書式
drmorarestore バックアップID -resync [ -force ]
[ -target 表領域名 | -f 一括定義ファイル名 ]
[ -pf コピーパラメーター定義ファイル ]
説明
バックアップIDで指定された副ボリュームのバックアップデータを,ディスクの再同期で主ボリュームにリストアします。
RACインスタンスの場合,同じRACインスタンスが稼働するサーバならばリストアを実行することができます。
このコマンドを実行すると,Oracleインスタンスの停止が実行されます。リストア開始時点でOracleインスタンスが起動しており,かつ次の条件をすべて満たした場合は,Oracleインスタンスは停止されません。この場合,リストア対象の表領域をオフラインにして,対象の表領域だけをリストアします。また,リカバリは実行されないため,リストアに成功しても対象の表領域はオフラインのままでコマンドを正常終了します。
リストアの対象となるのは,次の表に示すファイルです。
表2-42 リストアの対象となるOracleオブジェクト
バックアップ方法 | バックアップ時に指定したオプション | 対象Oracle インスタンス | リストアされる Oracleオブジェクト |
---|---|---|---|
コールド バックアップ | 指定なし | シングル インスタンス※1 | 表領域※2,オンラインREDOログファイル,制御ファイル,初期化パラメーターファイル(PFILE),サーバパラメーターファイル(SPFILE) |
RACインスタンス(ローカルデータ)※3 | オンラインREDOログファイル,UNDO表領域※4,初期化パラメーターファイル(PFILE) | ||
RACインスタンス(共有 データ)※5 | 表領域※2(UNDO表領域を除く※4),制御ファイル,サーバパラメーターファイル(SPFILE) | ||
-exfile | シングル インスタンス※1 | 表領域※2,オンラインREDOログファイル,制御ファイル,初期化パラメーターファイル(PFILE),サーバパラメーターファイル(SPFILE),パスワードファイル,ネットワークファイル | |
RACインスタンス(ローカルデータ)※3 | UNDO表領域※4,オンラインREDOログファイル,初期化パラメーターファイル(PFILE),パスワードファイル,ネットワークファイル | ||
オンライン バックアップ | 指定なし | シングル インスタンス※1 | 表領域※2 |
RACインスタンス(ローカルデータ)※3 | UNDO表領域※4,初期化パラメータファイル(PFILE) | ||
RACインスタンス(共有 データ)※5 | 表領域※2(UNDO表領域を除く※6),アーカイブ済みREDOログファイル,制御ファイル | ||
-all | シングル インスタンス※1 | 表領域※2,制御ファイル,初期化パラメーターファイル(PFILE),サーバパラメーターファイル(SPFILE) | |
RACインスタンス(共有 データ)※4※5 | 表領域※2(UNDO表領域を除く※4),アーカイブ済みREDOログファイル,制御ファイル,サーバパラメータファイル(SPFILE) | ||
-exfile | シングル インスタンス※1 | 表領域※2,制御ファイル,パスワードファイル,ネットワークファイル | |
RACインスタンス(ローカルデータ)※3 | UNDO表領域※4,制御ファイル,パスワードファイル,ネットワークファイル |
インスタンス名を指定してコールドバックアップしたバックアップデータについては,-targetオプションまたは-fオプションを指定したリストアはできません。
次に,インスタンス名を指定してすべての表領域をオンラインバックアップしたバックアップデータをリストアするときのコマンドの動作を説明します。
次に,クラスタ構成でリストアするときのコマンドの動作を説明します。
主ボリューム上のデータは,バックアップ時点での副ボリュームのディスクイメージで上書きされます。したがって,バックアップ後に主ボリューム上に新規に作成したり,更新したりしたデータはすべて無効になります。
このコマンドを実行する場合,オンラインバックアップモードに設定されている表領域が一つでもあるときは,コマンドはエラーになります。また,コマンド実行中にリストア対象の表領域がオンラインバックアップモードに設定されるか,またはオフラインにされた場合でも,コマンドはエラーになります。この場合,表領域をオンラインにして再実行してください。
引数
バックアップID
リストアするバックアップデータのバックアップIDを指定します。バックアップIDとは,バックアップデータを一意に識別するためのIDで,バックアップ時に,バックアップカタログに登録されます。バックアップIDを確認するにはdrmoracatコマンドを実行します。
-resync
主ボリュームと副ボリュームを再同期することでリストアします。主ボリュームの内容は,副ボリュームのバックアップデータと同じになります。
-force
主ボリュームと副ボリュームを強制的に再同期することで,リストアする場合に指定します。このオプションを指定すると,データベースサーバでバックアップを実行したときに取得した主ボリュームのコピーグループ名がデータベースサーバの情報と一致していれば,LDEV番号またはSERIAL番号がバックアップ時の番号と一致していない場合にも強制的に再同期します。このオプションは,ボリュームを入れ替えてLDEV番号が変わった場合など,-resyncオプションを指定しただけでは再同期でリストアできないときにだけ指定してください。通常のリストアでこのオプションを指定した場合,データが破壊されるおそれがあります。
-target 表領域名
指定したインスタンスに含まれる特定の表領域をリストアする場合に指定します。このオプションは,インスタンス名を指定してオンラインバックアップしたバックアップデータにだけ指定できます。指定する表領域は,バックアップIDで指定されるバックアップカタログの中に存在する必要があります。バックアップカタログの中に存在しない表領域を指定した場合,コマンドはエラーになります。複数の表領域を一度にリストアするときは,ファイル名またはディレクトリ名をコンマで区切って指定します。
このオプションおよび-fオプションの両方を省略した場合は,バックアップIDで指定されるインスタンスに含まれるすべてのオブジェクトをリストアします。
リストアするデータベースがコールドバックアップされていた場合,このオプションは指定できません。
-f 一括定義ファイル名
このオプションは,-targetオプションと同様,指定したインスタンスに含まれる特定の表領域をリストアする場合に指定します。-targetオプションと異なり,リストアする表領域の一覧を記述した定義ファイルをあらかじめ作成しておき,その表領域の名称を指定することで,リストアする表領域を一度に指定できます。一括定義ファイル名は絶対パスで指定します。
このオプションおよび-targetオプションの両方を省略した場合は,バックアップIDで指定されるインスタンスに含まれるすべてのオブジェクトをリストアします。
リストアするデータベースがコールドバックアップされていた場合,このオプションは指定できません。
-pf コピーパラメーター定義ファイル
コピーパラメーター定義ファイルに定義したリトライ回数とリトライ間隔を使用する場合に指定します。指定する場合は,パスではなくファイル名だけを指定してください。
このオプションを省略した場合は,RAID Manager用連携定義ファイル(DEFAULT.dat)の値が使用されます。コピーパラメーター定義ファイルに記述されていないパラメーターについても,DEFAULT.datの値が使用されます。
コピーパラメーター定義ファイルは,次の場所に任意の名前で作成します。ファイル名は,64バイト以内の半角英数字で指定してください。
/opt/drm/conf/raid
注意事項
表2-43 ユーザー操作によるリストアが必要なファイル(クラスタ環境で主ボリュームにリストアする場合)
リストア対象のファイル | バックアップの方式 | |
---|---|---|
コールドバックアップ | オンラインバックアップ | |
制御ファイル 初期化パラメーターファイル サーバパラメーターファイル | - | ○ |
ネットワークファイル パスワードファイル | ○ | ○ |
ユーザー操作によるリストアが必要なファイルは,コマンドの実行時に出力されるメッセージを参照して,次の手順でリストアします。
戻り値
0:正常終了した場合
0以外:エラーが発生した場合
使用例
バックアップID「0000000001」で識別されるバックアップデータを,ディスクを再同期することでリストアする。
PROMPT> drmorarestore 0000000001 -resync