バックアップしたJP1/AJS3 - Managerの設定情報をリカバリーする場合に,必要な作業を次の表に示します。
表2-16 JP1/AJS3 - Managerの設定情報のリカバリーで必要な作業
作業 | Windows | UNIX |
---|---|---|
物理ホスト環境および論理ホスト環境のリカバリー | ○ | ○ |
定義ファイルのリカバリー | ○ | ○ |
共有メモリーの情報のクリア | - | ○ |
スケジューラーサービス用データベースの作成 | ○ | ○ |
QUEUEジョブ,サブミットジョブ実行環境の作成 (QUEUEジョブ,サブミットジョブを使用する場合だけ) | ○ | ○ |
実行エージェント情報のリカバリー | ○ | ○ |
ユニット定義のリカバリー | ○ | ○ |
JP1/AJS3の起動(コールドスタート) | ○ | ○ |
JP1/AJS3 Consoleの設定情報のリカバリーとセットアップ (JP1/AJS3 Console機能を使用する場合だけ) | ○ | ○ |
次に,バックアップしたJP1/AJS3 - Managerの設定情報をリカバリーするときに必要な作業について説明します。
(1) 物理ホスト環境および論理ホスト環境のリカバリー
JP1/AJS3 - Managerのセットアップ後に,物理ホスト環境および論理ホスト環境をリカバリーします。リカバリーする場合に必要な設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1 3.1.2 JP1/AJS3 - Managerのセットアップ」(Windowsの場合)またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1 13.1.2 JP1/AJS3 - Managerのセットアップ」(UNIXの場合)を参照してください。
(2) 定義ファイルのリカバリー
バックアップしたファイルを,元の位置にリカバリーしてください。
なお,JP1/AJS2 - ManagerからJP1/AJS3 - Managerへの移行の際は,リカバリー後に「(10) 起動プロセス定義ファイルの変換」を実施してください。
(3) 共有メモリーの情報のクリア(UNIXの場合だけ)
JP1/AJS3が動作したときに共有メモリーに記憶するスケジューラーサービスの情報を消去してください。共有メモリーに情報が残っていると,リカバリーで回復するスケジューラーサービスに影響を与えるおそれがあります。共有メモリーの情報を消去する手順を次に示します。
# /opt/jp1ajs2/bin/ajsshmdel
(4) スケジューラーサービス用データベースの作成
スケジューラーサービスのデータベースが壊れている場合などは,データベースを再作成する必要があります。ここでは,データベースを再作成する手順について説明します。
なお,スケジューラーサービス用データベースの作成時には,すべてのJP1/AJS3サービスを停止してください。また,UNIXの場合は,「(3) 共有メモリーの情報のクリア(UNIXの場合だけ)」を行ってください。
スケジューラーサービス用データベースの作成手順を次に示します。
ajsembdbunset -e -id 組み込みDBセットアップ識別子
(5) QUEUEジョブ,サブミットジョブ実行環境の作成
リカバリーしたQUEUEジョブ,サブミットジョブ実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf)を使って,QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境を作成します。
なお,QUEUEジョブ,サブミットジョブ実行環境の作成時には,対象となる論理ホストのJP1/AJS3サービスを停止しておいてください。
リカバリーの手順を次に示します。
jpqimport -dt isam -ci jpqsetup.conf [-mh 論理ホスト名]
(6) JP1/AJS3の起動
コールドスタートでJP1/AJS3サービスを起動してください。
(7) 実行エージェント情報のリカバリー
実行エージェント情報のリカバリーに必要な作業について説明します。
次のコマンドを実行して,バックアップした実行エージェント定義ファイルから実行エージェント情報をリカバリーします。
ajsagtadd [-h 論理ホスト名] -f 実行エージェント定義ファイル [-i]
(8) ユニット定義のリカバリー
ジョブネットやカレンダーの設定情報のリカバリーに必要な作業について説明します。スケジューラーサービス単位でリカバリーしてください。
(a) ルートジョブグループ以外のユニットの定義情報をリカバリーする
次のコマンドを実行して,スケジューラーサービスにあるユニットの定義情報をリカバリーします。定義情報には,各ユニットの基準時刻やコメントなどすべての定義が含まれます。ルートジョブグループ(/)の基準時刻,基準日,月区分などは含まれません。これらの情報は次に示す「(b) ルートジョブグループの情報をリカバリーする」,「(c) ルートジョブグループのカレンダー情報をリカバリーする」の手順に従ってリカバリーしてください。
ajsdefine -F スケジューラーサービス名 unitbackup.txt
なお,ジョブグループやジョブネット単位に分割してバックアップした場合は,バックアップした単位に,次のコマンドを実行してリカバリーしてください。
ajsdefine -F スケジューラーサービス名 -d 定義先ユニット名 ユニット名_backup.txt
(b) ルートジョブグループの情報をリカバリーする
記録しておいたルートジョブグループの次の情報を設定してください。
(c) ルートジョブグループのカレンダー情報をリカバリーする
次のコマンドを実行して,バックアップしたルートジョブグループのカレンダー情報(運用日・休業日)をリカバリーします。
ajscalendar -F スケジューラーサービス名 -df rootcal.txt /
(9) JP1/AJS3 Consoleの設定情報のリカバリーとセットアップ
JP1/AJS3 Console機能を使用している場合は,次の作業を実施してください。
(a) JP1/AJS3 Consoleの設定情報のリカバリー
JP1/AJS3 Console用にバックアップしたファイルを元の位置にリカバリーしてください。
(b) JP1/AJS3 Consoleのセットアップ
JP1/AJS3 Console ManagerおよびJP1/AJS3 Console Agentのセットアップをしてください。
(10) 起動プロセス定義ファイルの変換
jajs_convert_to_spmdコマンドを実行して,システム管理の起動プロセス定義ファイルを変換します。この手順は,JP1/AJS2 - ManagerからJP1/AJS3 - Managerに移行する場合だけ実施してください。
実行例を次に示します。
(a) Windowsの場合
cd c:¥Program Files¥HITACHI¥JP1AJS2¥tools
jajs_convert_to_spmd -c standard
cd c:¥Program Files¥HITACHI¥JP1AJS2¥tools
jajs_convert_to_spmd -h LHOST -c standard
cd c:¥Program Files¥HITACHI¥JP1AJS2¥tools
jajs_convert_to_spmd -c ISAM
cd c:¥Program Files¥HITACHI¥JP1AJS2¥tools
jajs_convert_to_spmd -h LHOST -c ISAM
jajs_convert_to_spmdコマンドは移行用のツールであり,JP1/AJS3 - Managerのインストール先フォルダ¥toolsに格納されています。
(b) UNIX の場合
/opt/jp1ajs2/tools/jajs_convert_to_spmd -c standard
/opt/jp1ajs2/tools/jajs_convert_to_spmd -h LHOST -c standard
/opt/jp1ajs2/tools/jajs_convert_to_spmd -c ISAM
/opt/jp1ajs2/tools/jajs_convert_to_spmd -h LHOST -c ISAM
(c) 注意事項
JP1/AJS2 - Managerの運用をサブミットジョブの登録や操作に限定する設定を行っていた場合は,jajs_convert_to_spmdコマンドの起動プロセス定義ファイルを変換したあとに,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 7.1.2 QUEUEジョブ,サブミットジョブを使用する場合の設定」を参照して,JP1/AJS3 - Managerの運用をサブミットジョブの登録や操作に限定する場合の設定を行ってください。