15.2.7 ファイル受信制限をするための設定

JP1/AJS3では,ジョブ実行時に結果ファイル(標準出力ファイルおよび標準エラー出力ファイル)や転送ファイルを,マネージャーホストとエージェントホスト間,またはクライアントホストとマネージャーホスト間で送受信します。これらのファイルのサイズが非常に大きい場合,ファイルのデータ解析処理に負荷が掛かり,CPU使用率の増加や,メモリー使用量の増加など,ジョブの実行が遅延するだけでなく,システム全体の処理に影響を与えるおそれがあります。

注※
ジョブは,QUEUEジョブ,イベントジョブを除きます。また,キューレスジョブは対象外です。

ファイル受信制限をするための設定を行うと,ジョブ実行時にマネージャーホスト側で受信する結果ファイルのサイズ(標準出力ファイルと標準エラー出力ファイルを合わせた合計のサイズ),または,エージェントホストが受信する転送ファイルのサイズ(転送ファイルを複数指定した場合はその合計サイズ)の上限値を設定できます。

また,上限値を超えた場合の動作(ジョブの終了状態)や出力するメッセージを指定できます。

ファイル受信サイズの上限値を超えた場合の動作と上限値を超えたファイルデータの扱いについて次に示します。

表15-13 ファイル受信サイズの上限値を超えた場合の動作と上限値を超えたファイルデータの扱い

上限値を超えたファイルの種類動作内容環境設定パラメーターReceiveFileSizeStatusの指定
0123
結果ファイルジョブの状態実際の終了状態を引き継ぐ異常検出終了警告検出終了実際の終了状態を引き継ぐ
出力するメッセージの種別情報異常警告情報
ファイルデータの扱いすべてのファイルデータを受信する上限値を超えたデータを破棄する上限値を超えたデータを破棄する上限値を超えたデータを破棄する
転送ファイルジョブの状態実際の終了状態を引き継ぐ起動失敗起動失敗実際の終了状態を引き継ぐ
出力するメッセージの種別情報異常異常情報
ファイルデータの扱いすべてのファイルデータを受信するすべてのファイルデータを受信しないすべてのファイルデータを受信しないすべてのファイルデータを受信しない
注※
エージェントホストでジョブの状態が「異常検出終了」だった場合はその状態を引き継ぎます。
<この項の構成>
(1) 定義手順
(2) 環境設定パラメーター一覧
(3) ファイル受信サイズが上限値を超えた場合の動作
(4) 注意事項

(1) 定義手順

  1. 次のコマンドを実行して,「(2) 環境設定パラメーター一覧」の環境設定パラメーターを設定する。

    jajs_config -k 定義キー名 "環境設定パラメーター名"=定義内容

  2. JP1/AJS3を再起動する。
    設定した内容が反映されます。

(2) 環境設定パラメーター一覧

表15-14 ファイル受信制限をする設定の環境設定パラメーター

定義キー環境設定パラメーター定義内容
  • スケジューラーサービス(共通)の場合
    [{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1AJS2¥SCHEDULER¥QUEUE¥MANAGER¥Job]
  • スケジューラーサービス(個別)の場合
    [{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1AJSMANAGER¥スケジューラーサービス名¥QUEUE¥MANAGER¥Job]
  • サブミットジョブおよび互換用ISAM構成の場合
    [{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}¥JP1NBQMANAGER¥Job]
"ReceiveFileSizeStatus"=ファイルサイズが上限値に達したときの動作
"LimitReceiveFileSize"=ファイルサイズの上限値
注※
{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定します。

環境設定パラメーターの定義内容の詳細については,次の個所を参照してください。

(3) ファイル受信サイズが上限値を超えた場合の動作

ファイル受信サイズが上限値を超えたときの動作を次に示します。

(4) 注意事項

ファイルを送受信するホストがシフトJIS以外の日本語環境の場合に,ファイル受信制限を使用すると,実際のファイルサイズと上限値として指定したサイズが異なる場合があります。

結果ファイルの受信時および転送ファイルの転送時の,ファイルサイズのチェックは,ファイルデータがシフトJISの状態で行われます。サイズチェック後に,結果ファイル受信ホストおよび転送ファイル転送先ホストで,各ホストに対応した文字コードに変換してファイルを作成します。

転送ファイルおよび結果ファイルは,対象ファイルの文字コードをシフトJISに変換してからサイズをチェックします。そのため,ファイル送信元ホストがシフトJIS以外の日本語環境の場合,シフトJISに文字コード変換を行った際に,変換後のファイルサイズが変換前のファイルサイズより小さくなる場合があります。この場合,ファイル送信元ホスト上ではファイルサイズが上限値より大きなファイルでも,ファイル受信制限が動作しません。

また,ファイルが作成されるホストがシフトJIS以外の日本語環境の場合,サイズチェック後にシフトJISからホスト上の文字コードに変換するため,チェック時のサイズより実際のファイルサイズが大きくなる場合があります。この場合,ファイル受信制限を使用し,上限値を超えるファイルを受信しないように設定しても,上限値より大きなサイズのファイルが作成されます。このように,上限値より大きなサイズのファイルが作成されることで,ディスク領域を予想以上に消費するおそれがあるため注意してください。