JP1/Baseでは,通信でのバインド方式として次に示すバインド方式を推奨しています。
通信方式は,デフォルトではANYバインド方式が設定されています。クラスタ運用する場合は,次に示すクラスタシステム用の設定をしたときに,物理ホストと論理ホストの両方でIPバインド方式が設定されます。
Windowsの場合:GUI(jp1bshasetup.exe)またはコマンド(jbs_setup_clusterコマンド)でクラスタシステム用の設定をしたとき。
UNIXの場合:コマンド(jp1base_setup_clusterコマンド)でクラスタシステム用の設定をしたとき。
一例として,JP1/Baseの通信方式が,ANYバインド方式だった場合とIPバインド方式だった場合で通信の待ち受け処理がどう変わるのか図を使って説明します。
まず,JP1/Baseの通信方式が,ANYバインド方式だった場合の通信の待ち受け処理を次の図に示します。
図1-29 hostAのJP1/BaseがANYバインド方式で起動した場合の待ち受け処理
hostAのNICにはIPアドレス10.0.0.10と10.0.0.11が割り当てられています。なお,hostA自体は自分のホスト名から10.0.0.10でしかIPアドレスの解決ができないと仮定します(実際にOSによっては,一つのホスト名から一つのIPアドレスしか解決できないものがあります)。また,hostXではhostAはIPアドレス10.0.0.10で解決され,hostYではhostAはIPアドレス10.0.0.11で解決されるとします。
hostAでJP1/BaseがANYバインド方式で起動した場合,hostXからもhostYからもデータを受け取れます。ANYバインド方式の場合,IPアドレスを意識しないでポート番号だけを利用して通信をするため,10.0.0.10あてにきたデータも10.0.0.11あてにきたデータも受け取れます。
次に,JP1/Baseの通信方式が,IPバインド方式だった場合の待ち受け処理を次の図に示します。
図1-30 hostAのJP1/BaseがIPバインド方式で起動した場合の待ち受け処理
hostAでJP1/BaseがIPバインド方式で起動した場合,10.0.0.10あてにきたデータだけをJP1/Baseは受け取り,10.0.0.11あてにきたデータを認識できません。これはhostAが,ポート番号が同じでもIPアドレスのあて先が自分と異なるものは受け付けないよう動作するためです。