1.21.2 メッセージ(KAVX5105-W)の対処

ここでは,メッセージKAVX5105-Wが出力される原因と,その対処方法を説明します。

TrueCopyまたはUniversal Replicatorでバックアップしたデータをリストアする場合,Protection Managerは,主ボリュームと副ボリュームの反転によるペア再同期を利用して副ボリュームからリストアします。

Protection Managerは,次の手順でTrueCopyまたはUniversal Replicatorでバックアップしたデータをリストアします。

  1. 最初の主ボリュームと副ボリュームの反転によってペア再同期を完了させます。
  2. ファイルサーバまたはデータベースサーバに接続したボリュームに対してデータをリストアします。
  3. 副ボリュームと主ボリュームを再度反転し元の状態に戻します。

しかし,リストア処理中にエラーが発生した場合,これらのペア操作手順が中断されることがあります。

KAVX5105-Wのメッセージが出力された場合,最後の副ボリュームと主ボリュームの再反転に失敗し,ファイルサーバまたはデータベースサーバに接続されたボリュームが副ボリュームとなったままの状態でリストア処理が終了しています。ファイルサーバやデータベースサーバに接続されたボリュームに対してのリストアが完了しているため,本来の主ボリュームが副ボリュームとなった状態で,ファイルサーバやデータベースサーバでボリュームを使用した運用を開始できてしまいます。

しかし,このままの状態で運用を開始すると,このコピーグループに対してバックアップコマンドなどProtection Managerのコマンドを実行できません。

まずは,RAID Managerのログ情報を参照して,最後の主ボリュームと副ボリュームの反転が失敗した原因を確認し,その原因を除去してください。そのあと,次の手順で,ボリュームの状態を回復してください。

主ボリュームと副ボリュームの反転に失敗した状態から回復するには:

  1. 主ボリューム,副ボリュームの両方を管理するRAID Managerインスタンスが起動していることを確認します。
  2. ファイルサーバまたはデータベースサーバに接続されたボリュームを管理するRAID ManagerインスタンスおよびTrueCopyまたはUniversal Replicatorのペアボリュームを操作するための環境変数を設定します。
    この例では,RAID Managerを管理するインスタンスを「HORCMINST=0」とします。また,TrueCopyまたはUniversal Replicatorのペアボリュームを操作するための環境変数は,「HORCC_MRCF=」と設定します。

    PROMPT> set HORCMINST=0

    PROMPT> set HORCC_MRCF=

  3. リストア対象となったコピーグループを確認します。
    この例では,バックアップID「0000000001」がリストア対象となっています。

    PROMPT > drmsqlcat default -backup_id 0000000001
    INSTANCE: default
    BACKUP-ID: 0000000001 BACKUP-MODE: ONLINE INSTANCE: default ORIGINAL-ID: 0000000001
    START-TIME: 2002/06/01 10:00:00 END-TIME: 2002/06/01 10:03:00 HOSTNAME: SQL1
    T  DB   OBJECT    FILE             FS  DG  DEVICE     COPY-GROUP
    M  DB1  METAFILE  C:¥METADIR¥Meta1 C:  -   -          -
    D  DB1  DATAFILE  D:¥SQL¥data1     D:  -   Harddisk1  TC01,dev01
    -  -    -         -                -   -   -          TC01,dev01
    PROMPT>

  4. コピーグループのペア状態を確認します。
    主ボリュームが「PSUS」状態,副ボリュームが「SSWS」状態であることを確認します。この例では,コピーグループを「TC01,dev01」とします。

    PROMPT > pairdisplay -g TC01 -d dev01 -fc

  5. コピーグループに対して副ボリュームと主ボリュームを反転するペア再同期を行い,「PAIR」状態になるまで待ちます。

    PROMPT> pairresync -g TC01 -d dev01 -swaps

    PROMPT> pairevtwait -g TC01 -d dev01 -s pair -t 300

  6. コピーグループのペア状態を確認します。
    主ボリュームおよび副ボリュームが「PAIR」状態であることを確認します。

    PROMPT> pairdisplay -g TC01 -d dev01 -fc

  7. コピーグループをペア分割し,「PSUS」状態になるまで待ちます。

    PROMPT> pairsplit -g TC01 -d dev01 -rw

    PROMPT> pairevtwait -g TC01 -d dev01 -s psus -t 300

    PROMPT> pairdisplay -g TC01 -d dev01 -fc

  8. コピーグループのペア状態を確認します。
    主ボリュームが「PSUS」状態,副ボリュームが「SSUS」状態であることを確認します。

    PROMPT>pairdisplay -g TC01 -d dev01 -fc