JP1/AJS3では,バッチファイルやシェルスクリプトなどの実行ファイルによって業務を処理します。業務を処理する実行ファイルの設計について検討します。
実行ファイルの設計に当たって検討する際のポイントを次に示します。
(a) JP1/AJS3で使用できる形式とする
JP1/AJS3で使用できない形式の実行ファイルでの処理は,自動化の対象外です。JP1/AJS3で使用できる実行ファイルの種類を次の表に示します。
表2-1 JP1/AJS3で使用できる実行ファイルの種類
実行するホスト | 使用できる実行ファイル |
---|---|
Windowsホスト |
|
UNIXホスト |
|
(b) 一つの実行ファイルには一つの命令を定義する
一つの実行ファイルには,一つの命令を定義することを推奨します。
処理を分けておくことで,どの処理まで正常に終了しているのか,どの処理がうまくいかなかったのかがわかります。また,業務が途中で異常終了した場合にどの処理で異常が起きたのかがわかれば,処理を再実行する場合などに異常終了した処理からあとの処理を再実行したり,異常終了した処理だけを再実行したりできます。
(c) 画面やメッセージによる応答が発生しない処理にする
JP1/AJS3で実行する実行ファイルは,バックグラウンドで実行されます。そのため,画面やメッセージが表示されて応答待ちの状態にならない処理にしてください。ただし,例えばメッセージダイアログボックスが表示されても,自動的に[はい]ボタンを選択して進むような処理であれば,JP1/AJS3でも使用できます。
(d) リターンコードを出力する処理にする
JP1/AJS3では,処理が正常に終了したのか失敗したのかを,実行ファイルのリターンコードによって判定します。したがって,処理結果に応じたリターンコードが出力されるように実行ファイルを作成してください。
: RC=$? |
また,出力されるリターンコードのどの範囲を警告終了,異常終了とするか,というしきい値を決めておいてください。
(e) 実行時間が短い処理にする
一つの処理の実行時間が長くなり過ぎると,正常に動作しているのか,トラブルなどによって停止しているのか,わからなくなるおそれがあります。一つの処理の実行時間は,最大で2時間程度を目安としてください。
(f) 命名規則を設ける
実行ファイルや,実行ファイルを格納するフォルダには,命名規則を決めておくことを推奨します。JP1/AJS3の定義で使用する業務や処理などの名称とあわせて決めておくと,業務全体が管理しやすくなります。業務名,処理名,処理サイクル,実行場所などを意味する識別子を決めておくと便利です。
JP1/AJS3で使用する業務や処理の名称には,半角英数字,全角文字,および次の記号を使用できます。
! # $ % + @ -(ハイフン) .(ピリオド) _(アンダーバー) |
ただし,記号はUNIXのシェルなどのコマンドインタープリターで特別な意味を持つ場合があり,業務や処理の名称に記号を使うと誤動作することがあります。そのため,記号はできるだけ使用しないでください。
なお,次の文字および記号は使用しないでください。
(g) 処理を実行したいホストに実行ファイルを保存する
実行ファイル(コマンドやバッチファイルなど)は,処理を実行するホストに保存してください。
(h) その他のポイント