付録A.3 JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携時のセットアップ(UNIXホストの場合)

JP1/Cm2/NNMまたはHP NNMと連携して,NNMからJP1/AJS3 - ManagerおよびJP1/AJS3 - Agentを監視するには,NNMがインストールされているホストに,JP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS3 - Viewをインストールします。

JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携時のシステム構成例を次の図に示します。

図A-3 JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携時のシステム構成例

[図データ]

この例では,JP1/AJS3 - Viewで[JP1/Cm2状態通知]アクションジョブを定義・実行し,JP1/AJS3 - Viewと同じホストにあるNNMでJP1/AJS3 - ManagerおよびJP1/AJS3 - Agentの状態を監視しています。

JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携は,次に示すOSで使用できます。

NNMのマネージャー(NNMがインストールされている,監視する側のホスト)として使用する場合
  • Solaris(Solaris(x86)を除く)
    (JP1/AJS3 - Manager)
NNMのエージェント(NNMで監視される側のホスト)として使用する場合
  • Solaris(Solaris(x86)を除く)
    (JP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS3 - Agent)
  • AIX
    (JP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS3 - Agent)
  • Linux
    (JP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS3 - Agent)
補足事項
JP1/AJS3はNNMのエージェントとして,JP1/Cm2/Extensible SNMP AgentまたはHP Software SNMP拡張Agentの次に示す機能やファイルを使用します。
  • SNMPトラップの宛先の参照
  • snmptrapコマンド
  • 拡張MIB定義ファイル
このため,前提プログラムとしてJP1/Cm2/Extensible SNMP AgentまたはHP Software SNMP拡張Agentが必要です。

JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携時のセットアップ手順を次に示します。

図A-4 JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携時のセットアップ手順

[図データ]

JP1/Cm2/NNMまたはHP NNMのセットアップについては,マニュアル「JP1/Cm2/Network Node Manager ネットワーク管理ガイド」,またはHP NNMのドキュメントを参照してください。

JP1/Cm2/Extensible SNMP AgentまたはHP Software SNMP拡張Agentのセットアップについては,マニュアル「JP1/Cm2/Extensible SNMP Agent」,またはHP NNMのドキュメントを参照してください。

ここでは,連携するための環境設定について説明します。

<この項の構成>
(1) 連携するための環境を設定する
(2) SNMPトラップ送信を抑止する
(3) 送信するSNMPトラップをカスタマイズする
(4) JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携を解除する
(5) JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携時の注意事項

(1) 連携するための環境を設定する

JP1/Cm2/NNMまたはHP NNMと連携するために,ajsovsetupコマンドを実行して環境設定します。このコマンドは,監視する側(NNMがインストールされているホスト)および監視される側(JP1/AJS3 - ManagerまたはJP1/AJS3 - Agentがインストールされているホスト)の両方で実行します。

なお,スケジューラーの状態監視をする場合は,5分間隔でスケジューラーの状態を監視し,状態が変化したときにsnmptrapを発信する監視プロセスを設定する必要があります。監視プロセスを設定するには,次のようにjp1ajs_hstd.confファイルを編集してください。ただし,JP1/AJS3 - Agentがインストールされている場合は,スケジューラーの状態監視の設定は不要です。

jp1ajs_hstd.confファイル格納ディレクトリは,/etc/opt/jp1ajs2/confです。

JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携で送信するSNMPトラップを運用環境に合わせて変更する場合,JP1/Baseの共通定義情報およびJP1/Cm2/NNM,またはJP1/Baseの共通定義情報およびHP NNM連携用環境定義ファイルに環境設定パラメーターを設定します。環境設定パラメーターの一覧を次の表に示します。

表A-5 JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携の環境設定パラメーター一覧

定義先環境設定パラメーター定義内容
共通定義情報[JP1_DEFAULT¥JP1AOMAGENT¥ov_link]"TRAPRESTRAIN"=SNMPトラップ送信抑止の有無※1
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1AOMAGENT¥ov_link]"SNMPTRAPCUSTOM"=SNMPトラップ送信時のカスタマイズ情報参照レベル※2
"TRAPAGENTADDRHOST"=SNMPトラップ送信元ホスト名※2
"TRAPAGENTADDRIP"=SNMPトラップ送信元IPアドレス※2
"CUSTOMCOMMUNITY"=SNMPトラップ認証用コミュニティ名(NNMエージェント側)※2
JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携用環境定義ファイル※3
(/etc/opt/jp1ajs2/conf/jpoov.conf)
[SETSYMBOLCOMMUNITY]=SNMPトラップ認証用コミュニティ名(NNMマネージャー側)※2
注※1
この環境設定パラメーターに定義する内容の詳細については,「(2) SNMPトラップ送信を抑止する」を参照してください。
注※2
これらの環境設定パラメーターに定義する内容の詳細については,「(3) 送信するSNMPトラップをカスタマイズする」を参照してください。
注※3
JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携用環境定義ファイル中でマニュアルに記載されていないパラメーターは保守用のパラメーターです。値は変更しないでください。

(2) SNMPトラップ送信を抑止する

JP1/AJS3サービスは,NNMへJP1/AJS3オブジェクト用のSNMPトラップを送信しています。JP1/AJS3からのSNMPトラップ送信を抑止する場合,JP1/Baseの共通定義情報にSNMPトラップの抑止を設定する必要があります。なお,この設定は物理ホスト・論理ホスト共通の定義で,両方のホストに有効になります。

SNMPトラップ送信の抑止手順を次に示します。

  1. 次のコマンドを実行する。

    jajs_config -k "[JP1_DEFAULT¥JP1AOMAGENT¥ov_link]" "TRAPRESTRAIN"="Y"

    TRAPRESTRAINパラメーターには,SNMPトラップ送信を抑止するかどうかを指定します。SNMPトラップ送信を抑止する場合は「Y」を,抑止しない場合は「N」を指定します。デフォルトは「N」です。なお,SNMPトラップ送信を抑止しない場合は,「Y」と記述されている部分に「N」を指定してください。「Y」および「N」ではない値が指定されていると,トラップ送信時にエラーが発生します。

(3) 送信するSNMPトラップをカスタマイズする

(a) 送信元ホスト名をカスタマイズする場合

JP1/AJS3オブジェクト用のSNMPトラップを送信する際,通常は,送信元ホストとして物理ホストの名称およびIPアドレスが設定されますが,SNMPトラップを送信するホストが複数のIPアドレスを持つ場合,SNMPトラップの送信元ホスト名の明示的な指定が必要になることがあります。SNMPトラップの送信元ホスト名は,次のような場合に設定してください。

送信するSNMPトラップの送信元ホスト名をカスタマイズする場合は,SNMPトラップ送信時にカスタマイズ情報を参照するよう,JP1/Baseの共通定義情報に設定する必要があります。

●設定手順

設定手順を次に示します。

  1. 次のコマンドを実行して,環境設定パラメーターを設定する。

    jajs_config -k 定義キー名 "環境設定パラメーター名1"=定義内容1
    ["環境設定パラメーター名2"=定義内容2]
    ["環境設定パラメーター名3"=定義内容3]

●環境設定パラメーター一覧

表A-6 送信元ホスト名をカスタマイズする環境設定パラメーター一覧

定義キー環境設定パラメーター定義内容
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1AOMAGENT¥ov_link]※1"SNMPTRAPCUSTOM"=※2dword:{0|1|2}
"TRAPAGENTADDRHOST"=※3エージェントホスト名
"TRAPAGENTADDRIP"=※4IPアドレス
注※1
{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定します。
注※2
環境設定パラメーターSNMPTRAPCUSTOMには,SNMPトラップ送信時にカスタマイズ情報を参照するかどうかを指定します。送信元ホスト名を参照する場合は「1」を,カスタマイズ情報を参照しない場合は「0」を指定します。デフォルトは「1」です。
注※3
環境設定パラメーターTRAPAGENTADDRHOSTには,SNMPトラップ送信元ホストの名称を255バイト以内で指定します。デフォルトは,SNMPトラップを送信する物理ホストの名称です。
注※4
環境設定パラメーターTRAPAGENTADDRIPには,SNMPトラップ送信元ホストのIPアドレスを指定します。デフォルトは,SNMPトラップを送信する物理ホストのIPアドレスです。

(b) 認証用コミュニティ名をカスタマイズする場合

JP1/AJS3オブジェクト用のSNMPトラップでは,認証用コミュニティ名に"public"を使用しています。送信するSNMPトラップの認証用コミュニティ名をカスタマイズする場合は,SNMPトラップ送信時にカスタマイズ情報を参照するよう設定する必要があります。

●状態を監視される側(JP1/AJS3がインストールされている側)のSNMPトラップの認証用コミュニティ名をカスタマイズする場合

状態を監視される側(JP1/AJS3がインストールされている側)のJP1/AJS3オブジェクト用SNMPトラップの認証用コミュニティ名をカスタマイズする場合,JP1/Baseの共通定義情報に,カスタマイズ情報を参照する設定を行います。設定手順を次に示します。

  1. 次のコマンドを実行して,環境設定パラメーターを設定する。

    jajs_config -k 定義キー名 "環境設定パラメーター名1"=定義内容1
    ["環境設定パラメーター名2"=定義内容2]

    表A-7 認証用コミュニティ名をカスタマイズする環境設定パラメーター一覧

    定義キー環境設定パラメーター定義内容
    [{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1AOMAGENT¥ov_link]※1"SNMPTRAPCUSTOM"=※2dword:{0|1|2}
    "CUSTOMCOMMUNITY"=※3認証用コミュニティ名
    注※1
    {JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定します。
    注※2
    環境設定パラメーターSNMPTRAPCUSTOMには,SNMPトラップ送信時にカスタマイズ情報を参照するかどうかを指定します。認証用コミュニティ名を参照する場合は「2」を指定します。デフォルトは「1」です。
    注※3
    環境設定パラメーターCUSTOMCOMMUNITYには,認証用コミュニティの名称を255バイト以内で指定します。デフォルトは,「public」です。

注意事項
  • 送信元ホスト名と認証用コミュニティ名の両方をカスタマイズする場合,環境設定パラメーターSNMPTRAPCUSTOMには「2」を指定し,環境設定パラメーターTRAPAGENTADDRHOSTとTRAPAGENTADDRIPのどちらかと,CUSTOMCOMMUNITYを指定してください。
  • カスタマイズしたSNMPトラップをWindowsホストのNNMで受信する場合,NNMを「WinSNMPを使用しない」状態に設定しておく必要があります。詳細については,「NNMランタイムヘルプ」の「ovtrapd」に関する説明を参照してください。

●状態を監視する側(NNMがインストールされている側)のSNMPトラップの認証用コミュニティ名をカスタマイズする場合

状態を監視する側(NNMがインストールされている側)のJP1/AJS3オブジェクト用SNMPトラップのコミュニティ名を変更する場合,次のように,JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携用環境定義ファイル(/etc/opt/jp1ajs2/conf/jpoov.conf)にコミュニティ名を255バイト以内で指定します。

[SETSYMBOLCOMMUNITY]=認証用コミュニティ名

256バイト以上の名称を指定した場合,255バイト目までがコミュニティ名として使用されます。設定されたコミュニティ名は即時に有効になります。コミュニティ名のデフォルトは"public"です。

注意事項
  • 設定するコミュニティ名が空白を含む場合,コミュニティ名を「"(ダブルクォーテーションマーク)」で囲んで定義してください。
  • JP1/AJS3 - Viewだけがインストールされているホストの場合,JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携用環境定義ファイルのファイル名は,/etc/opt/jp1ajs2v/conf/jpoov.confです。

(4) JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携を解除する

JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携を解除する手順を説明します。

(a) 状態を監視される(JP1/AJS3がインストールされている)側のJP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携を解除する場合

状態を監視される側(JP1/AJS3がインストールされている側)の,JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携を解除する手順を次に示します。

  1. SNMPトラップの送信を抑止する場合は,SNMPトラップ送信を抑止する。
    SNMPトラップ送信を抑止する手順については,「(2) SNMPトラップ送信を抑止する」を参照してください。
  2. ajsovremoveコマンドを実行する。

(b) 状態を監視する(NNMがインストールされている)側のJP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携を解除する場合

状態を監視する側(NNMがインストールされている側)の,JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携を解除する手順を次に示します。

  1. 状態の監視対象である,JP1/AJS3 - ManagerまたはJP1/AJS3 - Agentがインストールされているすべてのホストで,JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携を解除する。
    JP1/AJS3 - ManagerまたはJP1/AJS3 - Agentの,JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携を解除する手順については,「(a) 状態を監視される(JP1/AJS3がインストールされている)側のJP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携を解除する場合」を参照してください。
  2. 状態を監視する側のホストで,ajsovsymremコマンドを実行する。
  3. NNMの画面が起動されていない場合は,NNMの画面を起動する。
  4. NNMの画面で,[管理]-[JP1/AJS2の管理]-[シンボルの作成]-[すべてのホストに]を選択する。
    すべてのホストのサブマップ上にある,JP1/AJS3のシンボルが削除されます。
  5. JP1/AJS3のシンボルが存在していたサブマップを開き,[マップ]-[サブマップ]-[プロパティ]を選択する。
    [サブマップ・コンテキスト]ダイアログボックスが表示されます。
  6. 「isJP1AJS2ObjExist」を選択し,削除する。
    JP1/AJS3のシンボルが存在していたサブマップに登録されている,JP1/AJS3のコンテキストが削除されます。
  7. NNMの画面を閉じる。
  8. ajsovremoveコマンドを実行する。
    JP1/AJS3のJP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携の定義が,NNMから削除されます。

(c) 状態を監視される(JP1/AJS3がインストールされている)側と状態を監視する(NNMがインストールされている)側が同一ホスト上にあるときにJP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携を解除する場合

状態を監視される(JP1/AJS3がインストールされている)側と状態を監視する(NNMがインストールされている)側が同一ホスト上である場合のJP1/Cm2/NNM,またはHP NNM連携を解除する手順を次に示します。

  1. SNMPサービスの設定で,トラップの宛先から自ホストを削除する。
  2. ajsovsymremコマンドを実行する。
  3. NNMの画面が起動されていない場合は,NNMの画面を起動する。
  4. NNMの画面で,[管理]-[JP1/AJS2の管理]-[シンボルの作成]-[すべてのホストに]を選択する。
    すべてのホストのサブマップ上にある,JP1/AJS3のシンボルが削除されます。
  5. JP1/AJS3のシンボルが存在していたサブマップを開き,[マップ]-[サブマップ]-[プロパティ]を選択する。
    [サブマップ・コンテキスト]ダイアログボックスが表示されます。
  6. 「isJP1AJS2ObjExist」を選択し,削除する。
    JP1/AJS3のシンボルが存在していたサブマップに登録されている,JP1/AJS3のコンテキストが削除されます。
  7. NNMの画面を閉じる。
  8. ajsovremoveコマンドを実行する。
    JP1/AJS3のJP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携の定義が,NNMから削除されます。

(5) JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携時の注意事項

(a) 全体的な注意事項

(b) NNMのホスト側の注意事項

(c) NNMのエージェント側の注意事項