ここでは,クラスタシステムでPerformance Managementを運用するためのセットアップについて説明します。
クラスタシステムで運用する場合,実行系ノードと待機系ノードをそれぞれセットアップする必要があります。実行系ノード,待機系ノードの順にセットアップしてください。
なお,は実行系ノードで実施する項目を,
は待機系ノードで実施する項目を示します。また,
は次に示すセットアップ項目を示します。
(1) PFM - RM for Platformの登録
Performance ManagementシステムでPFM - RM for Platformを一元管理するには,PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleに,PFM - RM for Platformを登録する必要があります。
PFM - RM for Platformの登録は,次のタイミングで実施する必要があります。
PFM - RM for Platformの登録は,PFM - ManagerとPFM - Web Consoleで実施します。登録手順はクラスタシステムを適用していない場合と同じです。手順については,「2.2.4(2) PFM - RM for Platformの登録」を参照してください。
(2) 共有ディスクのマウント
共有ディスクがマウントされていることを確認します。
共有ディスクがマウントされていない場合は,クラスタソフトやボリュームマネージャでの操作で,共有ディスクをマウントしてください。
(3) PFM - RM for Platformの論理ホストのセットアップ
jpcconf ha setupコマンドを実行して論理ホスト環境を作成します。コマンドを実行すると,共有ディスクに必要なデータがコピーされ,論理ホスト用の定義が設定されて,論理ホスト環境が作成されます。
手順を次に示します。
/opt/jp1pc/tools/jpcconf ha setup -key RMPlatform -lhost jp1-halrmp -d /jp1
/opt/jp1pc/tools/jpcconf ha list -key all
(4) 接続先PFM - Managerの設定
jpcconf mgrhost defineコマンドを実行して,PFM - RM for Platformを管理するPFM - Managerを設定します。
/opt/jp1pc/tools/jpcconf mgrhost define -host jp1-hal -lhost jp1-halrmp
(5) インスタンス環境の設定
jpcconf inst setupコマンドを実行して,PFM - RM for Platformのインスタンス環境を設定します。
設定手順は,クラスタシステムを適用していない場合と同じです。ただし,クラスタシステムの場合,jpcconf inst setupコマンドの実行時に,-lhostオプションで論理ホスト名を指定する必要があります。
クラスタシステムの場合のjpcconf inst setupコマンドの指定方法を次に示します。
/opt/jp1pc/tools/jpcconf inst setup -key RMPlatform -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名
ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf inst setupコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf inst setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。
また,このほかの設定内容や手順については,「2.2.4(3) インスタンス環境の設定」を参照してください。
(6) 監視対象の設定
jpcconf target setupコマンドを実行して,PFM - RM for Platformの監視対象ホストの情報を設定します。
設定手順は,クラスタシステムを適用していない場合と同じです。
ただし,クラスタシステムの場合,jpcconf target setupコマンドの実行時に,-lhostオプションで論理ホスト名を指定する必要があります。
クラスタシステムの場合のjpcconf target setupコマンドの指定方法を次に示します。
/opt/jp1pc/tools/jpcconf target setup -key RMPlatform -lhost 論理ホスト名 -inst インスタンス名 -target 監視対象名
ここでは,対話形式の実行例を示していますが,jpcconf target setupコマンドは非対話形式でも実行できます。jpcconf target setupコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。
また,設定内容や手順については,「2.2.4(4) 監視対象の設定」を参照してください。
(7) 他Performance Managementプログラムの論理ホストのセットアップ
PFM - RM for Platformのほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - Manager,PFM - AgentまたはPFM - RMがある場合は,この段階でセットアップしてください。
セットアップ手順については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のクラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。
(8) ネットワークの設定
Performance Managementを使用するネットワーク構成に応じて,ネットワーク環境の設定を変更したい場合に必要な設定です。
ネットワーク環境の設定として,次の二つの項目があります。必要に応じて設定を変更してください。
(9) ログのファイルサイズ変更
Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。共通メッセージログは,デフォルトで2,048キロバイトのファイルが2個使用されます。このファイルサイズを変更したい場合に必要な設定です。
詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。
(10) パフォーマンスデータの格納先の変更
PFM - RM for Platformで管理されるパフォーマンスデータを格納するデータベースの保存先,バックアップ先,エクスポート先,またはインポート先のディレクトリを変更したい場合に必要な設定です。
設定方法については,「2.6.1 パフォーマンスデータの格納先の変更」を参照してください。
(11) 動作ログ出力の設定
アラーム発生時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。
動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。設定方法については,「付録I 動作ログの出力」を参照してください。
(12) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート
PFM - RM for Platformの論理ホスト環境が作成できたら,環境定義をファイルにエクスポートします。
エクスポートでは,その論理ホストにセットアップされているPerformance Managementのプログラムの定義情報をファイルに一括出力します。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementのプログラムをセットアップする場合は,セットアップが一とおり済んだあとにエクスポートしてください。
論理ホスト環境定義をエクスポートする手順を次に示します。
/opt/jp1pc/tools/jpcconf ha export -f lhostexp.txt
(13) 論理ホスト環境定義ファイルの待機系ノードへのコピー
「(12) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート」でエクスポートした論理ホスト環境定義ファイルを,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。
(14) 共有ディスクのアンマウント
ファイルシステムをアンマウントして,作業を終了します。
なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,ファイルシステムをアンマウントする必要はありません。
(15) 論理ホスト環境定義ファイルのインポート
実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。
実行系ノードで作成した論理ホストのPerformance Managementのプログラムを,待機系ノードで実行するための設定には,jpcconf ha importコマンドを使用します。一つの論理ホストに複数のPerformance Managementのプログラムがセットアップされている場合は,一括してインポートされます。
なお,このコマンドを実行するときには,共有ディスクをマウントしておく必要はありません。
論理ホスト環境定義ファイルをインポートする手順を次に示します。
/opt/jp1pc/tools/jpcconf ha import -f lhostexp.txt
/opt/jp1pc/tools/jpcconf ha list -key all
(16) クラスタソフトへのPFM - RM for Platformの登録
Performance Managementのプログラムを論理ホスト環境で運用する場合は,クラスタソフトに登録して,クラスタソフトからの制御でPerformance Managementのプログラムを起動したり停止したりするように環境設定します。
クラスタソフトへPFM - RM for Platformを登録する方法は,クラスタソフトのマニュアルを参照してください。
PFM - RM for Platformをクラスタソフトに登録するときに設定する内容を説明します。
UNIXのクラスタソフトにアプリケーションを登録する場合,一般的に必要な項目は「起動」「停止」「動作監視」および「強制停止」の四つです。
PFM - RM for Platformでの設定方法を次の表に示します。
表3-4 クラスタソフトに登録するPFM - RM for Platformの制御方法
項番 | 項目 | 説明 |
---|---|---|
1 | 起動 | 次のコマンドを順に実行して,PFM - RM for Platformを起動します。
|
2 | 停止 | 次のコマンドを順に実行して,PFM - RM for Platformを停止します。
なお,障害などでサービスが停止している場合は,jpcspm stopコマンドの戻り値が3になります。この場合はサービスが停止されているので,正常終了で処理されます。 戻り値で実行結果を判定するクラスタソフトの場合は,戻り値を0に設定するなどの対応をしてください。 |
3 | 動作監視 | psコマンドを実行して,次のプロセスが動作していることを確認します。
なお,Performance Managementの運用中,メンテナンスなどの理由でプロセスが一時的に停止することがあります。これに備えて,動作監視を抑止する方法(例えば,メンテナンス中を意味するファイルがあると監視をしないなど)を用意することをお勧めします。 |
4 | 強制停止 | 強制停止が必要な場合は,次のコマンドを実行します。
強制停止は,通常の停止を実行しても停止できない場合に限って実行するように設定してください。 |
(17) クラスタソフトからの起動・停止の確認
クラスタソフトからの操作で,Performance Managementのプログラムの起動および停止を各ノードで実行し,正常に動作することを確認してください。
(18) クラスタシステムでの環境設定
Performance Managementのプログラムのセットアップ終了後,PFM - Web Consoleから,運用に合わせて監視対象の稼働状況についてのレポートを表示できるようにしたり,監視対象で問題が発生したときにユーザーに通知できるようにしたりするために,Performance Managementのプログラムの環境を設定します。
Performance Managementのプログラムの環境設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 運用ガイド」のクラスタシステムでの構築と運用について説明している章を参照してください。