8.9.5 イベントジョブを使用したDNS運用時にFQDN形式のホスト名での運用に変更する
ここでは,DNS環境でイベントジョブを使用していて,イベントジョブの実行エージェント名としてFQDN(Fully Qualified Domain Name)形式のホスト名を使用したい場合に必要な変更手順について説明します。
イベントジョブを使用していても,同一ネットワーク内および複数ドメインをまたがる環境でホスト名が重複しない場合,またはイベントジョブを使用しない場合は,特に設定する必要はありません。
DNS環境での運用および設定変更の要否については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 2.3.6 DNS環境での運用を確認する」を参照してください。
DNS環境でFQDN形式のホスト名による運用に変更する場合の作業の流れを次に示します。
図8-23 FQDN形式のホスト名に変更するときの作業の流れ
![[図データ]](figure/zj080950.gif)
DNS運用時にFQDN形式のホスト名で運用する場合に,マネージャーからエージェントに送るマネージャーホスト名を「FQDN形式のホスト名」にするための設定手順を次に示します。
- <この項の構成>
- (1) 標準構成の場合
- (2) 互換用ISAM構成の場合
(1) 標準構成の場合
- 実行中のイベントジョブおよび起動条件付きジョブネットを強制終了する。
- マネージャーホストのJP1/AJS3サービスを停止する。
- Windowsの場合
- Windowsの[コントロールパネル]の[管理ツール]で[サービス]を選択し,次に示すサービスを停止します。
-
- ・JP1/AJS3サービス
-
- UNIXの場合
- 次のコマンドを実行して,プロセスがすべて停止していることを確認します。
- なお,/etc/opt/jp1ajs2/jajs_stopについては,自動停止の設定がされているかを事前に確認してください。
-
- # /etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop
- # /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status
-
- マネージャーホストで次のコマンドを実行して,環境設定パラメーターを設定する。
jajs_config -k "[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1AJS2¥SCHEDULER¥EV¥MANAGER]" "DNSEstablish"="Y"
DNS運用時にFQDN形式のホスト名で運用する場合は,「Y」を指定します。「Y」の部分を「N」に置き換えると,FQDN形式のホスト名で運用されません。この場合,エージェントへはFQDN形式のホスト名ではなく,マネージャーホスト名※1を送ります。デフォルトは「N」です。
- すべてのエージェントホストで,マネージャーホストのFQDN形式のホスト名を名前解決できるようにする。
- マネージャーホストで,すべてのエージェントホストのFQDN形式のホスト名を名前解決できるようにする。
- マネージャーホストのJP1/AJS3を再起動する。
手順3で設定した内容が反映されます。
- エージェントホストのJP1/AJS3サービスを停止する。
- エージェントホストでjpoagoecコマンドを実行する。
エージェントホストでは,一度通信したマネージャーホスト名を記憶しているため,jpoagoecコマンドをエージェントホストで実行して,記憶しているマネージャーホスト名※1を削除する必要があります※2。
jpoagoecコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド jpoagoec」を参照してください。
- エージェントホストのJP1/AJS3を再起動する。
- 注※1
- 「マネージャーホスト名」とは,次の方法で確認できる名前です。
- 物理ホストの場合
- マネージャーホスト上でhostnameコマンドを実行すると出力される名前。
- 論理ホストの場合
- Windowsのとき
マネージャーホストの[コントロールパネル]で[サービス],または[管理ツール]-[サービス]を選択し,表示されるサービス名のJP1/AJS3_xxxxxのxxxxx部分に表示されるホスト名。
- UNIXのとき
psコマンドを実行し,jajs_spmdプロセスと一緒に表示されるホスト名。
- 注※2
- マネージャーホスト名を削除しないで,エージェントホストのJP1/AJS3サービスを起動してイベントジョブを実行すると,エージェントホストは一つのマネージャーホストに対して「ホスト名」と「FQDN形式のホスト名」の二つのマネージャーホスト名を記憶してしまいます。そのような状態でJP1/AJS3 - Managerを運用すると,イベントジョブを実行した場合に,次の問題が発生するおそれがあります。
- 起動条件付きジョブネットを実行したままマネージャーホストのJP1/AJS3サービスを再起動した場合に,そのあとに発生した監視対象のイベントを重複して検知する。
- イベントジョブ実行継続オプションを有効にしている状態で,イベントジョブを実行したままマネージャーホストのJP1/AJS3サービスをホットスタートで再起動した場合に,一つのイベントに対して不当に複数回イベントを検知する。
- このような問題を回避するために,エージェントホストのJP1/AJS3サービスを起動する前に,jpoagoecコマンドを実行して記憶しているマネージャーホスト名を削除してください。
(2) 互換用ISAM構成の場合
- 実行中のイベントジョブおよび起動条件付きジョブネットを強制終了する。
- マネージャーホストのJP1/AJS3サービスを停止する。
- Windowsの場合
- Windowsの[コントロールパネル]の[管理ツール]で[サービス]を選択し,次に示すサービスを停止します。
-
- ・JP1/AJS3サービス
-
- UNIXの場合
- 次のコマンドを実行して,プロセスがすべて停止していることを確認します。
- なお,/etc/opt/jp1ajs2/jajs_stopについては,自動停止の設定がされているかを事前に確認してください。
# /etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop
# /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status
- マネージャーホストで,メモ帳などのテキストエディターを使用して,次に示す内容を記述した設定ファイルを作成する。
[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1AOMMANAGER]
"DNSEstablish"="Y"
DNS運用時にFQDN形式のホスト名で運用する場合は,「Y」を指定します。「Y」の部分を「N」に置き換えると,FQDN形式のホスト名で運用されません。この場合,エージェントへはFQDN形式のホスト名ではなく,マネージャーホスト名※1を送ります。デフォルトは「N」です。
設定ファイルのファイル名は任意です。
- ファイルを保存し,次のコマンドを実行する。
jbssetcnf 設定ファイル名
jbssetcnfコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。
- すべてのエージェントホストで,マネージャーホストのFQDN形式のホスト名を名前解決できるようにする。
- マネージャーホストで,すべてのエージェントホストのFQDN形式のホスト名を名前解決できるようにする。
- マネージャーホストのJP1/AJS3を再起動する。
設定ファイルに記述した内容が反映されます。
- エージェントホストのJP1/AJS3サービスを停止する。
- エージェントホストでjpoagoecコマンドを実行する。
エージェントホストでは,一度通信したマネージャーホスト名を記憶しているため,jpoagoecコマンドをエージェントホストで実行して,記憶しているマネージャーホスト名※1を削除する必要があります※2。
jpoagoecコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド jpoagoec」を参照してください。
- エージェントホストのJP1/AJS3を再起動する。
- 注※1
- 「マネージャーホスト名」とは,次の方法で確認できる名前です。
- 物理ホストの場合
- マネージャーホスト上でhostnameコマンドを実行すると出力される名前。
- 論理ホストの場合
- Windowsのとき
マネージャーホストの[コントロールパネル]で[サービス],または[管理ツール]-[サービス]を選択し,表示されるサービス名のJP1/AJS3_xxxxxのxxxxx部分に表示されるホスト名。
- UNIXのとき
psコマンドを実行し,jajs_spmdプロセスと一緒に表示されるホスト名。
- 注※2
- マネージャーホスト名を削除しないで,エージェントホストのJP1/AJS3サービスを起動してイベントジョブを実行すると,エージェントホストは一つのマネージャーホストに対して「ホスト名」と「FQDN形式のホスト名」の二つのマネージャーホスト名を記憶してしまいます。そのような状態でJP1/AJS3 - Managerを運用すると,イベントジョブを実行した場合に,次の問題が発生するおそれがあります。
- 起動条件付きジョブネットを実行したままマネージャーホストのJP1/AJS3サービスを再起動した場合に,そのあとに発生した監視対象のイベントを重複して検知する。
- イベントジョブ実行継続オプションを有効にしている状態で,イベントジョブを実行したままマネージャーホストのJP1/AJS3サービスをホットスタートで再起動した場合に,一つのイベントに対して不当に複数回イベントを検知する。
- このような問題を回避するために,エージェントホストのJP1/AJS3サービスを起動する前に,jpoagoecコマンドを実行して記憶しているマネージャーホスト名を削除してください。