JP1/Performance Management - Agent Option for Microsoft(R) SQL Server
ここでは,PFM - Agent for Microsoft SQL Serverを運用するための,セットアップについて説明します。
は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。
- <この項の構成>
- (1) PFM - Agent for Microsoft SQL Serverの登録
- (2) インスタンス環境の設定
- (3) ストアドプロシージャの登録
- (4) ネットワークの設定
- (5) ログのファイルサイズ変更
- (6) パフォーマンスデータの格納先の変更
- (7) PFM - Agent for Microsoft SQL Serverの接続先PFM - Managerの設定
- (8) 動作ログ出力の設定
(1) PFM - Agent for Microsoft SQL Serverの登録
PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleを使ってPFM - Agentを一元管理するために,PFM - ManagerおよびPFM - Web ConsoleにPFM - Agent for Microsoft SQL Serverを登録する必要があります。
PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合,PFM - Agentの登録は自動で行われるため,ここで説明する手順は不要です。ただし,PFM - Managerのリリースノートに記載されていないデータモデルバージョンのPFM - Agentは手動で登録する必要があります。なお,PFM - Agent for Microsoft SQL Serverのデータモデルのバージョンについては,「付録H バージョン互換」を参照してください。
PFM - Agentの登録の流れを次に示します。
図2-3 PFM - Agentの登録の流れ
- 注意
- PFM - Agentの登録は,インスタンス環境を設定する前に実施してください。
- すでにPFM - Agent for Microsoft SQL Serverの情報が登録されているPerformance Managementシステムに,新たに同じバージョンのPFM - Agent for Microsoft SQL Serverを追加した場合,PFM - Agentの登録は必要ありません。
- バージョンが異なるPFM - Agent for Microsoft SQL Serverを,異なるホストにインストールする場合,古いバージョン,新しいバージョンの順でセットアップしてください。
- PFM - Managerと同じホストにPFM - Agentをインストールした場合,jpcconf agent setup(jpcagtsetup)コマンドが自動的に実行されます。共通メッセージログに「KAVE05908-I エージェント追加セットアップは正常に終了しました」と出力されるので,結果を確認してください。コマンドが正しく実行されていない場合は,コマンドを実行し直してください。コマンドの実行方法については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドの章を参照してください。
- PFM - Agent for Microsoft SQL Serverは,共有メモリーを使用してMicrosoft SQL Server と通信しているため,Microsoft SQL Server側で共有メモリーを有効にする設定が必要となります。共有メモリーを有効にする設定の方法および詳細については,Microsoft SQL Serverのマニュアルを参照してください。
- Microsoft SQL Serverのメモリー設定で,最小クエリメモリーの値を初期設定の1,024キロバイトより低く設定しないでください。低く設定した場合,Microsoft SQL Serverに対するクエリーが失敗し,データ収集ができなくなります。
- PFM - Agent for Microsoft SQL Serverの情報を登録する作業では,PFM - Web Consoleの[レポート階層]画面および[アラーム階層]画面に「SQL」という名前のフォルダが作成されます。[レポート階層]画面で,すでに独自に「SQL」という名前のフォルダまたはファイルを作成していた場合には,名前を変更してから作業を始めてください。
(a) PFM - Agent for Microsoft SQL Serverのセットアップファイルをコピーする
PFM - Agent for Microsoft SQL ServerインストールしたホストにあるセットアップファイルをPFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleをインストールしたホストにコピーします。手順を次に示します。
- PFM - Web Consoleが起動されている場合は,停止する。
- PFM - Agentのセットアップファイルをバイナリーモードでコピーする。
ファイルが格納されている場所およびファイルをコピーする場所を次の表に示します。
表2-2 コピーするセットアップファイル
PFM - Agentの
セットアップファイルコピー先 PFMプログラム名 OS コピー先フォルダ インストール先フォルダ\setup\jpcagtqw.EXE PFM - Manager Windows PFM - Managerのインストール先フォルダ\setup\ インストール先フォルダ\setup\jpcagtqu.Z UNIX /opt/jp1pc/setup/ インストール先フォルダ\setup\jpcagtqw.EXE PFM - Web Console Windows PFM - Web Consoleのインストール先フォルダ\setup\ インストール先フォルダ\setup\jpcagtqu.Z UNIX /opt/jp1pcwebcon/setup/ (b) PFM - Managerホストでセットアップコマンドを実行する
PFM - ManagerでPFM - Agent for Microsoft SQL Serverをセットアップするための次のコマンドを実行します。
jpcconf agent setup -key SQL(jpcagtsetup agtq)
- 注意
- コマンドを実行するローカルホストのPerformance Managementのプログラムおよびサービスが完全に停止していない状態でjpcconf agent setup(jpcagtsetup)コマンドを実行した場合,エラーが発生することがあります。その場合は,Performance Managementのプログラムおよびサービスが完全に停止したことを確認したあと,再度jpcconf agent setup(jpcagtsetup)コマンドを実行してください。
PFM - ManagerホストにあるPFM - Agentのセットアップファイルは,この作業が終了したあと,削除してもかまいません。
(c) PFM - Web Consoleホストでセットアップコマンドを実行する
PFM - Web ConsoleでPFM - Agent for Microsoft SQL Serverをセットアップするための次のコマンドを実行します。
jpcwagtsetupPFM - Web ConsoleホストにあるPFM - Agentのセットアップファイルは,この作業が終了したあと削除してもかまいません。
インスタンス環境の設定では,次の項目を実施します。複数のインスタンス環境を設定する場合は,この手順を繰り返し実施します。
- インスタンス情報の設定
次に手順について説明します。
PFM - Agent for Microsoft SQL Serverで監視するMicrosoft SQL Serverのインスタンス情報を設定します。インスタンス情報の設定は,PFM - Agentホストで実施します。
設定するインスタンス情報を次の表に示します。セットアップの操作を始める前に,次の表の情報をあらかじめ確認してください。Microsoft SQL Serverのインスタンス情報およびMicrosoft SQL Serverのユーザー認証の詳細については,Microsoft SQL Serverのマニュアルを参照してください。
表2-3 PFM - Agent for Microsoft SQL Serverのインスタンス情報
項目 説明 設定できる値 デフォルト値 Microsoft SQL Serverのインスタンス名 監視対象となるMicrosoft SQL Serverのインスタンス名。 Microsoft SQL Serverのインストール方法によって,指定するインスタンス名は異なる。
- 既定インストールした場合
- 「default」
詳細については,インスタンス環境の構築手順について記載している個所を参照のこと。
- インスタンス名を付与してインストールした場合
- 「付与したインスタンス名」
− SQL_HOST 監視対象となるMicrosoft SQL Serverが稼働しているホスト名。論理ホストの場合は,論理ホスト名。 − PFM - Agent for Microsoft SQL Serverのインストール先ホスト名 SQL_USER※1 SQL Server認証に使用するMicrosoft SQL Serverのユーザー名。 「sa」と同等の権限を持つユーザーアカウント(固定サーバロールsysadminメンバーアカウント)。
上記以外のアカウントを用意する場合は,「Microsoft SQL Server認証を行う場合のユーザーアカウントの権限」について説明している個所を参照のこと。
Windows認証で認証する場合は,半角スペース1文字にする。sa SQL_PASSWORD※1 SQL Server認証に使用するMicrosoft SQL Serverのユーザーのパスワード。 SQL_USERに対応するパスワード。 − SQL_ERRORLOG 監視対象となるMicrosoft SQL Serverインスタンスのエラーログファイル名(絶対パス)。 512バイト以内の半角文字列。
ただし,次の文字は指定できない。
- 空白文字
- タブ
- 次の記号
「/」「:」「,」「;」「*」「?」「"」「<」「>」「|」
C:\Program Files\Microsoft SQL Server\MSSQL.1
\MSSQL\LOG\ERRORLOGSTARTUP_PENDING※2 PFM - Agent for Microsoft SQL Serverの起動から通常処理に移行するときのペンディング時間。
ペンディング機能については,「3.2.1(2) フェールオーバー時のペンディング機能」を参照してください。0〜3600(単位:秒)。
なお,0を指定した場合はペンディングが行われない。0 LOG_PATH※2※3 エージェントログの出力先フォルダ(絶対パス)。 245バイト以内の半角文字列。
ただし,次の文字は指定できない。
- タブ
- 次の記号
「/」「:」「,」「;」「*」「?」「"」「<」「>」「|」
インストール先フォルダ\agtq\agent\インスタンス名\log LOG_SIZE※2 エージェントログの1ファイルの最大サイズ。※4 1〜32(単位:メガバイト)。
ただし,推奨は16以上。16 TIMEOUT※2 データベースアクセス時のクエリータイムアウト時間を秒単位で指定する。 1〜3600(単位:秒)。 60 LOGIN_TIMEOUT※2 データベースへの接続タイムアウト時間を秒単位で指定する。 1〜3600(単位:秒)。 20 Store Version※5 使用するStoreバージョンを指定する。Storeバージョンについては「2.4.3 Storeバージョン2.0への移行」を参照のこと。 1.0または2.0 2.0 DB_FREE_PERC_OPTION※6※8 PD_DSレコードのFree %フィールドがマイナス値になる場合の動作を指定する。 {Y|N}
「Y」を指定した場合,DB_FREE_PERC_NUMBERで指定した値を設定する。「N」を指定した場合,Free %フィールドにマイナス値がそのまま設定される。Y DB_FREE_PERC_NUMBER※7※8 PD_DSレコードのFree %フィールドがマイナス値になった場合に置き換える値を指定する。DB_FREE_PERC_OPTIONで「Y」を指定した場合だけ有効。 -1〜999 0
- (凡例)
- −:なし
- 注※1
- SQL_USERに指定するMicrosoft SQL Serverのユーザー名によって,Microsoft SQL Serverの認証方法が異なります。Microsoft SQL Serverのインストール方法,Microsoft SQL Serverのインスタンス情報およびMicrosoft SQL Serverのユーザー認証の詳細については,Microsoft SQL Serverのマニュアルを参照してください。SQL_USERの指定値ごとの認証方法を次の表に示します。
表2-4 SQL_USERの指定値ごとの認証方法
SQL_USERの指定値 SQL_PASSWORDの指定値 認証方法 sa ユーザーsaのパスワード SQL Server認証 指定しない(パスワードを設定していない場合) 任意の半角文字列 指定したユーザーのパスワード 指定しない(パスワードを設定していない場合) 半角スペース1文字 不要(入力しても無視される) Windows認証 - なお,上記の表の「Windows認証」は,PFM-Agent for Microsoft SQL Server サービスのアカウントで実施します。
- 注※2
- PFM - Agent for Microsoft SQL Server 08-00より前のバージョンからバージョンアップする場合,デフォルト値が設定されます。
- 注※3
- エージェントログの出力先フォルダをデフォルト値以外に変更する場合は,書き込みアクセス許可のあるフォルダを指定してください。
- Windows Server 2008の場合,WRPによるリソース保護が有効になっているフォルダの下位にあるリソースは,削除および変更できません。WRPが設定されているフォルダの下位に,エージェントログの出力先フォルダを設定しないでください。
- 注※4
- エージェントログは,1インスタンスにつき最大4ファイルが採取されます。LOG_SIZEの値は,次の条件を満たすことを確認して指定してください(LOG_PATHがデフォルトの場合を含む)。
LOG_PATHに指定したドライブの空き容量(メガバイト) > LOG_SIZEの値×4 - ハードディスクに十分な空き容量がない場合,エージェントログの採取エラーとなります。エージェントログについては「7.3 ログ情報」を参照してください。
- 注※5
- Store Versionは新規にインスタンス環境を設定するときだけ指定できる項目です。インスタンス環境を更新するときは指定できません。
- 注※6
- Microsoft SQL Serverのデータの遅延割り当てにより,パフォーマンスデータへの値の反映がすぐに実行されないため,PD_DSレコードのFree %フィールドの値がマイナスになる場合があります。この場合に値を置き換えるかどうかを指定します。
- 注※7
- Free %フィールドをアラーム条件に使用している場合は,運用環境に合わせて値を設定してください。
- <アラームを発生させる場合>
- 異常条件,または警告条件のしきい値を超過するように値を設定する。
- <アラームを発生させない場合>
- 異常条件,または警告条件のしきい値を超過しないように値を設定する。
- 注※8
- Free %フィールドの値を置き換えた場合,エージェントログに,KAVF21847-Iメッセージが出力されます。
- 注意
- インスタンス環境を設定していない場合,PFM - Agent for Microsoft SQL Serverのサービスを起動できません。
- jpcconf inst setup(jpcinssetup)コマンドを使用してインスタンス環境を構築する際,Microsoft SQL Server上に存在しないインスタンス名を指定した場合でもコマンドは正常に終了します。しかし,その後レコードの収集を開始すると,共通メッセージログに「KAVF21400-W」のメッセージが出力され,監視対象のMicrosoft SQL Serverに接続できません。この場合,正しいインスタンス名を確認の上,再度jpcconf inst setup(jpcinssetup)コマンドを実行してください。
インスタンス環境を構築するには,jpcconf inst setup(jpcinssetup)コマンドを使用します。インスタンス環境の構築手順を次に示します。
- サービスキーおよびインスタンス名を指定して,jpcconf inst setup(jpcinssetup)コマンドを実行する。
次のように指定してコマンドを実行します。
Microsoft SQL Serverのインストール方法によって,指定するインスタンス名は次のように異なります。
jpcconf inst setup -key SQL -inst インスタンス名(jpcinssetup agtq -inst インスタンス名)
jpcconf inst setup(jpcinssetup)コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の,コマンドについて説明している章を参照してください。
- Microsoft SQL Serverを既定インストールした場合
既定のインスタンスを監視するため,インスタンス名を次のように「default」と指定してください。なお,「default」という名称以外は指定できません。
jpcconf inst setup -key SQL -inst default(jpcinssetup agtq -inst default)
- インスタンス名を付与してMicrosoft SQL Serverをインストールした場合
この場合,インスタンス名には,Microsoft SQL Serverのインスタンス名としても認識できる名前を設定する必要があります。Microsoft SQL Serverのインストール時に指定した,Microsoft SQL Serverのインスタンス名(監視対象となるMicrosoft SQL Serverのインスタンス名)を指定してください。例えば「SQL1」というインスタンス名を付与してMicrosoft SQL Serverをインストールした場合は,インスタンス名を次のように「SQL1」と指定してください。
jpcconf inst setup -key SQL -inst SQL1(jpcinssetup agtq -inst SQL1)
- Microsoft SQL Serverのインスタンス情報を設定する。
表2-3に示した項目を,コマンドの指示に従って入力してください。各項目とも省略はできません。デフォルトで表示されている値を入力値とする場合は,リターンキーだけを押してください。
すべての入力が終了すると,インスタンス環境が構築されます。構築時に入力したホスト名,ユーザー名,パスワード,エラーログファイル名,ペンディング時間,エージェントログ出力先,またはエージェントログファイルサイズを変更したい場合は,再度jpcconf inst setup(jpcinssetup)コマンドを実行し,インスタンス環境を更新してください。インスタンス環境の更新については,「2.4.2 インスタンス環境の更新の設定」を参照してください。
構築されるインスタンス環境を次に示します。
- インスタンス環境のフォルダ構成
次のフォルダ下にインスタンス環境が構築されます。
物理ホストの場合:インストール先フォルダ\agtq
論理ホストの場合:環境フォルダ※\jp1pc\agtq
構築されるインスタンス環境のフォルダ構成を次に示します。
- 注※
- 環境フォルダとは,論理ホスト作成時に指定した共有ディスク上のフォルダです。
表2-5 インスタンス環境のフォルダ構成
フォルダ名・ファイル名 説明 agent インスタンス名 jpcagt.ini Agent Collectorサービス起動情報ファイル jpcagt.ini.model※ Agent Collectorサービス起動情報ファイルのモデルファイル log ログファイル格納フォルダ store インスタンス名 jpcsto.ini Agent Storeサービス起動情報ファイル jpcsto.ini.model※ Agent Storeサービス起動情報ファイルのモデルファイル *.DAT データモデル定義ファイル dump エクスポート先フォルダ import 標準のデータベースインポート先フォルダ(Storeバージョン2.0の場合) backup バックアップ先フォルダ log ログファイル格納フォルダ partial 標準のデータベース部分バックアップ先フォルダ(Storeバージョン2.0の場合) STPD PDレコードタイプのパフォーマンスデータ格納先フォルダ(Storeバージョン2.0の場合) STPI PIレコードタイプのパフォーマンスデータ格納先フォルダ(Storeバージョン2.0の場合)
- 注※
- インスタンス環境を構築した時点の設定値に戻したいときに使用します。
- インスタンス環境のサービスID
インスタンス環境のサービスIDは次のようになります。
PFM - Agent for Microsoft SQL Serverの場合,インスタンス名にはjpcconf inst setup(jpcinssetup)コマンドで指定したインスタンス名が表示されます。
- Agent Collectorサービス:QAインスタンス番号 インスタンス名 [ホスト名]
- Agent Storeサービス:QSインスタンス番号 インスタンス名 [ホスト名]
例えば,ホスト名が「host1」で,インスタンス名に「default」を指定した場合,サービスIDは次のようになります。
サービスIDについては,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,付録に記載されている命名規則を参照してください。
- Agent Collectorサービス:QA1default [host1]
- Agent Storeサービス:QS1default [host1]
- インスタンス環境のWindowsのサービス名
インスタンス環境のWindowsのサービス名は次のようになります。
PFM - Agent for Microsoft SQL Serverの場合,インスタンス名にはjpcconf inst setup(jpcinssetup)コマンドで指定したインスタンス名が表示されます。
- Agent Collectorサービス:PFM - Agent for Microsoft(R) SQL Server インスタンス名[論理ホスト名]
- Agent Storeサービス:PFM - Agent Store for Microsoft(R) SQL Server インスタンス名[論理ホスト名]
例えば,論理ホスト名が「lhost」で,インスタンス名に「default」を指定した場合,サービス名は次のようになります。
Windowsのサービス名については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,付録に記載されている命名規則を参照してください。
- Agent Collectorサービス:PFM - Agent for Microsoft(R) SQL Server default[lhost]
- Agent Storeサービス:PFM - Agent Store for Microsoft(R) SQL Server default[lhost]
また,論理ホストで運用する場合のWindowsのサービス名については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
- Microsoft SQL Server認証をする場合のユーザーアカウントの権限
Microsoft SQL Serverを運用するには,特定のMicrosoft SQL Server Databaseの権限を持つユーザーアカウントが必要です。
Microsoft SQL Serverが,Microsoft SQL Server Databaseから性能情報を取得するために必要な権限を次の表に示します。
表2-6 Microsoft SQL ServerがMicrosoft SQL Server Databaseから性能情報を収集するために必要な権限
生成するレコードに応じた権限を設定して,Agent for Microsoft SQL Serverを運用してください。Agent for Microsoft SQL Serverのレコード生成時に必要な権限を次の表に示します。
権限 内容 sysadminサーバロール PD_SQLレコードのSQL Textフィールドの情報を収集するために必要です。すべてのレコードを生成できます。 masterサーバのdb_ownerデータベースロール PD_PCACレコードのプロシージャキャッシュ情報を収集するために必要です。PD_SQLレコード以外のレコードを生成できます。 レコード生成時に使用するオブジェクトごとに必要な権限(詳細は表2-7を参照) PD_SQL,PD_PCAC以外のレコードを生成するために必要です。
表2-7 Agent for Microsoft SQL Serverのレコード生成時に必要な権限
レコード生成時に使用するオブジェクトごとに必要な権限を次の表に示します。
レコード レコード生成時に必要な権限 説明
- SQL Text (PD_SQL)
sysadminサーバロール PD_SQLレコードを生成する場合,sysadminサーバロールの権限を持ったユーザーアカウントを使用してください。
- Procedure Cache Detail (PD_PCAC)
masterサーバのdb_ownerデータベースロール PD_SQLレコードを生成しない場合,masterサーバのdb_ownerデータベースロールの権限を持ったユーザーアカウントを使用してください。
- Server Detail (PD)
- Database Detail (PD_DD)
- Database Space Detail (PD_DS)
- Server Space Detail (PD_SS)
- Database Interval (PI_DI)
- Server Space Interval (PI_SI)
- Config Detail (PD_CD)
- Job History Detail (PD_JH)
- Lock Detail (PD_LD)
- Licensing Detail (PD_LIC)
- Server Locks Detail (PD_LOCK)
- Process Detail (PD_PDET)
- Database Replication Detail (PD_RD)
- Replication Summary Detail (PD_RS)
- User Process Detail (PI_USER)
- Global Server Summary (PI)
- Replication Pulished Database Overview (PI_RPDB)
- Server Overview (PI_SERV)
- Transaction Log Overview (PI_TLOG)
- User-Defined Counter Overview (PI_UCTR)
- Global Server Summary 2(PI_PI2)
- Server Overview 2(PI_SRV2)
レコード生成時に使用するオブジェクトごとに必要な権限(詳細は表2-7を参照) PD_SQL,PD_PCACレコードを生成しない場合,レコード生成時に使用するオブジェクトごとに必要な権限を持ったユーザーアカウントを使用してください。
- Errorlog Error Detail (PD_EE)
- Errorlog Summary Detail (PD_ES)
Microsoft SQL Serverでの権限設定に依存しない −
表2-8 レコード生成時に使用するオブジェクトごとに必要な権限
レコード 使用するオブジェクト レコード生成時に必要な権限 PD_CD sp_configure ログインに対するmasterデータベースでのユーザーに,sp_configureへのEXEC権限を設定しておく必要があります。 PI_RPDB sp_replcounters ログインに対するmasterデータベースでのユーザーに,sp_replcountersへのEXEC権限を設定しておく必要があります。 PD_JH msdb..sysjobhistory ログインに対するmsdbデータベースでのユーザーに,sysjobhistoryへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 msdb..sysjobsteps ログインに対するmsdbデータベースでのユーザーに,sysjobstepsへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 PD_RS *..MSdistribution_history ログインに対するすべてのデータベースでのユーザーに,MSdistribution_historyへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 PD,PD_LIC,PD_USER,PI,
PI_PI2@@から始まるスカラ関数 すべてのユーザーが実行できます。 PD,PD_DD,PD_DS,PD_RD,PD_RS,PD_SS,PI_DI,PI_RPDB,PI_SI master..sysdatabases ログインに対するmasterデータベースでのユーザーに,sysdatabasesへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 sp_databases ログインに対するmasterデータベースでのユーザーに,sp_databasesへのEXEC権限を設定しておく必要があります。ただし,この項目は,sp_inst.sqlスクリプトを実行していない場合だけに有効です。 A4QHITACHIPROCSPDATABASES ログインに対するmasterデータベースでのユーザーに,A4QHITACHIPROCSPDATABASESへのEXEC権限を設定しておく必要があります。ただし,この項目は,sp_inst.sqlスクリプトを実行している場合だけに有効です。 master.dbo.spt_values ログインに対するmasterデータベースでのユーザーに,spt_valuesへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 *..sysindexes ログインに対するすべてのデータベースでのユーザーに,sysindexesへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 *.sys.indexes ログインに対するすべてのデータベースでのユーザーに,sys.indexesへのSELECT権限を設定しておく必要があります。※ DBCC SQLPERF(LOGSPACE) すべてのユーザーが実行できます。
サーバへのVIEW SERVER STATE権限を設定しておく必要があります。msdb.dbo.backupset ログインに対するmsdbデータベースでのユーザーに,backupsetへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 *..sysarticles ログインに対するすべてのデータベースでのユーザーに,sysarticlesへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 *..syspublications ログインに対するすべてのデータベースでのユーザーに,syspublicationsへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 *..syssubscriptions ログインに対するすべてのデータベースでのユーザーに,syssubscriptionsへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 PD,
PD_DD,PD_LD,PD_LOCK,PD_PDET,PD_USER,PI_DImaster..sysprocesses ログインに対するmasterデータベースでのユーザーに,sysprocessesへのSELECT権限とサーバへのVIEW SERVER STATE権限を設定しておく必要があります。 master..syslogins ログインに対するmasterデータベースでのユーザーに,sysloginsへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 master..sysusers ログインに対するmasterデータベースでのユーザーに,sysusersへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 PD,PD_DD,PD_LD,PD_LOCK,PD_PDET,PD_USER master..syslockinfo ログインに対するmasterデータベースでのユーザーに,syslockinfoへのSELECT権限とサーバへのVIEW SERVER STATE権限を設定しておく必要があります。 *..sysobjects ログインに対するすべてのデータベースでのユーザーに,sysobjectsへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 PD,PD_LIC,
PI,
PI_SERV,PI_UCTR,
PI_PI2,
PI_SRV2master..sysperfinfo ログインに対するmasterデータベースでのユーザーに,sysperfinfoへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 PD_DD,
PD_DS,PD_SS,PI_DI,
PI_SI*..sysfiles ログインに対するすべてのデータベースでのユーザーに,sysfilesへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 PD_DS,PD_SS,PI_DI,
PI_SI*.sys.allocation_units ログインに対するすべてのデータベースでのユーザーに,sys.allocation_unitsへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 *.sys.partitions ログインに対するすべてのデータベースでのユーザーに,sys.partitionsへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 *.sys.internal_tables ログインに対するすべてのデータベースでのユーザーに,sys.internal_tablesへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 PD,
PI,
PI_SERV,
PI_PI2,
PI_SRV2DBCC SQLPERF(IOSTATS) すべてのユーザーが実行できます。 DBCC SQLPERF(LRUSTATS) DBCC SQLPERF(NETSTATS) DBCC SQLPERF(RASTATS) PI_TLOG DBCC SQLPERF(LOGSPACE) すべてのユーザーが実行できます。
サーバへのVIEW SERVER STATE権限を設定しておく必要があります。PD_USER master..syslogins ログインに対するmasterデータベースでのユーザーに,sysloginsへのSELECT権限を設定しておく必要があります。 PD_LD master.sys.dm_tran.locks ログインに対するmaster データベースでのユーザーに,sys.dm_tran_locks へのSELECT権限とサーバへのVIEW SERVER STATE権限を設定しておく必要があります。 *.sys.all_objects ログインに対するすべてのデータベースでのユーザーに,sys.all_objects へのSELECT権限を設定しておく必要があります。
- 注※
- ミラーリング構成での監視をする場合,SELECT権限を設定しておく必要があります。
(3) ストアドプロシージャの登録
監視対象のMicrosoft SQL Serverインスタンスのmasterデータベースに,次に示すストアドプロシージャを登録します。
- A4QHITACHIPROCSPDATABASES
PFM - Agent for Microsoft SQL ServerがMicrosoft SQL Serverからデータベースの名称とサイズの一覧を取得するためのストアドプロシージャです。インスタンス内のデータベースが2テラバイト以上の場合,このストアドプロシージャが登録されていないと,PFM - Agent for Microsoft SQL Serverによる情報の取得が失敗します。
- 注意
- A4QHITACHIPROCSPDATABASESは,監視対象のMicrosoft SQL Serverインスタンスのmasterデータベースに同名のストアドプロシージャ・テーブル・ビューが存在する場合は登録できません。
A4QHITACHIPROCSPDATABASESは,PFM - Agent for Microsoft SQL Serverが提供しているsp_inst.sqlスクリプトを実行して登録できます。登録手順を次に示します。
- Microsoft SQL Serverのosqlユーティリティが実行できる環境を設定する。
osqlユーティリティはMicrosoftが提供しています。Microsoft SQL Serverの環境設定については,Microsoft SQL Serverのマニュアルを参照してください。
- sp_inst.sqlスクリプトの格納先フォルダに移動する。
格納先フォルダを次に示します。
インストール先フォルダ\agtq\sql- 監視対象のMicrosoft SQL Serverを指定して,スクリプトを実行する。
sp_inst.sqlスクリプトの実行方法は,監視するMicrosoft SQL Serverのインスタンスの種類,およびMicrosoft SQL Serverへ接続する際の認証方法によって異なります。それぞれの場合の実行方法は次のとおりです。
- Microsoft SQL Serverが既定のインスタンスの場合
認証方法 sp_inst.sqlスクリプトの実行方法 SQL Server認証 osql -S ホスト名 -U ユーザー名 -P パスワード -d master -i sp_inst.sql ※ Windows認証 osql -S ホスト名 -E -d master -i sp_inst.sql ※ - Microsoft SQL Serverが名前付きインスタンスの場合
認証方法 sp_inst.sqlスクリプトの実行方法 SQL Server認証 osql -S ホスト名\インスタンス名 -U ユーザー名 -P パスワード -d master -i sp_inst.sql ※ Windows認証 osql -S ホスト名\インスタンス名 -E -d master -i sp_inst.sql ※
- 注※
- 指定する内容は次のとおりです。
- ホスト名 : 監視対象のMicrosoft SQL Serverが稼働しているホスト名。
- インスタンス名 : 監視対象のMicrosoft SQL Serverのインスタンス名。
- ユーザー名 : saまたはsaと同等の権限を持つユーザーアカウント(固定サーバロールsysadminメンバーアカウント)
- パスワード : 指定したユーザー名に対応するパスワード
A4QHITACHIPROCSPDATABASESの削除手順については,「付録I ストアドプロシージャの削除」を参照してください。
Performance Managementを使用するネットワーク構成に応じて行う設定です。
ネットワークの設定には次の二つの項目があります。
- IPアドレスを設定する
Performance Managementを複数のLANに接続されたネットワークで使用するときに設定します。複数のIPアドレスを設定するには,jpchostsファイルにホスト名とIPアドレスを定義します。設定したjpchostsファイルはPerformance Managementシステム全体で統一させてください。
詳細についてはマニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
- ポート番号を設定する
Performance Managementが使用するポート番号を設定できます。運用での混乱を避けるため,ポート番号とサービス名は,Performance Managementシステム全体で統一させてください。
ポート番号の設定の詳細についてはマニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。共通メッセージログは,デフォルトで2,048キロバイトのファイルが2ファイル使用されます。このファイルサイズを変更したい場合に必要な設定です。
詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
PFM - Agent for Microsoft SQL Serverで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先,またはインポート先のフォルダを変更したい場合に必要な設定です。
パフォーマンスデータは,デフォルトでは次の場所に保存されます。
- 保存先:インストール先フォルダ\agtq\store\インスタンス名\
- バックアップ先:インストール先フォルダ\agtq\store\インスタンス名\backup\
- 部分バックアップ先※:インストール先フォルダ\agtq\store\インスタンス名\partial\
- エクスポート先:インストール先フォルダ\agtq\store\インスタンス名\dump\
- インポート先※:インストール先フォルダ\agtq\store\インスタンス名\import\
- 注
- 論理ホストで運用する場合のデフォルトの保存先については,「インストール先フォルダ」を「環境フォルダ\jp1pc」に読み替えてください。
- 注※
- Storeバージョン2.0使用時だけ設定できます。
詳細については,「2.4.1 パフォーマンスデータの格納先の変更」を参照してください。
(7) PFM - Agent for Microsoft SQL Serverの接続先PFM - Managerの設定
PFM - Agentがインストールされているホストで,そのPFM - Agentを管理するPFM - Managerを設定します。接続先のPFM - Managerを設定するには,jpcconf mgrhost define(jpcnshostname)コマンドを使用します。
- 注意
- 同一ホスト上に,複数のPFM - Agentがインストールされている場合でも,接続先に指定できるPFM - Managerは,一つだけです。PFM - Agentごとに異なるPFM - Managerを接続先に設定することはできません。
- PFM - AgentとPFM - Managerが同じホストにインストールされている場合,接続先PFM - ManagerはローカルホストのPFM - Managerとなります。この場合,接続先のPFM - ManagerをほかのPFM - Managerに変更できません。
- セットアップを実施する前に,ローカルホストでPerformance Managementのプログラムおよびサービスが起動されている場合は,すべて停止してください。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,Performance Managementの起動と停止について説明している章を参照してください。
手順を次に示します。
- Performance Managementのプログラムおよびサービスを停止する。
jpcconf mgrhost define(jpcnshostname)コマンド実行時に,Performance Managementのプログラムおよびサービスが起動されている場合は,停止を問い合わせるメッセージが表示されます。
- 接続先のPFM - Managerホストのホスト名を指定して,jpcconf mgrhost define(jpcnshostname)コマンドを実行する。
例えば,接続先のPFM - Managerがホストhost01上にある場合,次のように指定します。
jpcconf mgrhost define -host host01(jpcnshostname -s host01)
アラーム発生時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。
設定方法については,「付録J 動作ログの出力」を参照してください。
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