2.1.5 WMIの接続設定方法(PFM - RMホストがWindowsで監視対象ホストがWindowsの場合)

監視対象ホストがWindowsの場合,監視対象ホストからパフォーマンスデータを収集するために必要なWMIの接続設定方法について説明します。

WMIを接続するには次のような設定が必要となります。

設定が完了したら,PFM - RMホストから監視対象ホストに接続できることを確認してください。

WMIの接続設定時の注意事項
  • 監視対象ホストのOSのシステム管理情報を提供するWindows Management Instrumentationサービス(サービス名:WinMgmt)のスタートアップの種類が「無効」に設定されている場合は収集できません。
  • 監視対象ホストに接続するユーザーは,監視対象ホストのAdministratorsグループ,Performance Log UsersグループまたはPerformance Monitor Usersグループのメンバーとして設定されている必要があります。アカウントの種類によって,収集できるレコードが異なります。アカウントの種類ごとのレコードの収集可否については,「2.1.1(5)(a) ユーザーアカウントの設定」を参照してください。
<この項の構成>
(1) DCOMを設定する
(2) ファイアウォールを設定する
(3) WMIの名前空間を設定する
(4) WMIの接続確認をする

(1) DCOMを設定する

PFM - RMホストと監視対象ホストでDCOMを設定する方法について説明します。

(a) PFM - RMホストでの設定

PFM - RMホストで,DCOMを設定します。

DCOMの設定手順について次に示します。

  1. Windowsの[スタート]メニューから[ファイル名を指定して実行]を選択する。
  2. 「dcomcnfg.exe」を入力し,[OK]ボタンをクリックする。
    [コンポーネントサービス]画面が表示されます。
  3. [コンポーネントサービス]と[コンピュータ]をクリックし,ツリーを展開させる。
  4. [マイコンピュータ]を選択して,右クリックメニューから[プロパティ]を選択する。
    [マイコンピュータのプロパティ]ダイアログが表示されます。
  5. [既定のプロパティ]タブを選択して,[このコンピュータ上で分散COMを有効にする]をチェックする。
  6. [OK]ボタンをクリックする。
    [マイコンピュータのプロパティ]ダイアログが閉じます。
  7. マシンを再起動する。
    [このコンピュータ上で分散COMを有効にする]の設定を変更していない場合,この作業は不要です。

(b) 監視対象ホストでの設定

監視対象ホストで,DCOMを設定します。

DCOMの設定手順について次に示します。

なお,監視対象ホストのOSの環境によって,次のように一部の実施手順が異なることがあります。

  1. Windowsの[スタート]メニューから[ファイル名を指定して実行]を選択する。
  2. 「dcomcnfg.exe」を入力し,[OK]ボタンをクリックする。
    [コンポーネントサービス]ダイアログが表示されます。
  3. [コンポーネントサービス]と[コンピュータ]をクリックし,ツリーを展開させる。
  4. [マイコンピュータ]を選択して,右クリックメニューから[プロパティ]を選択する。
    [マイコンピュータのプロパティ]ダイアログが表示されます。
  5. [既定のプロパティ]タブを選択して,[このコンピュータ上で分散COMを有効にする]をチェックする。
  6. [COMセキュリティ]タブを選択して,[アクセス許可]の[制限の編集]ボタンをクリックする。
    [アクセス許可]ダイアログが表示されます。
    [グループ名またはユーザー名]に,監視対象ホストに接続するユーザー,またはユーザーが属するグループが表示されているかどうかを確認してください。
    表示されていない場合は,[追加]ボタンをクリックして,ユーザーまたはユーザーが属するグループを追加してください。
  7. [グループ名またはユーザー名]の監視対象ホストに接続するユーザーまたはユーザーが属するグループを選択する。
    「リモートアクセス」の[許可]がチェックされているかどうか確認してください。チェックが外されている場合は,チェックしてください。
  8. [OK]ボタンをクリックする。
    [アクセス許可]ダイアログが閉じます。
  9. [COMセキュリティ]タブを選択して,[起動とアクティブ化のアクセス許可]の[制限の編集]ボタンをクリックする。
    [起動許可]ダイアログが表示されます。
    [グループ名またはユーザー名]に,監視対象ホストに接続するユーザー,またはユーザーが属するグループが表示されているかどうかを確認してください。
    表示されていない場合は,[追加]ボタンをクリックして,ユーザーまたはユーザーが属するグループを追加してください。
  10. [グループ名またはユーザー名]の監視対象ホストに接続するユーザーまたはユーザーが属するグループを選択する。
    [リモートからの起動]と[リモートからのアクティブ化]の[許可]がチェックされているかどうか確認してください。チェックが外されている場合は,チェックしてください。
  11. [OK]ボタンをクリックする。
    [起動許可]ダイアログが閉じ,[マイコンピュータのプロパティ]ダイアログに戻ります。
  12. [OK]ボタンをクリックする。
    [マイコンピュータのプロパティ]ダイアログが閉じます。
  13. マシンを再起動する。
    [このコンピュータ上で分散COMを有効にする]の設定を変更していない場合,この作業は不要です。

(2) ファイアウォールを設定する

Windowsのファイアウォールが有効になっている場合にこの設定が必要です。

Windowsの[スタート]メニューから,[コントロールパネル]-[Windowsファイアウォール]を選択すると,有効か無効かを確認できます。

なお,監視対象のOSがサービスパックを適用していないWindows Server 2003の場合,Windowsファイアウォールの機能はありません。したがって,この設定は不要です。

ファイアウォールの設定手順について次に示します。

  1. Windowsの[スタート]メニューから[ファイル名を指定して実行]を選択する。
  2. 「gpedit.msc」を入力し,[OK]ボタンをクリックする。
    [グループポリシー]ダイアログが表示されます。
  3. [コンピュータの構成],[管理用テンプレート],[ネットワーク],[ネットワーク接続]および[Windowsファイアウォール]をクリックし,ツリーを展開させる。
  4. [標準プロファイル]※1をクリックして,右ペインにある[Windowsファイアウォール:リモート管理の例外を許可する]※2の右クリックメニューから[プロパティ]を選択する。
    [Windowsファイアウォール:リモート管理の例外を許可するのプロパティ]ダイアログが表示されます。
    注※1
    ホストマシンがドメイン環境の場合は,[ドメインプロファイル]となります。
    注※2
    監視対象ホストのOSがWindows Server 2008の場合は,[Windowsファイアウォール:着信リモート管理の例外を許可する]となります。
  5. [設定]タブを選択して,[有効]をチェックします。
  6. [OK]ボタンをクリックします。
    [Windowsファイアウォール:リモート管理の例外を許可するのプロパティ]のダイアログを閉じる。

(3) WMIの名前空間を設定する

監視対象ホストに接続するユーザーにAdministrators権限がない場合,WMIの名前空間の設定が必要になります。

なお,監視対象ホストのOSがWindows Server 2008の場合で,次のどれかの条件に該当しているときは,Administrators権限があるときでもWMIの名前空間の設定が必要となります。UsersグループやAdministratorsグループに属していないユーザーのグループ,またはそのユーザーに対して設定してください。

WMIの名前空間の設定手順を次に示します。

  1. Windowsの[スタート]メニューから[ファイル名を指定して実行]を選択する。
  2. 「wmimgmt.msc」を入力し,[OK]ボタンをクリックする。
    [Windows Management Infrastructure (WMI)]ダイアログが表示されます。
  3. [WMIコントロール (ローカル)]を選択して,右クリックメニューから[プロパティ]を選択する。
    [WMIコントロール (ローカル)のプロパティ]ダイアログが表示されます。
  4. [セキュリティ]タブを選択して,[Root]と[CIMV2]をクリックし,ツリーを展開させる。
  5. [セキュリティ]ボタンをクリックする。
    [セキュリティ ROOT¥CIMV2]ダイアログが表示されます。
    [グループ名またはユーザー名]に,監視対象ホストに接続するユーザー,またはユーザーが属するグループが表示されているかどうかを確認してください。表示されていない場合は,[追加]ボタンをクリックして,ユーザーまたはユーザーが属するグループを追加してください。
  6. [グループ名またはユーザー名]の監視対象ホストに接続するユーザーまたはユーザーが属するグループを選択する。
    [アカウントの有効化]と[リモートの有効化]の[許可]がチェックされているかどうか確認してください。チェックが外されている場合は,チェックしてください。
  7. [OK]ボタンをクリックする。
    [セキュリティ ROOT¥CIMV2]ダイアログが閉じ,[WMIコントロール (ローカル)のプロパティ]ダイアログに戻ります。
  8. [OK]ボタンをクリックする。
    [WMIコントロール (ローカル)のプロパティ]ダイアログが閉じます。

(4) WMIの接続確認をする

Windowsのツール(wbemtest.exe)を使用してPFM - RMホストと監視対象ホストが接続されているかどうかを確認します。

WMIの接続の確認手順を次に示します。なお,この手順はPFM - RMホストで実施してください。

  1. コマンドプロンプトで次のコマンドを実行する。
    runas /user:<ユーザー名> wbemtest
    [Windows Management Instrumentationテスト]ダイアログが表示されます。
    なお,ユーザー名には「RMHost_User」と「RMHost_Domain」に設定する値を指定し,コマンドの実行後にパスワードの入力を要求された場合は「RMHost_Password」に設定する値を指定します。
    「RMHost_User」,「RMHost_Domain」および「RMHost_Password」については,表2-17を参照してください。
  2. [接続]ボタンをクリックします。
    [接続]ダイアログが表示されます。
  3. 「名前空間」,「ユーザー」,「パスワード」および「機関」に必要な情報を入力する。
    入力する内容をそれぞれ説明します。
    • 名前空間
      「¥¥監視対象ホスト名¥root¥cimv2」を入力します。監視対象ホスト名には「Target Host」に設定する値を指定してください。
    • ユーザー
      監視対象ホストにログオンするユーザー名を入力します。ユーザーには「User」に設定する値を指定してください。
    • パスワード
      ユーザーのパスワードを入力します。ユーザー名には「Password」に設定する値を指定してください。
    • 機関
      「ntlmdomain:監視対象ホストのドメイン名」を入力します。監視対象ホストがワークグループの場合は,未入力のままにしてください。監視対象ホストのドメイン名または監視対象ホスト名には「Domain」に設定する値を指定してください。
    「Target Host」,「User」,「Password」および「Domain」については,表2-20を参照してください。
  4. [接続]ボタンをクリックします。
    接続に成功すると[接続]ダイアログが閉じ,[Windows Management Instrumentationテスト]ダイアログのボタンがすべて活性化されます。
    エラーダイアログが表示される場合は,エラー番号に応じて設定を確認してください。エラー番号とその要因について次に示します。
    なお,ツール(wbemtest.exe)を起動したまま設定を変更し,接続を再実施してもエラーになることがあります。その場合は,ツールを再起動してから接続を再確認してください。
    • 0x8001011c
      PFM - RMホストでDCOMが設定されていません。
    • 0x80070005
      次のどれかがエラー要因として考えられます。
      ・PFM - RMホストでDCOMが設定されていない
      ・監視対象ホストでDCOMが設定されていない
      ・監視対象ホストに接続するユーザー名,パスワードまたはドメイン名に誤りがある
    • 0x80041003
      監視対象ホストでWMIの「名前空間」が設定されていません。
    • 0x80041008
      「機関」に指定している値が「ntlmdomain:」で始まっていない。
    • 0x800706XX
      次のどれかがエラー要因として考えられます。
      ・監視対象ホスト名に誤りがある
      ・監視対象ホストが起動していない
      ・監視対象ホストでファイアウォールが設定されていない
      ・監視対象ホストにログインするユーザーのパスワードが有効期限を過ぎている
  5. [インスタンスの列挙]ボタンをクリックする。
    [クラス情報]ダイアログが表示されます。
  6. プロセスを監視する場合は「スーパークラス名の入力」に「Win32_Service」を,それ以外の場合は「スーパークラス名の入力」に「Win32_PerfRawData_PerfOS_System」を入力して,[OK]ボタンをクリックする。
    [クエリ結果]ダイアログが表示されます。
    「スーパークラス名の入力」に「Win32_Service」を入力した場合
    リストにオブジェクトが表示されているかどうかを確認してください。エラーダイアログが表示されたときは,監視対象ホストに接続するユーザーがAdministratorsグループのメンバーでないことが要因として考えられます。
    「スーパークラス名の入力」に「Win32_PerfRawData_PerfOS_System」を入力した場合
    リストに「Win32_PerfRawData_PerfOS_System=@」が表示されているかどうかを確認してください。エラーダイアログが表示されたり,リストに表示されていなかったりするときは,監視対象ホストに接続するユーザーがAdministratorsグループ,Performance Log UsersグループまたはPerformance Monitor Usersグループのメンバーでないことが要因として考えられます。
    なお,ツール(wbemtest.exe)を起動したまま設定を変更し,インスタンスの列挙を再実施してもエラーになることがあります。その場合は,ツールを再起動してから確認を再実施してください。