2.1.1 インストールとセットアップの前に
PFM - Agent for Platformをインストールおよびセットアップをする前に確認しておくことを説明します。
- <この項の構成>
- (1) 前提OS
- (2) ネットワークの環境設定
- (3) インストールに必要なOSユーザー権限について
- (4) 前提プログラム
- (5) パフォーマンスデータを収集するために必要な環境構築
- (6) 注意事項
(1) 前提OS
PFM - Agent for Platformが動作するOSを次に示します。
- HP-UX
- Solaris
- AIX
- Linux (x86),Linux (x64)
- Linux (IPF)
(2) ネットワークの環境設定
Performance Managementが動作するためのネットワーク環境について説明します。
(a) IPアドレスの設定
PFM - Agentのホストは,ホスト名でIPアドレスを解決できる環境を設定してください。IPアドレスを解決できない環境では,PFM - Agentは起動できません。
監視ホスト名(Performance Managementシステムのホスト名として使用する名前)には,実ホスト名またはエイリアス名を使用できます。
- 監視ホスト名に実ホスト名を使用している場合
Windowsシステムではhostnameコマンド,UNIXシステムではuname -nコマンドを実行して確認したホスト名で,IPアドレスを解決できるように環境を設定してください。なお,UNIXシステムでは,hostnameコマンドで取得するホスト名を使用することもできます。
- 監視ホスト名にエイリアス名を使用している場合
設定しているエイリアス名でIPアドレスを解決できるように環境を設定してください。
監視ホスト名の設定については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
ホスト名とIPアドレスは,次のどれかの方法で設定してください。
- Performance Managementのホスト情報設定ファイル(jpchostsファイル)
- hostsファイル
- DNS(Domain Name System)
- 注意
- Performance Managementは,DNS環境でも運用できますが,FQDN形式のホスト名には対応していません。このため,監視ホスト名は,ドメイン名を除いて指定してください。
- 複数のLAN環境で使用する場合は,jpchostsファイルでIPアドレスを設定してください。詳細は,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
- Performance Managementは,DHCPによる動的なIPアドレスが割り振られているホスト上では運用できません。Performance Managementを導入するすべてのホストに,固定のIPアドレスを設定してください。
(b) ポート番号の設定
Performance Managementプログラムのサービスは,デフォルトで次の表に示すポート番号が割り当てられています。これ以外のサービスまたはプログラムに対しては,サービスを起動するたびに,そのときシステムで使用されていないポート番号が自動的に割り当てられます。また,ファイアウォール環境で,Performance Managementを使用するときは,ポート番号を固定してください。ポート番号の固定の手順は,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
表2-1 デフォルトのポート番号とPerformance Managementプログラムのサービス(UNIXの場合)
サービス説明 | サービス名 | パラメーター | ポート番号 | 備考 |
---|
サービス構成情報管理機能 | Name Server | jp1pcnsvr | 22285 | PFM - ManagerのName Serverサービスで使用されるポート番号。Performance Managementのすべてのホストで設定される。 |
NNM連携機能 | NNM Object Manager | jp1pcovsvr | 22292 | PFM - ManagerおよびPFM - BaseのNNM連携機能で,マップマネージャーとオブジェクトマネージャーの間の通信で使用されるポート番号。PFM - ManagerおよびPFM - Baseがインストールされているホストで設定される。 |
サービス状態管理機能 | Status Server | jp1pcstatsvr | 22350 | PFM - ManagerおよびPFM - BaseのStatus Serverサービスで使用されるポート番号。 PFM - ManagerおよびPFM - Baseがインストールされているホストで設定される。 |
これらのPFM - Agentが使用するポート番号で通信できるように,ネットワークを設定してください。
(3) インストールに必要なOSユーザー権限について
PFM - Agent for Platformをインストールするときは,必ず,スーパーユーザー権限を持つアカウントで実行してください。
(4) 前提プログラム
ここでは,PFM - Agent for Platformをインストールする場合に必要な前提プログラムを説明します。プログラムの構成図を次に示します。
図2-1 プログラムの構成図
![[図データ]](figure/zuu02001.gif)
(a) 監視対象プログラム
PFM - Agent for Platformの監視対象プログラムを次に示します。
- HP-UX
- Solaris
- AIX
- Linux (x86),Linux (x64)
- Linux (IPF)
これらの監視対象プログラムは,PFM - Agent for Platformと同一ホストにインストールする必要があります。
(b) Performance Managementプログラム
監視エージェントには,PFM - AgentとPFM - Baseをインストールします。PFM - BaseはPFM - Agentの前提プログラムです。同一ホストに複数のPFM - Agentをインストールする場合でも,PFM - Baseは一つだけでかまいません。
ただし,PFM - ManagerとPFM - Agentを同一ホストにインストールする場合,PFM - Baseは不要です。
また,PFM - Agent for Platformを使ってUNIXの稼働監視を行うためには,PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleが必要です。
(5) パフォーマンスデータを収集するために必要な環境構築
パフォーマンスデータを収集するために必要な環境構築について説明します。
(a) AIXでパフォーマンスデータを収集する場合
AIX 5L V5.3でPIレコードのパフォーマンスデータを収集する場合,次に示すOSのオプションパッケージのインストールが必要です。
- Performance Statistics Library(パッチID:bos.perf.libperfstat 5.3.0.0)※
- Performance Statistics(パッチID:bos.perf.perfstat 5.3.0.0)※
- 注※ ファイルセット名です。AIXをインストールしたときにデフォルトでインストールされます。
なお,AIX 5L V5.3でPIレコード以外のパフォーマンスデータを収集する場合,またはAIX V6.1のパフォーマンスデータを収集する場合は,オプションパッケージのインストールの必要はありません。
(b) Linuxでパフォーマンスデータを収集する場合
Linuxでパフォーマンスデータを収集する場合は,RPM(Red Hat Package Manager)パッケージのインストールが必要です。インストールされているRPMパッケージを次のコマンドで確認してください。
/bin/rpm -qa
収集するパフォーマンスデータに必要なRPMパッケージを次に示します。
表2-2 Linuxシステムでインストールが必要なRPMパッケージ
レコード名 | RPMパッケージ名 | デフォルト |
---|
Linuxの場合※ | Linux (IPF)の場合※ |
---|
CPU - Per Processor Detail(PI_CPUP) | kernel-smp-2.6.9-5.EL | - | ○ |
Device Detail(PI_DEVD) Device Summary(PI_DEVS) | MAKEDEV-3.15-2 | MAKEDEV-3.15-2 | ○ |
File System Detail - Local(PD_FSL) File System Detail - Remote(PD_FSR) | filesystem-2.3.0-1 | filesystem-2.3.0-1 | ○ |
Network Interface Detail(PI_NIND) Network Interface Summary(PI_NINS) | net-tools-1.60-37 | net-tools-1.60-37 | ○ |
System Summary Overview(PI) | net-snmp-5.1.2-11 | net-snmp-5.1.2-11 | ○ |
User File System Storage(PD_UFSS) | - | - | ○ |
- (凡例)
- ○:Linuxをインストールしたときにデフォルトでインストールされる
- -:該当しない
- 注※
- Linux5.1以降では,RPMパッケージのインストールは必要ありません。
(6) 注意事項
ここでは,Performance Managementをインスールおよびセットアップするときの注意事項を説明します。
(a) 環境変数に関する注意事項
Performance ManagementではJPC_HOSTNAMEを環境変数として使用しているため,ユーザー独自に環境変数として設定しないでください。設定した場合は,Performance Managementが正しく動作しません。
(b) 同一ホストにPerformance Managementプログラムを複数インストール,セットアップするときの注意事項
Performance Managementは,同一ホストにPFM - Manager,PFM - Web Console,およびPFM - Agentをインストールすることもできます。その場合の注意事項を次に示します。
- PFM - ManagerとPFM - Agentを同一ホストにインストールする場合,PFM - Baseは不要です。この場合,PFM - Agentの前提プログラムはPFM - Managerになるため,PFM - Managerをインストールしてから PFM - Agentをインストールしてください。
- PFM - BaseとPFM - Managerは同一ホストにインストールできません。PFM - BaseとPFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Managerをインストールする場合は,PFM - Web Console以外のすべてのPerformance Managementプログラムをアンインストールした後にPFM - Manager,PFM - Agentの順でインストールしてください。また,PFM - Manager とPFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Baseをインストールする場合も同様に,PFM - Web Console以外のすべてのPerformance Managementプログラムをアンインストールした後にPFM - Base,PFM - Agentの順でインストールしてください。
- PFM - ManagerがインストールされているホストにPFM - Agentをインストールすると,接続先PFM - ManagerはローカルホストのPFM - Managerとなります。この場合,接続先PFM - ManagerをリモートホストのPFM - Managerに変更できません。リモートホストのPFM - Managerに接続したい場合は,インストールするホストにPFM - Managerがインストールされていないことを確認してください。
- PFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Managerをインストールすると,PFM - Agentの接続先PFM - Managerは自ホスト名に設定し直されます。共通メッセージログに設定結果が出力されています。結果を確認してください。
- PFM - Web Consoleがインストールされているホストに,PFM - Agentをインストールする場合は,Webブラウザの画面をすべて閉じてからインストールを実施してください。
- Performance Managementプログラムを新規にインストールした場合は,ステータス管理機能がデフォルトで有効になります。ただし,07-50から08-00以降にバージョンアップインストールした場合は,ステータス管理機能の設定状態はバージョンアップ前のままとなります。ステータス管理機能の設定を変更する場合は,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のPerformance Managementの障害検知について説明している章を参照してください。
- ポイント
- システムの性能や信頼性を向上させるため,PFM - Manager,PFM - Web Console,およびPFM - Agentはそれぞれ別のホストで運用することをお勧めします。
(c) バージョンアップの注意事項
古いバージョンのPFM - Agentからバージョンアップする場合の注意事項を次に示します。
なお,バージョンアップについての詳細は,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の付録を参照してください。
- Performance Managementのプログラムをインストールするときは,ローカルホストのPerformance Managementのプログラムおよびサービスをすべて停止しておいてください。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,Performance Managementの起動と停止について説明している章を参照してください。
- PFM - BaseとPFM - Managerは同一ホストにインストールできません。PFM - BaseとPFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Managerをインストールする場合は,PFM - Web Console以外のすべてのPerformance Managementプログラムをアンインストールした後にPFM - Manager,PFM - Agentの順でインストールしてください。また,PFM - ManagerとPFM - AgentがインストールされているホストにPFM - Baseをインストールする場合も同様に,PFM - Web Console以外のすべてのPerformance Managementプログラムをアンインストールした後にPFM - Base,PFM - Agentの順でインストールしてください。
- バージョン08-00以降のPerformance Managementプログラムでは,Store実行プログラム(jpcstoおよびstpqlpr)の配置先が変更されています。PFM - Agentを08-00以降にバージョンアップする際に,旧配置先のStore実行モジュールは削除されます。
- バージョンアップインストール時,既存のStoreデータベースが自動的にバージョンアップされるため,一時的にStoreデータベースのディスク占有量が2倍になります。バージョンアップインストールする前に,Storeデータベースの格納先のディスクに十分な空き容量があるかどうか確認してください。
(d) その他の注意事項
- Performance Managementのプログラムをインストールする場合,次に示すセキュリティ関連プログラムがインストールされていないかどうか確認してください。インストールされている場合,次の説明に従って対処してください。
- セキュリティ監視プログラム
セキュリティ監視プログラムを停止するかまたは設定を変更して,Performance Managementのプログラムのインストールを妨げないようにしてください。
- ウィルス検出プログラム
ウィルス検出プログラムを停止してからPerformance Managementのプログラムをインストールしてください。
Performance Managementのプログラムのインストール中にウィルス検出プログラムが稼働している場合,インストールの速度が低下したり,インストールが実行できなかったり,または正しくインストールできなかったりすることがあります。
- プロセス監視プログラム
プロセス監視プログラムを停止するかまたは設定を変更して,Performance Managementのサービスまたはプロセス,および共通コンポーネントのサービスまたはプロセスを監視しないようにしてください。
Performance Managementのプログラムのインストール中に,プロセス監視プログラムによって,これらのサービスまたはプロセスが起動されたり停止されたりすると,インストールに失敗することがあります。
- Performance Managementのプログラムが一つもインストールされていない環境に新規インストールする場合は,インストール先ディレクトリにファイルやディレクトリがないことを確認してください。
- インストール時のステータスバーに「Installation failed.」と表示されてインストールが失敗した場合,インストールログを採取してください。なお,このログファイルは,次にインストールすると上書きされるため,必要に応じてバックアップを採取してください。インストールログのデフォルトのファイル名については,「9.4.1(2) Performance Managementの情報」を参照してください。
- インストール先ディレクトリにリンクを張りPerformance Managementのプログラムをインストールした場合,全Performance Managementのプログラムをアンインストールしても,リンク先のディレクトリに一部のファイルやディレクトリが残る場合があります。削除する場合は,手動で行ってください。また,リンク先にインストールする場合,リンク先に同名のファイルやディレクトリがあるときは,Performance Managementのプログラムのインストール時に上書きされるので,注意してください。
- /opt/jp1pc/setupディレクトリにPFM - Agent for Platformのセットアップファイルがある場合,新規PFM - Agent for Platformの追加セットアップが実行されます。PFM - Agent for Platformの追加セットアップが成功した場合の実行結果は共通メッセージログに「KAVE05908-I エージェント追加セットアップは正常に終了しました」と出力されます。確認してください。