クラスタシステムにPFM - Managerをインストールおよびセットアップする方法について説明します。
(1) インストールとセットアップの流れ
論理ホスト運用するPFM - Managerのインストールおよびセットアップの流れについて,次の図に示します。
図9-10 論理ホスト運用するPFM - Managerのインストールおよびセットアップの流れ(Windowsの場合)
以降に,PFM - Managerのインストールの手順,セットアップの手順,およびクラスタソフトの設定手順について説明します。
手順中のは実行系ノードで行う項目を,
は待機系ノードで行う項目を示します。また,
は使用する環境によって必要になるセットアップ項目,またはデフォルトの設定を変更する場合のオプションのセットアップ項目を示します。
(2) インストール手順
実行系ノードおよび待機系ノードに,PFM - Managerを新規インストールします。インストール手順は非クラスタシステムの場合と同じです。インストール手順の詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップ(Windowsの場合)について説明している章を参照してください。
(3) セットアップ手順
PFM - Managerのセットアップは,まず実行系ノードで行います。次に,実行系ノードでセットアップした内容を環境定義ファイルにエクスポートします。最後にその環境定義ファイルを待機系ノードにインポートすることで,実行系ノードから待機系ノードへセットアップの内容を反映させます。
図9-11 実行系ノードでセットアップした内容を待機系ノードへ反映する方法
各セットアップについて,次に説明します。
(a) PFM - AgentまたはPFM - RM情報の追加セットアップ
クラスタシステムでPFM - AgentまたはPFM - RMを一元管理するために,実行系ノードおよび待機系ノードのPFM - Managerに,PFM - AgentまたはPFM - RMのエージェント情報を登録します。
PFM - Managerのバージョンが08-50以降の場合,PFM - AgentまたはPFM - RMの登録は自動で行われるため,PFM - AgentまたはPFM - RM情報の追加セットアップは不要です。ただし,PFM - Managerより後でリリースされたPFM - AgentまたはPFM - RMについては手動で登録する必要があります。PFM - Manager,PFM - Agent,およびPFM - RMのそれぞれのリリース時期についてはリリースノートを参照してください。
セットアップの手順は,非クラスタシステムの場合と同じです。手順については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップ(Windowsの場合)について説明している章を参照してください。
(b) 共有ディスクのオンライン
共有ディスクがオンラインになっていることを確認します。共有ディスクがオンラインになっていない場合は,クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャーの操作などで,共有ディスクをオンラインにしてください。
(c) PFM - Managerの論理ホストのセットアップ
実行系ノードで,PFM - Managerの論理ホスト環境をセットアップします。セットアップを実施する前に,システム全体で,Performance Managementのプログラムおよびサービスをすべて停止する必要があります。
手順を次に示します。
jpcconf ha setup -key Manager -lhost jp1-ha1 -d S:¥jp1
図9-12 jpcconf ha setupコマンドの実行例
jpcconf ha list -key all
(d) PFM - AgentまたはPFM - RMの論理ホストのセットアップ
PFM - Managerのほかに,同じ論理ホストにセットアップするPFM - AgentまたはPFM - RMがある場合だけに必要な手順です。
セットアップ手順については,各PFM - AgentまたはPFM - RMマニュアルの,クラスタシステムでの運用について説明している章を参照してください。
(e) ネットワークの設定
論理ホスト名または論理IPアドレスでPFM - ManagerとPFM - Web Consoleの通信をするために,環境ディレクトリ¥jp1pc¥mgr¥viewsvr¥jpcvsvr.iniファイルに次の行を追加してください。
java.rmi.server.hostname=論理ホスト名または論理IPアドレス
PFM - ManagerとPFM - Web Consoleの通信で使用するホスト名については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の付録の,ポート番号について説明している個所を参照してください。
また,ネットワーク構成に応じて,IPアドレスとポート番号を変更する場合は,次の手順で設定してください。
jpcconf port define -key all -lhost jp1-ha1
(f) ログのファイルサイズ変更
Performance Managementの稼働状況を,Performance Management独自のログファイルに出力します。このログファイルを「共通メッセージログ」と呼びます。共通メッセージログは,デフォルトで2,048キロバイトのファイルが2個使用されます。このファイルサイズを変更したい場合に,必要な設定です。
詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップ(Windowsの場合)について説明している章を参照してください。
(g) 認証モードの設定
Performance Managementの認証モードをPFM認証モードからJP1認証モードに変更したい場合に,必要な設定です。
詳細については,「2. ユーザーアカウントと業務グループの管理」を参照してください。
(h) 業務グループによるアクセスコントロール機能の設定
業務グループを利用してPerformance Managementのユーザーを管理したい場合に必要な設定です。起動情報ファイル(jpccomm.ini)で,業務グループによるアクセスコントロール機能の利用有無を設定します。
詳細については,「2. ユーザーアカウントと業務グループの管理」を参照してください。
(i) イベントデータの格納先の変更
PFM - Managerで管理されるイベントデータの格納先,バックアップ先,またはエクスポート先のフォルダを変更したい場合に必要な設定です。
イベントデータは,デフォルトで次の場所に格納されます。
変更方法についての詳細は,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップ(Windowsの場合)について説明している章を参照してください。
(j) 動作ログ出力の設定
アラーム発生時に動作ログを出力したい場合に必要な設定です。動作ログとは,システム負荷などのしきい値オーバーに関するアラーム機能と連動して出力される履歴情報です。設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の付録の,動作ログの出力について説明している個所を参照してください。
(k) ヘルスチェック機能の設定
ヘルスチェック機能を設定する方法を次に示します。
jpcconf hc display
(l) 論理ホスト環境定義ファイルのエクスポート
実行系ノードでPFM - Managerの論理ホスト環境が作成できたら,待機系ノードに実行系ノードの設定情報を反映します。まず,実行系ノードの論理ホスト環境定義をファイルにエクスポートします。同じ論理ホストにほかのPerformance Managementをセットアップする場合は,すべてのセットアップが済んだあとにエクスポートしてください。
手順を次に示します。
jpcconf ha export -f lhostexp.conf
(m) 論理ホスト環境定義ファイルの待機系ノードへのコピー
(l)でエクスポートしたファイルを,待機系ノードに反映するために,実行系ノードから待機系ノードにコピーします。
次に,クラスタソフトからの操作やボリュームマネージャーの操作などで,共有ディスクをオフラインにして,実行系ノードでの作業を終了します。なお,その共有ディスクを続けて使用する場合は,オフラインにする必要はありません。
(n) 論理ホスト環境定義ファイルのインポート
実行系ノードからコピーしたエクスポートファイルを,待機系ノードにインポートします。
手順を次に示します。
jpcconf ha import -f lhostexp.conf
jpcconf ha list -key all
(4) クラスタソフトの設定手順
クラスタソフトの設定は,実行系ノードと待機系ノードのそれぞれで行います。
手順を次に示します。
(a) クラスタソフトでのPFM - Managerの登録
PFM - Managerを論理ホスト運用する場合は,クラスタソフトに登録し,クラスタソフトからの制御でPFM - Managerを起動したり停止したりするように設定します。
PFM - AgentまたはPFM - RMをクラスタソフトに登録する場合は,PFM - AgentまたはPFM - RMマニュアルの,クラスタシステムでの運用について説明している章を参照して,設定してください。
PFM - Managerをクラスタソフトに登録するときの設定内容を,WindowsのMSCSに登録する項目を例として説明します。
例えば,PFM - Managerを単体で論理ホスト運用する場合,次の表のサービスをクラスタに登録します。
表9-2 クラスタソフトに登録するPFM - Managerのサービス(PFM - Manager単体の場合)
項番 | 名前 | サービス名 | 依存関係 |
---|---|---|---|
1 | PFM - Name Server [LHOST] | JP1PCMGR_PN [LHOST] | IPアドレスリソース 物理ディスクリソース※ |
2 | PFM - Master Manager [LHOST] | JP1PCMGR_PM [LHOST] | #1のクラスタリソース |
3 | PFM - Master Store [LHOST] | JP1PCMGR_PS [LHOST] | #2のクラスタリソース |
4 | PFM - View Server [LHOST] | JP1PCMGR_PP [LHOST] | #5のクラスタリソース |
5 | PFM - Correlator [LHOST] | JP1PCMGR_PE [LHOST] | #3のクラスタリソース |
6 | PFM - Trap Generator [LHOST] | JP1PCMGR_PC [LHOST] | #5のクラスタリソース |
7 | PFM - Action Handler [LHOST] | JP1PCMGR_PH [LHOST] | #5のクラスタリソース |
8 | PFM - Agent Store for HealthCheck [LHOST] | JP1PCAGT_0S [LHOST] | #4のクラスタリソース |
9 | PFM - Agent for HealthCheck [LHOST] | JP1PCAGT_0A [LHOST] | #8のクラスタリソース |
注※ (3)の(c)で作成した論理ホスト環境ディレクトリが存在する共有ディスクドライブ。
また,PFM - Managerと,PFM - AgentまたはPFM - RMを同じ論理ホストで運用する場合,次の表のサービスをクラスタに登録します。ここでは,PFM - RM for PlatformとPFM - RM for Oracleを運用する場合を例とします。
表9-3 クラスタソフトに登録するPFM - Managerのサービス(PFM - Manager,PFM - RM for PlatformおよびPFM - RM for Oracleが共存する場合の例)
項番 | 名前 | サービス名 | 依存関係 |
---|---|---|---|
1 | PFM - Name Server [LHOST] | JP1PCMGR_PN [LHOST] | IPアドレスリソース 物理ディスクリソース※ |
2 | PFM - Master Manager [LHOST] | JP1PCMGR_PM [LHOST] | #1のクラスタリソース |
3 | PFM - Master Store [LHOST] | JP1PCMGR_PS [LHOST] | #2のクラスタリソース |
4 | PFM - View Server [LHOST] | JP1PCMGR_PP [LHOST] | #5のクラスタリソース |
5 | PFM - Correlator [LHOST] | JP1PCMGR_PE [LHOST] | #3のクラスタリソース |
6 | PFM - Trap Generator [LHOST] | JP1PCMGR_PC [LHOST] | #5のクラスタリソース |
7 | PFM - Action Handler [LHOST] | JP1PCMGR_PH [LHOST] | #5のクラスタリソース |
8 | PFM - Agent Store for HealthCheck [LHOST] | JP1PCAGT_0S [LHOST] | #4のクラスタリソース |
9 | PFM - Agent for HealthCheck [LHOST] | JP1PCAGT_0A [LHOST] | #8のクラスタリソース |
10 | PFM - RM Store for Platform インスタンス名 [LHOST] | JP1PCAGT_7S_インスタンス名 [LHOST] | #4のクラスタリソース |
11 | PFM - RM for Platform インスタンス名 [LHOST] | JP1PCAGT_7A_インスタンス名 [LHOST] | #10のクラスタリソース |
12 | PFM - RM Store for Oracle インスタンス名 [LHOST] | JP1PCAGT_1S_インスタンス名 [LHOST] | #4のクラスタリソース |
13 | PFM - RM for Oracle インスタンス名 [LHOST] | JP1PCAGT_1A_インスタンス名 [LHOST] | #12のクラスタリソース |
注※ (3)の(c)で作成した論理ホスト環境ディレクトリが存在する共有ディスクドライブ。
[LHOST]の部分は,論理ホスト名に置き換えてください。例えば,論理ホスト名がjp1-ha1の場合のName Serverサービスの場合,次のようになります。
MSCSの場合は,これらのサービスをMSCSのリソースとして登録します。各リソースの設定は次のようにします。下記では,MSCSの設定項目を[ ]で囲んで示しています。
(b) クラスタソフトからの起動と停止の確認
クラスタソフトからの操作で,PFM - Managerの起動および停止を各ノードで実行して,正常に動作することを確認してください。