3.2.1 公開するルートジョブネットを検討する
JP1/AJS3 - Managerに定義されているルートジョブネットの中から,Clientユーザーに実行させたいルートジョブネット,または監視させたいルートジョブネットを洗い出し,公開ジョブネットとして登録するかどうかを検討します。また,ルートジョブネットを用途やClientユーザーごとに分けて公開するかどうかも検討します。
- 注意事項
- 公開ジョブネットとして登録できるユニット種別は,ルートジョブネットだけです。それ以外のユニット種別は登録できません。また,プランニンググループ配下のルートジョブネットは,Clientユーザーに実行させることはできません。
- <この項の構成>
- (1) Clientユーザーに実行させるルートジョブネットを検討する
- (2) Clientユーザーに監視させるルートジョブネットを検討する
- (3) ルートジョブネットを複数の公開ジョブネットとして登録する
(1) Clientユーザーに実行させるルートジョブネットを検討する
Clientユーザーに公開ジョブネットを実行させる場合,公開ジョブネットには次のようなルートジョブネットを選択します。
- 非定型業務を定義したルートジョブネット
- 業務の担当者の判断が契機となって実行するルートジョブネット
Clientユーザーに実行させるルートジョブネットは,Clientユーザー用に新しく定義し直すことを推奨します。JP1/AJS3で新しくルートジョブネットを定義し直す場合は,「3.2.2 JP1/AJS3 - Managerでのルートジョブネットの設定を検討する」を参考に,設定を検討してください。
既存のルートジョブネットを公開ジョブネットに登録する場合は,Clientユーザーに実行させてよいかどうか,あらかじめ検討する必要があります。
- 実行結果を確認できる公開ジョブネットについて
- Clientユーザーに公開ジョブネットを実行させる場合,Clientユーザーは,自分が実行した世代の実行結果だけを確認できます。ほかのClientユーザーが実行した公開ジョブネットや世代は確認できません。
- また,Clientユーザーが公開ジョブネットの予約状況を確認する場合も,自分が予約した実行予定だけが確認できます。
- 複数のClientユーザーが一つの公開ジョブネットを実行した場合の,Clientユーザーごとの実行結果の表示例を,次の図に示します。
図3-1 Clientユーザーごとの実行結果の表示例
![[図データ]](figure/zu030010.gif)
- この図に示すように,10:00にClientユーザーAが公開ジョブネットを実行した場合,JP1/AJS3 - Managerで世代1が「実行中」状態に遷移します。世代1を実行したClientユーザーAの画面には,世代1の状態が表示されます。ClientユーザーBの画面にはこの状態は表示されません。
- この公開ジョブネットが正常終了したあと,12:00にClientユーザーBが公開ジョブネットを実行した場合,JP1/AJS3 - Managerでは世代2が生成されます。世代2を実行したClientユーザーBの画面には世代2の状態が表示されますが,ClientユーザーAの画面では世代1の状態が表示されたままになります。
- 13:00に世代2が異常終了すると,ClientユーザーBの画面には「異常終了」と表示されますが,ClientユーザーAの画面では異常は通知されません。
(2) Clientユーザーに監視させるルートジョブネットを検討する
Clientユーザーに公開ジョブネットを監視させる場合,公開ジョブネットには次のようなルートジョブネットを選択します。
- 業務の担当者に現在の業務の状態を監視させたいルートジョブネット
- 業務に異常が発生した場合に,業務の担当者にすぐに異常の発生を通知したいルートジョブネット
- 業務が正常に実行していることを業務の担当者に常に通知しておきたいルートジョブネット
- 監視できる公開ジョブネットについて
- Clientユーザーに公開ジョブネットの実行状態を監視させる場合,Clientユーザーは,ほかのClientユーザーが実行した世代やJP1/AJS3 - Viewで実行した世代の中で最新の世代だけを監視できます。
- 複数のClientユーザーおよびJP1/AJS3 - Viewのユーザーが一つの公開ジョブネットを実行した場合の監視画面の表示例を,次の図に示します。
図3-2 Clientの監視画面の表示例
![[図データ]](figure/zu030020.gif)
- この図に示すように,9:00にClientユーザーAが公開ジョブネットを実行した場合,JP1/AJS3 - Managerで世代1が「実行中」状態で生成されます。この公開ジョブネットを監視すると,監視が許可されているすべてのClientユーザーの監視画面には最新世代である世代1の状態が表示されます。
- 世代1が正常終了したあと,11:00にClientユーザーBがこの公開ジョブネットを実行すると,JP1/AJS3 - Managerでは世代2が生成されます。すべてのClientユーザーの監視画面には,この公開ジョブネットの最新世代である世代2の状態が表示されます。世代2が異常終了すると,Clientユーザーの監視画面では監視アイコンが異常を通知します。
- 13:00にJP1/AJS3 - Viewを使用してこの公開ジョブネットを実行すると,新しく世代3が生成されます。Clientユーザーの監視画面には,最新世代である世代3の状態が表示されます。
- 注意事項
- 公開ジョブネットを監視させる場合,Serverが定期的にJP1/AJS3 - Managerと通信して,公開ジョブネットとして登録したルートジョブネットの実行状態を取得します。しかし,実行頻度の少ない非定型業務を定義したルートジョブネットを監視対象に登録していると,実行状態を取得しても長時間状態が変化しないため,通信処理の分だけマネージャーホストに負荷が掛かります。
- 実行頻度の少ない非定型業務については,監視が必要かどうかあらかじめ検討してください。
(3) ルートジョブネットを複数の公開ジョブネットとして登録する
JP1/AJS3 - Managerに定義されている一つのルートジョブネットを,用途やユーザーに応じて,複数の公開ジョブネットとして登録できます。
公開ジョブネットの登録例を次の図に示します。
図3-3 公開ジョブネットの登録例
![[図データ]](figure/zu030025.gif)
この図では,JP1/AJS3 - Managerに登録されているルートジョブネットjobnet_001を,「出庫一覧取得」および「入庫一覧取得」という二つの公開ジョブネットとして登録しています。それぞれの公開ジョブネットに異なる業務名を設定し,対応するClientユーザーがアクセスできるように設定することで,Clientユーザーによって異なる業務名を表示させることができます。この図の場合,ClientユーザーAの画面には「出庫一覧取得」と表示され,ClientユーザーBの画面には「入庫一覧取得」と表示されます。
このように,一つのルートジョブネットを目的に応じて複数の公開ジョブネットとして登録できます。
公開ジョブネットに設定する公開設定については,「3.2.4 公開ジョブネットの公開設定を検討する」を参照してください。