6.1.3 クラスタシステムでのJP1/IMの構成

クラスタシステムでJP1/IM - Managerを運用するには,クラスタソフトの制御により論理ホストのJP1/IM - ManagerおよびJP1/Baseを実行し,フェールオーバーに対応します。このときのJP1/IMの構成は次のようになります。

<この項の構成>
(1) クラスタ運用でのJP1/IMの構成の概要
(2) 共有ディスク上のファイル構成
(3) JP1/IM - Managerのサービスおよびプロセス
(4) 通信方式
(5) 共通定義情報の設定

(1) クラスタ運用でのJP1/IMの構成の概要

表6-3 クラスタシステムでのJP1/IMの構成

製品名クラスタシステムでのJP1/IMの構成
JP1/IM - View
  • JP1/IM - ViewからJP1/IM - Managerに接続するときは,論理IPアドレスあてに接続します。
  • JP1/IM - View自身は物理ホスト環境で動作します。
JP1/IM - Manager
  • 論理ホスト環境で動作することができます。
  • クラスタソフトに登録することで,フェールオーバーに対応します。
  • クラスタソフトに登録するときは,前提リソースとして論理IPアドレスと共有ディスクが必要です。
  • 共有ディスクに定義情報を格納し,フェールオーバー時に引き継ぎます。
  • 一つのサーバで複数の論理ホストを実行できます。このため,アクティブ・スタンバイ構成だけでなく,アクティブ・アクティブ構成のクラスタシステムでも運用できます。
  • JP1/IM - Managerは前提製品JP1/Baseと同じ論理ホストで実行します。

(2) 共有ディスク上のファイル構成

論理ホスト環境のJP1/IM - Managerをセットアップすると,共有ディスク上に次のファイルが作成されます。これらは,論理ホストでJP1/IM - Managerを実行するために必要なファイルです。

(a) Windowsの場合

表6-4 共有ディスク上のファイル構成(Windows)

機能共有ファイルの種別フォルダ名
セントラルコンソール定義ファイル共有フォルダ¥jp1cons¥conf¥
ログファイル共有フォルダ¥jp1cons¥log¥
一時ファイル共有フォルダ¥jp1cons¥tmp¥
履歴ファイル共有フォルダ¥jp1cons¥operation¥
セントラルスコープ定義ファイル共有フォルダ¥jp1scope¥conf¥
ログファイル共有フォルダ¥jp1scope¥log¥
一時ファイル共有フォルダ¥jp1scope¥tmp¥
データベース共有フォルダ¥jp1scope¥database¥
IM構成管理定義ファイル共有フォルダ¥JP1IMM¥conf¥imcf¥
ログファイル共有フォルダ¥JP1IMM¥log¥imcf¥
一時ファイル共有フォルダ¥JP1IMM¥tmp¥
IM構成のデータおよびプロファイルのデータ共有フォルダ¥JP1IMM¥data¥imcf¥
IMデータベースデータベース共有ディスク上のユーザーが指定したフォルダ¥imdb

注※ インシデント登録サービスおよび相関イベント発行サービスの処理が履歴として出力されます。


(b) UNIXの場合

表6-5 共有ディスク上のファイル構成(UNIX)

機能共有ファイルの種別ディレクトリ名
セントラルコンソール定義ファイル共有ディレクトリ/jp1cons/conf/
ログファイル共有ディレクトリ/jp1cons/log/
一時ファイル共有ディレクトリ/jp1cons/tmp/
履歴ファイル共有ディレクトリ/jp1cons/operation/
セントラルスコープ定義ファイル共有ディレクトリ/jp1scope/conf/
ログファイル共有ディレクトリ/jp1scope/log/
一時ファイル共有ディレクトリ/jp1scope/tmp/
データベース共有ディレクトリ/jp1scope/database/
IM構成管理定義ファイル共有ディレクトリ/jp1imm/conf/imcf/
ログファイル共有ディレクトリ/jp1imm/log/imcf/
一時ファイル共有ディレクトリ/jp1imm/tmp/
IM構成のデータおよびプロファイルのデータ共有ディレクトリ/jp1imm/data/imcf/
IMデータベースデータベース共有ディスク上のユーザーが指定したディレクトリ/imdb

注※ インシデント登録サービスおよび相関イベント発行サービスの処理が履歴として出力されます。


(3) JP1/IM - Managerのサービスおよびプロセス

クラスタ運用でのJP1/IM - Managerは,論理ホストのサービスまたはプロセスを実行します。

(a) Windowsの場合

論理ホスト環境のJP1/IM - Managerをセットアップすると,次のサービスがWindowsに登録されます。このサービスをクラスタソフトに登録して実行します。

表6-6 JP1/IM - Managerのサービス(Windows)

表示名称サービス名
JP1/Console_論理ホスト名JP1_Console_論理ホスト名
JP1/IM-Manager DB Cluster Service_論理ホスト名1HiRDBEmbeddedEdition_JM<n>2
注※1
IMデータベースを使用する場合に登録されます。
注※2
<n>は0~9の数字です。この数字は,クラスタセットアップ情報ファイルでLOGICALHOSTNUMBERに指定した値と一致します。詳細については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「クラスタセットアップ情報ファイル(jimdbclustersetupinfo.conf)」(2. 定義ファイル)を参照してください。

表示名称の欄は,[コントロールパネル]-[管理ツール]-[サービス]で表示される名前です。また,クラスタソフトからサービスをnetコマンド(net startやnet stop)で制御する場合は,この名前をnetコマンドに指定します。

サービス名の欄は,次に示すクラスタソフトに登録する場合の名前です。これをMSCSまたはWSFCの「サービス名」の設定項目に指定します。

(b) UNIXの場合

論理ホストのJP1/IM - Managerを実行すると,論理ホストに対応したプロセスが動作します。

プロセス名は,引数に論理ホスト名が付加された名称になります。プロセス名については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager 導入・設計ガイド」の「付録B プロセス一覧」を参照してください。

(4) 通信方式

論理ホストのJP1/IM - Managerをセットアップすると,JP1/IM - Managerの通信方式をIPバインド方式と呼ぶ方式に設定します。IPバインド方式に変更するのは,論理ホストと物理ホストの両方の環境が対象です。

通信方式には,IPバインド方式とANYバインド方式の2種類があります。これは,通信するときに使用するIPアドレスを,内部処理で割り当て(バインド)をする方法をきめます。

通信方式については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のJP1/Baseの通信方式に関する説明を参照してください。JP1/IM - Managerは,JP1/Baseと同じ通信方式で通信をします。

(5) 共通定義情報の設定

論理ホストのJP1/IM - Managerをセットアップすると,共通定義情報に,論理ホスト用の設定情報が設定されます。

共通定義情報とは,JP1の設定情報を格納するデータベースで,JP1/Baseが管理しています。設定情報のデータは,各サーバのローカルディスク上に,次のような形式で格納されています。

図6-3 共通定義情報

[図データ]

共通定義情報は,物理ホスト(JP1_DEFAULT)および論理ホストごとに分かれて格納されています。物理ホストおよび論理ホスト単位に,jbssetcnfコマンドで設定し,jbsgetcnfコマンドで読み出します。

論理ホストの共通定義情報は,各サーバで同じ内容になるようにします。セットアップ時および設定変更時は,設定をした実行系サーバの共通定義情報を,待機系サーバへコピーして設定します。

なお,共通定義情報は,JP1/IM - Manager,JP1/Base,JP1/AJS,およびJP1/Power Monitor(06-02以降)が設定情報を格納するために使用しています。