13.1 ユーザーごとのジョブの稼働実績を知りたい

情報システム部門でJP1/AJS3 - Managerを統合して運用している場合,JP1/AJS3を使用するユーザーのうち,だれがどれだけJP1/AJS3を使用したか,ユーザーごとのジョブの稼働実績が必要となる場合があります。ここでは,ユーザーごとのジョブの稼働実績の収集方法について説明します。

<この節の構成>
(1) 背景
(2) 実現したいこと
(3) 解決方法
(4) 機能概要
(5) 設定例
(6) マニュアル記載個所
(7) 注意事項

(1) 背景

従来,企業では部門ごとにシステムを構築し,運用していました。しかし,部門ごとに別々に運用するシステムでは,情報の共有やリソースの転用が困難であり,多大な運用コストが発生していました。この問題を解決するため,システムを集約して最適化し,情報システム部門が運用するシステム上のアプリケーションをそれぞれの部門が利用するようになりました。

図13-1 情報システムの統合の例

[図データ]

(2) 実現したいこと

JP1/AJS3を情報システム部門で統合して運用するために,ジョブを「だれが」「いつ」「何を」「どこで」「どれだけ」実行したかという稼働実績を収集したい。

図13-2 稼働実績を収集する例

[図データ]

(3) 解決方法

JP1/AJS3が出力するJP1イベント(ジョブ正常終了イベント,ジョブ異常終了イベント,およびジョブ警告終了イベント)を参照すれば,ジョブを「だれが」「いつ」「何を」「どこで」「どれだけ」実行したかという稼働実績を取得できます。

取得できる稼働実績と,対応するJP1イベントの属性を次の表に示します。

表13-1 取得できる稼働実績と対応するJP1イベントの属性

項番知りたいこと対応するJP1イベントの属性
1だれが
  • ジョブネット登録ユーザー名
  • 実行先でのジョブ実行JP1ユーザー名
2いつ
  • 開始時刻
  • 終了時刻
  • 実行先での開始時刻
  • 実行先での終了時刻
3何を
  • ルートジョブネット名
  • ネストジョブネット/ジョブ名
  • ユニット種別
4どこで
  • ジョブネット登録元ホスト名
  • 実行先ホスト名
5どれだけ実行先でのジョブ実行時間
注※
JP1/AJS3 - Managerのバージョンが09-50以降の場合にだけ出力されます。

(4) 機能概要

JP1/AJS3が出力したJP1イベントを,jevexportコマンドでcsvファイルに出力して,ユーザーが任意の形式でジョブの稼働実績を編集できます。

図13-3 稼働実績の編集の例

[図データ]

(5) 設定例

2011年8月1日以降の毎週日曜日の午前1時に,過去1週間分(7日前から前日まで)のジョブ稼働実績を収集する例を次に示します。

  1. jevexportコマンドで使用するフィルターファイルを作成する。
    フィルターファイルは,次のように設定します。
    • 次のジョブ終了イベントを抽出する。
      ・ジョブ正常終了イベント(イベントID:4106)
      ・ジョブ異常終了イベント(イベントID:4107)
      ・ジョブ警告終了イベント(イベントID:4109)
      JP1イベントの属性値については,「付録A.2 JP1イベントの属性」を参照してください。
    • 7日前から前日まで(7日前から今日までの8日間のうち,今日を除いた7日間)に発生したイベントを抽出する。
    フィルターファイルの記述例を次に示します。
    B.ID IN 4106 4107 4109
    B.TIME WITHIN D 8
    EXCLUDE
    B.TIME WITHIN D 1
    フィルターファイルについては,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
  2. JP1/AJS3で,ジョブネットを作成する。
    次のようなジョブネットを作成します。

    [図データ]

    ルートジョブネットのスケジュールルール
    次のように設定します。
    ・開始年月日:2011年8月の第1日曜日
    ・開始時刻:01:00
    ・処理サイクル:毎週
    PCジョブの詳細定義
    次のように設定します。
    ・実行ファイル名:jevexport
    ・パラメーター:-o△出力ファイル名△-f△フィルターファイル名
  3. 手順2で作成したジョブネットを計画実行登録する。
    2011年8月1日以降の毎週日曜日の午前1時になると,PCジョブが実行されます。PCジョブの実行が終了すると,出力ファイル名に指定したファイルに,過去1週間分の稼働実績が出力されます。
  4. 表計算ソフトなどを使用して,出力ファイルから稼働実績を編集する。

(6) マニュアル記載個所

項目詳細項目参照個所
概要フィルターファイルマニュアル「JP1/Base 運用ガイド」
JP1イベントの属性値付録A.2 JP1イベントの属性
コマンド(jevexportコマンド)マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」

(7) 注意事項