オペレーション定義ファイルは,拡張コマンドを使用するシステムの構成に合わせて作成します。作成したオペレーション定義ファイルは,拡張コマンドを実行する各サーバの次のディレクトリに格納します。
オペレーション定義ファイルを所定のディレクトリに格納したあとは,オペレーション定義ファイルチェックツールを実行して,オペレーション定義ファイルの内容のチェックと,拡張コマンド用一時ディレクトリの自動生成をします。
(1) オペレーション定義ファイルの配置
オペレーション定義ファイルは,処理の対象となるマウントポイントまたはファイルに対して,同一のファイルを二つ作成します。一つのオペレーション定義ファイルをファイルサーバに配置し,もう一つをバックアップサーバに配置します。ファイルサーバがクラスタ構成の場合は,バックアップ対象となるクラスタリソース(マウントポイントまたはファイル)が定義されているすべてのサーバに,同一のオペレーション定義ファイルを配置します。
オペレーション定義ファイルの配置例を次の図に示します。
図4-11 オペレーション定義ファイルの配置例(Windowsのクラスタ構成で,バックアップ対象がファイルシステムの場合)
この例では,クラスタを構成するファイルサーバA(サーバ名:FSServer_A)およびファイルサーバB(サーバ名:FSServer_B)で,仮想サーバC(サーバ名:VServer_C)が動作しています。
ファイルサーバAおよびファイルサーバB上には三つのマウントポイント「D:」,「M:」および「N:」が存在し,クラスタリソースとして仮想サーバCが定義されています。マウントポイント「M:」および「N:」は,一括して処理の対象とするようにマウントポイントディレクトリ一括定義ファイル「app.txt」で設定されているものとします。
この場合,ファイルサーバAおよびファイルサーバBには,「D:」に関するオペレーション定義ファイルと,「app.txt」に指定されたマウントポイントディレクトリ(M:およびN:)に関するオペレーション定義ファイルを配置します。バックアップサーバ(サーバ名:BKServer)には,「D:」,「M:およびN:」に関するオペレーション定義ファイルを配置します。
図4-12 オペレーション定義ファイルの配置例(Solarisで,バックアップ対象がファイルシステムの場合)
ファイルサーバA(サーバ名:FSServer_A)上には三つのマウントポイント「/mnt1」,「/mnta」および「/mntb」が存在します。マウントポイント「/mnta」および「/mntb」は,一括して処理の対象とするようにマウントポイントディレクトリ一括定義ファイル「app.txt」で設定されているものとします。
この場合,ファイルサーバAには,「/mnt1」に関するオペレーション定義ファイルと,「app.txt」に指定されたマウントポイントディレクトリ(/mntaおよび/mntb)に関するオペレーション定義ファイルを配置します。バックアップサーバ(サーバ名:BKServer)には,「/mnt1」,「/mntaおよび/mntb」に関するオペレーション定義ファイルを配置します。
(2) オペレーション定義ファイルの形式
オペレーション定義ファイルは,処理の対象を一意に特定するオペレーションIDに対応して,次のような名称で作成します。
オペレーション定義ファイルのサンプルは,次の場所にあります。
オペレーション定義ファイルの指定項目と指定する内容およびデータの最大文字数を次の表に示します。これらの項目の指定は省略できません。
表4-48 オペレーション定義ファイルの指定項目と指定する内容およびデータの最大文字数(バックアップ対象がファイルシステムの場合)
指定項目 | 指定内容 | 最大文字数 |
---|---|---|
BACKUP_OBJECT | バックアップ対象の種別を示す文字列を指定します。 「FILESYSTEM」と指定します。 | 32 |
DB_SERVER_NAME | ファイルサーバ名を指定します。 OSがWindowsの場合で,クラスタ構成のときは,クラスタリソースに対応する仮想サーバ名を指定します。この仮想サーバ名は,Protection Managerの構成定義ファイル(init.conf)の「DRM_DB_PATH=<共有ディスク上のディレクトリ>;<仮想サーバ名>」に定義されている必要があります。 | 128 |
INSTANCE_NAME | マウントポイントディレクトリ名またはマウントポイントディレクトリ一括定義ファイル名を指定します。 空白を含む場合は引用符(")で囲んで記述します。 | 128 |
TARGET_NAME | バックアップするファイル名またはディレクトリ名を指定します。この指定はバックアップ実行時だけ有効です。リストア実行時のファイル名またはディレクトリ名の指定には使用されません。 コンマで区切って複数指定できます。空白を含む場合は引用符(")で囲んで記述します。指定を省略した場合,マウントポイント単位にバックアップが実行されます。 | 1,024※1 |
FTP_HOME_DIR | この値はOSがWindowsの場合に指定します。FTPサービスのルートディレクトリを指定します。この値はバックアップサーバのIISで指定したFTPサービスのホームディレクトリ名と一致している必要があります。 この値を省略することはできません。 | 128 |
FTP_SUB_DIR | この値はOSがWindowsの場合に指定します。FTPサービスのルートディレクトリの下に作成されるサブディレクトリ名を指定します。※2 ここで指定したサブディレクトリの下に一時ディレクトリが作成されます。拡張コマンドは,この一時ディレクトリにファイルをFTP転送します。この値を省略した場合「HPtM」というサブディレクトリが自動生成されます。 | 128 |
SET_DRM_HOSTNAME |
| 1 |
(3) オペレーション定義ファイルの作成例(Windowsのクラスタ構成の場合)
ファイルサーバがクラスタ構成のシステムで,オペレーション定義ファイルを作成する例について,図4-11 オペレーション定義ファイルの配置例(Windowsのクラスタ構成で,バックアップ対象がファイルシステムの場合)のシステム構成を例として説明します。
前提条件は次のとおりです。
表4-49 クラスタリソースの例(Windowsのクラスタ構成で,バックアップ対象がファイルシステムの場合)
クラスタグループ名 | 仮想サーバ | マウントポイント |
---|---|---|
FSCG_1 | VServer_C | D: |
FSCG_1 | VServer_C | M:,N: |
次の表に示すオペレーションIDに対応するオペレーション定義ファイルを作成します。
表4-50 オペレーション定義ファイルを作成するオペレーションID(Windowsのクラスタ構成で,バックアップ対象がファイルシステムの場合)
オペレーションID | 対象ファイルサーバ名 | 対象マウントポイントまたはファイル |
---|---|---|
Operation_A | VServer_C | D:の全体 |
Operation_B | VServer_C | 「app.txt」に指定されたマウントポイントディレクトリ(M:およびN:) |
オペレーション定義ファイルを作成するには:
BACKUP_OBJECT=FILESYSTEM |
BACKUP_OBJECT=FILESYSTEM |
EX_DRM_FS_DEF_CHECK <オペレーションID> -db
オペレーション定義ファイルのチェックが実行されます。また,拡張コマンド用一時ディレクトリが自動生成されます。EX_DRM_FS_DEF_CHECK <オペレーションID> -bk
オペレーション定義ファイルのチェックが実行されます。また,拡張コマンド用一時ディレクトリが自動生成されます。EX_DRM_FS_DEF_CHECK <オペレーションID> -db
オペレーション定義ファイルのチェックが実行されます。また,拡張コマンド用一時ディレクトリが自動生成されます。(4) オペレーション定義ファイルの作成例(Solarisの場合)
テープバックアップする場合に,オペレーション定義ファイルを作成する手順について,図4-12のシステム構成を例として説明します。
前提条件は次のとおりです。
次の表に示すオペレーションIDに対応するオペレーション定義ファイルを作成します。
表4-51 オペレーション定義ファイルを作成するオペレーションID(Solarisのファイルシステムの場合)
オペレーションID | 対象ファイルサーバ | 対象マウントポイントまたはファイル |
---|---|---|
Operation_A | ファイルサーバA | /mnt1の全体 |
Operation_B | ファイルサーバA | 「app.txt」に指定されたマウントポイントディレクトリ(/mntaおよび/mntb) |
オペレーション定義ファイルを作成するには:
BACKUP_OBJECT=FILESYSTEM |
BACKUP_OBJECT=FILESYSTEM |
EX_DRM_FS_DEF_CHECK <オペレーションID> -db
オペレーション定義ファイルのチェックが実行されます。また,拡張コマンド用一時ディレクトリが自動生成されます。EX_DRM_FS_DEF_CHECK <オペレーションID> -bk
オペレーション定義ファイルのチェックが実行されます。また,拡張コマンド用一時ディレクトリが自動生成されます。