1.8.1 EX_DRM_ORA_BACKUP(Oracleデータベースをバックアップする)

書式

非RAC構成で,表領域をオンラインバックアップする場合

EX_DRM_ORA_BACKUP オペレーションID [ -mode online ]
                 [-rc [世代識別名]]
                 [-pf コピーパラメーター定義ファイル]
                 [-comment バックアップコメント]

非RAC構成で,データベース全体をオンラインバックアップする場合

EX_DRM_ORA_BACKUP オペレーションID [ -mode online ] -all
                 [-exfile 定義ファイル名 ][-rc [世代識別名]]
                 [-pf コピーパラメーター定義ファイル]
                 [-comment バックアップコメント]

非RAC構成で,データベース全体をコールドバックアップする場合

EX_DRM_ORA_BACKUP オペレーションID -mode cold
                 [ -exfile 定義ファイル名 ][-rc [世代識別名]]
                 [-pf コピーパラメーター定義ファイル]
                 [-comment バックアップコメント]

RAC構成で,RACインスタンスの共有データをオンラインバックアップする場合

EX_DRM_ORA_BACKUP オペレーションID -rac [-arc_all] [ -mode online ]
                 [ -rc [ 世代識別名 ] ]
                 [ -pf コピーパラメーター定義ファイル名 ]
                 [ -comment バックアップコメント ]

RAC構成で,RACインスタンスの共有データをオンラインバックアップする場合

EX_DRM_ORA_BACKUP オペレーションID -rac [-arc_all] [ -mode online ] -all
                 [ -rc [ 世代識別名 ] ]
                 [ -pf コピーパラメーター定義ファイル名 ]
                 [ -comment バックアップコメント ]

RAC構成で,RACインスタンスの共有データをコールドバックアップする場合

EX_DRM_ORA_BACKUP オペレーションID -rac –mode cold
                 [ -rc [ 世代識別名 ] ]
                 [ -pf コピーパラメーター定義ファイル名 ]
                 [ -comment バックアップコメント ]

RAC構成で,RACインスタンスのローカルデータをオンラインバックアップする場合

EX_DRM_ORA_BACKUP オペレーションID –local [ -mode online ]
                 [ -exfile バックアップ対象定義ファイル名 ]
                 [ -rc [ 世代識別名 ] ]
                 [ -pf コピーパラメーター定義ファイル名 ]
                 [ -comment バックアップコメント ]

RAC構成で,RACインスタンスのローカルデータをコールドバックアップする場合

EX_DRM_ORA_BACKUP オペレーションID –local -mode cold
                 [ -exfile バックアップ対象定義ファイル名 ]
                 [ -rc [ 世代識別名 ] ]
                 [ -pf コピーパラメーター定義ファイル名 ]
                 [ -comment バックアップコメント ]

説明

drmorabackupコマンドを実行し,オペレーションIDで指定されたインスタンスのOracleデータベースを主ボリュームから副ボリュームにバックアップします。このとき,バックアップIDを生成します。

この拡張コマンドを実行する場合の制限事項は次のとおりです。

前提条件

次の前提条件があります。

引数

オペレーションID

処理の対象となるリソースを表す固有の文字列を指定します。指定したオペレーションIDに対応したオペレーション定義ファイルの情報が,拡張コマンドの実行に使用されます。

-mode cold

コールドバックアップするときに指定します。このオプションを指定すると,オペレーションIDで指定されたインスタンスを停止してから,バックアップを実行します。

このオプションを省略した場合,オンラインバックアップを指定したことになります。

クラスタ環境の場合は,drmclusinitコマンドで登録したリソースグループに属するクラスタリソースをオフラインにし,オペレーションIDで指定されたインスタンスを停止したあとで,バックアップを実行します。コールドバックアップの対象となるのは,表領域,制御ファイル,初期化パラメーターファイル,オンラインREDOログファイルです。

コールドバックアップ時には,Oracleデータベースを含むボリュームはアンマウントされます。バックアップ対象のボリュームに複数のファイルシステムが存在する場合,コールドバックアップする前に,ファイルシステムを参照しているアプリケーションは停止させておく必要があります。

-mode coldオプションを指定した場合,オペレーション定義ファイルの「TARGET_NAME」に表領域名は指定できません。「TARGET_NAME」に表領域名が指定されていた場合,EX_DRM_ORA_BACKUPはエラーになります。

コールドバックアップの対象となるのは,表領域,および次の表に示すファイルです。

表1-19 コールドバックアップの対象となるファイル

対象ファイルバックアップ後のファイル名バックアップファイル格納先
オンラインREDOログファイル(バックアップ元のファイル名と同じ)副ボリューム
制御ファイル制御ファイル名バックアップID.ora※1バックアップ元のファイルが主ボリュームに格納されている場合:副ボリューム
バックアップ元のファイルがデータベースサーバ上に格納されている場合:<バックアップファイル格納ディレクトリ>/バックアップID_ORA※2
初期化パラメーターファイル初期化パラメーターファイル名バックアップID.ora※1
サーバパラメーターファイルサーバパラメーターファイル名バックアップID.ora※1
ネットワークファイル※3ネットワークファイル名バックアップID.ora<バックアップファイル格納ディレクトリ>/バックアップID_ORA※2
パスワードファイル※3パスワードファイル名バックアップID.ora
注※1
バックアップ元のファイルがデータベースサーバ上に格納されている場合のファイル名です。バックアップ元のファイルが主ボリュームに格納されている場合は,バックアップ元と同じファイル名でバックアップされます。
注※2
バックアップファイル格納ディレクトリはdrmorainitコマンドで指定します。
注※3
-exfileオプションを指定した場合だけバックアップ対象になります。

コールドバックアップを実行する場合,Oracleのシャットダウンが実行されますが,Oracleデータベースに実行中のトランザクションが残っていると,Oracleのシャットダウンが待ち状態になる可能性があります。そのため,シャットダウンを実行したあと,10秒ごとにOracleの状態を3回チェックします。最後のチェックを実行したときにOracleインスタンスがシャットダウンされていない場合は,コマンドをエラー終了します。

-mode online

オンラインバックアップするときに指定します。このオプションを省略しても,オンラインバックアップを指定したことになります。

オンラインバックアップでは表領域,アーカイブ済みREDOログファイル,制御ファイルがバックアップの対象となります。

また,-allオプションを指定した場合は,表領域のほかに次の表に示すファイルもバックアップの対象となります。

表1-20 オンラインバックアップの対象となるファイル(-allオプション指定時)

対象ファイルバックアップ後のファイル名バックアップファイル格納先
アーカイブ済みREDOログファイル※1(バックアップ元のファイル名と同じ)<ログ格納ディレクトリ>/Oracleインスタンス名
制御ファイル※1制御ファイル名バックアップID.ora<バックアップファイル格納ディレクトリ>/バックアップID_ORA※2
初期化パラメーターファイル初期化パラメーターファイル名バックアップID.ora
サーバパラメーターファイルサーバパラメーターファイル名バックアップID.ora
ネットワークファイル※3ネットワークファイル名バックアップID.ora
パスワードファイル※3パスワードファイル名バックアップID.ora
注※1
-allオプションを指定しなくてもバックアップの対象となります。
注※2
バックアップファイル格納ディレクトリはdrmorainitコマンドで指定します。
注※3
-exfileオプションを指定した場合だけバックアップ対象になります。

このコマンドで取得したログバックアップIDは,drmoralogbackupコマンドを使用して内容を確認したり,ログバックアップを削除したりできます。

-all

このオプションは,インスタンスおよびデータベースを停止しないで,データベース全体をバックアップする場合に指定します。

次のファイルをバックアップします。

-allオプションを指定した場合,オペレーション定義ファイルの「TARGET_NAME」に表領域名は指定できません。「TARGET_NAME」に表領域名が指定されていた場合,EX_DRM_ORA_BACKUPはエラーになります。

-exfile定義ファイル名

このオプションは,ネットワークファイルおよびパスワードファイルをバックアップする場合に指定します。

同じ定義ファイル名を二つ以上指定すると,二つ目以降の指定は無視されます。また,ディレクトリパスが異なるが,ファイル名が同じファイルを二つ以上指定することはできません。

ネットワークファイルおよびパスワードファイルを絶対パスで記述した定義ファイルをあらかじめ作成しておき,このファイルを指定することでバックアップ対象にできます。定義ファイル名は絶対パスで指定します。定義ファイルの指定例を次に示します。

# この行はコメントになります
/ora/u01/app/oracle/product/11.1.0/network/admin/listener.ora
/ora/u01/app/oracle/product/11.1.0/network/admin/tnsnames.ora
/ora/u01/app/oracle/product/11.1.0/dbs/orapwinstance01
[EOF]

-rc世代識別名

バックアップするコピーグループの世代識別名を指定します。drmoradisplayコマンドに-cfオプションを付けて実行し,表示された「GEN-NAME」の値を指定してください。単体ボリュームの場合は,「-」が表示されます。この場合,-rcオプションは指定できません。

リモート側の副ボリュームへバックアップする場合,このオプションを必ず指定してください。このオプションを省略すると,ローカル側の副ボリュームにバックアップされます。

世代識別名を省略した場合は,リモート側の世代番号の中で,最小の値を持つ副ボリュームがバックアップ先となります。この場合,世代番号はremote_nnは最小の世代番号)となります。

-pfコピーパラメーター定義ファイル

コピーパラメーター定義ファイルに定義したリトライ回数とリトライ間隔を使用する場合に指定します。指定する場合は,パスではなくファイル名だけを指定してください。

このオプションを省略した場合は,RAID Manager用連携定義ファイル(DEFAULT.dat)の値が使用されます。コピーパラメーター定義ファイルに記述されていないパラメーターについても,DEFAULT.datの値が使用されます。

コピーパラメーター定義ファイルは,次の場所に任意の名前で作成します。ファイル名は,64バイト以内の半角英数字で指定してください。

/opt/drm/conf/raid

-commentバックアップコメント

バックアップカタログにバックアップコメントを登録する場合に指定します。

バックアップコメントには,64バイトまでの任意の文字列(英数字,記号,半角スペースおよびマルチバイト文字)が指定できます。バックアップコメントは大文字と小文字を区別します。記号,半角スペースを指定する場合は,バックアップコメントを引用符(")で囲みます。記号を引用符(")で囲まない場合は,特殊記号と認識しバックアップコメントの文字列として正しく解釈できません。

バックアップコメントに使用できない記号は次のとおりです。

「¥」,「/」,「`」,「|」,「<」,「>」,「"」,「*」,「?」,「&」,「;」,「(」,「)」,「$」

先頭文字には「-」は指定できません。-commentに「""」(引用符だけ)が指定された場合は,バックアップカタログにバックアップコメントは登録しません。

-rac

このオプションを指定した場合は,RACインスタンスの共有データがバックアップされます。非RACインスタンスを指定した場合,コマンドがエラー終了します。RAC構成で,このオプションと-localオプションのどちらも指定されなかった場合,コマンドがエラー終了します。

-arc_all

RAC構成で,アーカイブ済みREDOログファイル保管先が,すべてのノードで同じディレクトリパスに設定されているかチェックをする場合に指定します。また,警告メッセージの出力制御を以下のようにします。

対象が非RACインスタンスの場合,このオプションを指定するとコマンドがエラー終了します。また,引数に-racを同時に指定しないでにこのオプションだけを指定した場合もコマンドがエラー終了します。

このオプションを指定しなかった場合,アーカイブ済みREDOログファイル保管先のチェックをしないため,すべてのノードのアーカイブ済みREDOログファイルをバックアップできなくても警告を出力しません。

-local

このオプションを指定した場合は,RACインスタンスのローカルデータがバックアップされます。非RACインスタンスを指定した場合,コマンドがエラー終了します。このオプションを指定した場合に取得するRACインスタンスのローカルデータは次になります。

上記以外のRACインスタンスのローカルデータ(パスワードファイル,ネットワークファイル)については,-exfileオプションを使用して取得します。

RAC構成で,このオプションと-racオプションのどちらも指定されなかった場合,コマンドがエラー終了します。

注意事項

バックアップカタログの個々のバックアップ情報は,コピーグループをキーに管理されています。バックアップの取り方によっては,副ボリュームにバックアップデータがあっても,リストアできなくなる場合があります。詳細については,マニュアル「Hitachi Protection Manager Software ユーザーズガイド」の,Protection Managerを実行するための注意事項を参照してください。

戻り値

0:正常終了した場合

0以外:エラーが発生した場合

エラーの発生条件

次の場合には,この拡張コマンドはエラーとなります。

使用例

オペレーション定義ファイル「operation01」の設定に基づき,Oracleデータベースを副ボリュームにコールドバックアップする。

EX_DRM_ORA_BACKUP operation01 -mode cold