6.2.9 ストレージの設定

ここでは,ストレージの設定について説明します。

JP1/ITRMが管理できるストレージの種類は次のとおりです。

なお,具体的な機種や型番などの詳細情報については,サポートサービスサイトのJP1/ITRMについて説明しているページを参照してください。

<この項の構成>
(1) Hitachi AMS/WMS/SMSシリーズの場合
(2) SMI-Sストレージの場合

(1) Hitachi AMS/WMS/SMSシリーズの場合

Hitachi AMS/WMS/SMSシリーズの場合に設定する内容について説明します。

(a) ノードの接続情報

Hitachi AMS/WMS/SMSシリーズを管理対象とする場合に必要なノード接続情報を指定します。指定する内容について,次の表に示します。

表6-14 Hitachi AMS/WMS/SMSシリーズの接続に必要な情報

必要な情報説明指定の要否
IPアドレスHitachi AMS/WMS/SMSシリーズに接続するためのIPアドレスを指定します。
ユーザーIDHitachi AMS/WMS/SMSシリーズの認証機能が有効になっていた場合に,ストレージにログインするためのアカウントを指定します。認証機能の種類を次に示します。
  • Account Authentication
    Hitachi AMS/WMS/SMSシリーズに登録されたアカウントの情報によって,アクセスするユーザーの認証と,リソースへのアクセス(参照および設定)を制御します。
  • Password Protection
    任意の日立ストレージに対して,アクセスを許可するHitachi Storage Navigator Modularのユーザーに限定して,複数のユーザーからの同時アクセスを防止します。
パスワードユーザーIDのパスワードを指定します。
(凡例)
○:必ず指定する。
△:必要に応じて指定する。
注※
Password Protectionは,複数のユーザーが同時にログインできません。例えば,ある管理者がストレージにログインすると,ログアウトするまでの間,ほかの管理者はストレージにログインできません。このため,JP1/ITRMでHitachi AMS/WMS/SMSシリーズの認証機能を利用する場合は,Account Authenticationをお勧めします。

Account AuthenticationまたはPassword Protectionのどちらかが有効になっている場合,その認証機能のユーザーIDおよびパスワードを指定する必要があります。認証機能が無効になっている場合は不要です。

それぞれの認証機能で必要なユーザーIDおよびパスワードの要件を次の表に示します。なお,ユーザーID,パスワードの文字列,およびロールの事前確認は実施しません。

表6-15 Hitachi AMS/WMS/SMSシリーズ認証機能の設定内容

項目Account AuthenticationPassword Protection
ロール(操作権限)ユーザーIDのアカウントには,次のどちらかのロールが割り当てられているようにしてください。
  • Storage Administrator(View Only)
  • Storage Administrator(View and Modify)
なし
(b) SSL接続

JP1/ITRMとHitachi AMS/WMS/SMSシリーズ間の接続は,非セキュアな通常接続およびSSL接続の両方をサポートします。JP1/ITRMがサポートしている接続方法を自動で判断して,決定します。両方の接続をサポートしている場合は,SSL接続します。

なお,SSL接続の際,証明書の期限,証明機関などを確認しません。

(2) SMI-Sストレージの場合

SMI-Sストレージの場合に設定する内容について説明します。

(a) SMI-Sストレージを管理対象にするための条件

JP1/ITRMでSMI-Sストレージを管理する場合,SMI-Sに対応していて,かつCIMサービスが稼働していることが条件となります。

なお,SMI-Sには前提条件があります。SMI-Sのバージョンおよび使用する機能の詳細について,次の表に示します。

表6-16 SMI-Sのバージョンおよび機能

項目説明
SMI-Sのバージョン1.0~1.5
使用する機能
オブジェクト操作機能
CIMデータモデルを操作したり,参照したりする機能です。
(b) SMI-S環境の構築

SMI-Sは,CIMサーバおよびCIMクライアントで構成されます。SMI-Sストレージを管理するときは,JP1/ITRMはCIMクライアントとなり,クライアントAPIを利用してCIMサーバからノード情報を取得します。このため,事前にCIMサーバの環境構築が必要となります。

SMI-Sストレージ連携機能の機器構成を次の図に示します。

図6-2 SMI-Sストレージからの情報を取得するためのSMI-S構成

[図データ]

図中で説明しているそれぞれのモデルについて,準備する内容を次に示します。

Embeddedモデル
ハードウェア内にあらかじめCIMサーバが組み込まれたストレージです。SMI-Sインターフェースのプログラムが組み込まれているため,ハードウェアから直接情報を取得できます。
ストレージのマニュアルを参照して,ベンダ専用のAPIなどでCIMサーバの起動や,HTTPまたはHTTPSのどちらで接続するかなどの設定を実施してください。
Proxyモデル
SMI-SプロバイダーをインストールしたCIMサーバで管理することで,情報を取得できるストレージです。SMI-Sプロバイダーは,SMI-Sに対応した機器のベンダが提供します。
Proxyモデルでは,複数のノードを管理できるCIMOM(CIM Object Manager)および単一のノードを管理できるAgentと呼ばれる2種類の構成があります。これらの区別は特になく,SMI-Sプロバイダーと呼ばれています。
それぞれのベンダは,SMI-S対応機種のSMI-Sプロバイダーおよびインストール手順を用意しています。ベンダのホームページを参照したり,直接ベンダに問い合わせたりして,SMI-Sプロバイダーの入手,インストール,および設定を実施してください。
注意事項
  • SMI-Sで接続するTCPポート番号は,デフォルトの場合5988または5989です。同じホスト上に別々のノードを管理するSMI-Sプロバイダーをインストールする場合,一方のSMI-Sプロバイダーはデフォルトのポート番号で問題ありませんが,もう一方のSMI-Sプロバイダーはほかのポート番号を指定する必要があります。
  • ホストとストレージを接続するFCスイッチをあらかじめ設定してください。
  • ゾーニングの設定が必要な場合,あらかじめ設定してください。
  • ストレージのすべてのコントローラをネットワークに接続し,Hitachi Storage Navigator Modularなどの管理ソフトウェアで,コントローラにIPアドレスを設定してください。その上で,Hitachi Device Managerで管理しているストレージの,すべてのコントローラのIPアドレスを設定してください。
(c) 前提ソフトウェア(SANRISE9500V,Hitachi USP V/VM,およびHitachi VSPの場合)

Hitachi Device Managerのサポートバージョンや管理できるストレージの種類については,サポートサービスサイトのJP1/ITRMについて説明しているページを参照してください。

(d) ノードの接続情報

SMI-Sストレージを管理対象とする場合に必要なノード接続情報を指定します。指定する内容について,次の表に示します。

接続するノードは,SMI-SストレージのノードまたはSMI-Sストレージを管理するCIMサーバ(SMI-Sプロバイダー)です。これらをまとめて,ここではCIMサーバと表記します。

表6-17 SMI-Sストレージを管理対象にする場合のノード接続情報

必要な情報説明指定の要否
IPアドレスCIMサーバに接続するためのIPアドレス(IPv4)を指定します。
例えば,SMI-SプロバイダがHitachi Device Managerの場合は,Hitachi Device ManagerのIPアドレスを指定します。
ネームスペースCIMサーバに接続するために必要なネームスペースを指定します。ネームスペースとは,CIMクラスおよびインスタンス(オブジェクト)を分類するユニットです。
同名のCIMクラスが異なるネームスペースにある場合,別々のCIMクラスとして管理されるため,ベンダとモデルから,適切なネームスペースを指定してください。なお,SMI-S1.0~1.5に対応するネームスペースについては,SMI-Sストレージのドキュメントを参照してください。
ただし,HVM上で仮想ホストのデプロイや削除を実行するストレージの場合は,「/root/smis/smis14」または「/root/smis/smis15」を指定してください。対象のストレージについては,サポートサービスサイトのJP1/ITRMについて説明しているページを参照してください。
SSL有無CIMサーバとの接続方法をtrueまたはfalseで指定します。
  • trueを指定した場合
    SSL通信となります。接続形式を次に示します。
    https://IPアドレス/ネームスペース:ポート番号
  • falseを指定した場合
    非SSL通信となります。接続形式を次に示します。
    http://IPアドレス/ネームスペース:ポート番号
ポート番号CIMサーバがCIMクライアントを待ち受けするTCPポート番号を指定します。
省略した場合,SSL有無で指定した内容に応じて,次に示すポート番号を使用します。
  • trueを指定した場合
    5989
  • falseを指定した場合
    5988
ユーザーIDCIMサーバに接続するためのユーザーIDを指定します。アカウントには,SMI-Sプロバイダーで設定したユーザーIDなどが該当します。
HVMを管理対象にする場合は,SMI-Sプロバイダーの管理者またはJP1/ITRM用のユーザーを指定してください。
パスワードユーザーIDを指定した場合にパスワードを指定します。
(凡例)
○:必ず指定する。
△:必要に応じて指定する。
注※
SMI-Sプロバイダーによっては,アカウントが不要になるため,省略できる場合があります。

(e) Hitachi AMSシリーズまたはBRシリーズをHVMで使用する場合の注意事項

次のすべての条件に該当する場合,ホストグループと存在しないLUのマッピング情報が削除されずに残ってしまう問題が発生します。

これらの条件を満たす場合,ホストグループと存在しないLUのマッピング情報が削除されずに残ってしまう問題が発生します。マッピング情報に存在しないLUの情報が残っていると,JP1/ITRMからデプロイを実行した場合に,JP1/ITRMが作成したLUが意図しないホストグループからも参照できる状態となる場合があります。そのため,管理対象にする前に,ストレージのホストグループに設定されているLUマッピングの設定を解除しておく必要があります。JP1/ITRMでSMI-Sストレージを管理対象にする場合,LUマッピングで存在しないLUがホストグループに設定されていないことを確認してください。

なお,Hitachi Device Managerだけでストレージを管理している場合は,この注意事項は該当しません。

ストレージのLUマッピングの状態を確認して,LUマッピングの設定を解除する手順を次に示します。

  1. Hitachi Storage Navigator Modular 2がインストールされているマシンに,Hitachi Storage Navigator Modular 2 for Windows(CLI)をインストールする。
  2. Hitachi Storage Navigator Modular 2 for Windows(CLI)でauunitaddauto.exeを実行し,管理対象となっているストレージをHitachi Storage Navigator Modular 2 for Windows(CLI)に登録してください。
    実行例

    auunitaddauto.exe -ip 192.168.xxx.xxx

    auunitaddauto.exeを実行後,コマンドプロンプトの手順に従いアレイ装置を登録します。
  3. Hitachi Storage Navigator Modular 2 for Windows(CLI)でauhgmap.exeを実行し,ホストグループとマッピング済みのLUの一覧を取得する。
    実行例

    auhgmap.exe -unit AMS2300_xxxxxxxx -refer

  4. Hitachi Storage Navigator Modular 2 for Windows(CLI)でaulurefコマンドを実行し,LUの一覧を取得します。
    実行例

    auluref -unit AMS2300_xxxxxxxx

  5. 手順3で取得したホストグループの一覧にマッピング済みのLUの番号があり,手順4で取得したLUの一覧にLUの番号がないものを検出する。
    差分が検出された場合,ホストグループには存在しないLUが,設定されている状態です。LUが生成された時点でホストグループに自動的にマッピングされます。
  6. 手順5で差分が検出されたホストグループからLUの設定を,Hitachi Storage Navigator Modular 2で解除する。
    実行例(コントローラ番号が「1」,ポート番号が「A」,ホストグループ番号が「000」,H-LUNが「0」,LUが「4094」の場合)

    auhgmap -unit AMS2300_xxxxxxxx -rm 1 A 000 0 4094

  7. 手順5で差分が無くなるまで,手順3,手順5,手順6を繰り返す。

この対処以降,Hitachi Storage Navigator Modular 2を使用してLUを削除する場合は,ホストグループからLUのマッピングを解除したうえで,LUを削除してください。

また,この問題は,対象のストレージのファームウェアをアップデートすることで回避できます。ファームウェアをアップデートすると,LUを削除する前に,ホストグループからLUのマッピングの削除が必要になり,この問題が発生しなくなります。なお,ファームウェアのバージョンについては,リリースノートを参照してください。