5.9.2 汎用監視オブジェクトの作成例(JP1/Cm2/SSOによるCPU監視)

バージョン8以前のJP1/Cm2/SSOのCPU監視など,監視ツリーの自動生成でサポートしていない対象を監視したい場合には,監視オブジェクトを手動で作成する必要があります。

<この項の構成>
(1) 前提知識
(2) 監視オブジェクト作成前の確認
(3) 監視オブジェクトの作成(CPUの監視)
(4) 監視オブジェクトの設定(CPUの監視)

(1) 前提知識

バージョン8以前のJP1/Cm2/SSOのようにSNMPトラップを出力する製品をJP1/IMで監視する場合,まず,SNMPトラップをJP1イベントに変換する必要があります。これは,セントラルスコープがJP1イベントの属性名と属性値をキーにして,監視オブジェクトを監視しているためです。

JP1/BaseのSNMPトラップ変換機能を使うことで,SNMPトラップをJP1イベントに変換できます。SNMPトラップ変換機能を使えば,SNMPの各フィールドをJP1イベントの属性にマッピングすることができます。

変換後のJP1イベントの属性と,SNMPトラップの各フィールドの対応を次の表に示します。

表5-6 JP1イベントの属性とSNMPトラップの各フィールドの対応

変換後のJP1イベント変換対象のSNMPトラップ
基本属性メッセージPDU Type
拡張属性共通情報SEVERITYspecific trap
固有情報SNMP_OIDEnter prise
SNMP_DATEtimestamp
SNMP_SOURCEagent address
SNMP_SEVERITYspecific trap
SNMP_URL
SNMP_VARBIND_RESULT
SNMP_VARBIND_NUM
SNMP_VARBIND1バリアブルバインディングのData1の値
SNMP_VARBIND2バリアブルバインディングのData2の値
(省略)(省略)
SNMP_VARBIND28バリアブルバインディングのData28の値
(凡例)
-:メッセージの固有情報に該当する情報がない

なお,SNMPトラップ変換機能の詳細については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。

(2) 監視オブジェクト作成前の確認

CPU監視をする監視オブジェクトを作成する前に,次の2点を確認してください。

(3) 監視オブジェクトの作成(CPUの監視)

図5-18 汎用監視オブジェクトの作成

[図データ]

作成手順を次に示します。

  1. [監視ツリー(編集)]画面で,[編集]-[新規監視ノード作成]を選択する。
    [新規監視ノード作成]画面が表示されます。
  2. 次の内容を入力して,[OK]ボタンをクリックする。

    表5-7 監視ノード名と監視ノード種別の設定内容

    設定項目設定内容
    監視ノード名任意の名称を入力します。
    管理しやすい名称にすることをお勧めします。この例では,「CPU利用率監視(SSO)」と入力します。
    監視ノード種別「監視オブジェクト」をラジオボタンで選択し,「汎用オブジェクト」をリストボックスから選択します。
    監視ツリーに,監視オブジェクト「CPU利用率監視(SSO)」が追加されます。

(4) 監視オブジェクトの設定(CPUの監視)

図5-19 汎用監視オブジェクトの設定(状態変更条件の追加 その1)

[図データ]

図5-20 汎用監視オブジェクトの設定(状態変更条件の追加 その2)

[図データ]

設定手順を次に示します。

  1. 作成した監視オブジェクト(「CPU利用率監視(SSO)」)を選択し,[編集]-[プロパティ]を選択する。
    [プロパティ]画面が表示されます。
  2. [状態変更条件]ページを選択し,[追加]ボタンをクリックする。
    [状態変更条件設定]画面が表示されます。
  3. [状態変更条件設定]画面で条件設定する。
    JP1/IM - Managerが,どのようなJP1イベントを受信したときに,監視ノードの状態を変更するかを設定します。
    状態変更条件を入力後,[OK]ボタンをクリックします([OK]ボタンをクリックすると[状態変更条件]ページへ戻ります)。続けて状態変更条件を入力する場合は,再度[追加]ボタンをクリックし,[状態変更条件設定]画面で条件を入力します。
    状態変更条件は,次のように設定します。

    表5-8 状態変更条件の設定例

    条件名 (任意の名称)状態共通条件
    CPU利用率警戒のイベント(SSO)警戒リソース警戒のイベント(SSO)
    CPU利用率エラーのイベント(SSO)エラーリソースエラーのイベント(SSO)
    それぞれの条件での個別条件は次のように設定します。個別条件を追加するときは,一つの個別条件を入力するごとに[追加]を選択してください。

    表5-9 状態変更条件(個別条件)の設定例

    監視ノード属性名属性名属性値(例)条件
    カテゴリー名E.SNMP_VARBIND2SSOと一致する
    グループ名E.SNMP_VARBIND3コンピュータと一致する
    リソース名E.SNMP_VARBIND4CPU利用率※1と一致する
    イベント発行元ホストE.SNMP_VARBIND11mgr-svr1※2ホスト名比較
    ホスト名E.SNMP_VARBIND12agt-srv1※3ホスト名比較

    注※1 バージョン8以前のJP1/Cm2/SSOで監視対象となっているリソース名を設定します。

    • CPU監視の場合:CPU利用率
    • メモリー監視の場合:メモリー使用率

    注※2 イベント発行ホスト名を設定します。gethostnameで取得したホスト名です。hostnameコマンドで表示されるホスト名の形式で指定してください。

    注※3 監視先ホスト名を設定します。gethostbyaddrで取得したホスト名です。DNSが設定されている場合は,ホスト名にDNSのsuffixが付加された名称を指定してください。DNSが設定されていない場合は,hostsファイルに書かれているホスト名の形式で指定してください。


  4. [状態変更条件]ページでの設定が完了したら,[OK]ボタンをクリックする。
    サーバのツリーを更新して,監視ツリーに作成した監視ノードが追加されているか確認してください。

バージョン8以前のJP1/Cm2/SSOのリソース名「CPU利用率」の状態を監視する監視オブジェクトは,システム監視オブジェクト「カテゴリー監視(SSO)」を利用して作ることもできます。カテゴリー監視(SSO)のシステム監視オブジェクト作成後,不足している個別条件をすべての状態変更条件に追加してください。

注意
バージョン8以前のJP1/Cm2/SSOを監視するには,エージェントのJP1/Cm2/SSOおよびJP1/Baseをバージョン7またはバージョン8にする必要があります。
エージェントのJP1/Cm2/SSO,JP1/Baseがバージョン6の場合は,監視することはできますが,自動での情報収集ができないため,これまでの手順に加えて多くの手作業が発生します。このため,推奨しません。
なお,JP1/Cm2/SSOの製品名称は,バージョン7はJP1/PFM/SSO,バージョン6はJP1/SSOです。