9.5.2 ITリソースの構成把握に関するトラブルの対処方法

ここでは,ITリソースの探索や接続に関するトラブルの対処方法について説明します。

<この項の構成>
(1) SCVMMまたはvCenterを発見できない
(2) HVMを発見できない
(3) FCスイッチを発見できない
(4) SMI-Sストレージが発見できない
(5) 管理対象サーバのWMI接続に失敗する
(6) 管理対象サーバのSSH接続に失敗する
(7) SSHプロトコルで監視対象ホストから情報を取得する際に,情報取得が失敗する
(8) 管理対象のSSH接続に時間が掛かり,認証エラーとなる
(9) 過去に記録されているITリソースの稼働状態,性能情報が管理対象サーバ側の情報と一致しなくなった
(10) 接続状態,認証状態,ディスクの空き容量,性能に問題がないにもかかわらず,ITリソースの状態が正常な状態にならない

(1) SCVMMまたはvCenterを発見できない

要因
次の要因が考えられます。
  • 前提となるWindowsサーバが発見されていません。
  • VMware認証の設定を行っていません。
対処
要因に応じて対処してください。
  • SCVMMまたはvCenterが導入されているWindowsサーバを発見する必要があります。該当サーバに対するWMI認証を設定してください。
  • vCenterを発見するには,VMware認証が必要です。該当サーバに対するVMware認証を設定してください。
なお,正常に発見された場合は,管理対象に設定したあと,リソース管理画面の[リソース管理メニュー]-[仮想構成]に仮想環境の構成が表示されます。

(2) HVMを発見できない

要因
次の要因が考えられます。
  • HVMとの通信に必要なHvmSh.exeがインストールされていません。
  • HVM側にITリソース管理サーバのIPアドレスが登録されていません。
対処
要因に応じて対処してください。
  • 対応するバージョンのHvmSh.exeを,ITRMパス¥JP1ITRM¥system¥HVM¥binにコピーしてください。
  • HVMの管理画面(System Configuration)のBSMxIP Addressに,ITリソース管理サーバのIPアドレスを登録してください。
設定手順の詳細については,マニュアル「JP1/IT Resource Management - Manager 設計・構築ガイド」のHVMを管理対象にする準備についての説明を参照してください。

(3) FCスイッチを発見できない

要因
次の要因が考えられます。
  • FCスイッチのIPアドレスを直接探索しています。
  • FCスイッチがSMI-Sプロバイダーから監視されていません。
対処
要因に応じて対処してください。
  • 探索は,SMI-SプロバイダーのIPアドレスに対して実行してください。
  • FCスイッチをサポートするSMI-Sプロバイダーを導入し,FCスイッチを監視してください。

(4) SMI-Sストレージが発見できない

要因
次の要因が考えられます。
  • ストレージの管理IPアドレスを探索しているおそれがあります。
  • Hitachi Device ManagerがCIMを使わない設定になっているおそれがあります。
対処
要因に応じて対処してください。
  • SMI-Sストレージで指定する探索対象をHitachi Device ManagerのIPアドレスとしてください。
  • Hitachi Device ManagerがCIMサーバを使う設定になっているかを確認してください。また,CIMサーバを使う設定に変更した場合は,Hitachi Device Managerを再起動してください。

(5) 管理対象サーバのWMI接続に失敗する

要因
次の要因が考えられます。
  • VMware Toolsがインストールされていません。
  • OSの設定が誤っています。
対処
要因に応じて対処してください。
  • タスクバーにVMware Toolsアイコンが表示されていない場合は,インストールされていないため,インストールしてください。
  • Windows ファイアウォール,DCOM,およびUACの設定を見直してください。
これらの設定方法の詳細については,マニュアル「JP1/IT Resource Management - Manager 設計・構築ガイド」のWindows Serverの設定についての説明を参照してください。

(6) 管理対象サーバのSSH接続に失敗する

要因
次の要因が考えられます。
  • IPアドレスの設定が誤っています。
  • デフォルトゲートウェイの設定が誤っています。
  • サブネットマスクの設定が誤っています。
  • ファイアウォールでポート番号22がふさがっています。
対処
接続先情報(IPアドレス,デフォルトゲートウェイ,サブネットマスク)が正しいか確認してください。また,接続先のファイアウォールの設定が正しいか確認してください。

(7) SSHプロトコルで監視対象ホストから情報を取得する際に,情報取得が失敗する

要因
情報取得時※1にバックグラウンドプロセスからの出力や,ブロードキャストメッセージ※2が出力されることで,監視対象ホストからの取得情報が不正となる場合があります。
この監視の問題は,ホストの探索,構成情報取得,状態情報取得,性能情報取得,OSリブート,スクリプト実行のどの処理でも発生することがあります。
例えば,探索の処理でホストからの情報取得に失敗した場合は,次のメッセージが表示されることがあります。
「SSH接続は成功しましたが,サポートしていないOSが起動しているサーバです。(IPアドレス=xxx.xxx.xxx.xxx)」
注※1 OSユーザーのシェル環境でコマンドを実行することで情報を取得します。
注※2 wallコマンドによる通知,shutdown時の警告メッセージなどを指します。
対処
情報取得に失敗した場合は,失敗した処理を再度実行してください。

(8) 管理対象のSSH接続に時間が掛かり,認証エラーとなる

要因
次の要因が考えられます。
  • パスワードを入力しないでsuコマンドの実行を許可する設定が有効になっています。
  • 通信障害が発生しています。
対処
要因に応じて対処してください。
  • JP1/ITRMで接続するユーザーで管理対象サーバにログインして次のコマンドを入力した場合,「パスワードの入力待ち」状態になることを確認してください。
    su - root
    「パスワードの入力待ち」状態にならない場合,パスワードを入力しないでsuコマンドの実行を許可する設定を無効にしてください。
  • 通信障害が発生していないか確認してください。通信障害が発生している場合,通信障害の要因を取り除いてください。

(9) 過去に記録されているITリソースの稼働状態,性能情報が管理対象サーバ側の情報と一致しなくなった

要因
管理対象サーバのハードウェアの認識順序が変わったためであると考えられます。
(管理対象の構成変更,OS再起動によるハードウェアの認識順序の変更などの場合)
対処
管理対象サーバをいったん削除し,再度探索を実施してください。
ただし,管理対象サーバを削除した場合,これまで記録されている稼働状態,性能などの情報は削除されます。

(10) 接続状態,認証状態,ディスクの空き容量,性能に問題がないにもかかわらず,ITリソースの状態が正常な状態にならない

要因
コンポーネントの状態に問題が発生しているおそれがあります。
対処
次の手順で対処してください。
  1. [イベント]タブに表示される状態監視のエラーのイベントから,コンポーネント(ネットワークアダプタなど)の問題を通知しているイベントがないか確認する。
  2. 該当するイベントのコンポーネントの障害を取り除き,対象のITリソースの情報を再収集する。