JP1/AJS3で使用するデータベースの規模には大・中・小があり,新規インストール時には小規模のデータベースにデータベース自動増分機能を設定した組み込みDBが構築されます。小規模モデルのディスク占有量は,次の値を目安にしています。
また,組み込みDBの高度なセットアップをすることで,データベースの規模を変更できます。規模を変更したい場合は,組み込みDBをアンセットアップしたあと,組み込みDBの高度なセットアップをする必要があります。
JP1/AJS3では複数の組み込みDB環境を構築して使用できますが,ここでは,一つの組み込みDB環境の見積もり方法について説明します。一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーサービスを構築する場合は,共存するすべてのスケジューラーサービス分を加算してください。
組み込みDB環境の構築時に指定できるデータベースモデルは次の表のとおりです。ファイルシステムによっては,より多くのディスク容量を必要とすることもあるため,空き容量に余裕があるディスクを使用してください。
なお,次の表に示す見積もりは,定期的にデータベースのメンテナンスを実施していることが前提です。自動増分機能を使用している場合,定期的にデータベースのメンテナンスを実施しないと,自動増分機能によって実際のサイズが見積もりより大きくなる場合があります。
表B-1 組み込みDB環境の構築時に指定できるデータベースモデル
規模 | 用途 |
---|---|
大規模 | 総ユニット数:48,000~240,000程度 1日に実行されるユニット数:30,000~120,000 ディスク容量の目安:約20,700メガバイト (データ領域:約6,700メガバイト,システム領域:約14,000メガバイト) 自動増分機能を有効にしている場合: 想定されている総ユニット数を超えるとき,ディスク容量の目安は次の値になります。 20,700 + 0.1*(総ユニット数 - 240,000) メガバイト |
中規模 | 総ユニット数:5,000~48,000程度 1日に実行されるユニット数:5,000~30,000 ディスク容量の目安:約4,200メガバイト (データ領域:約1,400メガバイト,システム領域:約2,800メガバイト) 自動増分機能を有効にしている場合: 想定されている総ユニット数を超えるとき,ディスク容量の目安は次の値になります。 4,200 + 0.1*(総ユニット数 - 48,000) メガバイト |
小規模 | 総ユニット数:~5,000程度 1日に実行されるユニット数:~5,000 ディスク容量の目安:約520メガバイト (データ領域:約200メガバイト,システム領域:約320メガバイト) 自動増分機能を有効にしている場合: 想定されている総ユニット数を超えるとき,ディスク容量の目安は次の値になります。 520 + 0.1*(総ユニット数 - 5,000) メガバイト |
総ユニット数は大規模に当てはまる(48,000~240,000程度)が,1日に実行されるユニット数は中規模に当てはまる(5,000~30,000程度)というように,上記の表に当てはまる規模がない場合は,次の計算をしてください。
(0.0045※ * a) + (0.001 * b) + (c * 0.0065)(単位:メガバイト)
ジョブネットリリース機能を使用する場合,リリース登録を行うリリース元ユニットのルートジョブネットとその配下のユニットについて,上記の式でサイズを算出し,加算してください。
算出した値が,200メガバイトを超える場合は中規模モデル,1,400メガバイトを超える場合は大規模モデルでの構築を推奨します。
算出した値が6,700メガバイトを超える場合は,組み込みDB環境を大規模モデルで構築し,そのあとデータ領域を拡張することを推奨します。データ領域の拡張については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド ajsembdbaddarea」を参照してください。なお,ajsembdbaddareaコマンドでデータ領域を拡張する場合には,テーブル領域とインデクス領域が,5対2の比率になるようにそれぞれ拡張してください。
システム領域(システムログファイル)の見積もりについては,次の式で算出して,不足している場合は,システムログファイルを拡張してください。システムログファイルを拡張する場合には,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド ajsembdbaddlog」を参照してください。
(0.0045 * 200,000) + (0.001 * 1,000) + (10,000 * (5 + 10 + 1) * 0.0065)
= 900 + 1 + 1,040
= 1,941(単位:メガバイト)
ajsembdbsetupコマンドに-e sjisオプションを指定してスケジューラーサービスのデータベースをセットアップした場合は,次の通りです。
表B-2 組み込みDB環境の構築時に指定できるデータベースモデル(ajsembdbsetupコマンドに-e sjisオプションを指定した場合)
規模 | 用途 |
---|---|
大規模 | 総ユニット数:38,400~192,000程度 1日に実行されるユニット数:24,000~96,000 ディスク容量の目安:約20,700メガバイト (データ領域:約6,700メガバイト,システム領域:約14,000メガバイト) 自動増分機能を有効にしている場合: 想定されている総ユニット数を超えるとき,ディスク容量の目安は次の値になります。 20,700 + 0.125*(総ユニット数 - 192,000) メガバイト |
中規模 | 総ユニット数:4,000~38,400程度 1日に実行されるユニット数:4,000~24,000 ディスク容量の目安:約4,200メガバイト (データ領域:約1,400メガバイト,システム領域:約2,800メガバイト) 自動増分機能を有効にしている場合: 想定されている総ユニット数を超えるとき,ディスク容量の目安は次の値になります。 4,200 + 0.125*(総ユニット数 - 38,400) メガバイト |
小規模 | 総ユニット数:~4,000程度 1日に実行されるユニット数:~4,000 ディスク容量の目安:約520メガバイト (データ領域:約200メガバイト,システム領域:約320メガバイト) 自動増分機能を有効にしている場合: 想定されている総ユニット数を超えるとき,ディスク容量の目安は次の値になります。 520 + 0.125*(総ユニット数 - 4,000) メガバイト |
総ユニット数は大規模に当てはまる(38,400~192,000程度)が,1日に実行されるユニット数は中規模に当てはまる(4,000~24,000程度)というように,上記の表に当てはまる規模がない場合は,次の計算をしてください。
((0.0045※ * a) + (0.001 * b) + (c * 0.0065)) * 1.25(単位:メガバイト)
ジョブネットリリース機能を使用する場合,リリース登録を行うリリース元ユニットのルートジョブネットとその配下のユニットについて,上記の式でサイズを算出し,加算してください。
算出した値が,200メガバイトを超える場合は中規模モデル,1,400メガバイトを超える場合は大規模モデルでの構築を推奨します。
算出した値が6,700メガバイトを超える場合は,組み込みDB環境を大規模モデルで構築し,そのあとデータ領域を拡張することを推奨します。データ領域の拡張については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド ajsembdbaddarea」を参照してください。なお,ajsembdbaddareaコマンドでデータ領域を拡張する場合には,テーブル領域とインデクス領域が,5対2の比率になるようにそれぞれ拡張してください。
システム領域(システムログファイル)の見積もりについては,次の式で算出して,不足している場合は,システムログファイルを拡張してください。システムログファイルを拡張する場合には,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド ajsembdbaddlog」を参照してください。
((0.0045 * 100,000) + (0.001 * 1,000) + (10,000 * (5 + 10 + 1) * 0.0065)) * 1.25
= (450 + 1 + 1,040) * 1.25
= 1863.75(単位:メガバイト)
組み込みDB環境の構築時に組み込みDBのシステム領域を二重化する場合は,さらにディスク容量が増加します。増加するディスク容量を次の表に示します。
表B-3 組み込みDBのシステム領域を二重化する場合の増加ディスク容量
規模 | 増加するディスク容量 |
---|---|
大規模 | 約14,000メガバイト |
中規模 | 約2,800メガバイト |
小規模 | 約320メガバイト |
組み込みDBのデータ領域およびシステム領域は,RAWファイルにも作成できます。その場合は,次に示す二つまたは三つのパーティションが必要です。
それぞれのパーティションに必要なサイズは,次の表のとおりです。規模ごとのデータベースモデルは,上記の表と同じです。
表B-4 パーティションに必要なサイズ
規模 | 用途 |
---|---|
大規模 | ajssys01:約6,700メガバイト ajssys11:約14,000メガバイト ajssys17:約14,000メガバイト※ |
中規模 | ajssys01:約1,400メガバイト ajssys11:約2,800メガバイト ajssys17:約2,800メガバイト※ |
小規模 | ajssys01:約200メガバイト ajssys11:約320メガバイト ajssys17:約320メガバイト※ |