付録A.2 ディスク占有量

ディスク占有量は,パフォーマンスデータを収集するレコード数によって変化します。

PFM - Agent for JP1/AJS3のディスク占有量の見積もりについて説明します。

<この項の構成>
(1) システム全体のディスク占有量
(2) Storeデータベース(Storeバージョン1.0)のディスク占有量
(3) Storeデータベース(Storeバージョン2.0)のディスク占有量

(1) システム全体のディスク占有量

システム全体のディスク占有量の見積もり値を記載します。

表A-2 システム全体のディスク占有量

PFM - Agent for JP1/AJS3の状態ディスク占有量(単位:メガバイト)
WindowsUNIX
インストール時52
運用時5+W2+W
(凡例)
W:Storeデータベースで使用するディスク占有量
Storeデータベースで使用するディスク占有量は,PIレコードタイプのレコードのディスク占有量で計算されます。
ディスク占有量の見積もり式については,「(2) Storeデータベース(Storeバージョン1.0)のディスク占有量」または「(3) Storeデータベース(Storeバージョン2.0)のディスク占有量」を参照してください。
注※
インストール時にはプログラム本体容量の2倍分のディスク容量が必要となります。

(2) Storeデータベース(Storeバージョン1.0)のディスク占有量

Storeデータベース(Storeバージョン1.0)のディスク占有量について説明します。

(a) 見積もり式

Storeデータベースでは,各レコードは,レコードタイプごとに一つのファイルに格納されます。Storeデータベース(Storeバージョン1.0)のディスク占有量について,次の表に示します。

表A-3 Storeデータベースのディスク占有量

レコードタイプディスク占有量の見積もり式(単位:バイト)
PIレコードタイプX1+.....+Xa+3,500*a
(凡例)
X:PIレコードタイプのレコードで履歴データを収集する各レコードのディスク占有量
Xの算出式を次に示します。
X={c*d+(b+1,900)*{(c*d)/(65,250-b)+1}※1}*e*3
a:PIレコードタイプのレコードで履歴データを収集するレコード数
b:履歴データを収集する各レコードの固定部のサイズ※2
c:履歴データを収集する各レコードの可変部のサイズ※2
d:履歴データを収集する各レコードのインスタンス数(単数インスタンスレコードの場合は1)※3
e:履歴データを収集する各レコードの保存レコード数※4
注※1
{(c*d)/(65,250-b)+1}の計算結果は,小数点以下を切り捨ててください。
注※2
各レコードの固定部および可変部のサイズについては,「6. レコード」を参照してください。
注※3
各レコードのインスタンス数の見積もりを次の表に示します。
レコードIDインスタンス数
PIf*g+1
PI_QJEDh*i
PI_EJEDj*k
PI_LJEDl*m
PI_JDD監視対象のJP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS2 - Managerのスケジューラーサービス数
PI_SWDD監視対象のJP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS2 - Managerのスケジューラーサービス数
PI_SIDD監視対象のJP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS2 - Managerのスケジューラーサービス数*9
PI_JIDD11
PI_CVOD監視対象のJP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS2 - Managerのスケジューラーサービス数*n
PI_SEDDo*2
(凡例)
f:監視対象のJP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS2 - Managerで実行するジョブの実行先エージェントホストの数
g:監視対象のJP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS2 - Managerにジョブまたはジョブネットを定義しているスケジューラーサービスの数
h:監視対象のJP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS2 - Managerで実行するキューイングジョブ(標準ジョブとアクションジョブのうち,キューレス属性ではないもの)の実行先エージェントホストの数
i:監視対象のJP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS2 - Managerにキューイングジョブ(標準ジョブとアクションジョブのうち,キューレス属性ではないもの)を定義しているスケジューラーサービスの数
j:監視対象のJP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS2 - Managerで実行するイベントジョブの実行先エージェントホストの数
k:監視対象のJP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS2 - Managerにイベントジョブを定義しているスケジューラーサービスの数
l:監視対象のJP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS2 - Managerで実行するキューレス属性のジョブの実行先エージェントホストの数
m:監視対象のJP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS2 - Managerにキューレス属性のジョブを定義しているスケジューラーサービスの数
n:監視対象のJP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS2 - Managerで行うコマンドとJP1/AJS3 - View,またはJP1/AJS2 - Viewの操作数のうちPFM - Agent for JP1/AJS3の監視対象となっているものの数
o:JP1/AJS3,またはJP1/AJS2のスケジューラーデータベースとしてセットアップされている組み込みDB識別子の数
注※
PFM - Agent for JP1/AJS3の監視対象となるJP1/AJS3 - Manager,またはJP1/AJS2 - Managerで行うコマンドとJP1/AJS3 - View,またはJP1/AJS2 - Viewの操作については「6.レコード」の「Command & View Operation Detail(PI_CVOD)」フィールドの注※2を参照してください。
注※4
PIレコードタイプのレコードの場合,収集したデータがある一定の区分(時,日,週,月,および年単位)に自動的に要約されるので,分,時,日,週,月,および年の部分の保存レコード数を考慮して計算する必要があります。デフォルトの保存期間と保存レコード数を次の表に示します。保存レコード数については,「付録F.1 Agent Storeサービスのプロパティ一覧」を参照してください。
データの種類保存期間保存レコード数
(収集間隔が1分の場合)
分単位1日1,440
時単位7日168
日単位1年366
週単位1年52
月単位1年12
年単位制限なし(収集年数)*1

 

(b) 見積もり例

PIレコードタイプのJobnet Delay Detail(PI_JDD)について,PI_JDD以外のPIレコードタイプを保存設定していない場合。表A-3に示した変数a~eが次の値とします。

a=1
b=937
c=95
d=1
e=2,039

(dの求め方)
表A-3の注※3のレコードに対応するパフォーマンスオブジェクトのインスタンス数を参照してください。今回はd=1とします。
(eの求め方)
PI_JDDの収集間隔を1分,年単位の収集年数を1年として,保存期間の設定が表A-3の注※4のとおりである場合。
1,440+168+366+52+12+1=2,039レコード
e=2,039
Xの算出式

X={c*d+(b+1,900)*{(c*d)/(65,250-b)+1}}*e*3
X={95*1+(937+1,900)*{95*1/(65,250-937)+1}}*2,039*3
={95+(2,837)*{95/64,313+1}}*6,117
={95+(2,837)*1}*6,117
=2,932*6,117
=17,935,044(バイト)
=約17.1(メガバイト)

(3) Storeデータベース(Storeバージョン2.0)のディスク占有量

Storeデータベース(Storeバージョン2.0)のディスク占有量について説明します。

(a) 見積もり式

ディスク占有量,ファイル数,およびディレクトリ数の見積もりについて説明します。

●ディスク占有量

Storeデータベースのディスク占有量は,レコードタイプごとのディスク占有量の総和となります。PIレコードタイプについては,さらに要約区分ごとのディスク占有量の総和となります。

レコードタイプごとのディスク占有量Xの見積もり式(単位:バイト)
X={(e+2)*f+(d+60)*{((e+2)*f)/(65,250-d)+1}※1}*a/b*(c+1)*1.1
a:レコードタイプ,要約区分ごとに値が異なります。表A-4を参照してください。
b:レコードタイプ,要約区分ごとに値が異なります。表A-4を参照してください。※2
c:履歴データの保存期間設定値※3。レコードタイプ,要約区分ごとに指定する単位が異なります。単位については表A-4を参照してください。
d:履歴データを収集する各レコードの固定部のサイズ※4
e:履歴データを収集する各レコードの可変部のサイズ※4
f:履歴データを収集する各レコードのインスタンス数(単数インスタンスレコードの場合は1)※5。インスタンス数が2以上の場合,4の倍数に丸めます。例えばインスタンス数が2の場合は,f=4となります。インスタンス数が13の場合は,f=16となります。インスタンス数が1の場合はf=1となります。

表A-4 a,bおよびcに設定する値

レコードタイプ要約区分abc
PI1,4401+(g-1)/60※2保存期間(単位:日)
241+(g-1)/3,600※2保存期間(単位:日)
71+(g-1)/86,400※2保存期間(単位:週)
11+(g-1)/604,800※2保存期間(単位:週)
11+(g-1)/2,592,000※2保存期間(単位:月)
11+(g-1)/31,622,400※210(固定値)
(凡例)
g:履歴データの収集インターバル設定値(単位:秒)
注※1
{((e+2)*f)/(65,250-d)+1}の計算結果は,小数点以下を切り捨ててください。
注※2
PIレコードタイプのbの計算結果は,小数点以下を切り捨ててください。
注※3
Storeバージョン2.0の場合のデフォルトの保存期間と保存レコード数を次の表に示します。

表A-5 デフォルトの保存期間と保存レコード数(Storeバージョン2.0の場合)

データの種類保存期間保存レコード数
(収集間隔が1分の場合)
分単位1日1,440
時単位7日168
日単位54週378
週単位54週54
月単位1年12
年単位10年(収集年数)*1
注※4
各レコードの固定部・可変部のサイズについては,「6. レコード」のレコードサイズを参照してください。
注※5
レコードごとのインスタンス数については,「(2) Storeデータベース(Storeバージョン1.0)のディスク占有量」を参照してください。

●ファイル数

Storeデータベースで作成されるファイル数Nの見積もり式を次に示します。

N=20+2*(
(A11+A12+...+A1l+l)+
(A21+A22+...+A2l+l)+
(A31+A32+...+A3l+l)+
(A41+A42+...+A4l+l)+
(A51+A52+...+A5l+l)+
(11*l)
)

l:PIレコードタイプで収集しているレコードの数

A11~A1l:PIレコードタイプのレコードごとの分レコードの保存期間設定値(単位:日)

A21~A2l:PIレコードタイプのレコードごとの時レコードの保存期間設定値(単位:日)

A31~A3l:PIレコードタイプのレコードごとの日レコードの保存期間設定値(単位:週)

A41~A4l:PIレコードタイプのレコードごとの週レコードの保存期間設定値(単位:週)

A51~A5l:PIレコードタイプのレコードごとの月レコードの保存期間設定値(単位:月)

●ディレクトリ数

Storeデータベースで作成されるディレクトリ数Nの見積もり式を次に示します。

N=25+2*((A1max)+(A2max)+(A3max)+(A4max)+(A5max)+11)

l:PIレコードタイプで収集しているレコードの数

A1max:PIレコードタイプで収集しているレコードの要約区分が「分」のデータの保存期間設定値の最大値(単位:日)

A2max:PIレコードタイプで収集しているレコードの要約区分が「時」のデータの保存期間設定値の最大値(単位:日)

A3max:PIレコードタイプで収集しているレコードの要約区分が「日」のデータの保存期間設定値の最大値(単位:週)

A4max:PIレコードタイプで収集しているレコードの要約区分が「週」のデータの保存期間設定値の最大値(単位:週)

A5max:PIレコードタイプで収集しているレコードの要約区分が「月」のデータの保存期間設定値の最大値(単位:月)

●Storeサービスがオープンするファイル数

Storeサービスがオープンするディレクトリ数Nの見積もり式を次に示します。

N=20+2*(6*l)

l:PIレコードタイプで収集しているレコードの数

(b) 見積もり例

PFM - Agent for JP1/AJS3のStoreデータベース(Storeバージョン2.0)の見積もりについて説明します。

●ディスク占有量

PIレコードを収集する設定にした場合を例に挙げて説明します。

「(a) 見積もり式」のディスク占有量の見積もり式で示した変数が次の値とします。

d=937(バイト)
e=511(バイト)
f=3
g=60(秒)

次に,分レコード,時レコードなどそれぞれの計算を行います。

分レコード
変数を次の値とします。

a=1,440
b=1+(60-1)/60
=1.98...
=1(小数点以下切り捨て)
c=3(日)

見積もり式を次に示します。

X(分)={(511+2)*3+(937+60)*{((511+2)*3)/(65,250-937)+1}}*1,440/1*(3+1)*1.1
={1,539+997*1}*6,336
=2,536*6,336
=16,068,096(バイト)=約15(メガバイト)

時レコード
変数を次の値とします。

a=24
b=1+(60-1)/3,600
=1.01...
=1(小数点以下切り捨て)
c=3(日)

見積もり式を次に示します。

X(時)={(511+2)*3+(937+60)*{((511+2)*3)/(65,250-937)+1}}*24/1*(3+1)*1.1
={1,539+997*1}*105.6
=2,536*105.6
=267,801(バイト)=約0.3(メガバイト)

日レコード
変数を次の値とします。

a=7
b=1+(60-1)/86,400
=1.00...
=1(小数点以下切り捨て)
c=1(週)

見積もり式を次に示します。

X(日)={(511+2)*3+(937+60)*{((511+2)*3)/(65,250-937)+1}}*7/1*(1+1)*1.1
={1,539+997*1}*15.4
=2,536*15.4
=39,054(バイト)=約0.04(メガバイト)

週レコード
変数を次の値とします。

a=1
b=1+(60-1)/604,800
=1.00...
=1(小数点以下切り捨て)
c=1(週)

見積もり式を次に示します。

X(週)={(511+2)*3+(937+60)*{((511+2)*3)/(65,250-937)+1}}*1/1*(1+1)*1.1
={1,539+997*1}*2.2
=2,536*2.2
=5,580(バイト)=約0.005(メガバイト)

月レコード
変数を次の値とします。

a=1
b=1+(60-1)/2,592,000
=1.00...
=1(小数点以下切り捨て)
c=1(月)

見積もり式を次に示します。

X(月)={(511+2)*3+(937+60)*{((511+2)*3)/(65,250-937)+1}}*1/1*(1+1)*1.1
={1,539+997*1}*2.2
=2,536*2.2
=5,580(バイト)=約0.005(メガバイト)

年レコード
変数を次の値とします。

a=1
b=1+(60-1)/31,622,400
=1.00...
=1(小数点以下切り捨て)
c=10(年)

見積もり式を次に示します。

X(年)={(511+2)*3+(937+60)*{((511+2)*3)/(65,250-937)+1}}*1/1*(10+1)*1.1
={1,539+997*1}*12.1
=2,536*12.1
=30,686(バイト)=約0.03(メガバイト)

以上から,PIの見積もりは次のようになります。

X(合計)=X(分)+X(時)+X(日)+X(週)+X(月)+X(年)
=15.38(メガバイト)
=約15(メガバイト)

したがって,必要なディスク占有量はPI =15メガバイトとなります。

●ファイル数

PIレコード,およびPI_SIDDレコードを収集する場合を例に挙げて説明します。

「(a) 見積もり式」のファイル数の見積もり式で示した変数が次の値とします。

l=2
A11~A1l=3(日)
A21~A2l=3(日)
A31~A3l=1(週)
A41~A4l=1(週)
A51~A5l=1(月)

Storeデータベースで作成されるファイル数Nの見積もり式を次に示します。

N=20+2*(
(A11+A12+...+A1l+l)+
(A21+A22+...+A2l+l)+
(A31+A32+...+A3l+l)+
(A41+A42+...+A4l+l)+
(A51+A52+...+A5l+l)+
(11*l)
)
=20+2*{
[3(PI分)+3(PI_SIDD分)+2]+
[3(PI分)+3(PI_SIDD分)+2]+
[1(PI分)+1(PI_SIDD分)+2]+
[1(PI分)+1(PI_SIDD分)+2]+
[1(PI分)+1(PI_SIDD分)+2]+
[11*2]

=20+2*{8+8+4+4+4+22}=120

●ディレクトリ数

PIレコード,およびPI_SIDDレコードを収集する場合を例に挙げて説明します。

「(a) 見積もり式」のディレクトリ数の見積もり式で示した変数が次の値とします。

l=2
A1max=3(日)(考え方:PIが2日,PI_SIDDが3日の場合は3日となります。)
A2max=3(日)
A3max=1(週)
A4max=1(週)
A5max=1(月)

Storeデータベースで作成されるディレクトリ数Nの見積もり式を次に示します。

N=25+2*((A1max)+(A2max)+(A3max)+(A4max)+(A5max)+11)
=25+2*(3+3+1+1+1+11)=65

●Storeサービスがオープンするファイル数

PIレコード,およびPI_SIDDレコードを収集する場合を例に挙げて説明します。

「(a) 見積もり式」の見積もり式で示した変数が次の値とします。

l=2

Storeサービスがオープンするディレクトリ数Nの見積もり式を次に示します。

N=20+2*(6*l)
=20+2*(6*2)=44