1.1 Protection Managerの特長

Protection Managerは,バックアップやリストアなどのデータ保全に関する運用手順を簡素化するソフトウェアです。Protection Managerを導入することで,業務への影響を最低限に抑えながら,大切なデータを確実に保護できます。複雑な手続きと専門知識を必要とするデータ管理業務を,簡単な操作で行えるため,システム管理者の負担やデータ管理に掛かるコストを削減できます。

現在,企業の情報システムでは,業務を止めることなく大切なデータを安全に保護すること,万が一障害が発生しても短時間で業務を再開できることが必須条件とされています。日立ディスクアレイサブシステムでは,こうしたニーズにこたえるため,ホストを経由しないでストレージサブシステム内で論理ボリュームのレプリカを短時間で作成するためのボリューム複製機能(ShadowImage,HOMRCFなど)およびRAID ManagerによるRAID管理機能を提供しています。バックアップを管理するシステム管理者は,この機能を利用することで,業務に使用しているボリューム(主ボリューム)はオンラインのままで,レプリカ(副ボリューム)の内容をテープ装置にバックアップすることができます。

しかし,ボリューム複製機能を利用してデータベースをオンラインバックアップする場合,実際の運用の観点からは次に示す課題があります。

広範な専門知識が必要
日立ディスクアレイサブシステムのボリューム複製機能を利用するためには,データベース,ファイルシステム,論理ボリュームマネージャー,RAID装置の広範な専門知識が必要となります。
複雑な操作が必要
データベースオブジェクトをバックアップするには,複雑な操作を幾つも実行する必要があり,誤操作によって人為的なミスが発生するおそれがあります。また,バックアップ操作は,データベースのアプリケーションやファイルシステムの種類によって異なるため,すべてを習得するのは大きな負担になります。

Protection Managerは,こうした問題点を解決して,日立ディスクアレイサブシステムの機能を最大限に活用した,高速で信頼性の高いバックアップ運用の実現を支援します。

Protection Managerでは,バックアップ対象のオブジェクトからRAID装置内の論理ユニットまでのさまざまな関連情報や,主ボリュームと副ボリュームの関連情報,バックアップの履歴情報を内部的に管理します。これをディクショナリマップファイルと呼びます。Protection Managerでは,ディクショナリマップファイルに格納された情報を参照しながら,自動的にデータベースやRAID装置を制御するため,システム管理者の負担を大幅に軽減でき,ストレージシステム全体のTCOを削減できます。

Protection Managerの機能の概要を次の図に示します。

図1-1 Protection Managerの機能の概要

[図]

Protection Managerがほかのソフトウェアに対して実行する制御について説明します。図中の番号に対応しています。

  1. ストレージサブシステムにあるファイルシステムまたはデータベースを静止化して,確実なバックアップを実現します。
  2. RAID Managerを制御して,ストレージサブシステムのボリューム複製機能を使ったボリュームのバックアップ,リストアを実行します。
  3. バックアップ管理製品と連携して,テープへのバックアップ,リストアを制御します。
補足説明
Protection Managerは,内部的にRAID Managerおよびバックアップ管理製品のCLI機能を使用しています。したがって,Protection Managerの利用を始める前に,これらの製品が使用できるようにあらかじめセットアップしておく必要があります。