Hitachi Protection Manager Software コマンドリファレンス
drmorarestore バックアップID -resync [ -force ] [ -target 表領域名 | -f 一括定義ファイル名 ] [ -pf コピーパラメーター定義ファイル ]バックアップIDで指定された副ボリュームのバックアップデータを,ディスクの再同期で主ボリュームにリストアします。
RACインスタンスの場合,同じRACインスタンスが稼働するサーバならばリストアを実行することができます。
このコマンドを実行すると,Oracleインスタンスの停止が実行されます。リストア開始時点でOracleインスタンスが起動しており,かつ次の条件をすべて満たした場合は,Oracleインスタンスは停止されません。この場合,リストア対象の表領域をオフラインにして,対象の表領域だけをリストアします。また,リカバリは実行されないため,リストアに成功しても対象の表領域はオフラインのままでコマンドを正常終了します。
- オンラインバックアップで取得したバックアップをリストアする。
- リストア対象に,次の表領域のどれも含まれていない。
- SYSTEM表領域
- 現在使用されているUNDO表領域
- 一時表領域
リストアの対象となるのは,次の表に示すファイルです。
バックアップ方法 バックアップ時に指定したオプション 対象Oracle
インスタンスリストアされる
Oracleオブジェクトコールド
バックアップ指定なし シングル
インスタンス※1表領域※2,オンラインREDOログファイル,制御ファイル,初期化パラメーターファイル(PFILE),サーバパラメーターファイル(SPFILE) RACインスタンス(ローカルデータ)※3 オンラインREDOログファイル,UNDO表領域※4,初期化パラメーターファイル(PFILE) RACインスタンス(共有
データ)※5表領域※2(UNDO表領域を除く※4),制御ファイル,サーバパラメーターファイル(SPFILE) -exfile シングル
インスタンス※1表領域※2,オンラインREDOログファイル,制御ファイル,初期化パラメーターファイル(PFILE),サーバパラメーターファイル(SPFILE),パスワードファイル,ネットワークファイル RACインスタンス(ローカルデータ)※3 UNDO表領域※4,オンラインREDOログファイル,初期化パラメーターファイル(PFILE),パスワードファイル,ネットワークファイル オンライン
バックアップ指定なし シングル
インスタンス※1表領域※2 RACインスタンス(ローカルデータ)※3 UNDO表領域※4,初期化パラメータファイル(PFILE) RACインスタンス(共有
データ)※5表領域※2(UNDO表領域を除く※6),アーカイブ済みREDOログファイル,制御ファイル -all シングル
インスタンス※1表領域※2,制御ファイル,初期化パラメーターファイル(PFILE),サーバパラメーターファイル(SPFILE) RACインスタンス(共有
データ)※4※5表領域※2(UNDO表領域を除く※4),アーカイブ済みREDOログファイル,制御ファイル,サーバパラメータファイル(SPFILE) -exfile シングル
インスタンス※1表領域※2,制御ファイル,パスワードファイル,ネットワークファイル RACインスタンス(ローカルデータ)※3 UNDO表領域※4,制御ファイル,パスワードファイル,ネットワークファイル
- 注※1
- 非RAC構成で引数にOracleインスタンス名を指定したバックアップ対象の場合
- に,Oracleオブジェクトがリストアされます。
- 注※2
- 一時表領域は,リストア対象外です。
- 注※3
- RAC構成で引数にOracleインスタンス名および-localを指定したバックアップ対象の場合に,Oracleオブジェクトがリストアされます。
- 注※4
- 自動UNDO管理モードの場合,リストアの対象となります。
- 注※5
- RAC構成で引数にOracleインスタンス名および-racを指定したバックアップ対象の場合に,Oracleオブジェクトがリストアされます。
インスタンス名を指定してコールドバックアップしたバックアップデータについては,-targetオプションまたは-fオプションを指定したリストアはできません。
次に,インスタンス名を指定してすべての表領域をオンラインバックアップしたバックアップデータをリストアするときのコマンドの動作を説明します。
- リストアされるインスタンスが稼働中の場合,インスタンスは自動的に停止されます。
インスタンスの停止に失敗した場合は,エラーメッセージが表示され,リストア処理はエラーになります。- リストアされるファイルシステムがマウントされていた場合,ファイルシステムは自動的にアンマウントされます。
ファイルシステムのアンマウントに失敗した場合は,エラーメッセージが表示され,リストア処理はエラーになります。- インスタンスが正常に停止され,ファイルシステムが正常にアンマウントされたことを確認したあと,ディスクの再同期で副ボリュームから主ボリュームにバックアップデータがリストアされます。
- ファイルシステムがマウントされます。
次に,クラスタ構成でリストアするときのコマンドの動作を説明します。
- リストアされるインスタンスのOracleリソース,ディスクリソースがオンラインの場合,各リソースはオフラインにされます。
リソースのオフラインに失敗した場合は,エラーメッセージが表示され,リストア処理はエラーになります。
リソースがあらかじめオフラインだった場合,次の手順に進みます。- リソースが正常にオフラインにされたことを確認したあと,ディスクの再同期で,副ボリュームから主ボリュームにバックアップデータがリストアされます。
- ディスクリソースがオンラインにされます。
主ボリューム上のデータは,バックアップ時点での副ボリュームのディスクイメージで上書きされます。したがって,バックアップ後に主ボリューム上に新規に作成したり,更新したりしたデータはすべて無効になります。
このコマンドを実行する場合,オンラインバックアップモードに設定されている表領域が一つでもあるときは,コマンドはエラーになります。また,コマンド実行中にリストア対象の表領域がオンラインバックアップモードに設定されるか,またはオフラインにされた場合でも,コマンドはエラーになります。この場合,表領域をオンラインにして再実行してください。
バックアップID
リストアするバックアップデータのバックアップIDを指定します。バックアップIDとは,バックアップデータを一意に識別するためのIDで,バックアップ時に,バックアップカタログに登録されます。バックアップIDを確認するにはdrmoracatコマンドを実行します。
-resync
主ボリュームと副ボリュームを再同期することでリストアします。主ボリュームの内容は,副ボリュームのバックアップデータと同じになります。
-force
主ボリュームと副ボリュームを強制的に再同期することで,リストアする場合に指定します。このオプションを指定すると,データベースサーバでバックアップを実行したときに取得した主ボリュームのコピーグループ名がデータベースサーバの情報と一致していれば,LDEV番号またはSERIAL番号がバックアップ時の番号と一致していない場合にも強制的に再同期します。このオプションは,ボリュームを入れ替えてLDEV番号が変わった場合など,-resyncオプションを指定しただけでは再同期でリストアできないときにだけ指定してください。通常のリストアでこのオプションを指定した場合,データが破壊されるおそれがあります。
-target 表領域名
指定したインスタンスに含まれる特定の表領域をリストアする場合に指定します。このオプションは,インスタンス名を指定してオンラインバックアップしたバックアップデータにだけ指定できます。指定する表領域は,バックアップIDで指定されるバックアップカタログの中に存在する必要があります。バックアップカタログの中に存在しない表領域を指定した場合,コマンドはエラーになります。複数の表領域を一度にリストアするときは,ファイル名またはディレクトリ名をコンマで区切って指定します。
このオプションおよび-fオプションの両方を省略した場合は,バックアップIDで指定されるインスタンスに含まれるすべてのオブジェクトをリストアします。
リストアするデータベースがコールドバックアップされていた場合,このオプションは指定できません。
-f 一括定義ファイル名
このオプションは,-targetオプションと同様,指定したインスタンスに含まれる特定の表領域をリストアする場合に指定します。-targetオプションと異なり,リストアする表領域の一覧を記述した定義ファイルをあらかじめ作成しておき,その表領域の名称を指定することで,リストアする表領域を一度に指定できます。一括定義ファイル名は絶対パスで指定します。
このオプションおよび-targetオプションの両方を省略した場合は,バックアップIDで指定されるインスタンスに含まれるすべてのオブジェクトをリストアします。
リストアするデータベースがコールドバックアップされていた場合,このオプションは指定できません。
-pf コピーパラメーター定義ファイル
コピーパラメーター定義ファイルに定義したリトライ回数とリトライ間隔を使用する場合に指定します。指定する場合は,パスではなくファイル名だけを指定してください。
このオプションを省略した場合は,RAID Manager用連携定義ファイル(DEFAULT.dat)の値が使用されます。コピーパラメーター定義ファイルに記述されていないパラメーターについても,DEFAULT.datの値が使用されます。
コピーパラメーター定義ファイルは,次の場所に任意の名前で作成します。ファイル名は,64バイト以内の半角英数字で指定してください。
/opt/drm/conf/raid
- リストア対象の論理ボリュームに含まれるすべての表領域を指定してください。指定しない場合はコマンドにエラーが発生します。
- バックアップカタログの個々のバックアップ情報は,コピーグループをキーに管理されています。バックアップの取り方によっては,副ボリュームにバックアップデータがあっても,リストアできなくなる場合があります。詳細については,マニュアル「Hitachi Protection Manager Software ユーザーズガイド」の,Protection Managerを実行するための注意事項についての記述を参照してください。
- オンラインバックアップしたデータをRAWデバイスの主ボリュームにリストアする場合,次に示すファイルはこのコマンドではリストアされないため,コマンドの終了後にユーザー操作でリストアする必要があります。
これらのファイルは,コマンドの実行時に出力されるメッセージを参照して,ddコマンドでリストアします。
- 制御ファイル
- 初期化パラメーターファイルまたはサーバパラメーターファイル
- ユーザー操作でリストアする必要があるファイルを次の表に示します。
表2-43 ユーザー操作によるリストアが必要なファイル(クラスタ環境で主ボリュームにリストアする場合)
リストア対象のファイル バックアップの方式 コールドバックアップ オンラインバックアップ 制御ファイル
初期化パラメーターファイル
サーバパラメーターファイル- ○ ネットワークファイル
パスワードファイル○ ○
- (凡例)
- ○:ユーザー操作によるリストアが必要です。
- -:ユーザー操作によるリストアは不要です。
ユーザー操作によるリストアが必要なファイルは,コマンドの実行時に出力されるメッセージを参照して,次の手順でリストアします。
- クラスタ監視下からディスクを切り離します。
- 切り離したディスクをインポートしてからマウントします。
- データを格納したボリュームがファイルシステムの場合,cpコマンドでリストアします。データを格納したボリュームがRAWデバイスの場合,ddコマンドでリストアします。
- 表領域と一時表領域は同一のコピーグループに配置しないことを推奨します。表領域と一時表領域が同じコピーグループに配置されている場合,バックアップ実行時にはOracleデータベースがシャットダウンされませんが,リストア実行時にはOracleデータベースが必ずシャットダウンされます。
- RACインスタンスについてリストアを行う場合,コマンド実行ノード以外のRACインスタンスは停止している必要があります。
- Protection ManagerではASMディスクグループ上にある制御ファイルおよびサーバパラメーターファイルをリストアしません。これらのファイルのバックアップ方法については,マニュアル「Hitachi Protection Manager Software ユーザーズガイド」の「バックアップ対象となるOracleデータベースの条件と注意事項」を参照してください。
0:正常終了した場合
0以外:エラーが発生した場合
バックアップID「0000000001」で識別されるバックアップデータを,ディスクを再同期することでリストアする。
PROMPT> drmorarestore 0000000001 -resync