3.2.4 ディスク占有量を見積もる
JP1/AJS3のディスク占有量については,リリースノートを参照してください。ただし,リリースノートに記載した見積もり方法のうち,ユーザーが定義したデータサイズの見積もりについては,ここでの説明に従って見積もってください。
ユーザーが定義したデータのうち,ユニットの定義情報や実行登録情報は組み込みDBに含まれます。しかし,それ以外の定義情報は,組み込みDBには含まれません。組み込みDBには含まれないデータのディスク占有量も,あらかじめ見積もっておいてください。
見積もり方法を次に示します。
表3-8 ユーザーが定義したデータサイズの見積もり
ユーザーが定義したデータ | 見積もり式(単位:メガバイト) |
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イベントジョブ実行環境(未通知情報など)※1 | 100※2 |
QUEUEジョブ,サブミットジョブ実行環境(キューなど)※3 | 4 |
QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行ログ(ジョブ情報,標準エラー出力ファイル,標準出力ファイルなど)※3,※4 | a*(0.0095 + b + c) |
ルートジョブネットごとのジョブ情報※5 | 保存世代数*ルートジョブネット配下にあるすべてのジョブの標準エラー出力サイズの合計値 |
イベントジョブ情報ごとのディスク占有量※5 | 保存世代数*イベントジョブの引き継ぎ情報が設定されているイベントジョブ数*0.004 |
一時変更の操作管理機能を使用する場合のディスク占有量※6 | 0.001+d |
標準出力ファイル・標準エラー出力ファイルなど※7 | 0.5*e |
JP1/AJS3 Console Managerを使用する場合のディスク占有量 | 0.005*f*g+h |
ジョブ実行環境(ジョブ情報) | 15.2*i |
- (凡例)
- a:
- QUEUEジョブ,サブミットジョブのジョブ情報の件数
- 次の計算式で計算します。
- 1日に実行されるジョブ数*(ジョブ情報の保存日数 + 1)
- b:
- QUEUEジョブ,サブミットジョブのジョブ実行定義に指定した環境変数のサイズ(環境変数を利用しない場合は0バイト,最大は20キロバイト)
- c:
- サブミットジョブで出力する,標準エラー出力ファイルおよび標準出力ファイルのデータサイズ
- d:一時変更情報のサイズの総和
- ルートジョブネットごとに,次の計算式で計算した値を合計します。
- 0.002*A+0.003*B
- A:
- ルートジョブネットとその配下のユニットに,一時変更情報として保存される操作を行う回数
- B:
- Aのうち,引き継ぎ情報を指定して実行予定の追加を行う回数
- ルートジョブネットおよびその配下のユニットに,一時変更情報として保存される操作を行うたびに一時変更情報が追加されます。なお,保存期限を過ぎた一時変更情報が保存されているルートジョブネットおよびその配下のユニットに対して,一時変更情報として保存される操作を行ったとき,保存期限を過ぎた一時変更情報が自動的に削除されます。一時変更情報として保存される操作については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド 4.5.16(1)(a) 一時変更情報として保存される操作」を,一時変更情報の保存期限については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド 4.5.16(1)(b) 一時変更情報の保存期限」を参照してください。
- e:
- エージェントのジョブ実行多重度(標準は5)
- f:
- ルート業務スコープ内のオブジェクト数の合計
- g:
- 業務監視を行うJP1ユーザー数
- h:
- トレースログファイルの容量(標準は3メガバイト)
- i:
- スケジューラーサービス数
- 注※1
- イベントジョブ(起動条件に設定しているものを含む)を実行した場合,実行したイベントジョブの定義データや監視条件が成立した際のイベントの情報などが,イベント・アクション制御マネージャーやイベント・アクション制御エージェントなどのプロセス間で通信されます。その際,一時的なネットワーク障害や通信相手のプロセスがビジー状態であることが原因で通信できない場合,通信する情報を「未通知情報」としていったんファイルに保存し,一定間隔後に再送します。
- 未通知情報のデータサイズは,未通知情報が滞留する最大値で見積もっています。
- なお,未通知情報は再送に成功すると削除されます。
- 注※2
- この値は,次の計算式で見積もっています。
- 未通知情報のディスク占有量 = (0.025*A)+(0.005*B)(単位:メガバイト)
- A:一つのスケジューラーサービスが1時間当たりに処理できるイベント件数
- B:イベント・アクション制御からスケジュール制御への未通知情報の滞留件数
- イベント・アクション制御マネージャーとイベント・アクション制御エージェント間で通信するデータがすべて未通知情報となった場合,Aは最大で1,000になります。一つのスケジューラーサービスが1時間当たりに処理できるイベント件数については,「3.1.4 イベント監視の処理性能」を参照してください。
- また,イベント・アクション制御からスケジュール制御へ通信する際にデータがすべて未通知情報となった場合,Bは最大で15,000になります。
- そのため,未通知情報がすべて滞留する場合,未通知情報のディスク占有量の最大値は(0.025*1,000)+(0.005*15,000) = 100(単位:メガバイト)になります。
- 注※3
- 標準構成でQUEUEジョブ,サブミットジョブを使用する場合だけ見積もります。標準構成(ISAMレス構成)および互換用ISAM構成の場合は,見積もる必要はありません。
- QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境および実行ログは,QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境データベース格納ディレクトリ配下の占有量として見積もります。格納先を変更している場合は,変更先のディレクトリのディスク占有量を見積もってください。
- 注※4
- 標準構成の場合,a,b,およびcは,QUEUEジョブ,サブミットジョブの分だけ見積もります。QUEUEジョブ,サブミットジョブを実行するごとに,そのジョブの実行ログが保存されます。ジョブ情報の保存日数を過ぎた実行ログは削除されますが,削除した時点では,QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境データベースのサイズは小さくなりません。QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境で使用するISAMファイルを定期的にメンテナンスする必要があります。
- メンテナンス方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 6.2(2) QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境で使用するISAMファイルの未使用領域の確認方法と再編成の時期」を参照してください。ジョブ情報保存日数の変更方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド2 2.3 ジョブ実行環境設定」を参照してください。
- 注※5
- 登録済みルートジョブネットすべてに対しての総和を見積もります。
- ジョブエラー情報ディレクトリに格納されるデータであるため,格納先を変更している場合は,変更先のディレクトリのディスク占有量を見積もってください。
- 注※6
- 一時変更の操作管理機能を使用する場合だけ見積もります。
- ジョブエラー情報ディレクトリに格納されるデータであるため,格納先を変更している場合は,変更先のディレクトリのディスク占有量を見積もってください。
- 注※7
- 標準出力ファイル,標準エラー出力ファイル,環境変数,転送ファイルなど,ジョブ実行時のパラメーターに依存する項目です。概算では,一つのジョブにつき0.5メガバイト*エージェントのジョブ実行多重度(標準は5)としていますが,これらのファイルの平均値が見積もれる場合は,値を変更して計算してください。
- 補足事項
- バージョン8の組み込みDBから移行した場合のディスク占有量の見積もりについては,「8.7(7) バージョン8の組み込みDBから移行した場合のディスク占有量の見積もり」を参照してください。