コマンドの-dオプションを使用する場合,およびコマンドの共通引数のデフォルトを設定する場合に必要な作業について説明します。-dオプションを使用しない場合,またはコマンドの共通引数のデフォルトを設定しない場合は,次のそれぞれの作業は必要ありません。
(1) R/3あて先情報の-dオプションを使用できるようにする
JP1/AJS3 for EAPのコマンドラインで,R/3あて先情報に-dオプションを使用する場合,saprfc.iniファイルを作成しておく必要があります。運用方法に応じて,次のどちらかに(または,両方に)作成したsaprfc.iniファイルを使用します。
なお,saprfc.iniファイルは次のように検索されます。
通常,saprfc.iniファイルは,環境設定ファイルに指定したJP1/AJS3 for EAPの作業ディレクトリに作成します。特定のユーザー用にsaprfc.iniファイルを設定する場合は,任意のディレクトリにsaprfc.iniファイルを作成し,環境変数RFC_INIでsaprfc.iniファイルのパスを指定します。
JP1/AJS3 for EAPのインストール後,次のディレクトリにsaprfc.iniファイルのサンプルファイルが格納されています。
サンプルとして提供されているsaprfc.iniファイルを,JP1/AJS3 for EAPの作業ディレクトリ(または環境変数RFC_INIの指定先)に複写し,必要に応じて複写したsaprfc.iniファイルを編集してください。なお,環境変数RFC_INIを使用する場合は,あらかじめ環境変数RFC_INIを指定しておいてください。
また,環境変数RFC_INIに指定するsaprfc.iniファイルのパスは,絶対パスで指定してください。
saprfc.iniファイルの例を次の図に示します。saprfc.iniファイルの各項目の詳細については,R/3のマニュアルおよびオンラインヘルプを参照してください。
図2-5 saprfc.iniファイルの例
なお,saprfc.iniファイルの設定方法には,幾つかのタイプがあります(上の図は,タイプBの例です)。タイプによっては,servicesファイルおよびhostsファイルを編集する必要があります。各タイプの設定項目,およびservicesファイルとhostsファイルの編集が必要かどうかについては,R/3のマニュアルおよびオンラインヘルプを参照してください。
(2) コマンドの共通引数(R/3あて先情報およびR/3ログオン情報)のデフォルトを設定する
JP1/AJS3 for EAPのコマンドラインで,共通引数(R/3あて先情報およびR/3ログオン情報)の指定を省略する場合,r3defconファイルを作成する必要があります。r3defconファイルは,ユーザーアカウントに指定したホームディレクトリに作成します。
Windowsで,ファイルシステムにNTFS形式を使用している場合,r3defconファイルの情報の漏えいを防ぐために,ユーザーごとに異なったホームディレクトリを指定しておくことをお勧めします。なお,ファイルシステムにFAT形式を使用している場合,r3defconファイルの情報をファイルレベルで保護することはできません。
UNIX系OSの場合,r3defconファイルの情報の漏えいを防ぐために,r3defconファイルには,コマンドを実行するユーザーだけがファイルを読み取れるアクセス権を指定しておくことをお勧めします。
r3defconファイルの作成例を次の図に示します。
図2-6 r3defconファイルの作成例
r3defconファイルでの文法は,次のとおりです。
[section]
key=string
次に,r3defconファイルに指定できるkeyをセクションごとに説明します。
R/3ログオン情報の指定を省略する場合に,logon(ログオンセクション)を指定します。logonに指定できるkeyを次の表に示します。
表2-8 logonに指定できるkey
key | stringに指定できる値 | 説明 |
---|---|---|
Client | 1~3バイトの文字列 (文字列に使用できるのは,数字だけです) | R/3システムにログオン時のR/3クライアントのクライアント番号を指定します。なお,R/3クライアント番号をR/3システムに送るときには,1~2バイトで指定したクライアント番号は必ず3バイトに変換されます。 例えば,クライアント番号が「001」の場合,「1」,「01」,または「001」の3パターンの指定ができます。ただし,R/3システムには,必ず3バイト形式のクライアント番号「001」が送られます。 |
User | 1~12バイトの文字列 | R/3システムにログオン時のSAPユーザー名を指定します。 指定できるSAPユーザーについては「2.2.9 ジョブ制御用のSAPユーザーを用意する」を参照してください。 |
Passwd | 1~8バイトの文字列 | R/3システムにログオン時のSAPユーザーに指定したパスワードを指定します。 |
Passwd2 | 1~40バイトの文字列 | R/3システムにログオン時のSAPユーザーに指定した拡張パスワードを指定します。 拡張パスワードとは,SAP NetWeaver 7.0 以降をベースとしたSAPシステムで拡張されたパスワードルールです。パスワードの文字数は40バイト以内まで指定でき,さらに英字の大文字・小文字が区別されます。 |
Lang | 1バイトの文字列 (文字列に使用できるのは,英字だけです) | R/3システムで使用できる言語種別を指定します。指定できる言語種別については,R/3のマニュアルおよびオンラインヘルプを参照してください。 例えば,「J」を指定すると,日本語が設定されます。「E」を指定すると,英語が設定されます。 |
R/3あて先情報の指定を省略する場合に,address(アドレスセクション)を指定します。addressに指定できるkeyを次の表に示します。
表2-9 addressに指定できるkey
key | stringに指定できる値 | 説明 |
---|---|---|
Host | 1~100バイトの文字列 | 接続先のR/3システムのホスト名を指定します。 |
Sysno | 1~2バイトの文字列 (文字列に使用できるのは,数字だけです) | 接続先のR/3システムのホストのSAPシステム番号を指定します。 |
Dest | 1~64バイトの文字列 | saprfc.iniファイルに定義したあて先(DESTの値)を指定します。 |