ここでは,PFM - Agent for WebSphere Application Serverを運用するためのセットアップについて説明します。
は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。
(1) LANG環境変数を設定する
PFM - Agent for WebSphere Application Serverで使用できるLANG環境変数を次の表に示します。
なお,これらのLANG環境変数を設定する前に,設定する言語環境が正しくインストール・構築されていることを確認しておいてください。正しくインストール・構築されていない場合,文字化けが発生したり,定義データが不当に書き換わってしまったりすることがあります。
表3-2 PFM - Agent for WebSphere Application Serverで使用できるLANG環境変数
OS | 言語種別 | LANG環境変数の値 | |
---|---|---|---|
Solaris | 日本語 | Shift-JISコード |
|
EUCコード |
| ||
英語(日本語なし) | C | ||
AIX | 日本語 | Shift-JISコード |
|
EUCコード |
| ||
英語(日本語なし) | C | ||
Linux | 日本語 | Shift-JISコード | (該当なし) |
EUCコード | (該当なし) | ||
UTF-8コード |
| ||
英語(日本語なし) | C |
(2) PFM - Agent for WebSphere Application Serverの登録
PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleを使ってPFM - Agentを一元管理するために,PFM - ManagerおよびPFM - Web ConsoleにPFM - Agent for WebSphere Application Serverを登録する必要があります。
PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合,PFM - Agentの登録は自動で行われるため,ここで説明する手順は不要です。ただし,PFM - Managerのリリースノートに記載されていないデータモデルバージョンのPFM - Agentは手動で登録する必要があります。なお,PFM - Agent for WebSphere Application Serverのデータモデルのバージョンについては,「付録H バージョン互換」を参照してください。
PFM - Agentの登録の流れを次の図に示します。
図3-4 PFM - Agentの登録の流れ
(a) PFM - Agent for WebSphere Application Serverのセットアップファイルをコピーする
PFM - Agent for WebSphere Application Serverをインストールしたホストにあるセットアップファイルを,PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleをインストールしたホストにコピーします。手順を次に示します。
表3-3 コピーするセットアップファイル
コピー先 | PFM - Agentの セットアップファイル | ||
---|---|---|---|
PFMプログラム名 | OS | コピー先ディレクトリ | |
PFM - Manager | Windows | PFM - Managerのインストール先ディレクトリ¥setup¥ | /opt/jp1pc/setup/jpcagt2w.EXE |
UNIX | /opt/jp1pc/setup/ | /opt/jp1pc/setup/jpcagt2u.Z | |
PFM - Web Console | Windows | PFM - Web Consoleのインストール先ディレクトリ¥setup¥ | /opt/jp1pc/setup/jpcagt2w.EXE |
UNIX | /opt/jp1pcwebcon/setup/ | /opt/jp1pc/setup/jpcagt2u.Z |
(b) PFM - Managerホストでセットアップコマンドを実行する
PFM - ManagerでPFM - Agent for WebSphere Application Serverをセットアップするために,次のコマンドを実行します。
jpcconf agent setup -key WAS(jpcagtsetup agt2)
PFM - ManagerホストにあるPFM - Agentのセットアップファイルは,この作業が終了したあと,削除してもかまいません。
(c) PFM - Web Consoleホストでセットアップコマンドを実行する
PFM - Web ConsoleでPFM - Agent for WebSphere Application Serverをセットアップするための次のコマンドを実行します。
jpcwagtsetup
PFM - Web ConsoleホストにあるPFM - Agentのセットアップファイルは,この作業が終了したあと削除してもかまいません。
(3) インスタンス環境の設定
インスタンス環境の設定では,インスタンス情報の設定を実施します。複数のインスタンス環境を設定する場合は,繰り返し実施します。
(a) インスタンス情報を設定する
PFM - Agent for WebSphere Application Serverで監視するWebSphere Application Serverのインスタンス情報を設定します。インスタンス情報の設定は,PFM - Agentホストで実施します。
設定するインスタンス情報を次の表に示します。セットアップの操作を始める前に,次の表の情報をあらかじめ確認してください。WebSphere Application Serverのインスタンス情報の詳細については,WebSphere Application Serverのドキュメントを参照してください。
表3-4 PFM - Agent for WebSphere Application Serverのインスタンス情報
項目 | 説明 | 設定できる値 | デフォルト値 |
---|---|---|---|
WebSphere Application Server Installation Directory | WebSphere Application Serverのインストール先ディレクトリ。 | 1~512バイトの半角文字列。 | なし |
WebSphere Application Server Version | WebSphere Application Serverのバージョン。 6:V6.0,V6.1 7:V7.0 | 「6」または「7」。 | 6 |
SOAP Connector Port Number | WebSphere Application ServerのSOAPコネクターポート番号。 | 1024~65535の数値。 | 8880 |
User Name※1,※2 | WebSphere Application Serverに接続するためのHTTP基本認証のユーザーID。 | 1~512バイトの半角文字列。 | なし |
Password※2 | WebSphere Application Serverに接続するためのHTTP基本認証のパスワード。 | 1~256バイトの半角文字列。 | なし |
TrustStore File Path※3 | WebSphere Application ServerのSOAPコネクターポートでSSLを使用している場合※4に,サーバ(WebSphere Application Server)を認証するための,JKS(Java keystore)形式のトラストストアファイル(絶対パス)。※5 | 1~512バイトの半角文字列。 | なし |
TrustStore Password※3 | WebSphere Application ServerのSOAPコネクターポートでSSLを使用している場合に,WebSphere Application Serverに接続するためのトラストストアファイルのパスワード。 | 1~256バイトの半角文字列。 | なし |
Store Version※6 | 使用するStoreバージョン。※7 | 「1.0」または「2.0」。 | 2.0 |
インスタンス環境を構築するには,jpcconf inst setup(jpcinssetup)コマンドを使用します。
インスタンス環境の構築手順を次に示します。複数のインスタンス環境を設定する場合は,この手順を繰り返し実施します。
jpcconf inst setup -key WAS -inst APSV(jpcinssetup agt2 -inst APSV)
すべての入力が終了すると,インスタンス環境が構築されます。構築時に入力した内容を変更したい場合は,再度jpcconf inst setup(jpcinssetup)コマンドを実行し,インスタンス環境を更新してください。インスタンス環境の更新については,「3.4.2 インスタンス環境の更新の設定」を参照してください。
構築されるインスタンス環境を次に示します。
表3-5 インスタンス環境のディレクトリ構成
ディレクトリ名・ファイル名 | 説明 | ||
---|---|---|---|
agent | インスタンス名 | jpcagt.ini | Agent Collectorサービス起動情報ファイル |
jpcagt.ini.model※ | Agent Collectorサービス起動情報ファイルのモデルファイル | ||
log | ログファイル格納ディレクトリ | ||
store | インスタンス名 | *.DAT | データモデル定義ファイル |
backup | バックアップ先ディレクトリ | ||
dump | エクスポート先ディレクトリ | ||
import | 標準のデータベースインポート先ディレクトリ(Storeバージョン2.0の場合) | ||
jpcsto.ini | Agent Storeサービス起動情報ファイル | ||
jpcsto.ini.model※ | Agent Storeサービス起動情報ファイルのモデルファイル | ||
log | ログファイル格納ディレクトリ | ||
partial | 標準のデータベース部分バックアップ先ディレクトリ(Storeバージョン2.0の場合) | ||
STPD | PDレコードタイプのパフォーマンスデータ格納先ディレクトリ(Storeバージョン2.0の場合) | ||
STPI | PIレコードタイプのパフォーマンスデータ格納先ディレクトリ(Storeバージョン2.0の場合) |
プロダクトID 機能ID インスタンス番号 インスタンス名 [ホスト名]
(4) ネットワークの設定
Performance Managementを使用するネットワーク構成に応じて,変更する場合にだけ必要な設定です。
ネットワークの設定には次の二つの項目があります。
(5) ログのファイルサイズ変更
Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。共通メッセージログは,デフォルトで2,048キロバイトのファイルが2ファイル使用されます。このファイルサイズを変更したい場合に必要な設定です。
詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
(6) パフォーマンスデータの格納先の変更
PFM - Agent for WebSphere Application Serverで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先,またはインポート先のディレクトリを変更したい場合に必要な設定です。
パフォーマンスデータは,デフォルトで,次の場所に保存されます。
詳細については,「3.4.1 パフォーマンスデータの格納先の変更」を参照してください。
(7) PFM - Agent for WebSphere Application Serverの接続先PFM - Managerの設定
PFM - Agentがインストールされているホストで,そのPFM - Agentを管理するPFM - Managerを設定します。接続先のPFM - Managerを設定するには,jpcconf mgrhost define(jpcnshostname)コマンドを使用します。
手順を次に示します。
jpcconf mgrhost define -host host01(jpcnshostname -s host01)
(8) 動作ログ出力の設定
アラーム発生時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。
設定方法については,「付録I 動作ログの出力」を参照してください。