(1) 資料採取ツールを実行する
資料採取ツールの実行手順および採取される資料について説明します。
(a) 資料採取ツールの実行手順
資料採取ツールを実行します。資料採取ツールのセットアップについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1 16. ログ情報の採取」を参照してください。
資料採取ツールの実行例を次に示します。
# /home/jp1ajs2/trouble.sh
資料採取ツールの実行結果は,デフォルトでは「/tmp/jp1ajs2/trouble/」の配下に次のファイルが出力されます。これらのファイルをバックアップしてください。
資料採取ツールは,クラスタ運用時,論理ホスト名を指定して資料を採取できます。また,採取する資料を限定するオプションも提供しています。次に資料採取ツールの文法について説明します。
_04
[-h 論理ホスト名]
[-f 格納ディレクトリ]
[-s]
[-t]
[-u]
[-e]
[-b]
[追加ファイル]
0 | 正常終了。 |
0以外の値 | 異常終了。 |
メッセージ | 説明 | 動作 |
---|---|---|
Directory ディレクトリ名 is created | ディレクトリを作成しました。 | 処理を継続します。 |
Overwrite file (ファイル名) ok? | (ファイル名)を上書きしてよろしいですか? 処理を継続する場合は「y」を,中止する場合は「n」を押してください。 | ユーザーの応答を待ちます。 |
[CAUTION] When a target program is not installed, or when file access fails because some other process is using the file or because a necessary file-access permission is lacking, a message might be output that states that file access failed or a directory or file does not exist. Such a message does not indicate a problem. | 資料採取中に使用中,またはファイルがない場合に,このメッセージが出力されますが,問題はありません。 | 処理を継続します。 |
Output file name :(ファイル名) | (ファイル名)を作成しました。 | 処理を終了します。 |
Write permission error (ディレクトリ名) | 書き込み権限がありません。次の要因が考えられます。
| 処理を終了します。 |
Make directory (ディレクトリ名) is unsuccessful | ディレクトリが作成できませんでした。次の要因が考えられます。
| 処理を終了します。 |
Read permission error(ファイル名) | 読み込み権限がありません。 読み込み権限を付与したあと,再度実行してください。 | 処理を終了します。 |
File ファイル名 is not found | 追加ファイルに指定したディレクトリ,またはファイルがありません。 正しいパスを設定し,再度実行してください。 | 処理を終了します。 |
[ -s ] [ -f output-file ] [ -h Logical-Host-Name ] [ -t ] [ -u ] [ -e ] [ -b ] [ add-in-file ... ] | オプションの設定が誤っています。 正しく設定し,再度実行してください。 | 処理を終了します。 |
The collection of detailed information on EmbedDB _JF*※ begins. | 組み込みDBの詳細情報の採取を開始します。 | 処理を継続します。 |
The collection of detailed information on EmbedDB_JF*※ ended. | 組み込みDBの詳細情報の採取を終了します。 | 処理を継続します。 |
The collection of detailed information on JP1/Base begins. | JP1/Baseの詳細情報の採取を開始します。 | 処理を継続します。 |
The collection of detailed information on JP1/Base ended. | JP1/Baseの詳細情報の採取を終了します。 | 処理を継続します。 |
_04
_04 -h cluster
_04 -f /tmp/trouble /tmp/core
(b) 資料採取ツールで採取される資料
資料採取ツール(_04)では次の資料を採取できます。
採取された資料のディレクトリ名・ファイル名 | 内容 |
---|---|
/etc/hosts | hostsファイル |
/etc/passwd | passwdファイル |
/etc/services | servicesファイル |
/etc/.hitachi/pplistd/pplistd | インストール済みの日立製品情報 |
| 環境設定ファイル格納ディレクトリ |
/opt/HIRDB_J/spool/pdlckinf | 組み込みDBのデッドロックタイムアウト情報ファイル |
/opt/jp1/hcclibcnf/regdir | 共通定義情報 |
| パッチ情報 |
| syslogおよびsyslog格納ディレクトリ |
| 統合トレースログ |
/var/opt/jp1ajs2/log | ログファイル格納ディレクトリ |
/var/opt/jp1ajs2/log/_04.filelist | ファイルリスト |
/var/opt/jp1ajs2/log/_04.osinfo | OS関連情報 |
/var/opt/jp1ajs2/log/_04.processlist | プロセスリスト |
/var/opt/jp1ajs2/log/_04.backtrace | バックトレース情報 |
/var/opt/jp1ajs2/log/ajsagtshow.txt | ajsagtshowコマンドの実行結果 |
/var/opt/jp1ajs2/log/ajsagtprint.txt | ajsagtprintコマンドの実行結果 |
/var/opt/jp1ajs2/log/jajs_status.txt | jajs_statusコマンドの実行結果 |
/var/opt/jp1ajs2/log/ajsprof_スケジューラーサービス名_agent_stat.txt※2 | ajsprofstatusコマンドの実行結果(-t agent -sオプション) |
/var/opt/jp1ajs2/log/ajsprof_スケジューラーサービス名_agent_def.txt※2 | ajsprofstatusコマンドの実行結果(-t agent -pオプション) |
/var/opt/jp1ajs2/log/ajsprof_スケジューラーサービス名_unit_stat.txt※2 | ajsprofstatusコマンドの実行結果(-t unit -sオプション) |
/var/opt/jp1ajs2/log/ajsprof_スケジューラーサービス名_unit_def.txt※2 | ajsprofstatusコマンドの実行結果(-t unit -pオプション) |
/var/opt/jp1ajs2/sys | システムファイル格納ディレクトリ |
/var/opt/jp1ajs2/tmp/schedule/pd*.trc | 組み込みDBトレース情報 |
| ログファイル格納ディレクトリ |
/tmp/jp1ajs2/trouble※1/EMBDB/_JF*※3/conf | 組み込みDB定義ファイル |
/tmp/jp1ajs2/trouble※1/EMBDB/_JF*※3/spool | 組み込みDB障害調査ファイル |
/tmp/jp1ajs2/trouble※1/EMBDB/_JF*※3/etc | その他,調査に必要な組み込みDB情報 |
採取された資料のディレクトリ名・ファイル名 | 内容 |
---|---|
| ISAMおよびスケジューラーが使用する共有メモリー情報,コアダンプファイル,共有ライブラリー情報,運用プロファイル情報 |
| データベース格納ディレクトリ |
/tmp/jp1ajs2/trouble※1/embdbinfo/_JF*※3 | 組み込みDB詳細情報 |
/tmp/jp1ajs2/trouble※1/JP1BASE_INFO※5 | JP1/Base詳細情報 |
/追加採取資料※4 | 追加採取資料 |
採取された資料のディレクトリ名・ファイル名 | 内容 |
---|---|
/var/opt/jp1ajs2/jobinf | ジョブ情報格納ディレクトリ |
採取された資料のディレクトリ名・ファイル名 | 内容 |
---|---|
/共有ディレクトリ名/jp1ajs2/backup | バックアップファイル格納ディレクトリ |
/共有ディレクトリ名/jp1ajs2/conf | 環境設定ファイル格納ディレクトリ |
/共有ディレクトリ名/jp1ajs2/log | ログファイル格納ディレクトリ |
/共有ディレクトリ名/jp1ajs2/sys | システムファイル格納ディレクトリ |
/共有ディレクトリ名/jp1ajs2/tmp | 作業ファイル格納ディレクトリ |
/共有ディレクトリ名/jp1base/conf | 環境設定ファイル格納ディレクトリ |
/共有ディレクトリ名/jp1base/log | ログファイル格納ディレクトリ |
/共有ディレクトリ名/jp1ajs2/log/ajsagtshow.txt | ajsagtshowコマンドの実行結果 |
/共有ディレクトリ名/jp1ajs2/log/ajsagtprint.txt | ajsagtprintコマンドの実行結果 |
/共有ディレクトリ名/jp1ajs2/log/jajs_status.txt | jajs_statusコマンドの実行結果 |
/共有ディレクトリ名/jp1ajs2/log/ajsprof_スケジューラーサービス名_agent_stat.txt※2 | ajsprofstatusコマンドの実行結果(-t agent -sオプション) |
/共有ディレクトリ名/jp1ajs2/log/ajsprof_スケジューラーサービス名_agent_def.txt※2 | ajsprofstatusコマンドの実行結果(-t agent -pオプション) |
/共有ディレクトリ名/jp1ajs2/log/ajsprof_スケジューラーサービス名_unit_stat.txt※2 | ajsprofstatusコマンドの実行結果(-t unit -sオプション) |
/共有ディレクトリ名/jp1ajs2/log/ajsprof_スケジューラーサービス名_unit_def.txt※2 | ajsprofstatusコマンドの実行結果(-t unit -pオプション) |
/tmp/jp1ajs2/trouble※1/EMBDB_論理ホスト名/_JF*※3/conf | 組み込みDB定義ファイル |
/tmp/jp1ajs2/trouble※1/EMBDB_論理ホスト名/_JF*※3/spool | 組み込みDB障害調査ファイル |
/tmp/jp1ajs2/trouble※1/EMBDB_論理ホスト名/_JF*※3/etc | その他,調査に必要な組み込みDB情報 |
採取された資料のディレクトリ名・ファイル名 | 内容 |
---|---|
| 共有メモリーダンプ |
| データベース格納ディレクトリ |
/tmp/jp1ajs2/trouble※1/embdbinfo_論理ホスト名/_JF*※2 | 組み込みDB詳細情報 |
採取された資料のディレクトリ名・ファイル名 | 内容 |
---|---|
/共有ディレクトリ名/jp1ajs2/jobinf | ジョブ情報格納ディレクトリ |
(2) coreファイルを採取する
coreファイルが出力されている場合は,coreファイルを採取してください。
coreファイルは,次のディレクトリのうちのどれかに出力されます。
また,core解析に必要な情報だけを採取したい場合はajs2collectcoreコマンドを使用します。ajs2collectcoreコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド ajs2collectcore(UNIX限定)」を参照してください。
(3) プロセスの状態を確認する
psコマンドを使ってプロセスの動作状態を確認してください。
JP1/AJS3のプロセスの情報については,「付録B.3 プロセス一覧(UNIXの場合)」を参照してください。
(4) オペレーション内容を確認する
トラブル発生時のオペレーション内容を確認し,記録しておいてください。確認が必要な情報を次に示します。
表1-17 UNIXのマシン構成の調査に使用するコマンドの一覧
OS | OSのバージョンを 調査するコマンド | ホストに搭載されている 物理メモリー量を 調査するコマンド | プロセス情報および メモリー所要量を 調査するコマンド |
---|---|---|---|
HP-UX | /usr/bin/uname -a | /usr/sbin/dmesg | /usr/bin/ps -elf |
Solaris | /usr/bin/uname -a | /usr/sbin/prtconf | /usr/bin/ps -elf |
AIX | /usr/bin/uname -a | /usr/sbin/bootinfo -r | /usr/bin/ps -elf |
Linux | /bin/uname -a | /usr/bin/free (または, /bin/cat/proc/meminfo) | /bin/ps -elf |
(5) 組み込みDBの情報を採取する
組み込みDB使用時にエラーが発生した場合,次に示す情報が必要です。
それぞれの情報を採取する方法について説明します。
(a) 原因を調査するために必要な情報
原因を調査するために必要な資料は,大別すると,OSの情報と組み込みDBの情報に分かれます。OSの情報はOSのコマンドなどで採取します。組み込みDBの情報は組み込みDBのコマンドなどで採取します。
問題解決支援のサポートサービスを利用する場合,原因調査に必要な情報と取得方法をトラブルの形態ごとに次の表に示します。優先順位が最も高い場合を1として,7段階で示しています。
各トラブル形態の詳細は,次のとおりです。
表1-18 障害の原因調査のために必要な情報と取得方法
項番 | 区分 | 取得する情報 | 取得方法 | 性能 | 無応答 | 異常終了 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | OS | syslog | OSの機能(コマンド)で取得します。 | 1 | 1 | 1 |
2 | CPU利用率およびデバイス状況 | OSのコマンド(sarコマンドなど)で取得します。コマンドの詳細については,OSのマニュアルを参照してください。 | 3 | 4 | 3 | |
3 | プロセスのCPU稼働・メモリー状態 | OSのコマンド(topコマンドなど)で取得します。コマンドの詳細については,OSのマニュアルを参照してください。 | 3 | 4 | 3 | |
4 | 仮想メモリー情報 | OSのコマンド(vmstatコマンドなど)で取得します。コマンドの詳細については,OSのマニュアルを参照してください。 | 3 | 4 | 3 | |
5 | ネットワークステータス情報 | OSのコマンド(netstatコマンドなど)で取得します。コマンドの詳細については,OSのマニュアルを参照してください。 | 3 | 4 | 3 | |
6 | 組み込みDB | 組み込みDB障害情報 | 次のディレクトリ下にあるファイルをDATなどに取得してください。
| 2 | 2 | 2 |
7 |
| 2 | 2 | 2 | ||
8 |
| 2 | 2 | 2 | ||
9 | 組み込みDBシステム定義の情報 | 組み込みDB運用ディレクトリ/conf下のファイルをDATなどに取得してください。 | 4 | 5 | 4 | |
10 | SQLトレースファイルおよびエラーログファイル | 出力されたファイルをDATなどに取得してください。ファイル名はpderrまたはpdsqlで始まっています。 | - | 6 | 5 | |
11 | システムログファイル | ajsembdboplogコマンドでシステムログをアンロードします。アンロードログファイルをDATなどに取得してください。 | 6 | 7 | 6 |
(b) 組み込みDBの環境を再作成するために必要な情報
組み込みDBの運用中にトラブルが発生した場合,再現テストや原因究明のためにトラブルが発生した環境を作成する必要があるときがあります。そのため,次に示す,組み込みDBの環境を再作成するために必要な情報を採取してください。
組み込みDBの環境を再作成するために必要な情報を採取する手順を次に示します。
ajsembdbrorgコマンドの操作の説明や詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 10.2.2 データベースを再編成する場合」を参照してください。