2.2.3 システムの日時変更時に必要な作業

JP1/IMの運用中にシステムの日時を変更する場合の注意事項および手順について説明します。

サーバのシステム時刻を,NTP(Network Time Protocol)サーバなどを利用した時刻が過去に戻ることがない方式で合わせる場合には,次の手順に従わずに変更できます。その場合,JP1/Baseを停止する必要はありません。

<この項の構成>
(1) システムの日時を過去に戻す場合
(2) システムの時刻が遅れているため,時刻を進める場合

(1) システムの日時を過去に戻す場合

システムの日時を変更する際,過去の日時に変更することは通常避けてください。

システム時刻の進みや遅れを補正する場合でも,システム時刻を過去に戻すと自動アクションの実行結果の表示順序や監視ツリーの状態更新日時などの表示が不正になることがあります。このような現象は,システム時刻を過去に戻したことで,JP1/IM - Manager,JP1/Baseの管理データに不整合が生じたときに発生します。JP1/IM - Viewには影響ありません。

また,システム時刻を過去に戻すと,到着時刻を指定してイベント検索したときに,正しくイベント検索ができないことがあります。

テストなどでシステムの時刻を意図的に未来の日時へ変更したような場合に,システム日時を元に戻すときは,次に示す手順で戻してください。

(a) マネージャーのシステム日時を元に戻す手順

  1. JP1/IM - Managerを終了する。
  2. IMデータベースを使用している場合は,IMデータベースを終了する。
  3. JP1/Baseを終了する。
  4. システムの時刻を戻す。
  5. システムの時刻が時刻を戻す前の時刻に達したらJP1/Base,およびJP1/IM - Managerを起動する。
    例えば,手順4で時刻を「02:00」から「01:00」に戻した場合,システムの時刻が「02:00」になってから,JP1/BaseおよびJP1/IM - Managerを起動します。
    なお,IMデータベースを使用している場合は,JP1/Base,IMデータベース,JP1/IM - Managerの順で起動してください。

また,次の方法でも日時を元に戻せます。ただし,この方法では,アクション情報ファイルやアクションホスト名格納ファイルなどの手順5に示す情報,およびIMデータベースのイベント情報やホスト情報が削除されますので注意してください。

  1. JP1/IM - Managerを終了する。
  2. JP1/Baseを終了する。
  3. IMデータベースを使用している場合は,IMデータベースをアンセットアップする。
    Windowsの場合は,「JP1/IM-Manager DB Server」サービスを起動しておく必要があります。
    統合監視DBおよびIM構成管理DBをセットアップしている場合には,両方のアンセットアップが必要です。
  4. システムの時刻を戻す。
  5. アクション情報ファイル,アクションホスト名格納ファイル,コマンド実行履歴ファイル,イベントDBを削除する。
    削除ファイルの格納場所は次の表のとおりです。
    Windowsの場合

    表2-1 削除対象ファイル(Windows)

    ファイル名格納場所
    アクション情報ファイルConsoleパス¥log¥action¥actinf.log
    共有フォルダ¥jp1cons¥log¥action¥actinf.log
    アクションホスト名格納ファイルConsoleパス¥log¥action¥acttxt{1|2}.log
    共有フォルダ¥jp1cons¥log¥action¥acttxt{1|2}.log
    コマンド実行履歴ファイルBaseパス¥log¥COMMAND¥以下の全ファイル
    共有フォルダ¥jp1base¥log¥COMMAND¥以下の全ファイル
    イベントDBBaseパス¥sys¥event¥servers¥default¥以下のIMEvent*.*ファイル
    共有フォルダ¥jp1base¥event¥以下のIMEvent*.*ファイル

    注※ イベントサーバインデックス(index)ファイルで別パスを指定した場合は,指定したパス以下のファイルが対象となります。


    UNIXの場合

    表2-2 削除対象ファイル(UNIX)

    ファイル名格納場所
    アクション情報ファイル/var/opt/jp1cons/log/action/actinf.log
    共有ディレクトリ/jp1cons/log/action/actinf.log
    アクションホスト名格納ファイル/var/opt/jp1cons/log/action/acttxt{1|2}.log
    共有ディレクトリ/jp1cons/log/action/acttxt{1|2}.log
    コマンド実行履歴ファイル/var/opt/jp1base/log/COMMAND/以下の全ファイル
    共有ディレクトリ/jp1base/log/COMMAND/以下の全ファイル
    イベントDB/var/opt/jp1base/sys/event/servers/default/以下のIMEvent*.*ファイル
    共有ディレクトリ/jp1base/event/以下のIMEvent*.*ファイル

    注※ イベントサーバインデックス(index)ファイルで別パスを指定した場合は,指定したパス以下のファイルが対象となります。


  6. IMデータベースを使用している場合は,IMデータベースをセットアップする。
  7. JP1/Baseを起動する。
  8. JP1/IM - Managerを起動する。

以上で,マネージャーのシステム日時を元に戻す作業は完了です。なお,セントラルスコープの機能を使用する場合は,次の手順を続けて作業してください。

  1. JP1/IM - ViewでJP1/IM - Manager(JP1/IM - Central Scope)にログインする。
  2. [監視ツリー]画面で最上位の監視グループを選択し,状態を「初期状態」にする。
    監視ノードをすべて「初期状態」に戻すことで,セントラルスコープの管理するデータの不整合を解消します。

(b) エージェントのシステム時刻を元に戻す手順

エージェントのシステム時刻を元に戻す場合は,該当ホストのJP1/BaseのイベントDBだけでなく,イベント転送先ホストのJP1/Baseの時刻も元に戻す必要があります。手順などの詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のJP1/Base運用中の設定変更の章,システムの日時変更時に必要な作業の説明を参照してください。

(2) システムの時刻が遅れているため,時刻を進める場合

システムの時刻を進める場合には,過去に戻す場合と異なり,JP1/IMを停止したり,ファイルを削除したりする必要はありません。

ただし,IMデータベースを使用している場合は,IMデータベースの起動または停止処理中に時刻を変更しないでください。