3.4.4 セットアップ手順(UNIXの場合)

ここでは,クラスタシステムでPerformance Managementを運用するための,セットアップについて説明します。

セットアップ手順には,実行系ノードの手順と,待機系ノードの手順があります。実行系ノード,待機系ノードの順にセットアップしてください。

[図データ]は実行系ノードで行う項目を,[図データ]は待機系ノードで行う項目を示します。また,[図データ]は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。

注意
環境変数JPC_HOSTNAMEは,Performance Managementで使用しています。このため,環境変数として設定しないでください。設定した場合は,Performance Managementが正しく動作しません。
<この項の構成>
(1) PFM - RMの登録  
(2) 共有ディスクのマウント
(3) PFM - RMの論理ホストのセットアップ
(4) 接続先PFM - Managerの設定
(5) 使用するOracleのアカウントの作成 
(6) インスタンス環境の設定
(7) 監視対象の設定
(8) 他Performance Managementプログラムの論理ホストのセットアップ 
(9) ネットワークの設定 
(10) ログのファイルサイズ変更 
(11) パフォーマンスデータの格納先の変更 
(12) 動作ログ出力の設定 
(13) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート
(14) 論理ホスト環境定義ファイルの待機系ノードへのコピー 
(15) 共有ディスクのアンマウント 
(16) 論理ホスト環境定義ファイルのインポート
(17) クラスタソフトへのPFM - RMの登録 
(18) クラスタソフトからの起動・停止の確認 
(19) クラスタシステムでの環境設定 

(1) PFM - RMの登録[図データ] [図データ] [図データ]

PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleを使ってPFM - RMを一元管理するために,PFM - ManagerおよびPFM - Web ConsoleにPFM - RM for Oracleを登録する必要があります。

PFM - RM for Oracleを登録する必要があるのは次の場合です。

登録はPFM - Manager上およびPFM - Web Console上で実施します。手順は非クラスタシステムの場合と同じです。

手順については,「2.2.4(2) PFM - RM for Oracleの登録」を参照してください。

(2) 共有ディスクのマウント[図データ]

共有ディスクがマウントされていることを確認します。共有ディスクがマウントされていない場合は,クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャの操作などで,共有ディスクをマウントしてください。

(3) PFM - RMの論理ホストのセットアップ[図データ]

jpcconf ha setupコマンドを実行して論理ホスト環境を作成します。コマンドを実行すると,共有ディスクに必要なデータがコピーされ,論理ホスト用の定義を設定されて,論理ホスト環境が作成されます。

注意
コマンドを実行する前に,Performance Managementシステム全体で,Performance Managementのプログラムおよびサービスをすべて停止してください。サービスの停止方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のPerformance Managementを運用するための操作について説明している章を参照してください。

手順を次に示します。

  1. jpcconf ha setupコマンドを実行して,PFM - RM for Oracleの論理ホスト環境を作成する。
    次のようにコマンドを実行します。

    jpcconf ha setup -key RMOracle -lhost jp1-halora -d /jp1

    論理ホスト名は,-lhostオプションで指定します。ここでは,論理ホスト名をjp1-haloraとしています。DNS運用をしている場合はドメイン名を省略した論理ホスト名を指定してください。
    共有ディスクのディレクトリ名は,-dオプションの環境ディレクトリ名に指定します。例えば-d /jp1と指定すると/jp1/jp1pcが作成されて,論理ホスト環境のファイルが作成されます。
    注意
    PFM - RM for Oracleはファイルシステムで運用されています。ファイルシステムを共有ディスクに指定してください。
  2. jpcconf ha listコマンドを実行して,論理ホストの設定を確認する。
    次のようにコマンドを実行します。

    jpcconf ha list all

    作成した論理ホスト環境が正しいことを確認してください。

(4) 接続先PFM - Managerの設定[図データ]

jpcconf mgrhost defineコマンドを実行して,PFM - RM for Oracleを管理するPFM - Managerを設定します。

  1. jpcconf mgrhost defineコマンドを実行して,接続先PFM - Managerを設定する。
    次のようにコマンドを実行します。

    jpcconf mgrhost define -host jp1-hal -lhost jp1-halora

    接続先PFM - Managerのホスト名は,-hostオプションで指定します。接続先PFM - Managerが論理ホスト運用されている場合は,-hostオプションに接続先PFM - Managerの論理ホスト名を指定します。ここでは,PFM - Managerの論理ホスト名をjp1-halとしています。
    また,PFM - RM for Oracleの論理ホスト名は,-lhostオプションで指定します。ここでは,PFM - RM for Oracleの論理ホスト名をjp1-haloraとしています。

(5) 使用するOracleのアカウントの作成[図データ] [図データ]

PFM - RM for OracleでOracle Databaseを監視し,パフォーマンス情報を収集するために,特定のシステム権限を持つOracleのアカウントを作成します。

Oracleのアカウントの作成方法については,「2.2.4(3) PFM - RM for Oracleで使用するOracleのアカウントの作成」を参照してください。

なお,sysアカウントを使用する場合には,このセットアップは不要です。

(6) インスタンス環境の設定[図データ]

jpcconf inst setupコマンドを実行して,PFM - RM for Oracleのインスタンス環境を設定します。

設定手順は,非クラスタシステムの場合と同じです。ただし,クラスタシステムの場合,jpcconf inst setupコマンドの実行時に,「-lhost」で論理ホスト名を指定する必要があります。

クラスタシステムの場合のjpcconf inst setupコマンドの指定方法を次に示します。

jpcconf inst setup -key RMOracle -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名

なお,エージェントログの出力先フォルダ(log_pathの値)には,共有ディスク上のパスを指定してください。

このほかの設定内容,および手順については,「2.2.4(4) インスタンス環境の設定」を参照してください。

(7) 監視対象の設定[図データ]

jpcconf target setupコマンドを実行して,PFM - RM for Oracleの監視対象ホストの情報を設定します。

設定手順は,非クラスタシステムの場合と同じです。ただし,クラスタシステムの場合,jpcconf target setupコマンドの実行時に,「-lhost」で論理ホスト名を指定する必要があります。

クラスタシステムの場合のjpcconf target setupコマンドの指定方法を次に示します。

jpcconf target setup -key RMOracle -inst インスタンス名 -target 監視対象名 -lhost 論理ホスト名

設定内容,および手順については,「2.2.4(4)(b) 監視対象を設定する」を参照してください。

(8) 他Performance Managementプログラムの論理ホストのセットアップ[図データ] [図データ]

PFM - RM for Oracleのほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - ManagerやPFM - RMがある場合は,この段階でセットアップしてください。

セットアップ手順については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章,または各PFM - RMマニュアルの,クラスタシステムでの運用について説明している章を参照してください。

(9) ネットワークの設定[図データ] [図データ]

Performance Managementを使用するネットワーク構成に応じて,変更する場合にだけ必要な設定です。

ネットワークの設定では次の二つの項目を設定できます。

IPアドレスを設定する

複数のLANに接続されたネットワーク環境でPerformance Managementを運用するときに使用するIPアドレスを指定したい場合には,jpchostsファイルの内容を直接編集します。

このとき,編集したjpchostsファイルは,実行系ノードから待機系ノードにコピーしてください。

IPアドレスの設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。

ポート番号を設定する

ファイアウォール経由でPerformance Managementのプログラム間の通信をする場合には,jpcconf portコマンドを使用してポート番号を設定します。

ポート番号の設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章,およびクラスタシステムでの運用について説明している章を参照してください。

(10) ログのファイルサイズ変更[図データ] [図データ]

Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。共通メッセージログは,デフォルトで2,048キロバイトのファイルが2個使用されます。このファイルサイズを変更したい場合に必要な設定です。

詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。

(11) パフォーマンスデータの格納先の変更[図データ] [図データ]

PFM - RMで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先,またはインポート先のディレクトリを変更したい場合に必要な設定です。

設定方法については,「2.6.1 パフォーマンスデータの格納先の変更」を参照してください。

(12) 動作ログ出力の設定[図データ] [図データ]

アラーム発生時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。

設定方法については,「付録K 動作ログの出力」を参照してください。

(13) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート[図データ]

PFM - RM for Oracleの論理ホスト環境が作成できたら,環境定義をファイルにエクスポートします。エクスポートでは,その論理ホストにセットアップされているPerformance Managementのプログラムの定義情報を一括してファイル出力します。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementのプログラムをセットアップする場合は,セットアップが一とおり済んだあとにエクスポートしてください。

論理ホスト環境定義をエクスポートする手順を次に示します。

  1. jpcconf ha exportコマンドを実行して,論理ホスト環境定義をエクスポートする。
    これまでの手順で作成した論理ホスト環境の定義情報を,エクスポートファイルに出力します。エクスポートファイル名は任意です。
    例えば,lhostexp.txtファイルに論理ホスト環境定義をエクスポートする場合,次のようにコマンドを実行します。

    jpcconf ha export -f lhostexp.txt

(14) 論理ホスト環境定義ファイルの待機系ノードへのコピー[図データ] [図データ]

「(13) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート」でエクスポートした論理ホスト環境定義ファイルを,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。

(15) 共有ディスクのアンマウント[図データ] [図データ]

ファイルシステムをアンマウントして,作業を終了します。なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,ファイルシステムをアンマウントする必要はありません。

注意
共有ディスクがアンマウントされていても,指定した環境ディレクトリにjp1pcディレクトリがあり,jp1pcディレクトリ以下にファイルがある場合は,共有ディスクをマウントしないでセットアップしています。この場合は次の手順で対処してください。
  1. ローカルディスク上の指定した環境ディレクトリにあるjp1pcディレクトリをtarコマンドでアーカイブする。
  2. 共有ディスクをマウントする。
  3. 共有ディスク上に指定した環境ディレクトリがない場合は,環境ディレクトリを作成する。
  4. 共有ディスク上の環境ディレクトリにtarファイルを展開する。
  5. 共有ディスクをアンマウントする。
  6. ローカルディスク上の指定した環境ディレクトリにあるjp1pcディレクトリ以下を削除する。

(16) 論理ホスト環境定義ファイルのインポート[図データ]

実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。

実行系ノードで作成した論理ホストのPerformance Managementのプログラムを,待機系ノードで実行するための設定には,jpcconf ha importコマンドを使用します。一つの論理ホストに複数のPerformance Managementのプログラムがセットアップされている場合は,一括してインポートされます。

なお,このコマンドを実行するときには,共有ディスクをマウントしておく必要はありません。

  1. jpcconf ha importコマンドを実行して,論理ホスト環境定義をインポートする。
    次のようにコマンドを実行します。

    jpcconf ha import -f lhostexp.txt

    コマンドを実行すると,待機系ノードの環境を,エクスポートファイルの内容と同じ環境になるように設定変更します。これによって,論理ホストのPFM - RM for Oracleを起動するための設定が実施されます。
    また,セットアップ時にjpcconf portコマンドで固定のポート番号を設定している場合も,同様に設定されます。
  2. jpcconf ha listコマンドを実行して,論理ホスト設定を確認する。
    次のようにコマンドを実行します。

    jpcconf ha list all

    実行系ノードでjpcconf ha listを実行した時と同じ内容が表示されることを確認してください。

(17) クラスタソフトへのPFM - RMの登録[図データ] [図データ]

Performance Managementのプログラムを論理ホスト環境で運用する場合は,クラスタソフトに登録して,クラスタソフトからの制御でPerformance Managementのプログラムを起動したり停止したりするように環境設定します。

ここでは,PFM - RM for Oracleをクラスタソフトに登録するときに設定する内容を説明します。

一般にUNIXのクラスタソフトに,アプリケーションを登録する場合に必要な項目は「起動」「停止」「動作監視」「強制停止」の四つがあります。

PFM - RM for Oracleでの設定方法を次の表に示します。

表3-5 クラスタソフトに登録するPFM - RM for Oracleの制御方法

項目説明
起動次のコマンドを順に実行して,PFM - RM for Oracleを起動する。

/opt/jp1pc/tools/jpcspm start -key AH -lhost 論理ホスト名
/opt/jp1pc/tools/jpcspm start -key RMOracle -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名

起動するタイミングは,共有ディスクおよび論理IPアドレスが使用できる状態になったあととする。
停止次のコマンドを順に実行して,PFM - RM for Oracleを停止する。

/opt/jp1pc/tools/jpcspm stop -key RMOracle -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名
/opt/jp1pc/tools/jpcspm stop -key AH -lhost 論理ホスト名

停止するタイミングは,共有ディスクおよび論理IPアドレスを使用できない状態にする前とする。
なお,障害などでサービスが停止しているときは,jpcspm stopコマンドの戻り値が3になる。この場合はサービスが停止されているので,正常終了と扱う。戻り値で実行結果を判定するクラスタソフトの場合は,戻り値を0にするなどで対応すること。
動作監視次のプロセスが動作していることを,psコマンドで確認する。

ps -ef | grep "プロセス名 論理ホスト名" | grep -v "grep 監視対象のプロセス"

監視対象のプロセスは,次のとおり。

jpcagt1,agt1/jpcsto,jpcah

プロセス名ついては,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の9章およびマニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の付録を参照のこと。
なお,運用中にメンテナンスなどでPerformance Managementを一時的に停止する場合を想定して,動作監視を抑止する方法(例えば,メンテナンス中のファイルがあると監視をしないなど)を用意しておくことを勧める。
強制停止強制停止が必要な場合は,次のコマンドを実行する。

/opt/jp1pc/tools/jpcspm stop all -lhost 論理ホスト名 -kill immediate

第一引数のサービスキーに指定できるのは,allだけである。
注意
コマンドを実行すると,指定した論理ホスト環境すべてのPerformance Managementのプロセスが,SIGKILL送信によって強制停止される。このとき,サービス単位ではなく,論理ホスト単位でPerformance Managementが強制停止される。
なお,強制停止は,通常の停止を実行しても停止できない場合に限って実行するよう設定すること。
注意
  • クラスタに登録するPerformance Managementのプログラムは,クラスタから起動および停止を制御しますので,OS起動時の自動起動設定をしないでください。
  • Performance Managementのプログラムを日本語環境で実行する場合,クラスタソフトに登録するスクリプトでLANG環境変数を設定してから,Performance Managementのコマンドを実行するようにしてください。
  • クラスタソフトがコマンドの戻り値で実行結果を判定する場合は,Performance Managementのコマンドの戻り値をクラスタソフトの期待する値に変換するように設定してください。Performance Managementのコマンドの戻り値については,各コマンドのリファレンスを確認してください。
  • psコマンドで動作を監視する場合,事前にpsコマンドを実行して,論理ホスト名とインスタンス名をつなげた文字列がすべて表示されることを確認してください。文字列が途中までしか表示されない場合は,インスタンス名を短くしてください。
  • Oracleを起動してから,PFM - RM for Oracleを起動してください。また,停止する場合は,PFM - RM for Oracleを停止してから,Oracleを停止してください。

(18) クラスタソフトからの起動・停止の確認[図データ] [図データ]

クラスタソフトからの操作で,Performance Managementのプログラムの起動および停止を各ノードで実行し,正常に動作することを確認してください。

(19) クラスタシステムでの環境設定[図データ] [図データ]

Performance Managementのプログラムのセットアップ終了後,PFM - Web Consoleから,運用に合わせて監視対象の稼働状況についてのレポートを表示できるようにしたり,監視対象で問題が発生したときにユーザーに通知できるようにしたりするために,Performance Managementのプログラムの環境を設定します。

Performance Managementのプログラムの環境設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」の,クラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。