2.3.1 drmfsbackup(ファイルシステムを副ボリュームにバックアップする)

書式

オンラインバックアップする場合

drmfsbackup { マウントポイントディレクトリ名 | マウントポイントディレクトリ一括定義ファイル名 } [ -mode online ]
           [ -rc [ 世代識別名 ] ] [ -pf コピーパラメーター定義ファイル ]
           [ -comment バックアップコメント ]
           [ -script ユーザースクリプトファイル名 ]
           [ -s バックアップサーバ名
             [ -auto_import
               [ -auto_mount [ マウントポイントディレクトリ名 ]]
             ]
             [ -svol_check ]
           ]

コールドバックアップする場合

drmfsbackup { マウントポイントディレクトリ名 | マウントポイントディレクトリ一括定義ファイル名 } -mode cold
           [ -rc [ 世代識別名 ] ] [ -pf コピーパラメーター定義ファイル ]
           [ -comment バックアップコメント ]
           [ -script ユーザースクリプトファイル名 ]
           [ -s バックアップサーバ名
             [ -auto_import
               [ -auto_mount [ マウントポイントディレクトリ名 ]]
             ]
             [ -svol_check ]
           ]

VSSバックアップする場合

drmfsbackup { マウントポイントディレクトリ名 | マウントポイントディレクトリ一括定義ファイル名 } -mode vss
           [ -rc [ 世代識別名 ] ] [ -pf コピーパラメーター定義ファイル ]
           [ -comment バックアップコメント ]
           [ -vf VSS定義ファイル名 ]
           [ -script ユーザースクリプトファイル名 ]
           [ -s バックアップサーバ名
             [ -auto_import
               [ -auto_mount [ マウントポイントディレクトリ名 ]]
             ]
             [ -svol_check ]
           ]

説明

指定したマウントポイントディレクトリに対応するファイルシステムが記憶されているボリュームを副ボリュームにバックアップします。複数のファイルシステムを一度にバックアップできます。マウントディレクトリに対応するファイルシステムが,複数のボリュームで構成されている場合,すべての主ボリュームが副ボリュームにバックアップされます。

このコマンドを実行する前に次の操作が必要です。

ローカルサイトでdrmfsbackupコマンドを実行する場合,ペア状態が「SMPL」のときは自動ペア生成を実行しません。この場合,RAID Manager用連携定義ファイル(DEFAULT.dat)のPAIR_CREATEパラメーターにENABLEを設定したときには自動ペア生成を実行します。

インストール後,drmfsdisplayコマンドに-refreshオプションを指定して実行しないで,ディクショナリマップファイルが作成していない状態でdrmfsbackupコマンドを実行した場合,drmfsbackupコマンドでディクショナリマップファイルが作成されます。この場合,ディクショナリマップファイルの作成する処理時間の分,バックアップコマンド実行時間が長くなります。

引数

マウントポイントディレクトリ名

バックアップするファイルシステムのマウントポイントディレクトリを指定します。Windowsの場合は,マウントされているファイルシステムのドライブ文字またはドライブ文字から始まる絶対パスを必ず指定してください。

Solarisの場合は,マウントされているファイルシステムのマウントポイントディレクトリを必ず指定してください。マウントされていないファイルシステムのマウントポイントディレクトリを指定した場合,コマンドを実行してもエラーになります。

Windowsの場合
マウントポイントディレクトリ名はドライブ文字またはドライブ文字から始まる絶対パスで指定します。
マウントポイントディレクトリ名を指定するときの条件は次のとおりです。
  • 最大文字数:指定できるパスの長さは,RAID Managerのマウント,アンマウント機能の制限に準拠します。
    コールドバックアップをする場合は,バックアップ対象の出力ボリュームがマウントされているパスの長さは上記パス長の制限以内にしてください。
  • 使用できる文字:Windowsでディレクトリ名に使用できる文字(ただし,空白,2バイト文字,半角かたかなは使用できません)
パスの末尾に「¥」がない場合でも,「¥」が指定されているものとみなされます。例えば,「D:」と「D:¥」は同じドライブとみなされます。また,「D:¥MOUNTDIR」と「D:¥MOUNTDIR¥」は同じディレクトリとみなされます。
Solarisの場合
マウントポイントディレクトリ名を指定するときの条件は次のとおりです。
  • 最大文字数:255バイト
  • 使用できる文字:各OSでディレクトリ名として使用できる文字
パスの末尾に「/」がない場合でも,「/」が指定されているものとみなされます。例えば「/mnt」と「/mnt/」は同じディレクトリとみなされます。

マウントポイントディレクトリ一括定義ファイル名

バックアップするファイルシステムのマウントポイントディレクトリの一覧を記述した定義ファイルのファイル名を指定します。マウントポイントディレクトリ一括定義ファイル名を指定する場合,ファイル名だけを指定してください。マウントポイントディレクトリ一括定義ファイルの格納先と記述例を次に示します。

ファイルの格納先(Windowsの場合)

<Protection Managerのインストール先>¥conf¥fs

ファイルの記述例(Windowsの場合)

D:
E:
F:¥MNT

ファイルの格納先(Solarisの場合)

/opt/drm/conf/fs

ファイルの記述例(Solarisの場合)

/mntpt1
/mntpt2
/fs/mntpt2

-mode online

オンラインバックアップをする場合に指定します。オンラインバックアップでは,ファイルシステムをアンマウントしないで,バックアップを実行します。

VxFS以外のファイルシステムでオンラインバックアップを指定した場合,オンラインバックアップの前にファイルシステムの同期処理だけを実行します。ファイルシステムを利用するアプリケーションで,データの更新を抑止しないと,バックアップしたデータの整合性は保証されません。

このオプションを省略しても,オンラインバックアップを指定したことになります。

-mode vss

VSSを使用してバックアップするときに指定します。

このオプションを指定する場合は,バックアップサーバでProtection Managerサービスが稼働している必要があります。

-rc 世代識別名

バックアップするコピーグループの世代識別名を指定します。drmfsdisplayコマンドに-cfオプションを付けて実行し,表示された「GEN-NAME」の値を指定してください。単体ボリュームの場合は,「-」が表示されます。この場合,-rcオプションは指定できません。

リモート側の副ボリュームへバックアップする場合,このオプションを必ず指定してください。このオプションを省略すると,ローカル側の副ボリュームにバックアップされます。

世代識別名を省略した場合は,リモート側の世代番号の中で,最小の値を持つ副ボリュームがバックアップ先となります。この場合,世代番号はremote_nnは最小の世代番号)となります。

-pfコピーパラメーター定義ファイル

コピーパラメーター定義ファイルに定義したリトライ回数とリトライ間隔を使用する場合に指定します。指定する場合は,パスではなくファイル名だけを指定してください。

このオプションを省略した場合は,RAID Manager用連携定義ファイル(DEFAULT.dat)の値が使用されます。コピーパラメーター定義ファイルに記述されていないパラメーターについても,DEFAULT.datの値が使用されます。

コピーパラメーター定義ファイルは,次の場所に任意の名前で作成します。ファイル名は,64バイト以内の半角英数字で指定してください。

Windowsの場合
<Protection Managerのインストール先>¥conf¥raid
Solarisの場合
/opt/drm/conf/raid

-mode cold

コールドバックアップする場合に指定します。

コールドバックアップは,マウント状態のファイルシステムに対して実行します。コマンドを実行すると,ファイルシステムをアンマウントして,オフラインの状態でボリュームをバックアップします。バックアップが終了すると,再びファイルシステムをマウントします。アンマウントに失敗した場合は,エラーメッセージが表示され,バックアップ処理が中止されます。バックアップ対象のボリュームがアンマウントされていた場合,バックアップ処理は中止されます。

また,クラスタ構成のサーバでコマンドを実行すると,ファイルシステムをアンマウントする代わりにバックアップ対象のディスクリソースをオフラインにして,ボリュームをバックアップします。バックアップが終了すると,再びバックアップ対象のディスクリソースをオンラインにします。

次の場合,コマンドを実行してもバックアップ処理は中止されます。

-comment バックアップコメント

バックアップカタログにバックアップコメントを登録する場合に指定します。

バックアップコメントには,64バイトまでの任意の文字列(英数字,記号,半角スペースおよびマルチバイト文字)が指定できます。バックアップコメントは大文字と小文字を区別します。記号,半角スペースを指定する場合は,バックアップコメントを引用符(")で囲みます。記号を引用符(")で囲まない場合は,特殊記号と認識しバックアップコメントの文字列として正しく解釈できません。

バックアップコメントに使用できない記号は次のとおりです。

「¥」,「/」,「`」,「|」,「<」,「>」,「"」,「*」,「?」,「&」,「;」,「(」,「)」,「$」

先頭文字には「-」は指定できません。-commentオプションに「""」(引用符だけ)が指定された場合は,バックアップカタログにバックアップコメントは登録しません。

-vf VSS定義ファイル名(Windowsの場合)

VSSバックアップで使用する設定をバックアップごとに切り替える場合に指定します。このオプションは,VSSを使用してバックアップをするときにだけ使用できます。VSS定義ファイル名には,ファイル名だけを指定します。フォルダ名は指定しないでください。このオプションで指定するVSS定義ファイルは,下記のフォルダに格納しておく必要があります。

<Protection Managerのインストール先>¥conf¥vss

このオプションを省略する場合,下記のファイルがVSS定義ファイルとして使用されます。

<Protection Managerのインストール先>¥conf¥vsscom.conf

VSS定義ファイルの詳細については,マニュアル「Hitachi Protection Manager Software ユーザーズガイド」を参照してください。

-script ユーザースクリプトファイル名(Windowsの場合)

ユーザースクリプトを実行する場合に指定します。ユーザースクリプトファイル名は絶対パスで指定します。ユーザースクリプトファイル名を指定するときの条件は次のとおりです。

ユーザースクリプトファイルの記述内容については,マニュアル「Hitachi Protection Manager Software ユーザーズガイド」の,ユーザースクリプトを作成する方法についての説明を参照してください。

ユーザースクリプトファイルに「LOCATION=REMOTE」を指定した場合は,-sオプションをあわせて指定する必要があります。

-s バックアップサーバ名(Windowsの場合)

リモートのバックアップサーバに接続してバックアップを実行する場合に指定します。バックアップサーバのホスト名またはIPアドレスを,255バイト以内の文字列で指定してください。IPアドレスはIPv4またはIPv6形式で指定できます。

-sオプションでバックアップサーバを指定した場合,VSS定義ファイル(vsscom.conf),および-vfオプションで指定したVSS定義ファイルのバックアップサーバ名は無効となり,-sオプションで指定したバックアップサーバ名が使用されます。

-auto_import(Windowsの場合)

ボリュームのバックアップが完了したあと,バックアップカタログをバックアップサーバに自動転送する場合に指定します。このオプションは,-sオプションと同時に指定する必要があります。

-auto_mount マウントポイントディレクトリ名(Windowsの場合)

ボリュームのバックアップが完了したあと,バックアップサーバで副ボリュームを自動マウントする場合に指定します。このオプションは,-sオプションおよび-auto_importオプションと同時に指定する必要があります。

マウントポイントディレクトリ名は,64バイト以内の文字列で指定してください。

マウントポイントディレクトリ名を省略した場合は,副ボリュームのマウント先が自動的に設定されます。設定規則は,drmmountコマンドでマウントポイントを明示的に指定しなかった場合と同じです。

マウントした副ボリュームは,drmumountコマンドを使用してアンマウントしてください。

-svol_check(Windowsの場合)

バックアップサーバでの副ボリュームの状態をチェックしたい場合に指定します。このオプションは,-sオプションと同時に指定する必要があります。副ボリュームの状態をチェックすることで,バックアップの失敗,またはリストアの失敗を防ぐことができます。チェック内容(項目,対象,条件)は次のとおりです。

表2-8 副ボリュームの状態チェック

チェック項目チェック対象のボリュームチェックの条件
副ボリュームがバックアップサーバから隠ぺいされていることバックアップ対象の主ボリュームに対して定義されたすべての副ボリューム主ボリュームが複数世代の副ボリュームとペア定義されている場合で,かつ,次のどれかに該当する場合にチェックされる。
  • 主ボリュームがクラスタリソースである。
  • 主ボリュームがダイナミックディスクである。
  • VSSでのバックアップが実行される。
副ボリュームがバックアップサーバにマウントされていないこと今回,バックアップ先となる副ボリューム常にチェックされる。

注意事項

戻り値

0:正常終了した場合

0以外:エラーが発生した場合

使用例(Windowsの場合)

使用例(Solarisの場合)