1.6.1 EX_DRM_SQL_BACKUP(SQL Serverデータベースをバックアップする)

書式

EX_DRM_SQL_BACKUP オペレーションID
                 [ -system ] [ -comment バックアップコメント ]
                 [ -rc [ 世代識別名 ]]
                 [ -pf コピーパラメーター定義ファイル ]
                 [ -script ユーザースクリプトファイル名 ]
                 [ -s バックアップサーバ名
                   [ -auto_import
                     [ -auto_mount [ マウントポイントディレクトリ名 ]]
                   ]
                   [ -svol_check ]
                 ]

説明

drmsqlbackupコマンドを実行し,オペレーションIDで指定されたインスタンスのSQL Serverデータベースを主ボリュームから副ボリュームにバックアップします。このとき,バックアップIDを生成します。

指定したインスタンスのデータファイルや各種のデータベースなどのオブジェクトが,複数のボリュームに格納されている場合,すべての主ボリュームが副ボリュームにバックアップされます。SQL Serverインスタンスをバックアップするときは,オンラインバックアップになります。コマンドを実行するときに,起動していないインスタンスを指定すると,コマンドにエラーが発生します。

バックアップの対象となるのは,次の表に示すファイルです。

表1-11 SQL Serverデータベースのバックアップの対象となるファイル

対象データベース※1対象となるファイルの種類バックアップファイル名バックアップファイル格納先
masterデータファイルバックアップ元のファイル名と同じ副ボリューム
トランザクションログファイルバックアップ元のファイル名と同じ副ボリューム
メタファイル※2drmsqlinitコマンドで指定したVDIメタファイル格納ディレクトリに依存する※3
modelデータファイルバックアップ元のファイル名と同じ副ボリューム
トランザクションログファイルバックアップ元のファイル名と同じ副ボリューム
メタファイル※2drmsqlinitコマンドで指定したVDIメタファイル格納ディレクトリに依存する※3
msdbデータファイルバックアップ元のファイル名と同じ副ボリューム
トランザクションログファイルバックアップ元のファイル名と同じ副ボリューム
メタファイル※2drmsqlinitコマンドで指定したVDIメタファイル格納ディレクトリに依存する※3
ユーザーデータベースデータファイルバックアップ元のファイル名と同じ副ボリューム
トランザクションログファイルバックアップ元のファイル名と同じ副ボリューム
メタファイル※2drmsqlinitコマンドで指定したVDIメタファイル格納ディレクトリに依存する※3
ディストリビューションデータベースデータファイルバックアップ元のファイル名と同じ副ボリューム
トランザクションログファイルバックアップ元のファイル名と同じ副ボリューム
メタファイル※2drmsqlinitコマンドで指定したVDIメタファイル格納ディレクトリに依存する※3
注※1
-systemオプションを指定しない場合,バックアップの対象となるデータベースはユーザーデータベースだけです。
注※2
drmsqlbackupコマンド実行時に生成されます。
注※3
drmsqlinitコマンドでVDIメタファイル格納ディレクトリを登録した場合は,登録したディレクトリにファイル名「バックアップID_データベースID.dmp」で格納します。
drmsqlinitコマンドでVDIメタファイル格納ディレクトリを登録しなかった場合は,データベースファイルのSQL Serverでの管理番号(file_id)が最小値のファイルと同一ディレクトリにファイル名「META_データベースID.dmp」で格納します。

前提条件

次の前提条件があります。

引数

オペレーションID

処理の対象となるリソースを表す固有の文字列を指定します。指定したオペレーションIDに対応したオペレーション定義ファイルの情報が,拡張コマンドの実行に使用されます。

-system

バックアップの対象データベースとしてシステムデータベース(master,model,msdb)を指定する場合に使用します。このオプションを使用した場合,リストアするときにSQL Serverが停止します。

指定したオペレーションIDに対応するオペレーション定義ファイルの「TARGET_NAME」にデータベース名が指定されている場合にこのオプションを指定すると,拡張コマンドにエラーが発生します。

-commentバックアップコメント

バックアップカタログにバックアップコメントを登録する場合に指定します。

バックアップコメントには,64バイトまでの任意の文字列(英数字,記号,半角スペースおよびマルチバイト文字)が指定できます。バックアップコメントは大文字と小文字を区別します。記号,半角スペースを指定する場合は,バックアップコメントを引用符(")で囲みます。記号を引用符(")で囲まない場合は,特殊記号と認識しバックアップコメントの文字列として正しく解釈できません。

バックアップコメントに使用できない記号は次のとおりです。

「¥」,「/」,「`」,「|」,「<」,「>」,「"」,「*」,「?」,「&」,「;」,「(」,「)」,「$」

先頭文字には「-」は指定できません。-commentオプションに「""」(引用符だけ)が指定された場合は,バックアップカタログにバックアップコメントは登録しません。

-rc世代識別名

バックアップするコピーグループの世代識別名を指定します。drmsqldisplayコマンドに-cfオプションを付けて実行し,表示された「GEN-NAME」の値を指定してください。単体ボリュームの場合は,「-」が表示されます。この場合,-rcオプションは指定できません。

リモート側の副ボリュームへバックアップする場合,このオプションを必ず指定してください。このオプションを省略すると,ローカル側の副ボリュームにバックアップされます。

世代識別名を省略した場合は,リモート側の世代番号の中で,最小の値を持つ副ボリュームがバックアップ先となります。この場合,世代番号はremote_nnは最小の世代番号)となります。

-pfコピーパラメーター定義ファイル

コピーパラメーター定義ファイルに定義したリトライ回数とリトライ間隔を使用する場合に指定します。指定する場合は,パスではなくファイル名だけを指定してください。

このオプションを省略した場合は,RAID Manager用連携定義ファイル(DEFAULT.dat)の値が使用されます。コピーパラメーター定義ファイルに記述がされていないパラメーターについても,DEFAULT.datの値が使用されます。

コピーパラメーター定義ファイルは,次の場所に任意の名前で作成します。ファイル名は,64バイト以内の半角英数字で指定してください。

<Protection Managerのインストール先>¥conf¥raid

-scriptユーザースクリプトファイル名

ユーザースクリプトを実行する場合に指定します。ユーザースクリプトファイル名は絶対パスで指定します。ユーザースクリプトファイル名を指定するときの条件は次のとおりです。

ユーザースクリプトファイルに「LOCAL_BACKUP=NO」を指定した場合,コマンド実行時にエラーになります。「LOCAL_BACKUP=YES」を指定してください。ユーザースクリプトファイルの記述内容については,マニュアル「Hitachi Protection Manager Software ユーザーズガイド」の,ユーザースクリプトを作成する方法についての説明を参照してください。

ユーザースクリプトファイルに「LOCATION=REMOTE」を指定した場合は,-sオプションをあわせて指定する必要があります。

-sバックアップサーバ名

リモートのバックアップサーバに接続してバックアップを実行する場合に指定します。バックアップサーバのホスト名またはIPアドレスを,255バイト以内の文字列で指定してください。IPアドレスはIPv4またはIPv6形式で指定できます。

-auto_import

ボリュームのバックアップが完了したあと,バックアップカタログをバックアップサーバに自動転送する場合に指定します。このオプションは,-sオプションと同時に指定する必要があります。

-auto_mountマウントポイントディレクトリ名

ボリュームのバックアップが完了したあと,バックアップサーバで副ボリュームを自動マウントする場合に指定します。このオプションは,-sオプションおよび-auto_importオプションと同時に指定する必要があります。

マウントポイントディレクトリ名は,64バイト以内の文字列で指定してください。

マウントポイントディレクトリ名を省略した場合は,副ボリュームのマウント先が自動的に設定されます。設定規則は,drmmountコマンドでマウントポイントを明示的に指定しなかった場合と同じです。

マウントした副ボリュームは,drmumountコマンドを使用してアンマウントしてください。

-svol_check

バックアップサーバでの副ボリュームの状態をチェックしたい場合に指定します。このオプションは,-sオプションと同時に指定する必要があります。副ボリュームの状態をチェックすることで,バックアップの失敗,またはリストアの失敗を防ぐことができます。チェック内容(項目,対象,条件)は次のとおりです。

表1-12 副ボリュームの状態チェック

チェック項目チェック対象のボリュームチェックの条件
副ボリュームがバックアップサーバから隠ぺいされていることバックアップ対象の主ボリュームに対して定義されたすべての副ボリューム主ボリュームが複数世代の副ボリュームとペア定義されている場合で,かつ,次のどちらかに該当する場合にチェックされる。
  • 主ボリュームがクラスタリソースである。
  • 主ボリュームがダイナミックディスクである。
副ボリュームがバックアップサーバにマウントされていないこと今回,バックアップ先となる副ボリューム常にチェックされる。

注意事項

バックアップカタログの個々のバックアップ情報は,コピーグループをキーに管理されています。バックアップの取り方によっては,副ボリュームにバックアップデータがあっても,リストアできなくなる場合があります。

Protection Managerを実行するための注意事項については,マニュアル「Hitachi Protection Manager Software ユーザーズガイド」を参照してください。

戻り値

0:正常終了した場合

0以外:エラーが発生した場合

エラーの発生条件

次の場合には,この拡張コマンドはエラーとなります。

使用例

オペレーション定義ファイル「operation01」の設定に基づき,システムデータベース(master,model,msdb)を副ボリュームにバックアップする。

EX_DRM_SQL_BACKUP operation01 -system