2.3 ネットワーク構成について検討する
JP1/AJS3では,次に示すネットワーク構成に対応しています。
JP1/AJS3を運用するサーバのネットワーク構成について,次のことを確認してください。
- メディアセンス(Windowsの場合)
- Windowsのメディアセンス機能(LANケーブル抜けなどを検知して,IPアドレスを非活性にする機能)を無効にすることを推奨します。メディアセンス機能が有効な場合,一時的なネットワークの問題によってIPアドレスがなくなるため,その影響でJP1の通信ができなくなることがあります。
- NIC多重化
- OSによって,NICを多重化してNIC障害時に予備NICに切り替える機能を提供している場合があります(例:WindowsでのNICチーミング,Solarisでのネットワークマルチパス,AIXでのイーサチャネル)。JP1を実行するサーバで,これらのNIC多重化の機能を用いる場合,NIC多重化をしていない場合の動作と完全に互換性があり,JP1の動作に影響がないことが前提となります。
JP1/AJS3の通信設定の考え方は,JP1/Baseの通信設定に従っています。JP1/AJS3の前提プログラムであるJP1/Baseは,さまざまなネットワーク構成に応じて通信設定を変更できます。通信設定は,jp1hosts定義ファイルおよび通信方式設定ファイルを使用して変更します。JP1/Baseの通信設定については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のJP1/Baseの通信方式の章,およびネットワーク構成に応じたJP1/Baseの通信設定の章を参照してください。JP1/AJS3での通信設定については,「2.3.3 複数LANの構成例と通信設定」,または「2.3.4 ファイアウォールを設定した環境の構成例と通信設定」を参照してください。
- 注意事項
- この節で説明する機能は,JP1/Baseの通信方式の設定変更機能に基づいて,JP1/AJS3 - Manager,JP1/AJS3 - Agent,およびJP1/AJS3 - Viewでもこの機能に対応できるようにするものです。
- イベント・アクション制御機能およびジョブ実行制御機能では,JP1/Base 06-71でサポートされた通信方式の設定が変更された場合,一つのホスト名から複数のIPアドレスが解決できるOSでは,通信方法が06-51以前と異なる動作になるため,注意してください。
06-51以前の場合
解決されたIPアドレスを,接続が成功するまで順次接続を試みます。
06-71以降の場合で通信方式を変更した場合
解決されたIPアドレスのうち,jp1hostsファイルの先頭のIPアドレスにだけ接続を試みます。
- JP1/AJS3は,動的にIPアドレスが変更され,通信先のホストが変更されるような環境では正しく動作しません。通信時のホスト名から一意のホスト名およびIPアドレスを求めることができる環境で運用してください。
- 組み込みDBは,JP1/Baseの通信設定に従わないため,物理ホスト名または論理ホスト名からOSの機能によって,IPアドレスを名前解決する必要があります。
JP1/AJS3が提供する各機能の通信設定への対応状況を次の表に示します。
表2-4 各機能の通信設定への対応状況
機能 | 通信設定 |
---|
jp1hosts定義ファイル | 通信方式設定ファイル |
---|
JP1/AJS3 - View(ジョブ/ジョブネット操作) | ○※1 | ○※1 |
ジョブ実行 | ○ | ○ |
ジョブ実行(キューレスジョブ) | ○ | × |
ジョブのサブミット | ○ | ○ |
判定ジョブ | - | - |
ORジョブ | - | - |
イベントジョブ※2 | JP1イベント受信監視ジョブ | ○(-) | ○(-) |
ファイル監視ジョブ | ○(-) | ○(-) |
メール受信監視ジョブ | ○(×) | ○(×) |
ログファイル監視ジョブ | ○(-) | ○(-) |
Windowsイベントログ監視ジョブ | ○(-) | ○(-) |
実行間隔制御ジョブ | ○(-) | ○(-) |
メッセージキュー受信監視ジョブ | ○(-) | ○(-) |
MSMQ受信監視ジョブ | ○(×) | ○(×) |
アクションジョブ※3 | JP1イベント送信ジョブ | × | ○※4 |
メール送信ジョブ | × | × |
JP1/Cm2状態通知ジョブ | × | × |
ローカル電源制御ジョブ | - | - |
リモート電源制御ジョブ | × | ○※4 |
メッセージキュー送信ジョブ | × | × |
MSMQ送信ジョブ | × | × |
オペレーションジョブ | ○ | ○ |
リモートジョブネット | ○ | ○ |
スケジュール実行 | - | - |
コマンドのリモート実行 | ○ | ○ |
JP1/AJS3 Console | ○※5 | ○※5 |
- (凡例)
- ○:サポートしている。
- ×:サポートしていない。
- -:通信しない。
- 注※1
- マネージャーホスト側の設定に関しては対応しています。
- 注※2
- ○,×,および-は,マネージャーホスト・エージェントホスト間の通信設定の対応状況を示しています。
- ○に付いている(-)および(×)は,各イベントジョブを実行するときに連携するプログラムとの通信設定の対応状況を示しています。
- 注※3
- 各アクションジョブを実行するときに連携するプログラムとの通信設定の対応状況を示しています。マネージャーホスト・エージェントホスト間の通信設定は,表の「ジョブ実行」機能,または「ジョブ実行(キューレスジョブ)」機能の対応状況に従います。
- 注※4
- イベントサービスの通信設定に依存します。イベントサーバ設定(conf)ファイルを使用して変更してください。詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」にある,ネットワーク構成に応じたJP1/Baseの通信設定に関する記述を参照してください。
- 注※5
- JP1/AJS3 Console Manager,JP1/AJS3 Console Agentは対応しています。JP1/AJS3 Console ViewはJP1/Baseの機能を使用しないため,該当しません。
- <この節の構成>
- 2.3.1 複数LAN接続
- 2.3.2 ファイアウォール透過
- 2.3.3 複数LANの構成例と通信設定
- 2.3.4 ファイアウォールを設定した環境の構成例と通信設定
- 2.3.5 WAN環境で使用する場合の通信
- 2.3.6 DNS環境での運用を確認する