3.4.8 エージェントのプロパティを一括配布する

エージェントのプロパティは,同一プロダクト名とデータモデルバージョンのサービスに対して一括配布できます。これによって,次のような利点があります。

次の表に示すノードのプロパティを一括配布できます。

表3-11 プロパティの一括配布で参照・選択可能なノード一覧

サービスノード名説明
Agent CollectorおよびRemote Monitor CollectorJP1 Event ConfigurationsJP1イベントの発行条件を設定するプロパティのノードです。詳細については,「10. 統合管理製品(JP1/IM)と連携した稼働監視」を参照してください。
Detail Recordsパフォーマンスデータの記録方法を設定するプロパティのノードです。詳細については,「4. 稼働監視データの管理」を参照してください。
Interval Records
Log Records
Restart ConfigurationsPFMサービス自動再起動の設定をするプロパティです。PFMサービス自動再起動については,「13.4 PFMサービス自動再起動機能によるPFMサービスの再起動」を参照してください。
ノード数が増減するプロパティ※1ノード数が増減するプロパティのノードです。エージェントによって一括配布できるプロパティは異なります。詳細については,各PFM - AgentまたはPFM - RMマニュアルの付録を参照してください。
Agent StoreおよびRemote Monitor Store※2Retentionパフォーマンスデータの保存方法を設定するプロパティのノードです。詳細については,「4. 稼働監視データの管理」を参照してください。
RetentionEx
Disk Usage
Configuration
リモートエージェントおよびグループエージェントDetail Records※3パフォーマンスデータの記録方法を設定するプロパティのノードです。詳細については,「4. 稼働監視データの管理」を参照してください。
Interval Records※3
Log Records※3
注※1
ノード数が増減するプロパティの一括配布は,PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleが08-11以降である必要があります。
注※2
Agent StoreおよびRemote Monitor Storeのプロパティは,プロパティの配布元と配布先のAgent StoreおよびRemote Monitor StoreのバージョンとStoreデータベースのStoreバージョンによって配布可否が異なります。詳細については,「(2) Agent StoreおよびRemote Monitor Storeのバージョンによるプロパティの配布可否」を参照してください。
注※3
「Log」プロパティだけ配布できます。

なお,Remote Monitor Collectorサービスと,リモートエージェントおよびグループエージェントとの間ではプロパティを配布できません。

<この項の構成>
(1) エージェントのプロパティの配布手順
(2) Agent StoreおよびRemote Monitor Storeのバージョンによるプロパティの配布可否
(3) ノード数が増減するプロパティの一括配布

(1) エージェントのプロパティの配布手順

エージェントのプロパティを一括配布する手順を次に示します。

  1. 監視コンソールのWebブラウザからPFM - Web Consoleにログインする。
    管理ユーザー権限を持つユーザーアカウントでログインします。
    PFM - Web Consoleの[メイン]画面が表示されます。[サービス階層]画面での操作には,管理ユーザー権限が必要です。
  2. [メイン]画面のナビゲーションフレームで,[サービス階層]タブを選択する。
    [サービス階層]画面が表示されます。
  3. [サービス階層]画面のナビゲーションフレームで,「Machines」フォルダの下位の階層を展開する。
    Performance Managementのサービスがインストールされているホストの名前が付いたフォルダが表示されます。また,ホスト名が付いたフォルダを展開すると,そのホストにインストールされているサービスが表示されます。
    各サービスの名前は,サービスIDで表示されます。サービスIDの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の付録の,サービスの命名規則について説明している個所,および各PFM - AgentまたはPFM - RMマニュアルに記載されている識別子一覧を参照してください。
    サービスIDの形式は,プロダクト名表示機能が有効か無効かによって異なります。プロダクト名表示機能の詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,Performance Managementの機能について説明している章を参照してください。
  4. 配布元とするエージェントのノードを選択する。
    配布元ノードとして選択できるサービスを次に示します。
    • Agent CollectorおよびRemote Monitor Collectorサービス
    • Agent StoreおよびRemote Monitor Storeサービス
    • リモートエージェント
    • グループエージェント
    選択したノードにチェックマークが表示されます。
  5. メソッドフレームの[プロパティの配布]メソッドを選択する。
    [サービス選択]画面に遷移し,配布先として選択できるサービスが表示されます。配布先サービスには配布元サービスと同じプロダクト,かつ同じデータモデルバージョンのサービスが一覧表示されます。
  6. 配布先サービスを選択する。
    配布先サービスの選択例を次に示します。

    図3-15 配布先サービスの選択例

    [図データ]

    業務グループによるアクセスコントロール機能が有効な場合,配布先サービスを業務グループ単位で絞り込むことができます。
  7. [次へ]ボタンをクリックする。
    [プロパティ選択]画面が表示され,配布先のサービスへ配布できるプロパティ一覧と選択するためのチェックボックスが表示されます。
  8. 配布対象のプロパティを選択する。
    ツリーでノードを選択すると,インフォメーションフレームの下部に選択できるプロパティが表示されます。
    [全選択]ボタンをクリックすると,すべてのプロパティを選択できます。また,[全解除]ボタンをクリックすると,すべての選択を解除できます。
    配布先サービスを選択し直したいときは,[プロパティ選択]画面の[戻る]ボタンをクリックしてください。手順6の[サービス選択]画面に戻ります。
    プロパティの配布の設定例を次に示します。

    図3-16 プロパティの配布の設定例

    [図データ]

  9. [完了]ボタンをクリックする。
    一括配布の処理が開始し,[プロパティの配布 > 進捗表示]画面に遷移します。
    一括配布が完了したサービスの「プロパティ配布」欄には「OK」が表示されます。
    すべてのサービスの一括配布が完了すると,[OK]ボタンが活性化します。
  10. [OK]ボタンをクリックする。
    インフォメーションフレームがクリアされます。
    参考
    手順8で配布対象のプロパティを選択するたびに[完了]ボタンをクリックしなくても,配布対象のプロパティは複数回選択できます。必要に応じて,ツリーでノードを選択し,配布したいプロパティを選択する操作を繰り返し行ったあと,[完了]ボタンをクリックしてください。

(2) Agent StoreおよびRemote Monitor Storeのバージョンによるプロパティの配布可否

プロパティの配布元と配布先のAgent StoreおよびRemote Monitor StoreのバージョンとStoreデータベースのStoreバージョンによって配布可否が異なります。Agent StoreおよびRemote Monitor Storeのバージョンによるプロパティの配布可否を次の表に示します。

表3-12 Agent StoreおよびRemote Monitor Storeのバージョンによるプロパティの配布可否

配布元Agent StoreおよびRemote Monitor Store配布先Agent StoreおよびRemote Monitor Store
08-00以前08-10以降かつStoreバージョン2.008-10以降かつStoreバージョン1.0
08-00以前×
08-10以降かつStoreバージョン2.0××
08-10以降かつStoreバージョン1.0×
(凡例)
○:配布できる
×:配布できない

(3) ノード数が増減するプロパティの一括配布

ノード数が増減するプロパティには,上位のノードを追加,削除してツリーの構造を変更できるものがあります。例えば,PFM - Agent for PlatformのApplication monitoring setting配下のノードは,追加,削除してツリーの構造を変更できます。

プロパティの一括配布では,このようなノード数が増減するプロパティについて,配布元エージェントと配布先エージェントでツリーの構造が異なる場合でも,プロパティを配布できます。また,配布先エージェントのツリーの構造を配布元エージェントに合わせることもできます。なお,ノード数が増減するプロパティの一括配布は,PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleが08-11以降である必要があります。

(a) ノード数が増減するプロパティの一括配布による運用

ノード数が増減するプロパティの一括配布を利用することで,次のような運用ができます。

一つのエージェントで,ノードを追加,削除したり,プロパティを設定したりしたあと,そのエージェントを配布元としてプロパティの一括配布を行うことで,ツリー構造を含めたプロパティの設定を配布元と配布先で一致させます。

ここでは,プロパティを一括配布するときの設定例について説明します。

なお,一つのエージェントについて,ノードを追加したり削除したりする操作については,各PFM - AgentまたはPFM - RMマニュアルを参照してください。また,一括配布の手順については,「(b) ノード数が増減するプロパティの一括配布手順」を参照してください。

新規システム構築時,全エージェントを同じ設定にする
プロパティの一括配布で,次の図のように,すべてのノードに対して「追加」の操作を選択します。
[図データ]
配布先エージェントにノードが追加され,ツリー構造が配布元エージェントと同じになります。また,プロパティの値はすべて配布元エージェントの設定値と同じになります。
システム運用中,全エージェントを同じ設定にする
プロパティの一括配布で,次の図のように,すべてのノードに対して「追加」の操作を選択します。また,[配布先にのみ存在するノードは削除する]チェックボックスを選択します。
[図データ]
配布先エージェントに存在しなかったノードは追加されます。追加されたノードのプロパティはすべて配布元エージェントの設定値と同じになります。配布先エージェントに存在していたノードは,プロパティがすべて配布元エージェントの設定値と同じになります。配布先エージェントだけに存在するノードは削除されます。
このため,配布先エージェントのツリー構造が配布元エージェントと同じになります。
システム運用中,複数のエージェントで特定のプロパティの値を更新する
プロパティの一括配布で,次の図のように,更新するプロパティがあるノードに対して「更新」の操作を選択します。
[図データ]
また,更新するプロパティで「適用」を選択します。
[図データ]
「更新」の操作では,[適用]チェックボックスを選択したプロパティの値だけが更新されます。
システム運用中,複数のエージェントでノードを追加する
プロパティの一括配布で,次の図のように,追加するノードに対して「追加」の操作を選択します。
[図データ]
配布先エージェントにノードが追加され,ツリー構造が配布元エージェントと同じになります。また,追加されたノードのプロパティはすべて配布元エージェントの設定値と同じになります。
なお,配布先エージェントに存在するノードに対して「追加」の操作を選択して一括配布を行った場合,そのノードのプロパティの値は,[適用]チェックボックスの状態に関係なくすべて上書きされます。
システム運用中,複数のエージェントでノードを削除する
プロパティの一括配布で,次の図のように,削除するノードに対して「削除」の操作を選択します。
[図データ]
「削除」を選択したノードが配布先エージェントに存在する場合,そのノードは削除されます。
ポイント
「削除」の操作では配布元エージェントのノードは削除されません。このため,一括配布後は配布元エージェントと配布先エージェントでツリーの構造が異なります。

(b) ノード数が増減するプロパティの一括配布手順

ノード数が増減するプロパティを一括配布する手順を次に示します。ここでは,PFM - Agent for Platformのバージョン08-10以降で使用できるApplication monitoring setting配下のツリーの構造を配布する例を取り上げます。なお,この例では,配布元エージェントのプロパティの設定が完了しているものとして説明します。

  1. 監視コンソールのWebブラウザからPFM - Web Consoleにログインする。
    管理ユーザー権限を持つユーザーアカウントでログインします。
    PFM - Web Consoleの[メイン]画面が表示されます。[サービス階層]画面での操作には,管理ユーザー権限が必要です。
  2. [メイン]画面のナビゲーションフレームで,[サービス階層]タブを選択する。
    [サービス階層]画面が表示されます。
  3. [サービス階層]画面のナビゲーションフレームで,「Machines」フォルダの下位の階層を展開する。
    Performance Managementのサービスがインストールされているホストの名前が付いたフォルダが表示されます。また,ホスト名が付いたフォルダを展開すると,そのホストにインストールされているサービスが表示されます。各サービスの名前は,サービスIDで表示されます。
  4. PFM - Agentホストの場合は,配布元とするAgent StoreサービスまたはAgent Collectorサービスが動作するホストのフォルダの下位にある階層を展開し,配布元とするAgent StoreサービスまたはAgent Collectorサービスを選択する。PFM - RMホストの場合は,配布元とするRemote Monitor StoreサービスまたはRemote Monitor Collectorサービスが動作するホストのフォルダの下位にある階層を展開し,配布元とするRemote Monitor StoreサービスまたはRemote Monitor Collectorサービスを選択する。
    ここでは,PFM - Agent for PlatformのApplication monitoring settingを配布するため,「TA」から始まるAgent Collectorサービスを選択します。
    サービスIDの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の付録の,サービスの命名規則について説明している個所,および各PFM - AgentまたはPFM - RMマニュアルに記載されている識別子一覧を参照してください。
    選択したAgent Collectorサービスにチェックマークが表示されます。
  5. メソッドフレームの[プロパティの配布]メソッドを選択する。
    サービス選択画面に遷移し,配布先として選択できるサービスが表示されます。配布先サービスには配布元サービスと同じプロダクト,かつ同じデータモデルバージョンのサービスが一覧表示されます。
  6. 配布先サービスを選択し,[次へ]ボタンをクリックする。
    [プロパティ選択]画面が表示されます。
  7. インフォメーションフレームのツリーで「Application monitoring setting」を選択する。
    インフォメーションフレームの下部にApplication monitoring setting配下のノード一覧が表示されます。
  8. 各ノードに対して「更新」,「追加」または「削除」を選択する。
    「更新」を選択した場合に対象になるノードを次に示します。
    [図データ]
    「更新」の操作では,手順10で[適用]チェックボックスを選択したプロパティの値だけが更新されます。
    「追加」を選択した場合に対象になるノードを次に示します。
    [図データ]
    配布先エージェントに存在するノードに対して「追加」の操作を選択して一括配布を行った場合,そのノードのプロパティの値は,[適用]チェックボックスの状態に関係なくすべて上書きされます。
    「削除」を選択した場合に削除対象となるノードを次に示します。
    [図データ]
    ポイント
    「削除」の操作では配布元エージェントのノードは削除されません。このため,一括配布後は配布元エージェントと配布先エージェントでツリーの構造が異なります。
  9. 配布先エージェントにだけ存在し,配布元エージェントに存在しないノードを削除する場合,[配布先にのみ存在するノードを削除する]チェックボックスを選択する。
    [配布先にのみ存在するノードを削除する]チェックボックスを選択した場合に削除対象となるノードを次に示します。
    [図データ]
  10. 手順8で「更新」を選択したノードについて,値を更新するプロパティを選択する。
    ノードをツリーで選択すると,プロパティの一覧が表示されます。
    「更新」を選択したノードのプロパティは,一覧にある[適用]チェックボックスでの設定状態に応じて一括配布されます。
    [全選択]ボタンをクリックすると,すべてのプロパティを選択できます。また,[全解除]ボタンをクリックすると,選択されているプロパティをすべて解除できます。
  11. [完了]ボタンをクリックする。
    配布するノード,プロパティを選択したあと,[完了]ボタンをクリックすることで,一括配布の処理が開始し,[プロパティの配布 > 進捗表示]画面に遷移します。
    一括配布が完了したサービスの「プロパティ配布」欄には「OK」が表示されます。
    すべてのサービスの一括配布が完了すると,[OK]ボタンが活性化します。
  12. [OK]ボタンをクリックする。
    インフォメーションフレームがクリアされます。