8.2.7 論理ホストのスケジューラーサービスの多重起動の設定

スケジューラーサービスの多重起動を設定するためには,まず追加するスケジューラーサービスの名称などの情報を設定します。次に,そのスケジューラーサービス用のデータベースを新規に作成します。

論理ホストでスケジューラーサービスの多重起動の設定をする場合の手順,および追加したスケジューラーサービスの削除手順を次に示します。

<この項の構成>
(1) 論理ホストでスケジューラーサービスを多重起動する
(2) 追加したスケジューラーサービスを削除する
(3) 不要となったデータベース環境をアンインストールする

(1) 論理ホストでスケジューラーサービスを多重起動する

論理ホストでスケジューラーサービスの多重起動を設定する場合の手順を次に示します。

(a) 実行系での作業

  1. Windowsの[コントロールパネル]の[サービス]で,次に示すサービスを停止する。
    • 追加の対象となる論理ホストのJP1/AJS3サービス
      注意
      対象となる論理ホストに構築されている,すべての組み込みDBを稼働状態にする必要があります。対象のJP1/AJS3 Database _JFnnは1~9,A~Zの文字のどれか)サービスが開始していることを確認してください。開始していない場合は,JP1/AJS3 Database _JFnのサービスを開始してください。
      ajsembdbstatusコマンドに-s ust -id _JFnnは1~9またはA~Zのどれか)オプションを指定して実行し,組み込みDBが稼働状態になっていること(UNIT-STATがONLINEになっていること)を確認してください。稼働状態になっていない場合は,ajsembdbstartコマンドに-id _JFnオプションを指定して実行してください。
      対象となる組み込みDBのセットアップ識別子(_JFn)については,ajsembdbidlistコマンドを実行して確認してください。
  2. エクスプローラなどで,次に示すフォルダを共有ディスクに作成する。
    • データベースフォルダ
    • 一時ファイル用フォルダ
    • ジョブ情報フォルダ
    • 退避情報フォルダ
    なお,退避情報フォルダ以外は,自ホスト内(物理ホストとすべての論理ホスト)に設定されている,ほかのスケジューラーサービスが使用するフォルダと重複しないようにしてください。また,ほかのスケジューラーサービスが使用するフォルダの配下にも作成しないでください。
  3. スケジューラーサービスを多重起動するためにjajs_setupコマンドを実行する。

    jajs_setup -a -h 論理ホスト名
    -F スケジューラーサービス名
    -p ジョブ状態通知ポートのサービス名
    -d データベースフォルダ名
    -t 一時ファイル用フォルダ名
    -j ジョブ情報フォルダ名
    -b 退避情報フォルダ名
    -n スケジューラーサービスの識別番号
    -D 論理ホスト共有フォルダ名
    -I セットアップ識別子
    -P 組み込みDBポート番号

    (例)論理ホスト名が「LHOST」,論理ホストの共有フォルダが「x:¥products」の論理ホストに,「AJSROOT3」というスケジューラーサービスを追加する場合

    jajs_setup -a -h LHOST
    -F AJSROOT3
    -p jp1ajs2report3
    -d "x:¥products¥jp1ajs2¥database¥schedule¥AJSROOT3"
    -t "x:¥products¥jp1ajs2¥tmp¥schedule3"
    -j "x:¥products¥jp1ajs2¥jobinf3"
    -b "x:¥products¥jp1ajs2¥backup¥schedule3"
    -n 3
    -D "x:¥products"
    -I _JF3
    -P 22222

    jajs_setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド jajs_setup」を参照してください。
  4. 次のファイルをメモ帳などのテキストエディターで開く。
    システムフォルダ¥system32¥drivers¥etc¥Services
  5. 手順3で指定したジョブ状態通知ポートのサービス名に対するポート番号を設定する。
    (例)ポート番号を「20248」として設定する場合

      jp1ajs2report3 20248/tcp

    注意
    設定するポート番号は,既存の番号と重ならないようにしてください。また,Windowsファイアウォールを設定した環境で運用する場合は,設定したポート番号(上記の例ではサービス名:jp1ajs2report3,ポート番号:20248)をWindowsファイアウォールの規則に登録し,ファイアウォールを透過できるようにしてください。
  6. キューレスジョブを利用する場合は,キューレスジョブのセットアップをする。
    次のコマンドを実行します。

    ajsqlsetup -F スケジューラーサービス名 -h 論理ホスト名

    ajsqlsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 3. 特別な運用で使用するコマンド ajsqlsetup」を参照してください。
  7. 組み込みDBを停止する。
    追加の対象となる論理ホストの組み込みDBの,JP1/AJS3 Database _JFnのサービスを停止してください。
  8. スケジューラーサービスを追加した論理ホストのJP1/AJS3サービスを再起動する。
    設定した内容でスケジューラーサービスが追加され,起動します。再起動後,JP1/AJS3 - Viewなどで,追加したスケジューラーサービス名が付けられたルートジョブグループが表示されていることを確認してください。

(b) 待機系での作業

  1. 待機系の組み込みDBを設定する。
    実行系でセットアップをする際,新規に組み込みDBを作成した場合(jajs_setupコマンドの-Iオプションに,すでにある組み込みDBのセットアップ識別子を指定しなかった場合)だけ,この作業が必要です。組み込みDBのセットアップ識別子は,ajsembdbidlistコマンドで確認できます。
    実行するコマンドを次に示します。

    ajsembdbinstl
    -s 組み込みDBインストール媒体格納ディレクトリ
    -id セットアップ識別子
    -mh 論理ホスト名

    ajsembdbbuild
    -d 論理ホスト共有ディレクトリ¥jp1ajs2¥embdb¥セットアップ識別子¥dbarea
    -s
    -f
    -mh 論理ホスト名
    -eh 実行系物理ホスト名
    -ld 組み込みDB運用ディレクトリ¥dbarea
    -p 組み込みDBポート番号
    -i 組み込みDB運用ディレクトリ
    -id セットアップ識別子
    -ext_db
    -ext_log

    セットアップ識別子,論理ホスト共有ディレクトリ,および組み込みDBポート番号は,実行系で指定した値と同じものを指定してください。
    組み込みDB運用ディレクトリは,実行系と同じパスを指定する必要があります。実行系でajsembdbidlistコマンドを実行し,該当するセットアップ識別子についてパスを確認してください。
    各コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド」を参照してください。
    (例)論理ホスト共有ディレクトリが「x:¥products」,セットアップ識別子が「_JF3」,組み込みDBポート番号が「22222」の論理ホスト「LHOST」に組み込みDBを設定する場合

    ajsembdbinstl
    -s "c:¥Program Files¥HITACHI¥jp1ajs2¥tools¥AJS3DB"
    -id _JF3
    -mh LHOST

    ajsembdbbuild
    -d "x:products¥jp1ajs2¥embdb¥_JF3¥dbarea"
    -s
    -f
    -mh LHOST
    -eh HOST1
    -ld "c:¥Program Files¥HITACHI¥jp1ajs2¥embdb¥_JF3¥dbarea"
    -p 22222
    -i "c:¥Program Files¥HITACHI¥jp1ajs2¥embdb¥_JF3"
    -id _JF3
    -ext_db
    -ext_log

  2. 実行系の共通定義情報を待機系に設定する。
    実行系での作業が完了したあと,実行系でjbsgetcnfコマンドを実行し,共通定義情報を退避します。その退避ファイルを待機系にコピーし,退避ファイルを引数に指定してjbssetcnfコマンドを実行します。
    実行するコマンドを次に示します。
    実行系
    jbsgetcnf -h 論理ホスト名 > 退避ファイル名
    待機系
    jbssetcnf 退避ファイル名
  3. 次のファイルをメモ帳などのテキストエディターで開く。
    システムフォルダ¥system32¥drivers¥etc¥Services
  4. (a)の実行系での作業の手順5で設定したポート番号を待機系に設定する。
    (例)ポート番号を「20248」として設定する場合

      jp1ajs2report3 20248/tcp

    注意
    設定するポート番号は,実行系と同じ番号になるようにしてください。また,Windowsファイアウォールを設定した環境で運用する場合は,設定したポート番号(上記の例ではサービス名:jp1ajs2report3,ポート番号:20248)をWindowsファイアウォールの規則に登録し,ファイアウォールを透過できるようにしてください。
多重起動時のコマンド実行についての補足事項
スケジューラーサービスを多重起動している場合,「-F スケジューラーサービス名」オプションを指定しないでコマンドを実行すると,デフォルトのスケジューラーサービスに対する操作となります。
環境変数AJSCONFにスケジューラーサービス名を指定しておくと,-Fオプションを省略できます。

(2) 追加したスケジューラーサービスを削除する

スケジューラーサービスの削除は,実行系・待機系の両方で実行します。追加したスケジューラーサービスの削除手順を次に示します。

  1. JP1/AJS3サービスを停止する。
    物理ホスト,論理ホストのすべてのJP1/AJS3サービスを停止してください。
    注意
    対象となる論理ホストに構築されているすべての組み込みDBを稼働状態にする必要があります。対象のJP1/AJS3 Database _JFnnは1~9,A~Zの文字のどれか)サービスが開始していることを確認してください。開始していない場合は,JP1/AJS3 Database _JFnのサービスを開始してください。
    ajsembdbstatusコマンドに-s ust -id _JFnnは1~9またはA~Zのどれか)オプションを指定して実行し,組み込みDBが稼働状態になっていること(UNIT-STATがONLINEになっていること)を確認してください。稼働状態になっていない場合は,ajsembdbstartコマンドに-id _JFnオプションを指定して実行してください。
    対象となる組み込みDBのセットアップ識別子(_JFn)については,ajsembdbidlistコマンドを実行して確認してください。
  2. スケジューラーサービスを削除するためにjajs_setupコマンドを実行する。

    jajs_setup -e -F スケジューラーサービス名

    (例)スケジューラーサービス「AJSROOT3」を削除する場合

    jajs_setup -e -F AJSROOT3

    jajs_setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド jajs_setup」を参照してください。

    なお,待機系ではjajs_setupコマンドの代わりにjbsunsetcnfコマンドを実行してください。

    jbsunsetcnf  -i -h 論理ホスト名 -c JP1AJSMANAGER -n スケジューラーサービス名

    (例)スケジューラーサービス「AJSROOT3」を削除する場合

    jbsunsetcnf  -i -h LHOST -c JP1AJSMANAGER -n AJSROOT3

  3. スケジューラーサービスを追加したときに作成したフォルダを削除する。
    jajs_setupコマンド実行時に作成した,次のフォルダを削除してください。
    • -dオプションに指定したデータベースフォルダ
    • -tオプションに指定したテンポラリーフォルダ
    • -jオプションに指定したジョブ情報フォルダ
    • -bオプションに指定した退避情報フォルダ
      注意
      -Dオプションに指定した論理ホスト共有フォルダは,削除しないでください。
  4. 組み込みDBを停止する。
    すべての組み込みDBのJP1/AJS3 Database _JFnのサービスを停止してください。
  5. JP1/AJS3サービスを起動する。
    手順1で停止したサービスを再起動し,スケジューラーサービスが削除されていることを確認します。

(3) 不要となったデータベース環境をアンインストールする

不要となったデータベース環境のアンインストール手順については,「6.1.1(3) 不要となったデータベース環境をアンインストールする」を参照してください。