仮想ホスト「hostB」を仮想化構成ツリーが「VMMX/DATACENTERX/VMC1/vmY」の仮想化ソフトウェア「vmY」にデプロイする場合

jirmvmdeploy -vmhost hostB -desthv VMMX/DATACENTERX/VMC1/vmY -tmpl templateU -cpu 2 -mem 2 -datastore data_storeS -i C:¥deploy_network2.csv -q