リモートサイトのセットアップ手順について説明します。
なお,非クラスタ環境の場合は,実行系での作業だけを実施してください。
図18-3 リモートサイトのセットアップ手順
(1) リモートサイトの設定手順
ajsembdbinstl -s 組み込みDBのインストール媒体格納ディレクトリ
-mh リモートサイトの論理ホスト名
-i 組み込みDBのインストール先ディレクトリ
-id セットアップ識別子
jajs_rpenvimport -e リモートサイトの実行系物理ホスト名
-h リモートサイトの論理ホスト名
-d 入力ディレクトリ名
jajs_setup_cluster -h リモートサイトの論理ホスト名
-F スケジューラーサービス名
-R
(2) ディザスター・リカバリー運用設定情報のエクスポートとインポート
次の操作をする場合,メインサイトとリモートサイトのJP1/AJS3 - Managerの設定を合わせるために,設定したサイトのディザスター・リカバリー運用設定情報をエクスポートし,合わせる側のサイトでインポートします。
ディザスター・リカバリー運用設定情報のエクスポートとインポートで設定される情報を次の表に示します。
表18-1 ディザスター・リカバリー運用設定情報のエクスポートとインポートで設定される情報
項番 | 設定される情報 |
---|---|
1 | 次の定義キー配下の,すべての環境設定パラメーター(サブキーを含む)
|
2 | 組み込みDB定義ファイル |
(3) リモートサイトの個別設定
ディザスター・リカバリー運用設定情報のエクスポートとインポートで設定されない情報は,リモートサイトで個別に設定が必要です。
ディザスター・リカバリー運用設定情報のエクスポートとインポートで設定されない情報を次の表に示します。
表18-2 ディザスター・リカバリー運用設定情報のエクスポートとインポートで設定されない情報
項番 | 情報の種類 | 設定されない情報 | 必要な設定 |
---|---|---|---|
1 | システム設定 | ポート番号 | servicesファイルのポート番号の設定 |
2 | ファイアウォール設定 | ポートのファイアウォール透過設定 | |
3 | 全般 | トレースファイルサイズ | 次のトレースログファイルサイズの設定
|
4 | 環境設定パラメーター | 物理ホストの環境設定パラメーターの設定 | |
5 | シェル | シェルのカスタマイズ | |
6 | スケジューラー | スケジューラーサービスの追加または削除 | スケジューラーサービスを追加または削除した場合に,対応する組み込みDBのインストールまたはアンインストール |
7 | JP1/AJS3のスケジューラーサービスローカル日時 | ajslocaldateコマンドでのJP1/AJS3のスケジューラーサービスローカル日時の変更 | |
8 | イベント・アクション | JP1イベント送信ジョブの送信先ホスト | JP1イベント送信ジョブで他ホストにJP1イベントを送信する場合の通信の設定 |
9 | メールシステム連携 | メールシステム連携機能の設定 | |
10 | 定義内容の事前チェック | 定義内容の事前チェック機能 | 定義内容の事前チェック機能のセットアップまたはアンセットアップ |
11 | キューレスジョブ | キューレスジョブ機能 | キューレスジョブ機能のセットアップまたはアンセットアップ |
12 | JP1/AJS3 Console | JP1/AJS3 Consoleの設定 | JP1/AJS3 Console機能のセットアップまたはアンセットアップ |
13 | JP1/AJS3 - View | JP1/AJS3 - Viewの特定のメニューを不活性にする機能 | マネージャーホスト上に設定ファイルを配置 |
14 | 前提製品,関連製品,連携製品 | JP1イベントサービスの転送先ホスト | 他ホストから転送されるJP1イベントをJP1イベント受信監視ジョブで監視する場合の設定 |
15 | JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携 | JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携機能を使用する場合の設定 | |
16 | JP1/IM - Planning Operation | JP1/IM - Planning Operationで使用するスケジューラーサービスに対する設定 |
個別に設定が必要な内容を,次に説明します。
(a) ポート番号
ポート番号の設定を合わせます。
ポート番号は,servicesファイルを変更して設定してください。
(b) ファイアウォール設定
ポート番号のファイアウォール透過の設定を合わせます。
詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 2.3.4 ファイアウォールを設定した環境の構成例と通信設定」を参照してください。
(c) トレースファイルサイズ
次のトレースログファイルサイズの設定を合わせます。
JP1/AJS3,JP1/AJS3 Check Managerサービス,またはJP1/AJS3 Check Agentサービスのトレースログファイルサイズの設定を変更する場合は,ajstrsetszコマンドまたはajschktrsetszコマンドを使用します。コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド」を参照してください。
キューレスジョブ機能のトレースログファイルサイズを変更する場合は,ajsqltrsetszコマンドおよびajsqlexecsetszコマンドを使用します。コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 3. 特別な運用で使用するコマンド」を参照してください。
JP1/AJS3 Console ManagerまたはJP1/AJS3 Console Agentのトレースログファイルサイズを変更する場合は,ajscmtrsetszコマンドまたはajscatrsetszコマンドを使用します。コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 3. 特別な運用で使用するコマンド」を参照してください。
(d) 環境設定パラメーター
物理ホストの環境設定パラメーターの設定を合わせます。物理ホストの環境設定パラメーターは,物理ホストと論理ホストで共通ではない定義キー([JP1_DEFAULT¥・・・]で始まる定義キー)配下にある環境設定パラメーターです。環境設定パラメーターの設定手順については,「14.2 環境設定パラメーターの設定」を参照してください。
なお,論理ホストの環境設定パラメーターは,ディザスター・リカバリー運用設定情報をインポートすると設定されます。
(e) シェル
シェルのカスタマイズ内容を合わせます。
表18-3 カスタマイズ内容を合わせる必要があるファイル(シェル)
項番 | シェル | 参照先 |
---|---|---|
1 | jajs_killall.cluster | マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 11.4.1 JP1/AJS3強制停止シェルスクリプト(jajs_killall.clusterコマンド)」またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド jajs_killall.cluster(UNIX限定)」 |
2 | jajs_start | 「15.7.1 JP1/AJS3サービスの自動起動および自動終了の設定」 |
3 | jajs_stop | |
4 | jajs_start.cluster | 「17.2.5 キューレスジョブ実行環境の設定」 |
5 | jajs_stop.cluster | |
6 | jajscm_start※ | 「15.7.1(4) JP1/AJS3 Consoleサービスの自動起動および自動終了を設定する」 |
7 | jajscm_stop※ | |
8 | jajsca_start※ | |
9 | jajsca_stop※ |
(f) スケジューラーサービスの追加または削除
スケジューラーサービスを追加または削除した場合,対応する組み込みDBをインストールまたはアンインストールします。組み込みDBのインストールにはajsembdbinstlコマンドを,組み込みDBのアンインストールにはajsembdbuninstlコマンドを実行します。
各コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド」を参照してください。
(g) JP1/AJS3のスケジューラーサービスローカル日時
JP1/AJS3のスケジューラーサービスローカル日時を合わせます。ajslocaldateコマンドを使用して変更した場合,リモートサイトのJP1/AJS3を起動する前に,リモートサイトでもajslocaldateコマンドを実行してください。
ajslocaldateコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 8.6 スケジューラーサービスのローカル日時を定義する」を参照してください。
(h) JP1イベント送信ジョブの送信先ホスト
JP1イベント送信ジョブで他ホストにJP1イベントを送信する場合,メインサイトとリモートサイトの両方で送信先ホストと通信できるように設定します。
(i) メールシステム連携
メールシステムと連携のセットアップ状況を合わせます。
メールシステム連携の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 連携ガイド 2. メールシステムとの連携」を参照してください。
メールシステム連携の運用を変更した場合は,物理ホストのJP1/AJS3 Mailサービスを再起動する必要があります。
(j) 定義内容の事前チェック機能
定義内容の事前チェック機能を設定した場合は合わせます。
定義内容の事前チェック機能の設定にはajschksetupコマンドを使用します。詳細については,「15.5.1 JP1/AJS3定義内容の事前チェック機能の設定」を参照してください。
なお,定義内容の事前チェック機能の設定を変更した場合は,物理ホストの次のサービスを再起動する必要があります。
(k) キューレスジョブ機能
キューレスジョブ機能をセットアップした場合は合わせます。リモートサイトでキューレスジョブ機能をセットアップする場合は,ajsqlsetupコマンドに-ncオプションを指定して実行します。
ajsqlsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 3. 特別な運用で使用するコマンド ajsqlsetup」を参照してください。
キューレスジョブ機能の運用を変更した場合は,物理ホストのキューレスエージェントサービスを再起動する必要があります。
(l) JP1/AJS3 Consoleの設定
JP1/AJS3 Consoleをセットアップした場合は合わせます。JP1/AJS3 Console Managerをセットアップする場合はjp1ajs2cmsetupコマンド,JP1/AJS3 Console Agentをセットアップする場合はjp1ajs2casetupコマンドを使用します。
詳細については,「13.3 JP1/AJS3 Consoleで必要なセットアップ」を参照してください。
JP1/AJS3 Consoleの運用を変更した場合は,物理ホストの次のサービスを再起動する必要があります。
(m) JP1/AJS3 - Viewの特定のメニューを不活性にする機能
JP1/AJS3 - Viewで特定のメニューを不活性にする機能を使用する場合は合わせます。
詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 11.3.9 特定のメニューを不活性にする」を参照してください。
(n) JP1イベントサービスの転送先ホスト
メインサイトの外にある他ホストから転送されるJP1イベントをJP1イベント受信監視ジョブで監視する場合,転送元でメインサイトとリモートサイトの両方への転送設定をします。
(o) JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携
メインサイトとリモートサイトの両方でCm2連携の設定をします。同一のシンボルでは監視できないため,NNM側でメインサイトとリモートサイトのシンボルを作成します。
JP1/AJS3とJP1/Cm2/NNM,またはJP1/AJS3とHP NNMとの連携については,次のマニュアルを参照してください。
(p) JP1/IM - Planning Operation
メインサイトでJP1/IM - Planning Operationを使用している場合,リモートサイトでJP1/IM - Planning Operationで使用するスケジューラーサービスに対する設定を行います。必要な設定は,メインサイトで通常のスケジューラーサービスを追加した場合と同じです。