15.1.1 スケジューラーサービスの多重起動の設定

スケジューラーサービスは,ジョブグループを管理する制御単位です。多重起動させると,ジョブグループをスケジューラーサービスごとに管理できるようになります。

スケジューラーサービスの多重起動を設定するためには,まず,追加するスケジューラーサービスの名称などの情報を設定します。

スケジューラーサービスの多重起動の設定手順,および追加したスケジューラーサービスの削除手順を次に示します。

論理ホストへのスケジューラーサービスの追加,および論理ホストに追加したスケジューラーサービスの削除については,「17.2.7 論理ホストのスケジューラーサービスの多重起動の設定」を参照してください。

<この項の構成>
(1) スケジューラーサービスを多重起動する
(2) 追加したスケジューラーサービスを削除する
(3) 不要となったデータベース環境をアンインストールする

(1) スケジューラーサービスを多重起動する

スケジューラーサービスの多重起動の設定手順を次に示します。

  1. JP1/AJS3のサービスを停止する。
    次のコマンドを実行して,プロセスがすべて停止していることを確認します。

    # /etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop
    # /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status

    注意
    物理ホストに構築されているすべての組み込みDBを稼働状態にする必要があります。ajsembdbstatusコマンドに-s ust -id _JFnnは0~9またはA~Zのどれか)オプションを指定して実行し,組み込みDBが稼働状態になっていること(UNIT-STATがONLINEになっていること)を確認してください。稼働状態になっていない場合は,ajsembdbstartコマンドに-id _JFnオプションを指定して実行してください。
    対象となる組み込みDBのセットアップ識別子(_JFn)については,ajsembdbidlistコマンドを実行して確認してください。
  2. mkdirコマンドなどで,次に示すディレクトリを作成する。
    • データベースディレクトリ
    • 一時ファイル用ディレクトリ
    • ジョブ情報ディレクトリ
    • 退避情報ディレクトリ
    なお,退避情報ディレクトリ以外は,自ホスト内(物理ホストとすべての論理ホスト)に設定されている,ほかのスケジューラーサービスが使用するディレクトリと重複しないようにしてください。また,ほかのスケジューラーサービスが使用するディレクトリの配下にも作成しないでください。
  3. スケジューラーサービスを多重起動するためにjajs_setupコマンドを実行する。

    jajs_setup -a -F スケジューラーサービス名
    -p ジョブ状態通知ポートのサービス名
    -d データベースディレクトリ名
    -t 一時ファイル用ディレクトリ名
    -j ジョブ情報ディレクトリ名
    -b 退避情報ディレクトリ名
    -n スケジューラーサービスの識別番号

    (例)「AJSROOT2」というスケジューラーサービスを追加する場合

    jajs_setup -a -F AJSROOT2
    -p jp1ajs2report2
    -d "/var/opt/jp1ajs2/database/schedule/AJSROOT2"
    -t "/var/opt/jp1ajs2/tmp/schedule2"
    -j "/var/opt/jp1ajs2/jobinf2"
    -b "/var/opt/jp1ajs2/backup/schedule2"
    -n 2

    jajs_setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド jajs_setup」を参照してください。
  4. 手順3で指定したジョブ状態通知ポートのサービス名に対するポート番号を設定する。
    /etc/servicesファイルをエディターなどで開き,ポート番号を追加します。このとき,既存のポート番号と重複しないようにしてください。
    (例)ポート番号を「20248」として設定する場合

    jp1ajs2report2 20248/tcp

  5. キューレスジョブを利用する場合は,キューレスジョブのセットアップをする。
    次のコマンドを実行します。

    ajsqlsetup [-F スケジューラーサービス名]

    ajsqlsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 3. 特別な運用で使用するコマンド ajsqlsetup」を参照してください。
  6. JP1/AJS3サービスを再起動する。
    設定した内容でスケジューラーサービスが追加され,起動します。
    再起動後,JP1/AJS3 - Viewなどで,追加したスケジューラーサービス名が付けられたマネージャージョブグループが表示されていることを確認してください。
多重起動時のコマンド実行についての補足事項
スケジューラーサービスを多重起動している場合,「-F スケジューラーサービス名」オプションを指定しないでコマンドを実行すると,デフォルトのスケジューラーサービスに対する操作となります。
環境変数AJSCONFにスケジューラーサービス名を指定しておくと,-Fオプションを省略できます。

(2) 追加したスケジューラーサービスを削除する

追加したスケジューラーサービスの削除手順を次に示します。

  1. jajs_spmd_stopコマンドを実行して,JP1/AJS3サービスを停止する。
    論理ホストのJP1/AJS3マネージャーも含め,すべてのJP1/AJS3サービスを停止してください。

    注意
    物理ホストに構築されているすべての組み込みDBを稼働状態にする必要があります。ajsembdbstatusコマンドに-s ust -id _JFnnは0~9またはA~Zのどれか)オプションを指定して実行し,組み込みDBが稼働状態になっていること(UNIT-STATがONLINEになっていること)を確認してください。稼働状態になっていない場合は,ajsembdbstartコマンドに-id _JFnオプションを指定して実行してください。
    対象となる組み込みDBのセットアップ識別子(_JFn)については,ajsembdbidlistコマンドを実行して確認してください。
  2. ajsshmdelコマンドを実行して,スケジューラーサービスの情報を削除する。
    ajsshmdelコマンドのパスは,「/opt/jp1ajs2/bin/ajsshmdel」です。

    (例)shの場合

    /opt/jp1ajs2/bin/ajsshmdel >/dev/null 2>&1

    (例)cshの場合

    /opt/jp1ajs2/bin/ajsshmdel >&/dev/null

  3. スケジューラーサービスを削除するためにjajs_setupコマンドを実行する。

    jajs_setup -e -F スケジューラーサービス名

    (例)スケジューラーサービス「AJSROOT2」を削除する場合

    jajs_setup -e -F AJSROOT2

    jajs_setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド jajs_setup」を参照してください。
  4. スケジューラーサービスを追加したときに作成したディレクトリを削除する。
    jajs_setupコマンド実行時に作成した,次のディレクトリを削除してください。
    • -dオプションに指定したデータベースディレクトリ
    • -tオプションに指定したテンポラリーディレクトリ
    • -jオプションに指定したジョブ情報ディレクトリ
    • -bオプションに指定した退避情報ディレクトリ
  5. JP1/AJS3サービスを起動する。
    追加したスケジューラーサービスが削除されます。

(3) 不要となったデータベース環境をアンインストールする

不要となったデータベース環境のアンインストール手順については,「6.1.1(3) 不要となったデータベース環境をアンインストールする」を参照してください。