組み込みDBを使用する場合のインストール,環境構築およびセットアップ方法について説明します。
(1) 組み込みDBインストール前の作業
ここでは,組み込みDBインストール前の作業について説明します。
(a) Windowsの場合
●ディスク容量の確認
インストールする前にディスクの空き容量が十分かどうかを確認してください。組み込みDBの場合は240メガバイト程度の容量が必要です。
●仮想メモリーの確認
仮想メモリーは同じドライブに連続した領域を作成するように,初期サイズと最大サイズを同じ値(固定値)にしてください。仮想メモリーを連続で使えない場合,組み込みDBがメモリー不足で異常終了することがあります。
仮想メモリーは次の手順で確認できます。
必要な仮想メモリーを次に示します。また,実際に指定する値には,Windowsや他プログラムが使う容量を加えてください。仮想メモリーを変更した場合には,必ずWindowsを再起動してください。
ページングファイルサイズ=130メガバイト
●ファイルシステムの確認
組み込みDBをNTFSにインストールする場合,組み込みDB運用ディレクトリ下のファイルを圧縮しないでください。このディレクトリを圧縮すると,組み込みDBは正常に動作しません。
(b) UNIXの場合
●カーネルパラメーターの確認・変更
組み込みDBが使うメッセージキューおよびセマフォ所要量を見積もり,必要に応じてカーネルパラメーターを変更する必要があります。カーネルパラメーターの見積もりについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 3.2.5 カーネルパラメーターを見積もる」を参照してください。
(2) 組み込みDBのインストール
JP1/AJS3 - Managerのスケジューラーデータベースとして,組み込みDBを使用する場合,次のコマンドを実行します。
ajsembdbinstl
ajsembdbinstlコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド ajsembdbinstl」を参照してください。
(3) 組み込みDB環境の構築
組み込みDBの環境構築手順について次に示します。
ajsshmdel >/dev/null 2>&1
ajsembdbbuildコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド ajsembdbbuild」を参照してください。
大規模の組み込みDB環境を構築する場合のajsembdbbuildコマンドの指定例を次に説明します。表C-3および表C-4の項番の組み合わせについても示します。
(a) Windowsの場合
指定例では,次に示す設定値が設定されていると仮定します。ajsembdbbuildコマンド実行前にディレクトリを作成してください。
ajsembdbbuild -l
-d "d:¥EmbDB¥RDArea,e:¥EmbDB¥SYSArea1"
-i "c:¥Program Files¥Hitachi¥JP1AJS2¥embdb¥_JF3" -id _JF3 -p 22223
ajsembdbbuild -l
-d "d:¥EmbDB¥RDArea,e:¥EmbDB¥SYSArea1" -bs
-bl g:¥EmbDB¥Unload_Log -i "c:¥Program Files¥Hitachi¥JP1AJS2¥embdb¥_JF3"
-id _JF3 -p 22223
ajsembdbbuild -l
-d "d:¥EmbDB¥RDArea,e:¥EmbDB¥SYSArea1,f:¥EmbDB¥SYSArea2"
-br -bl g:¥EmbDB¥Unload_Log
-i "c:¥Program Files¥Hitachi¥JP1AJS2¥embdb¥_JF3"
-id _JF3 -p 22223
(b) UNIXの場合
指定例では,次に示す設定値が設定されていると仮定します。ajsembdbbuildコマンド実行前にディレクトリを作成してください。
また,指定例で使用するデータ領域作成ディレクトリおよびシステムファイル領域作成ディレクトリを次に示します。
領域種別 | ファイル種別 | |
---|---|---|
通常ファイル | RAWファイル | |
データ領域作成ディレクトリ | /RDArea_JF3 | /dev/rdb_JF3 |
システムファイル領域作成ディレクトリ1 | /SYSArea1_JF3 | /dev/rsys1_JF3 |
システムファイル領域作成ディレクトリ2 | /SYSArea2_JF3 | /dev/rsys2_JF3 |
ajsembdbbuild -l -d "/RDArea_JF3,/SYSArea1_JF3"
-i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF3 -id _JF3 -p 22223
ajsembdbbuild -l
-a "ajssys01=/dev/rdb_JF3,ajssys11=/dev/rsys1_JF3"
-d /WorkArea_JF3
-i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF3 -id _JF3 -p 22223
ajsembdbbuild -l
-d "/RDArea_JF3,/SYSArea1_JF3" -bs -bl /Unload_Log_JF3
-i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF3 -id _JF3 -p 22223
ajsembdbbuild -l
-a "ajssys01=/dev/rdb_JF3,ajssys11=/dev/rsys1_JF3"
-d /WorkArea_JF3 -bs -bl /Unload_Log_JF3
-i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF3 -id _JF3 -p 22223
ajsembdbbuild -l
-d "/RDArea_JF3,/SYSArea1_JF3,/SYSArea2_JF3"
-br -bl /Unload_Log_JF3 -i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF3 -id _JF3 -p 22223
ajsembdbbuild -l
-a "ajssys01=/dev/rdb_JF3,ajssys11=/dev/rsys1_JF3,
ajssys17=/dev/rsys2_JF3" -d /WorkArea_JF3
-br -bl /Unload_Log_JF3 -i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF3 -id _JF3 -p 22223
(4) 環境設定パラメーターの設定
「付録C.1(2)(c) 環境設定パラメーター」で検討した,スケジューラーサービスの環境設定パラメーターを設定します。
また,環境設定パラメーターで指定したディレクトリを作成します。
環境設定パラメーターの設定については,「4.2 環境設定パラメーターの設定」(Windowsの場合)または「14.2 環境設定パラメーターの設定」(UNIXの場合)を参照してください。
(5) スケジューラーデータベースの組み込みDBへのセットアップ
ajsembdbsetupコマンドを使用して,スケジューラーデータベースの内容を組み込みDBにセットアップします。
ajsembdbsetupコマンドを実行すると,次に示す処理が実行されます。
大規模の組み込みDB環境で実行するajsembdbsetupコマンドの指定例を次に説明します。指定例では,次に示す設定値が設定されていることとします。
ajsembdbsetup -F AJSROOT2 -ru l -id _JF3 -p 22223
表C-7 ajsembdbsetupコマンド実行時に設定される環境設定パラメーター
環境設定パラメーター | 定義内容 | ajsembdbsetupコマンドで設定する内容※ |
---|---|---|
AJSDBTYPE | データベース種別 | EmbedDB |
TABLENAMEPREFIX | テーブル名プリフィックス | 次のどちらかが設定される。
|
TABLENAMEPOSTFIX | テーブルID | - |
RDBAUTHID | RDB認可識別子 | root |
RDBUSER | RDBアクセスユーザー名 | ajs2 |
RDBPASSWORD | RDBユーザーパスワード | - |
RDBHOST | RDB接続先ホスト名 | 次のどれかが設定される。
|
RDBPORT | RDB接続ポート番号 | 次のどちらかが設定される。
|
RDBIPC | RDBサーバとの通信方式 | MEMORY |
RDBSENDMEMSIZE | RDBプロセス間メモリー通信使用時の送信用メモリーサイズ | 次のどちらかが設定される。
|
RDBRECVMEMSIZE | RDBプロセス間メモリー通信使用時の受信用メモリーサイズ | 次のどちらかが設定される。
|
(6) 複数スケジューラーデータベースの組み込みDBへのセットアップ
ここでは,複数のスケジューラーデータベースを組み込みDBとしてセットアップする方法について説明します。
(a) スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する
複数のスケジューラーサービスが定義されていて,スケジューラーサービスごとに異なる組み込みDB環境を構築する場合,次に示す領域を別に準備してください。
なお,次に示す領域のうちシステムファイル領域,組み込みDB作業領域,アンロードログファイル作成ディレクトリについては,必要に応じて準備してください。
組み込みDB環境構築の際,使用するポート番号および組み込みDBセットアップ識別子が組み込みDB間で重複しないように指定する必要があります。そのため,ajsembdbbuildコマンドおよびajsembdbsetupコマンド実行時にはポート番号を指定するオプション(-p)に,ajsembdbinstlコマンド,ajsembdbbuildコマンド,およびajsembdbsetupコマンドの実行時には組み込みDBセットアップ識別子を指定するオプション(-id)に,組み込みDBごとに異なる値を指定してください。
セットアップの実施例を次に示します。
なお,この実施例は,「付録C.2(3) 組み込みDB環境の構築」および「付録C.2(4) 環境設定パラメーターの設定」で示した環境がすでに構築されていることを前提に記載します。
●Windowsの場合
ajsembdbinstl -s "c:¥Program Files¥Hitachi¥JP1AJS2¥tools¥AJS3DB"
-i "c:¥Program Files¥Hitachi¥JP1AJS2¥embdb¥_JF5" -id _JF5
ajsembdbbuild -l
-d "h:¥EmbDB¥RDArea,i:¥EmbDB¥SYSArea1,
j:¥EmbDB¥SYSArea2" -br -bl k:¥EmbDB¥Unload_Log
-i "c:¥Program Files¥Hitachi¥JP1AJS2¥embdb¥_JF5" -p 22224 -id _JF5
ajsembdbsetup -F AJSROOT2 -ru l -id _JF5 -p 22224
●UNIXの場合
ajsembdbinstl -s /opt/jp1ajs2/tools/AJS3DB
-i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF5 -id _JF5
ajsembdbbuild -l
-d "/RDArea_JF5,/SYSArea1_JF5,/SYSArea2_JF5"
-br -bl /Unload_Log_JF5 -i /opt/jp1ajs2/embdb/_JF5 -p 22224
-id _JF5
ajsembdbsetup -F AJSROOT2 -ru l -id _JF5 -p 22224
ajsembdbinstlコマンド,ajsembdbbuildコマンド,およびajsembdbsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド」を参照してください。
(b) 一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースをセットアップする
一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーデータベースをセットアップする場合,組み込みDB内にはスケジューラーサービスごとに異なるテーブルを作成して管理する必要があります。そのため,ajsembdbsetupコマンド実行時のテーブル名プリフィックスを変更する必要があります。
同じ組み込みDBに対して二つ目のスケジューラーデータベースをセットアップする際のajsembdbsetupコマンドの指定例を次に示します。
ajsembdbsetup -F AJSROOT3 -tp AJS3 -ru l -id _JF0
ajsembdbsetupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド ajsembdbsetup」を参照してください。
(7) 組み込みDBの再セットアップ
組み込みDBを再セットアップする場合の,セットアップ手順を次に示します。
上記の手順に記載したコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド」およびマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス2 2. セットアップコマンド」を参照してください。
(8) 組み込みDBのアンインストール
組み込みDBのアンインストールについては,「6.1.1(3) 不要となったデータベース環境をアンインストールする」を参照してください。