2.15 RAID Managerを使用してペアボリュームを構成する場合の必要条件
Protection Managerでは,RAID Managerで定義されたペアボリュームを利用して,ファイルシステムやデータベースオブジェクトのバックアップおよびリストアを実行します。RAID Managerを使用してペアボリュームを構成する場合,次に示す必要条件があります。
- 同じサーバから主ボリューム,副ボリュームの両方を,物理ディスクとして管理する構成にはできません。
図2-25 同じサーバから主ボリューム,副ボリュームを管理する構成(Protection Manager適用外)
![[図]](graphics/jc021020.gif)
- コピーグループは,一つのアプリケーションのペアボリュームだけで構成するようにしてください。複数のペアボリュームでコピーグループを構成する場合,コピーグループに複数の異なるアプリケーションのペアボリュームが混在していると,予期しないバックアップやリストアが実行されることがあります。
- ShadowImageの場合は,ストレージサブシステム内でペアボリュームを構成してください。TrueCopyの場合は,ストレージサブシステム間でペアボリュームを構成してください。
- OSがWindows 2000 Serverの場合,バックアップデータ(副ボリューム)を複数世代持つときにバックアップサーバを再起動すると,すべてのボリュームがマウントされることがあります。Protection Managerのコマンドを実行する前に,バックアップやリストアに使用しないボリュームをOSのディスク管理機能を使ってアンマウントしておいてください。
- Protection Managerで処理の対象となるのは,ShadowImage,QuickShadow,TrueCopyまたはUniversal Replicatorのペアボリュームです。
- Protection Managerでは,Cross-system Copy,Hitachi HiCopy,Hitachi CruiseControl,およびVolume Migrationを利用したペアボリュームをバックアップやリストアの処理対象にできません。
- RAID Managerのバージョン,ストレージサブシステムのモデルおよびマイクロコードのバージョンによっては,ペアボリューム(コピーグループ)のコピー種別を取得する機能がサポートされていないため,Protection Managerがそのペアボリュームをサポート対象であるかどうかを認識できない場合があります。したがって,Protection Managerのサポート対象外であるCross-system CopyまたはHitachi HiCopyのペアボリュームと,ShadowImage,QuickShadowのペアボリュームが混在したシステムを構築した場合は,Cross-system CopyまたはHitachi HiCopyのペアボリュームをdrmcgctlコマンドでロックして,バックアップやリストアの処理対象から除外してください。
- TrueCopyの場合は,RAID Manager構成定義ファイル(horcm<n>.conf)のMU#を記入しないで定義してください。MU#に「0」を定義すると,drmXXdisplay※コマンドに-refreshオプションを指定して実行したときにTrueCopyのペアボリューム情報がディクショナリマップに格納できません。このため,Protection Managerのコマンドで表示されず,バックアップ対象にすることができません。
- 注※
- drmXXdisplayは,drmfsdisplayコマンド,drmsqldisplayコマンド,drmexgdisplayコマンドまたはdrmoradisplayコマンドを意味します。
- Universal Replicatorの場合はRAID Manager構成定義ファイル(horcm<n>.conf)のMU#を「h0」(h+世代番号)と定義してください。MU#に「0」を定義すると,drmXXdisplayコマンドに-refreshオプションを指定して実行したときにUniversal Replicatorのペアボリューム情報がディクショナリマップに格納できません。このため,Protection Managerのコマンドで表示されず,バックアップ対象にすることができません。
- TrueCopyまたはUniversal Replicatorの場合は,副ボリュームを管理するRAID Managerインスタンス(バックアップサーバでコマンドを実行する場合は,主ボリュームを管理するRAID Managerインスタンス)をあらかじめ起動しておいてください。
- Protection Managerと連携するRAID ManagerインスタンスのRAID Manager構成定義ファイル(horcm<n>.conf)は,次の条件を満たしている必要があります。
- Windowsの場合はWindowsディレクトリ(%windir%)に,Solarisの場合は/etcディレクトリにRAID Manager構成定義ファイル(horcm<n>.conf)が配置されていること。
環境変数HORCM_CONFでRAID Manager構成定義ファイル(horcm<n>.conf)を配置する場所を変更することはできません。
- RAID Manager構成定義ファイル(horcm<n>.conf)のインスタンス番号(n)には数字だけが使用されていること。また,有効な数字の前に余分な0が埋め込まれていないこと。
有効なファイル名の例:horcm1.conf,horcm120.conf
無効なファイル名の例:horcm001.conf,horcmA20.conf
- TrueCopyまたはUniversal Replicatorの場合は,あらかじめペア生成をしてから,Protection Managerのコマンドを実行してください。あらかじめペア生成をしていないと,バックアップ対象とすることができません。
- データベースサーバでバックアップやリストアする場合は,あらかじめ副ボリュームをアンマウントしてから実行してください。副ボリュームをアンマウントしてないと,予期しないバックアップやリストアが実行されることがあります。
- ShadowImageとTrueCopyのペアボリュームを混在させる場合は,次のシステム構成で運用できます。
図2-26 システム構成(ShadowImageの主ボリュームとTrueCopyの主ボリュームが同じLDEVの場合)
![[図]](graphics/jc021030.gif)
図2-26の構成でProtection ManagerがShadowImageのペアボリュームをリストアする場合,TrueCopyのペアボリュームの状態はSMPLまたはPSUS(SSUS)にしてください。TrueCopyのペアボリュームの状態がPAIRのままでShadowImageのペアボリュームをリストアすると,コピーグループの状態が不正であることを表すエラーメッセージが出力され,リストアが失敗します。
図2-27 システム構成(ShadowImageの副ボリュームとTrueCopyの主ボリュームが同じLDEVの場合)
![[図]](graphics/jc021040.gif)
図2-27の構成でProtection ManagerがShadowImageのペアボリュームをバックアップまたはリストアする場合,TrueCopyのペアボリュームの状態はSMPLまたはPSUS(SSUS)にしてください。TrueCopyのペアボリュームの状態がPAIRのままでShadowImageのペアボリュームをバックアップまたはリストアすると,コピーグループの状態が不正であることを表すエラーメッセージが出力され,バックアップまたはリストアが失敗します。
図2-28 システム構成(ShadowImageのカスケード構成で,バックアップ対象のボリュームが主ボリュームと副ボリュームを兼ねている場合)
![[図]](graphics/jc021041.gif)
ShadowImageのカスケード構成では,Protection Managerは,データベースやファイルシステムで利用する主ボリュームのペアボリュームに対するバックアップ・リストア運用だけをサポートしています。
図2-28のようなShadowImageのカスケード構成の場合,バックアップ対象のボリュームが主ボリュームと副ボリュームを兼ねるときには,副ボリューム側のペアボリューム状態はSMPLおよびSSUSにしてください。同様に,リストアの場合は,SMPLにしてください。
- Protection Mangerのバックアップ対象ペアボリュームに対して,コンシステンシーグループを定義する場合,Protection Mangerによるバックアップおよびリストアの実施単位を考慮したグルーピングで設定する必要があります。次の注意事項に従ってコンシステンシーグループを定義してから,バックアップ,リストアの運用を開始してください。
- データベースをリストアする運用を考慮して,コンシステンシーグループを定義します。同時にバックアップしたデータベースの一部をリストアする運用を行う場合には,特に注意して定義してください。
- SQL Serverデータベースの場合
各データベースを別々にリストアする運用の場合:
データベースごとに一つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義してください。
2個以上のデータベースを一括してリストアする運用の場合:
常に一括してリストアする2個以上のデータベースを一つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義できます。
- Exchangeデータベースの場合
各インフォメーションストアを別々にリストアする運用の場合:
インフォメーションストアのデータファイルごとに一つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義してください。
また,各ストレージグループのトランザクションログファイルおよびチェックポイントファイルを一つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義してください。
2個以上のインフォメーションストアを一括してリストアする運用の場合:
常に一括してリストアする2個以上のインフォメーションストアのデータファイルを一つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義できます。
各ストレージグループのトランザクションログファイルおよびチェックポイントファイルを一つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義してください。
各ストレージグループを別々にリストアする運用の場合:
ストレージグループのファイルの種類※ごとに一つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義してください。
ただし,リストア,リカバリ時にロールフォワードを実行しない運用の場合は,各ストレージグループですべてのファイルを一つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義できます。
2個以上のストレージグループを一括してリストアする運用の場合:
VSSを使用しないとき:
常に一括してリストアする2個以上のストレージグループのファイルの種類※ごとに一つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義できます。
ただし,リストア,リカバリ時にロールフォワードを実行しない運用の場合は,常に一括してリストアする2個以上のストレージグループのすべてのファイルを一つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義できます。
VSSを使用するとき:
ストレージグループのファイルの種類※ごとに一つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義してください。
ただし,リストア,リカバリ時にロールフォワードを実行しない運用の場合は,各ストレージグループですべてのファイルを一つのコンシステンシーグループとなるようにコンシステンシーグループを定義できます。
注※
データファイル:(*.edb,*.stm)
トランザクションログファイルおよびチェックポイントファイル:(*.log,*.chk)
- Oracleデータベースの場合
表領域単位でバックアップまたはリストアする運用の場合:
表単位に一つのコンシステンシーグループとなるグループを定義してください。
表領域を一括してバックアップまたはリストアを実施する運用の場合:
一括してバックアップまたはリストアする表領域を一つのコンシステンシーグループとすることができます。
- 一つのコンシステンシーグループを一つのRAID Manager構成定義ファイルのグループ(dev_group)として定義し,コピーグループが過不足なく一致するようにします。
データベース,ボリューム,コンシステンシーグループ,RAID Managerグループの関係を次の図に示します。
図2-29 TrueCopy-Async / Universal Replicator構成で,UserDB1とUserDB2を同時または別々にリストアする運用の場合
![[図]](graphics/jc021070.gif)
図2-30 TrueCopy-Async / Universal Replicator構成で,UserDB1とUserDB2を同時にリストアする運用の場合
![[図]](graphics/jc021080.gif)
- ボリューム構成を変更した場合の注意事項については「2.16.3 ボリューム構成を変更した場合の注意事項」を参照してください。
- ストレージサブシテム上でペアボリュームが作成されていても,ホスト上でRAID Managerの構成定義がないペアボリュームは利用できません。