書式
非RAC構成で,表領域をオンラインバックアップする場合
drmorabackup Oracleインスタンス名 [ -mode online ]
[ -target 表領域名 | -f 一括定義ファイル名 ]
[ -rc [ 世代識別名 ] ]
[ -pf コピーパラメーター定義ファイル ]
[ -comment バックアップコメント]
非RAC構成で,データベース全体をオンラインバックアップする場合
drmorabackup Oracleインスタンス名 [ -mode online ] -all
[-exfile 定義ファイル名]
[ -rc [ 世代識別名 ] ]
[ -pf コピーパラメーター定義ファイル ]
[ -comment バックアップコメント]
非RAC構成で,データベース全体をコールドバックアップする場合
drmorabackup Oracleインスタンス名 -mode cold [-exfile 定義ファイル名]
[ -rc [ 世代識別名 ] ]
[ -pf コピーパラメーター定義ファイル ]
[ -comment バックアップコメント]
RAC構成で,RACインスタンスの共有データをオンラインバックアップする場合
drmorabackup Oracleインスタンス名 -rac [-arc_all] [ -mode online ]
[ -target 表領域名 | -f 一括定義ファイル名 ]
[ -rc [ 世代識別名 ] ]
[ -pf コピーパラメーター定義ファイル ]
[ -comment バックアップコメント]
RAC構成で,RACインスタンスの共有データをオンラインバックアップする場合
drmorabackup Oracleインスタンス名 -rac [-arc_all] [ -mode online ] -all
[ -rc [ 世代識別名 ] ]
[ -pf コピーパラメーター定義ファイル ]
[ -comment バックアップコメント]
RAC構成で,RACインスタンスの共有データをコールドバックアップする場合
drmorabackup Oracleインスタンス名 -rac -mode cold
[ -rc [ 世代識別名 ] ]
[ -pf コピーパラメーター定義ファイル ]
[ -comment バックアップコメント]
RAC構成で,RACインスタンスのローカルデータをオンラインバックアップする場合
drmorabackup Oracleインスタンス名 -local [ -mode online ]
[-exfile 定義ファイル名]
[ -rc [ 世代識別名 ] ]
[ -pf コピーパラメーター定義ファイル ]
[ -comment バックアップコメント]
RAC構成で,RACインスタンスのローカルデータをコールドバックアップする場合
drmorabackup Oracleインスタンス名 -local -mode cold
[-exfile 定義ファイル名]
[ -rc [ 世代識別名 ] ]
[ -pf コピーパラメーター定義ファイル ]
[ -comment バックアップコメント]
説明
指定したOracleインスタンスが記憶されているボリュームを副ボリュームにバックアップします。バックアップの方法は,コールドバックアップとオンラインバックアップの二つが選択できます。
表領域
バックアップ対象となる表領域は,次の表のとおりです。
表2-31 バックアップ対象となる表領域
Oracle表領域 | バックアップ種別 | |||
---|---|---|---|---|
コールド | オンライン | |||
全表領域※1 | 一部表領域※2 | |||
SYSTEM表領域 | ○ | ○ | ○ | |
SYSAUX表領域 | ○ | ○ | ○ | |
UNDO表領域※3 | ○ | ○ | ○ | |
一時表領域 | - | - | × | |
通常の表領域 | 読み書き可 | ○ | ○ | ○ |
読み取り専用※4 | ○ | ○ | ○ |
コールドバックアップ
コールドバックアップでは,drmorabackupコマンドは引数で指定されたOracleインスタンスを停止してからバックアップを実行します。RAC構成では,すべてのRACインスタンスは停止されている必要があります。また,RAC構成では,共有データとすべてのインスタンスのローカルファイルをバックアップする必要があります。
コールドバックアップをリストアすると,データベース全体をリカバリなしで確実に回復できます。最新の状態には,ロールフォワードでリカバリできないため,データベースはバックアップ取得時点に戻ります。データベースの構成を変更したときには,必ずコールドバックアップを実行することを推奨します。
クラスタ環境の場合は,drmclusinitコマンドで登録したリソースグループに属するクラスタリソースをオフラインにし,引数として指定されたOracleインスタンスを停止したあとで,バックアップを実行します。
コールドバックアップの対象となるのは,表領域,および次の表に示すファイルです。
表2-32 コールドバックアップの対象となるファイル
対象ファイル | バックアップ後のファイル名 | バックアップファイル格納先 |
---|---|---|
オンラインREDOログファイル | (バックアップ元のファイル名と同じ) | 副ボリューム |
制御ファイル | 制御ファイル名バックアップID.ora※1 | バックアップ元のファイルが主ボリュームに格納されている場合:副ボリューム バックアップ元のファイルがデータベースサーバ上に格納されている場合:<バックアップファイル格納ディレクトリ>/バックアップID_ORA※2 |
初期化パラメーターファイル | 初期化パラメーターファイル名バックアップID.ora※1 | |
サーバパラメーターファイル | サーバパラメーターファイル名バックアップID.ora※1 | |
ネットワークファイル※3 | ネットワークファイル名バックアップID.ora | <バックアップファイル格納ディレクトリ>/バックアップID_ORA※2 |
パスワードファイル※3 | パスワードファイル名バックアップID.ora |
コールドバックアップを実行する場合,Oracleのシャットダウンが実行されますが,Oracleデータベースに実行中のトランザクションが残っていると,Oracleのシャットダウンが待ち状態になる可能性があります。そのため,シャットダウンを実行したあと,10秒ごとにOracleの状態を3回チェックします。最後のチェックを実行したときにOracleインスタンスがシャットダウンされていない場合は,コマンドをエラー終了します。
オンラインバックアップ
オンラインバックアップでは,drmorabackupコマンドはOracleインスタンスおよびデータベースを停止することなくバックアップを実行します。
このコマンドを実行すると,バックアップ対象がRACインスタンスの場合は,RACインスタンスが起動しているすべてのノードでアーカイブ済みREDOログファイルのアーカイブをします。ただし,バックアップを取得するのはコマンドを実行したノードだけです。
オンラインバックアップしたあと,定期的にログバックアップを取得しておくと,表領域を最新の状態に回復できます。表領域を最新の状態に回復する場合,オンラインバックアップをリストアしたあとにロールフォワードでリカバリします。
データベース全体のオンラインバックアップをリストアすると,すべてのデータファイルとともにバックアップした制御ファイルを元の場所にリストアします。現行の制御ファイルがすべて消失した場合などの障害状態からデータベース全体を回復できます。
オンラインバックアップでは表領域,アーカイブ済みREDOログファイル,制御ファイルがバックアップの対象となります。
また,-allオプションを指定した場合は,表領域のほかに次の表に示すファイルもバックアップの対象となります。
表2-33 オンラインバックアップの対象となるファイル(-allオプション指定時)
対象ファイル | バックアップ後のファイル名 | バックアップファイル格納先 |
---|---|---|
アーカイブ済みREDOログファイル※1 | (バックアップ元のファイル名と同じ) | ログ格納ディレクトリ |
制御ファイル※1 | 制御ファイル名バックアップID.ora | <バックアップファイル格納ディレクトリ>/バックアップID_ORA※2 |
初期化パラメーターファイル | 初期化パラメーターファイル名バックアップID.ora | |
サーバパラメーターファイル | サーバパラメーターファイル名バックアップID.ora | |
ネットワークファイル※3 | ネットワークファイル名バックアップID.ora | |
パスワードファイル※3 | パスワードファイル名バックアップID.ora |
バックアップ方法,バックアップ時に指定したオプション,対象Oracleインスタンス,およびバックアップされるOracleオブジェクトの対応を次の表に示します。
表2-34 バックアップの対象となるOracleオブジェクト
バックアップ方法 | バックアップ時に指定したオプション | 対象Oracle インスタンス | バックアップされる Oracleオブジェクト |
---|---|---|---|
コールド バックアップ | 指定なし | シングル インスタンス※1 | 表領域※2,オンラインREDOログファイル,制御ファイル,初期化パラメーターファイル(PFILE),サーバパラメーターファイル(SPFILE) |
RACインスタンス(ローカルデータ)※3 | オンラインREDOログファイル,UNDO表領域※5,初期化パラメーターファイル(PFILE) | ||
RACインスタンス(共有 データ)※4 | 表領域※2(UNDO表領域を除く※5),制御ファイル,サーバパラメーターファイル(SPFILE) | ||
-exfile | シングル インスタンス※1 | 表領域※2,オンラインREDOログファイル,制御ファイル,初期化パラメーターファイル(PFILE),サーバパラメーターファイル(SPFILE),パスワードファイル,ネットワークファイル | |
RACインスタンス(ローカルデータ)※3 | UNDO表領域※5,オンラインREDOログファイル,初期化パラメーターファイル(PFILE),パスワードファイル,ネットワークファイル | ||
オンライン バックアップ | 指定なし | シングル インスタンス※1 | 表領域※2,アーカイブ済みREDOログファイル,制御ファイル |
RACインスタンス(ローカルデータ)※3 | UNDO表領域※5,初期化パラメーター ファイル(PFILE) | ||
RACインスタンス(共有 データ)※4 | 表領域※2(UNDO表領域を除く※6),アーカイブ済みREDOログファイル,制御ファイル | ||
-all | シングル インスタンス※1 | 表領域※2,アーカイブ済みREDOログファイル,制御ファイル,初期化パラメーターファイル(PFILE),サーバパラメーターファイル(SPFILE) | |
RACインスタンス(共有 データ)※4※5 | 表領域※2(UNDO表領域を除く※5),アーカイブ済みREDOログファイル,制御ファイル,サーバパラメーターファイル(SPFILE) | ||
-exfile | シングル インスタンス※1 | 表領域※2,アーカイブ済みREDOログファイル,制御ファイル,パスワードファイル,ネットワークファイル | |
RACインスタンス(ローカルデータ)※3 | UNDO表領域※5,制御ファイル,パスワードファイル,ネットワークファイル |
このコマンドで取得したログバックアップIDは,drmoralogbackupコマンドを使用して内容を確認したり,ログバックアップを削除したりできます。
ローカルサイトでdrmorabackupコマンドを実行する場合,ペア状態が「SMPL」のときは自動ペア生成を実行しません。この場合,RAID Manager用連携定義ファイル(DEFAULT.dat)のPAIR_CREATEパラメーターにENABLEを設定したときには自動ペア生成を実行します。
インストール後,drmoradisplayに-refreshオプションを指定して実行しないで,ディクショナリマップファイルが作成していない状態でdrmorabackupコマンドを実行した場合,drmorabackupコマンドでディクショナリマップファイルが作成されます。この場合,ディクショナリマップファイルの作成する処理時間の分,バックアップコマンド実行時間が長くなります。
このコマンドを実行する場合に必要な条件や制限事項は次のとおりです。
オンラインバックアップでは,バックアップ中のトランザクションを含むアーカイブ済みREDOログファイルおよび制御ファイルのバックアップを取得します。これらのバックアップファイルには,drmoralogbackupコマンドと同様にログバックアップIDが付けられます。このコマンドを実行して取得したログバックアップIDは,drmoralogbackupコマンドで内容を確認したり削除したりできます。
引数
Oracleインスタンス名
バックアップするデータベースOracleインスタンスを指定します。このオプションには,drmorainitコマンドで登録したインスタンス名を指定します。
-mode online
オンラインバックアップするときに指定します。このオプションを省略しても,オンラインバックアップを指定したことになります。
-target 表領域名
指定したOracleインスタンスに含まれる特定の表領域をバックアップする場合に指定します。このオプションには,Oracleインスタンス名で指定したOracleインスタンス上に存在する表領域を必ず指定してください。別のOracleインスタンス上の表領域を指定した場合,その表領域に対するバックアップは行われません。複数の表領域をバックアップする場合は,表領域名をコンマで区切って指定します。
このオプションで指定した表領域名は,バックアップカタログに登録され,drmoracatコマンドで確認できます。
このオプションおよび-fオプションの両方を省略した場合は,指定したOracleインスタンス内のすべての表領域をバックアップします。
-f 一括定義ファイル名
このオプションは,-targetオプションと同様に,指定したOracleインスタンスに含まれる特定の表領域をバックアップする場合に指定します。-targetオプションと異なり,バックアップする表領域の一覧を記述した定義ファイルをあらかじめ作成しておき,そのファイルの名称を指定することで,バックアップする表領域を一度に指定できます。一括定義ファイル名は,絶対パスで指定します。
このオプションおよび-targetオプションの両方を省略した場合は,指定したOracleインスタンス内のすべての表領域をバックアップします。
-all
このオプションは,表領域以外に次のファイルをバックアップする場合に指定します。
-exfile 定義ファイル名
このオプションは,ネットワークファイルおよびパスワードファイルをバックアップする場合に指定します。ネットワークファイルおよびパスワードファイルを絶対パスで記述した定義ファイルをあらかじめ作成しておき,このファイルを指定することでバックアップ対象にできます。定義ファイル名は絶対パスで指定します。
同じ定義ファイル名を二つ以上指定すると,二つ目以降の指定は無視されます。また,ディレクトリパスが異なるが,ファイル名が同じファイルを二つ以上指定することはできません。
定義ファイルの指定例を次に示します。
# この行はコメントになります |
-mode cold
コールドバックアップするときに指定します。このオプションを省略した場合,オンラインバックアップを指定したことになります。
コールドバックアップ時には,Oracleデータベースを含むボリュームはアンマウントされます。バックアップ対象のボリュームに複数のファイルシステムが存在する場合,コールドバックアップする前に,ファイルシステムを参照しているアプリケーションは停止させておく必要があります。
-rc 世代識別名
バックアップするコピーグループの世代識別名を指定します。drmoradisplayコマンドに-cfオプションを付けて実行し,表示された「GEN-NAME」の値を指定してください。単体ボリュームの場合は,「-」が表示されます。この場合,-rcオプションは指定できません。
リモート側の副ボリュームへバックアップする場合,このオプションを必ず指定してください。このオプションを省略すると,ローカル側の副ボリュームにバックアップされます。
世代識別名を省略した場合は,リモート側の世代番号の中で,最小の値を持つ副ボリュームがバックアップ先となります。この場合,世代番号はremote_n(nは最小の世代番号)となります。
-pfコピーパラメーター定義ファイル
コピーパラメーター定義ファイルに定義したリトライ回数とリトライ間隔を使用する場合に指定します。指定する場合は,パスではなくファイル名だけを指定してください。
このオプションを省略した場合は,RAID Manager用連携定義ファイル(DEFAULT.dat)の値が使用されます。コピーパラメーター定義ファイルに記述がされていないパラメーターについても,DEFAULT.datの値が使用されます。
コピーパラメーター定義ファイルは,次の場所に任意の名前で作成します。ファイル名は,64バイト以内の半角英数字で指定してください。
/opt/drm/conf/raid
-comment バックアップコメント
バックアップカタログにバックアップコメントを登録する場合に指定します。
バックアップコメントには,64バイトまでの任意の文字列(英数字,記号,半角スペースおよびマルチバイト文字)が指定できます。バックアップコメントは大文字と小文字を区別します。記号,半角スペースを指定する場合は,バックアップコメントを引用符(")で囲みます。記号を引用符(")で囲まない場合は,特殊記号と認識しバックアップコメントの文字列として正しく解釈できません。
バックアップコメントに使用できない記号は次のとおりです。
「¥」,「/」,「`」,「|」,「<」,「>」,「"」,「*」,「?」,「&」,「;」,「(」,「)」,「$」
先頭文字には「-」は指定できません。-commentオプションに「""」(引用符だけ)が指定された場合は,バックアップカタログにバックアップコメントは登録しません。
-rac
このオプションを指定した場合は,RACインスタンスの共有データがバックアップされます。非RACインスタンスを指定した場合,コマンドがエラー終了します。RAC構成で,このオプションと-localオプションのどちらも指定されなかった場合,コマンドがエラー終了します。
-arc_all
RAC構成で,アーカイブ済みREDOログファイル保管先が,すべてのノードで同じディレクトリパスに設定されているかチェックをする場合に指定します。また,警告メッセージの出力制御を以下のようにします。
対象が非RACインスタンスの場合,このオプションを指定するとコマンドがエラー終了します。また,引数に-racを同時に指定しないでこのオプションだけを指定した場合もコマンドがエラー終了します。
このオプションを指定しなかった場合,アーカイブ済みREDOログファイル保管先のチェックをしないため,すべてのノードのアーカイブ済みREDOログファイルをバックアップできなくても警告を出力しません。
-local
このオプションを指定した場合は,RACインスタンスのローカルデータがバックアップされます。非RACインスタンスを指定した場合,コマンドがエラー終了します。このオプションを指定した場合に取得するRACインスタンスのローカルデータは次になります。
上記以外のRACインスタンスのローカルデータ(パスワードファイル,ネットワークファイル)については,-exfileオプションを使用して取得します。
RAC構成で,このオプションと-racオプションのどちらも指定されなかった場合,コマンドがエラー終了します。
注意事項
戻り値
0:正常終了した場合
0以外:エラーが発生した場合
使用例
PROMPT> drmorabackup OraData -mode cold
PROMPT> drmorabackup OraData -target TBS01,TBS02
PROMPT> drmorabackup OraData -all