C.7 オペレーション定義ファイルの作成(Windowsの場合)

オペレーション定義ファイルは,拡張コマンドを使用するシステムの構成に合わせて作成します。作成したオペレーション定義ファイルは,拡張コマンドを実行する各サーバの次のディレクトリに格納します。

<Protection Managerのインストール先>¥script¥conf¥

この節の構成
C.7.1 オペレーション定義ファイルの配置
C.7.2 オペレーション定義ファイルの形式
C.7.3 オペレーション定義ファイル作成例(バックアップ対象がファイルシステムで,クラスタ構成のとき)
C.7.4 オペレーション定義ファイルの作成例(バックアップ対象がSQL Serverデータベースの場合)
C.7.5 オペレーション定義ファイルの作成例(バックアップ対象がExchangeデータベースの場合)

C.7.1 オペレーション定義ファイルの配置

オペレーション定義ファイルは,処理の対象となるマウントポイント,ファイル,インスタンスまたはストレージグループに対して,同一のファイルを二つ作成します。一つのオペレーション定義ファイルをファイルサーバまたはデータベースサーバに配置し,もう一つをバックアップサーバに配置します。ファイルサーバまたはデータベースサーバがクラスタ構成の場合は,バックアップ対象となるクラスタリソース(マウントポイントまたはファイル)が定義されているすべてのサーバに,同一のオペレーション定義ファイルを配置します。

オペレーション定義ファイルの配置例を次の図に示します。

図C-1 オペレーション定義ファイルの配置例(Windowsのクラスタ構成で,バックアップ対象がファイルシステムの場合)

[図]

この例では,クラスタを構成するファイルサーバA(サーバ名:FSServer_A)およびファイルサーバB(サーバ名:FSServer_B)で,仮想サーバC(サーバ名:VServer_C)が動作しています。

ファイルサーバAおよびファイルサーバB上には三つのマウントポイント「D:」,「M:」および「N:」が存在し,クラスタリソースとして仮想サーバCが定義されています。マウントポイント「M:」および「N:」は,一括して処理の対象とするようにマウントポイントディレクトリ一括定義ファイル「app.txt」で設定されているものとします。

この場合,ファイルサーバAおよびファイルサーバBには,「D:」に関するオペレーション定義ファイルと,「app.txt」に指定されたマウントポイントディレクトリ(M:およびN:)に関するオペレーション定義ファイルを配置します。バックアップサーバ(サーバ名:BKServer)には,「D:」,「M:およびN:」に関するオペレーション定義ファイルを配置します。

図C-2 オペレーション定義ファイルの配置例(バックアップ対象がSQL Serverデータベースの場合)

[図]

この例では,クラスタを構成するデータベースサーバA(サーバ名:DBServer_A)およびデータベースサーバB(サーバ名:DBServer_B)で,仮想サーバC(サーバ名:VServer_C)が動作しています。

データベースサーバAおよびデータベースサーバB上にはSQL Serverインスタンス「INSTANCE_1」が存在し,クラスタリソースとして仮想サーバCが定義されています。

この場合,データベースサーバA,データベースサーバBおよびバックアップサーバ(サーバ名:BKServer)には,「INSTANCE_1」に関するオペレーション定義ファイルを配置します。

図C-3 オペレーション定義ファイルの配置例(バックアップ対象がExchangeデータベースの場合)

[図]

この例では,クラスタを構成するデータベースサーバA(サーバ名:DBServer_A)およびデータベースサーバB(サーバ名:DBServer_B)で,仮想サーバC(サーバ名:VServer_C)が動作しています。

データベースサーバAおよびデータベースサーバB上にはストレージグループ「STORAGE_1」が存在し,クラスタリソースとして仮想サーバCが定義されています。

この場合,データベースサーバA,データベースサーバBおよびバックアップサーバ(サーバ名:BKServer)には,「STORAGE_1」に関するオペレーション定義ファイルを配置します。

C.7.2 オペレーション定義ファイルの形式

オペレーション定義ファイルは,処理の対象を一意に特定するオペレーションIDに対応して,次のような名称で作成します。

<Protection Managerのインストール先>¥script¥conf¥_<オペレーションID>.dat

オペレーション定義ファイルの指定項目と指定する内容およびデータの最大文字数を次の表に示します。これらの項目の指定は省略できません。

表C-3 オペレーション定義ファイルの指定項目と指定する内容およびデータの最大文字数(Windowsの場合)

指定項目指定内容最大文字数
BACKUP_OBJECTバックアップ対象の種別を示す文字列を指定します。
ファイルシステムの場合
FILESYSTEM」と指定します。
SQL Serverデータベースの場合
MSSQL」と指定します。
Exchangeデータベースの場合
MSEXCHANGE」と指定します。
32
DB_SERVER_NAMEファイルサーバ名またはデータベースサーバ名を指定します。
バックアップ対象となるマウントポイント,ファイル,インスタンスまたはストレージグループがクラスタ構成の場合は,クラスタリソースに対応する仮想サーバ名を指定します。この仮想サーバ名は,Protection Managerの構成定義ファイル「init.conf」の「DRM_DB_PATH=<共有ディスク上のディレクトリ>;<仮想サーバ名>」に定義されている必要があります。※1
128
(Exchangeデータベースの場合は63)
INSTANCE_NAME
ファイルシステムの場合
マウントポイントディレクトリ名またはマウントポイントディレクトリ一括定義ファイル名を指定します。
空白を含む場合は「" "」で囲んで記述します。
SQL Serverデータベースの場合
SQL Serverインスタンス名を指定します。空白を含む場合は「" "」で囲んで記述します。
DEFAULTを指定した場合,SQL Serverの既定インスタンス名が選択されます。
Exchangeデータベースの場合
-」を指定します。
128
(Exchangeデータベースの場合は1)
TARGET_NAME
ファイルシステムの場合
バックアップするファイル名またはディレクトリ名を指定します。この指定はバックアップ実行時だけ有効です。リストア実行時のファイル名またはディレクトリ名の指定には使用されません。
コンマで区切って複数指定できます。空白を含む場合は「" "」で囲んで記述します。指定を省略した場合,マウントポイント単位にバックアップが実行されます。
SQL Serverデータベースの場合
バックアップするデータベース名を指定します。
この指定はバックアップ実行時だけ有効です。リストア実行時のデータベース指定には使用されません。
コンマで区切って複数指定できます。空白を含む場合は「" "」で囲んで記述します。指定を省略した場合,インスタンス単位にバックアップが実行されます。
Exchangeデータベースの場合
バックアップするストレージグループ名を指定します。※2
コンマで区切って複数指定できます。空白を含む場合は「" "」で囲んで記述します。値を省略すると,サーバに存在するすべてのストレージグループがバックアップの対象となります。
1,024
(Exchangeデータベースの場合は259)
AP_FILE_DIR(SQL Serverデータベースの場合)※3VDIメタファイル格納ディレクトリを指定します。
この値は,drmsqlinitコマンドで登録したVDIメタファイル格納ディレクトリと一致している必要があります。
128
DB_DATA_FILE_DIR※3ファイルサーバまたはデータベースサーバ上の拡張コマンド用一時ディレクトリを指定します。
このディレクトリは,拡張コマンドが一時ファイルを生成するときに使用します。バックアップサーバを使用しない場合にも,実在するディレクトリを指定してください。
128
BK_DATA_FILE_DIR※3バックアップサーバ上の拡張コマンド用一時ディレクトリを指定します。
バックアップサーバを使用しない場合には,「-」を指定します。
128
SET_DRM_HOSTNAMEファイルサーバまたはデータベースサーバの構成を指定します。クラスタ構成の場合は「1」,クラスタ構成でない場合は「0」を指定します。1
注※1
バックアップ対象がExchangeデータベースの場合,仮想サーバ名は,拡張コマンドEX_DRM_EXG_BACKUP-hostnameオプションでも指定できます。オペレーション定義ファイルの「DB_SERVER_NAME」と-hostnameオプションの両方で仮想サーバ名を指定した場合,-hostnameオプションの指定が優先されます。
注※2
バックアップ対象がExchangeデータベースの場合,この指定は,対象となるExchange Server がExchange 2000 Enterprise Server,Exchange Server 2003 Enterprise EditionまたはExchange Server 2007のときだけ有効です。それ以外のExchange Serverの場合,項目の指定は無効となります。Exchange Server 2003 Enterprise EditionまたはExchange Server 2007の場合,回復用ストレージグループは指定しないでください。
注※3
ディレクトリ名は,絶対パスで指定します。ドライブ以外のディレクトリを指定する場合は,末尾に「¥」を付けないでください。なお,大文字と小文字は区別されません。
バックアップ対象がSQL Serverデータベースの場合,「DB_DATA_FILE_DIR」および「BK_DATA_FILE_DIR」には,「AP_FILE_DIR」と同一の値を指定しないでください。

C.7.3 オペレーション定義ファイル作成例(バックアップ対象がファイルシステムで,クラスタ構成のとき)

ファイルサーバがクラスタ構成のシステムで,オペレーション定義ファイルを作成する例について,図C-1のシステム構成を例として説明します。

前提条件は次のとおりです。

次の表に示すオペレーションIDに対応するオペレーション定義ファイルを作成します。

表C-6 オペレーション定義ファイルを作成するオペレーションID(旧バージョン)(Windowsのクラスタ構成で,バックアップ対象がファイルシステムの場合)

オペレーションID対象ファイルサーバ名対象マウントポイントまたはファイル
Operation_AVServer_CD:の全体
Operation_BVServer_Capp.txt」に指定されたマウントポイントディレクトリ(M:およびN:

オペレーション定義ファイルを作成するには:

  1. 現用サーバ(ファイルサーバA)にオペレーション定義ファイルを作成し,必要な項目を設定します。
    次の二つのファイルを作成します。
    <拡張コマンドのインストール先>¥conf¥_Operation_A.dat
    <拡張コマンドのインストール先>¥conf¥_Operation_B.dat
    「拡張コマンドのインストール先」は,「<Protection Managerのインストール先>¥script」を示します。
    「<拡張コマンドのインストール先>¥conf¥_Operation_A.dat」の記述例を次に示します。

    BACKUP_OBJECT=FILESYSTEM
    DB_SERVER_NAME=VServer_C
    INSTANCE_NAME=D:
    TARGET_NAME=
    DB_DATA_FILE_DIR=G:¥drm_FS_tmp¥Operation_A
    BK_DATA_FILE_DIR=C:¥FTP_ROOT¥Operation_A
    SET_DRM_HOSTNAME=1

    「<拡張コマンドのインストール先>¥conf¥_Operation_B.dat」の記述例を次に示します。

    BACKUP_OBJECT=FILESYSTEM
    DB_SERVER_NAME=VServer_C
    INSTANCE_NAME=app.txt
    TARGET_NAME=
    DB_DATA_FILE_DIR=G:¥drm_FS_tmp¥Operation_B
    BK_DATA_FILE_DIR=C:¥FTP_ROOT¥Operation_B
    SET_DRM_HOSTNAME=0

  2. 現用サーバ(ファイルサーバA)でオペレーション定義ファイルのチェックツール「EX_DRM_FS_DEF_CHECK」を実行します。

    EX_DRM_FS_DEF_CHECK <オペレーションID> -db

    エラーがあった場合はファイルの指定内容を修正し,再度チェックツールを実行します。
  3. 現用サーバ(ファイルサーバA)で作成したオペレーション定義ファイルをバックアップサーバにコピーします。
    次のディレクトリにコピーします。
    <拡張コマンドのインストール先>¥conf¥
  4. バックアップサーバ上でオペレーション定義ファイルのチェックツール「EX_DRM_FS_DEF_CHECK」を実行します。

    EX_DRM_FS_DEF_CHECK <オペレーションID> -bk

    エラーがあった場合は,バックアップサーバの構成をオペレーション定義ファイルの内容に合わせて変更するか,オペレーション定義ファイルの内容をバックアップサーバの構成に合わせて変更するかしてください。バックアップサーバの構成を変更する場合は,チェックツールを再度実行します。オペレーション定義ファイルの内容を変更する場合は,ファイルサーバにも同一のファイルを格納し,チェックツールを再度実行します。
  5. 現用サーバ(ファイルサーバA)で作成したオペレーション定義ファイルを待機サーバ(ファイルサーバB)にコピーします。
    次のディレクトリにコピーします。
    <拡張コマンドのインストール先>¥conf¥

C.7.4 オペレーション定義ファイルの作成例(バックアップ対象がSQL Serverデータベースの場合)

クラスタ構成のシステムを想定して,オペレーション定義ファイルを作成する例について説明します。

この例の前提条件は次のとおりです。

この例では,次の表に示すオペレーションIDに対応するオペレーション定義ファイルを作成します。

表C-9 オペレーション定義ファイルを作成するオペレーションID(旧バージョン)(バックアップ対象がSQL Serverデータベースでクラスタ構成の場合)

オペレーションID対象データベースサーバ対象インスタンスおよびデータベース
Operation_AVServer_CINSTANCE_1の全体

クラスタ構成の場合にオペレーション定義ファイルを作成するには:

  1. 現用サーバ(データベースサーバA)にオペレーション定義ファイルを作成し,必要な項目を設定します。
    次のファイルを作成します。「拡張コマンドのインストール先」は,「<Protection Managerのインストール先>¥script」を示します。
    <拡張コマンドのインストール先>¥conf¥_Operation_A.dat
    「<拡張コマンドのインストール先>¥conf¥_Operation_A.dat」の記述例を次に示します。

    BACKUP_OBJECT=MSSQL
    DB_SERVER_NAME=VServer_C
    INSTANCE_NAME=INSTANCE_1
    TARGET_NAME=
    AP_FILE_DIR=G:¥MSSQL¥VServer_C¥INSTANCE_1¥META
    DB_DATA_FILE_DIR=G:¥tmp¥INSTANCE_1
    BK_DATA_FILE_DIR=C:¥FTP_ROOT¥VServer_C¥INSTANCE_1
    SET_DRM_HOSTNAME=1

  2. 現用サーバ(データベースサーバA)でオペレーション定義ファイルのチェックツール「EX_DRM_SQL_DEF_CHECK」を実行します。

    EX_DRM_SQL_DEF_CHECK -db -f 対象オペレーション定義ファイル

    エラーがあった場合はファイルの指定内容を修正し,チェックツールを再度実行します。
  3. 現用サーバ(データベースサーバA)で作成したオペレーション定義ファイルをバックアップサーバにコピーします。
    次のフォルダにコピーします。
    <拡張コマンドのインストール先>¥conf¥
  4. バックアップサーバでオペレーション定義ファイルのチェックツール「EX_DRM_SQL_DEF_CHECK」を実行します。

    EX_DRM_SQL_DEF_CHECK -bk -f 対象オペレーション定義ファイル

    エラーがあった場合は,バックアップサーバの構成をオペレーション定義ファイルの内容に合わせて変更するか,オペレーション定義ファイルの内容をバックアップサーバの構成に合わせて変更してください。バックアップサーバの構成を変更する場合は,チェックツールを再度実行します。オペレーション定義ファイルの内容を変更した場合は,データベースサーバにも同一のファイルを格納し,チェックツールを再度実行します。
  5. 現用サーバ(データベースサーバA)で作成したオペレーション定義ファイルを待機サーバ(データベースサーバB)にコピーします。
    次のディレクトリにコピーします。
    <拡張コマンドのインストール先>¥conf¥

C.7.5 オペレーション定義ファイルの作成例(バックアップ対象がExchangeデータベースの場合)

クラスタ構成の場合にオペレーション定義ファイルを作成する例について説明します。

この例の前提条件は次のとおりです。

この例では,次の表に示すオペレーションIDに対応するオペレーション定義ファイルを作成します。

表C-12 オペレーション定義ファイルを作成するオペレーションID(旧バージョン)(バックアップ対象がExchangeデータベースでクラスタ構成の場合)

オペレーションID仮想サーバ対象ストレージグループ
Operation_AVServer_CSTORAGE_1

クラスタ構成の場合にオペレーション定義ファイルを作成するには:

  1. 現用サーバ(データベースサーバA)にオペレーション定義ファイルを作成し,必要な項目を設定します。
    次のファイルを作成します。「拡張コマンドのインストール先」は,「<Protection Managerのインストール先>¥script」を示します。
    <拡張コマンドのインストール先>¥conf¥_Operation_A.dat
    「<拡張コマンドのインストール先>¥conf¥_Operation_A.dat」の記述例を次に示します。

    BACKUP_OBJECT=MSEXCHANGE
    DB_SERVER_NAME=VServer_C
    INSTANCE_NAME=-
    TARGET_NAME=
    DB_DATA_FILE_DIR=G:¥temp
    BK_DATA_FILE_DIR=C:¥FTP_ROOT¥VServer_C¥-
    SET_DRM_HOSTNAME=1

  2. 現用サーバ(データベースサーバA)でオペレーション定義ファイルのチェックツール「EX_DRM_EXG_DEF_CHECK」を実行します。

    EX_DRM_EXG_DEF_CHECK -db -f 対象オペレーション定義ファイル

    エラーがあった場合はファイルの指定内容を修正し,チェックツールを再度実行します。
  3. 現用サーバ(データベースサーバA)で作成したオペレーション定義ファイルをバックアップサーバにコピーします。
    次のフォルダにコピーします。
    <拡張コマンドのインストール先>¥conf¥
  4. バックアップサーバでオペレーション定義ファイルのチェックツール「EX_DRM_EXG_DEF_CHECK」を実行します。

    EX_DRM_EXG_DEF_CHECK -bk -f 対象オペレーション定義ファイル

    エラーがあった場合は,バックアップサーバの構成をオペレーション定義ファイルの内容に合わせて変更するか,オペレーション定義ファイルの内容をバックアップサーバの構成に合わせて変更してください。バックアップサーバの構成を変更する場合は,チェックツールを再度実行します。オペレーション定義ファイルの内容を変更する場合は,データベースサーバにも同一のファイルを格納し,チェックツールを再度実行します。
  5. 現用サーバ(データベースサーバA)で作成したオペレーション定義ファイルを待機サーバ(データベースサーバB)にコピーします。
    次のディレクトリにコピーします。
    <拡張コマンドのインストール先>¥conf¥