adshcollectコマンド(資料を採取する)

形式

adshcollect 保守情報出力先ディレクトリ [-f 定義ファイル名] [-e 環境ファイル名

機能

adshcollectコマンドによって,障害調査のための資料を一括して収集できます。

このコマンドは,障害発生時の実行ユーザーの権限で実行する必要があります。

引数

使用方法

JP1/Advanced Shellを標準的な構成でインストールした場合のコマンドの使用手順を次に示します。

  1. 環境ファイルには障害が発生したときの環境ファイルを指定してください。また,環境ファイルを障害発生時の運用環境に合わせて書き換えてください。詳細については,「2.6 JP1/Advanced Shellの環境情報を設定する」を参照してください。
  2. 定義ファイルは必要に応じて,任意の場所に作成してください。coreまたはdumpを採取する必要がない場合は作成および定義は不要です。
  3. JP1/Advanced Shellの運用で使用しないディレクトリを保守情報出力先ディレクトリに指定してadshcollectコマンドを実行します。
    保守情報のファイルが作成されます。保守情報の出力先は書き込み可能であり,十分な空き容量があることが必要です。JP1/Advanced Shellで使用しないディレクトリである必要があります。
    /tmpディレクトリを使用した例を次に示します。

    /opt/jp1as/maintenance/adshcollect /tmp

定義ファイルと環境ファイルの設定

定義ファイルと環境ファイルでadshcollectコマンドの動作を定義します。定義ファイルは,キーワードと値をスペースで区切って記述します。ファイル名はすべて絶対パスで指定します。

定義ファイルのキーワードと指定の関係について次の表に示します。定義ファイルにはCOREおよびDUMP以外を指定できません。例えば,コメントなどは記入できません。

表10-6 定義ファイルのキーワードと指定の関係

キーワード内容指定複数指定ワイルドカード
DUMP【Windows限定】ワトソンログなど,Windowsで採取したいダンプファイルを指定します。ワトソンログについては,Windowsの資料を参照してください。
パスにスペースがある場合は,ダブルクォーテーションで囲ってください。
任意×
CORE【UNIX限定】coreファイルを障害情報として採取する必要があるとき,ファイルを格納しているディレクトリ名を指定します。指定したディレクトリ以下にある,名前の一部に「core」と付いたファイルを一括して採取します。任意×
(凡例)
○:指定できます。
×:指定できません。
注※
DUMPキーワードは,16個まで指定できます。

環境ファイルのキーワードと指定の関係について次の表に示します。なお,環境ファイルに指定がない場合,パス名のデフォルト値の各情報を採取します。

表10-7 環境ファイルのキーワードと指定の関係

キーワード内容指定複数指定ワイルドカード
SPOOL_DIRスプールディレクトリのパス名
パス名のデフォルト値は次のとおりです。
  • 実行環境の場合【Windows限定】
    全ユーザー共通文書フォルダ¥Hitachi¥JP1AS¥JP1ASE¥spool
  • 開発環境の場合【Windows限定】
    全ユーザー共通文書フォルダ¥Hitachi¥JP1AS¥JP1ASD¥spool
  • 実行環境の場合【UNIX限定】
    /var/opt/jp1as/spool
Windowsの場合でパスにスペースがある場合は,ダブルクォーテーションで囲ってください。
任意××
LOG_DIRシステム実行ログ出力先ディレクトリのパス名
パス名のデフォルト値は次のとおりです。
  • 実行環境の場合【Windows限定】
    全ユーザー共通文書フォルダ¥Hitachi¥JP1AS¥JP1ASE¥log
  • 開発環境の場合【Windows限定】
    全ユーザー共通文書フォルダ¥Hitachi¥JP1AS¥JP1ASD¥log
  • 実行環境の場合【UNIX限定】
    /opt/jp1as/log
Windowsの場合でパスにスペースがある場合は,ダブルクォーテーションで囲ってください。
任意××
TRACE_DIRトレースログ出力先ディレクトリのパス名
パス名のデフォルト値は次のとおりです。
  • 実行環境の場合【Windows限定】
    共通APデータフォルダ¥Hitachi¥JP1AS¥JP1ASE¥trace
  • 開発環境の場合【Windows限定】
    共通APデータフォルダ¥Hitachi¥JP1AS¥JP1ASD¥trace
  • 実行環境の場合【UNIX限定】
    /opt/jp1as/trace
Windowsの場合でパスにスペースがある場合は,ダブルクォーテーションで囲ってください。
任意××
(凡例)
×:指定できません。

定義ファイルと環境ファイルの指定例【Windowsの場合】

定義ファイルの指定例を次に示します。

#-adsh_conf DUMP "C:¥Program Files¥Hitachi¥JP1AS¥JP1ASE¥dump"

環境ファイルの指定例を次に示します。

#-adsh_conf SPOOL_DIR "C:¥Documents and Settings¥All Users¥Documents¥Hitachi¥JP1AS¥JP1ASE¥spool"
#-adsh_conf LOG_DIR "C:¥Documents and Settings¥All Users¥Documents¥Hitachi¥JP1AS¥JP1ASE¥log"
#-adsh_conf TRACE_DIR "C:¥Documents and Settings¥All Users¥Application Data¥Hitachi¥JP1AS¥JP1ASE¥trace"

定義ファイルと環境ファイルの指定例【UNIXの場合】

定義ファイルの指定例を次に示します。

#-adsh_conf  CORE  /home/user1/program1

環境ファイルの指定例を次に示します。

#-adsh_conf  SPOOL_DIR  /var/opt/jp1as/spool
#-adsh_conf  LOG_DIR  /opt/jp1as/log
#-adsh_conf  TRACE_DIR  /opt/jp1as/trace

ディスク使用量

adshcollectコマンドで採取するファイルの一覧

adshcollectコマンドで採取するファイルと最大サイズは,次の表に示すようにWindowsとUNIXで異なります。

表10-8 adshcollectコマンドで採取するファイルと最大サイズ【Windows限定】

ファイルの種類ファイル名最大サイズ採取
スプール[環境ファイルのSPOOL_DIR]¥adsh.jobid
環境ファイルで変更できます。パス名のデフォルト値については,「表10-7 環境ファイルのキーワードと指定の関係」を参照してください。
1KB程度
システム実行ログ(JP1/Advanced Shell)[環境ファイルのLOG_DIR]¥AdshLog.log
[環境ファイルのLOG_DIR]¥AdshLog_n.log(nは面数)
環境ファイルで変更できます。パス名のデフォルト値については,「表10-7 環境ファイルのキーワードと指定の関係」を参照してください。
[環境ファイルのLOG_FILE_SIZE]×(n+1) MB
[環境ファイルのLOG_DIR]¥AdshLog.conf
環境ファイルで変更できます。パス名のデフォルト値については,「表10-7 環境ファイルのキーワードと指定の関係」を参照してください。
1KB程度
UXPLの実行ログ共通APデータフォルダ¥Hitachi¥JP1AS¥JP1ASE¥uxpl¥spool¥uxpllog[n].txt(nは面数:最大2面)5MB
共通APデータフォルダ¥Hitachi¥JP1AS¥JP1ASD¥uxpl¥spool¥uxpllog[n].txt(nは面数:最大2面)5MB
共通APデータフォルダ¥Hitachi¥JP1AS¥misc¥uxpl¥spool¥uxpllog[n].txt(nは面数:最大2面)5MB
トレースログ
(JP1/Advanced Shell)
[環境ファイルのTRACE_DIR]¥AdshTrace_[n].log(nは面数:4面固定)
環境ファイルで変更できます。パス名のデフォルト値については,「表10-7 環境ファイルのキーワードと指定の関係」を参照してください。
[環境ファイルのTRACE_FILE_SIZE]×nMB
トレースログ(カスタムジョブ)共通APデータフォルダ¥Hitachi¥JP1AS¥JP1ASV¥trace¥AdshTrace_1.log1MB
トレースログ(エディタ)共通APデータフォルダ¥Hitachi¥JP1AS¥JP1ASD¥adshedit¥trace¥AdshTrace_1.log1MB
トレースログ
(JP1/Advanced Shell,JP1/Advanced Shell - Developer共通コマンド)
共通APデータフォルダ¥Hitachi¥JP1AS¥misc¥trace¥AdshTrace_[n].log(nは面数)8MB
トレースログ(エディタ独自機能)共通APデータフォルダ¥Hitachi¥JP1AS¥JP1ASD¥adshedit¥trace¥adshedit.txtユーザー環境の設定による
dumpファイル定義ファイルのDUMP以下のdumpファイルユーザー環境の設定による
環境ファイル環境変数ADSH_ENVのファイルまたは-eオプションで指定したファイル1KB程度
マシンに設定されているホスト名システムルートフォルダ¥system32¥drivers¥etc¥hostsユーザー環境の設定による
マシンに設定されているサービスポートシステムルートフォルダ¥system32¥drivers¥etc¥servicesユーザー環境の設定による
環境情報ファイルADSHTMPyyyymmddhhmmss.txt
(yyyymmddはadshcollectコマンドを起動した日付,hhmmssはadshcollectコマンドを起動した時刻)
ユーザー環境の設定による
(凡例)
○:adshcollectコマンドによって必ず採取します。
△:adshcollectコマンドのオプション指定時に採取します。

 

表10-9 adshcollectコマンドで採取するファイルと最大サイズ【UNIX限定】

ファイルの種類ファイル名最大サイズ採取
スプール[環境ファイルのSPOOL_DIR]/.jobid
デフォルト値あり。環境ファイルで変更できます。パス名のデフォルト値については,「表10-7 環境ファイルのキーワードと指定の関係」を参照してください。
1KB程度
システム実行ログ[環境ファイルのLOG_DIR]/AdshLog.log
デフォルト値あり。環境ファイルで変更できます。
[環境ファイルのLOG_DIR]/AdshLog_[n].log(nは面数)
パス名のデフォルト値については,「表10-7 環境ファイルのキーワードと指定の関係」を参照してください。
[環境ファイルのLOG_FILE_SIZE]×(n+1) MB
[環境ファイルのLOG_DIR]/AdshLog.conf
デフォルト値あり。環境ファイルで変更できます。パス名のデフォルト値については,「表10-7 環境ファイルのキーワードと指定の関係」を参照してください。
1KB程度
トレースログ[環境ファイルのTRACE_DIR]/AdshTrace_[n].log(nは面数)
デフォルト値あり。環境ファイルで変更できます。パス名のデフォルト値については,「表10-7 環境ファイルのキーワードと指定の関係」を参照してください。
[環境ファイルのTRACE_FILE_SIZE]×nMB
coreファイル定義ファイルのCOREのcoreファイルユーザー環境の設定による
環境ファイル環境変数ADSH_ENVのファイルまたは-eオプションで指定したファイル1KB程度
インストール済みの日立製品/etc/.hitachi/pplistd/pplistdユーザー環境の設定による
環境変数/etc/environmentユーザー環境の設定による
環境情報ファイルADSHTMPyyyymmddhhmmss.txt
(yyyymmddはadshcollectコマンドを起動した日付,hhmmssはadshcollectコマンドを起動した時刻)
ユーザー環境の設定による
tarのログADSHTARyyyymmddhhmmss.txt
(yyyymmddはadshcollectコマンドを起動した日付,hhmmssはadshcollectコマンドを起動した時刻)
1KB程度
(凡例)
○:adshcollectコマンドによって必ず採取します。
△:adshcollectコマンドのオプション指定時に採取します。

注意事項