4.4.2 ペア状態を確認するためのリトライ回数とリトライ間隔の設定

Protection Managerでは,バックアップやリストアが完了したかどうかを,ボリュームのペア状態で確認します。ペア状態を確認する頻度および時間を設定したい場合は,これらのパラメーターを変更してください。

なお,バックアップ,リストアまたは再同期時に使用するペア状態確認のリトライ回数とリトライ間隔を個別に指定したい場合,コピーパラメーター定義ファイルに指定することができます。コピーパラメーター定義ファイルについては「4.4.4 運用によってリトライ回数とリトライ間隔を変更する場合の設定」を参照してください。

バックアップシステムとして機器構成を設計した際の,ペア操作に掛かる見積もり時間の1.5倍の時間を目安として設定してください。デフォルトでは,5秒ごとに120回,ペア状態の確認を繰り返します。つまり,10分以内(5秒×120回=600秒)にバックアップやリストアが完了することを想定しています。ボリュームが常時更新されているときなど,10分以内にバックアップやリストアが完了しない場合は,バックアップコマンドやリストアコマンドがタイムアウトを起こし,エラー終了します。コマンドがタイムアウトによってエラー終了することを防ぐためには,デフォルト値を変更する必要があります。

表4-17 RAID Manager用連携定義ファイル(DEFAULT.dat)のパラメーター(ペア状態確認のリトライ回数とリトライ間隔)

パラメーター説明設定できる値
(デフォルト値)
RETRY_TIMEペア状態を確認するためのリトライ回数の最大値を設定します。0を設定した場合,ペア状態が確認できるまでリトライします。0~3600
(120)
RETRY_WAITペア状態を確認するためのリトライ間隔の秒数を設定します。0~3600
(5)

RETRY_WAITの値を小さくすると,CPUに対する負荷が上がります。RETRY_WAITの値を変更する場合は,使用するストレージサブシステム,バックアップやリストア対象のディスク数,ディスクサイズ,主ボリュームと副ボリュームの差分量などを考慮する必要があります。次に示す表を参考にして,適切な値を設定してください。

表4-18 ストレージサブシステムごとのRETRY_WAITに設定する値

使用するストレージサブシステム説明推奨値
(単位:秒)
SANRISE 1000シリーズ
SANRISE 9500Vシリーズ
Hitachi AMSシリーズ
Hitachi WMSシリーズ
Hitachi AMS2000シリーズ
Hitachi TMS1000
Hitachi SMSシリーズ
ペア状態の遷移には,最低1分程度の待ちが必要です。60
SANRISE 2000シリーズ
SANRISE 9900Vシリーズ
Hシリーズ
Hitachi USP
Universal Storage Platform V
Universal Storage Platform VM
ペア状態の遷移には,最低1秒程度の待ちが必要です。1

処理の目的に応じて,ペア状態確認のリトライ回数とリトライ間隔を設定することもできます。目的別にリトライ回数とリトライ間隔を設定するには,RAID Manager用連携定義ファイル(DEFAULT.dat)にパラメーターを追加します。目的別のパラメーターが指定されない場合は,RETRY_TIMEおよびRETRY_WAITの値が有効となります。追加できるパラメーターを次の表に示します。

表4-19 RAID Manager用連携定義ファイル(DEFAULT.dat)のパラメーター(目的別のペア状態確認のリトライ回数とリトライ間隔)

パラメーター説明設定できる値
(デフォルト値)
RESYNC_RETRY_TIMEペア再同期完了を確認するためのリトライ回数の最大値を設定します。
バックアップ処理,再同期処理でのpaircreate※1pairresync完了のペア状態を確認する場合に設定します。
0を設定した場合,ペア状態が確認できるまでリトライします。
このパラメーターを追加する場合,「RESYNC_RETRY_TIMEの設定値×RESYNC_RETRY_WAITの設定値」が,ペア生成を完了するまでの時間よりも十分に大きな値になるようにしてください。
0~3600
RETRY_TIMEの値)
RESYNC_RETRY_WAITペア再同期完了を確認するためのリトライ間隔の秒数を設定します(単位:10ミリ秒)。
バックアップ処理,再同期処理でのpaircreate※1pairresyncのペア状態を確認する場合に設定します。
このパラメーターを追加する場合は,バックアップ処理,再同期処理の対象となるディスク数,ディスクサイズ,処理実行時の主ボリュームと副ボリュームの差分量を考慮する必要があります※2
また,一般的にスプリット処理より再同期処理の方が,所要時間が掛かるので,
RESYNC_RETRY_WAIT > SPLIT_RETRY_WAIT
となるように設定してください。
0~360000
RETRY_WAITの値)
SPLIT_RETRY_TIMEペア分割完了を確認するためのリトライ回数の最大値を設定します。
バックアップ処理,リストア処理でのpairsplitのペア状態を確認する場合に設定します。
0を設定した場合,ペア状態が確認できるまでリトライします。
このパラメーターを追加する場合,「SPLIT_RETRY_TIMEの設定値×SPLIT_RETRY_WAITの設定値」が,ペア分割を完了するまでの時間よりも十分に大きな値になるようにしてください。
0~3600
RETRY_TIMEの値)
SPLIT_RETRY_WAITペア分割のペア状態を確認するためのリトライ間隔の秒数を設定します(単位:10ミリ秒)。
バックアップ処理,リストア処理でのpairsplitのペア状態を確認する場合に設定します。
このパラメーターを追加する場合は,バックアップ処理やリストア処理の対象となるディスク数,ディスクサイズ,オンラインバックアップ処理実行時の書き込み入出力による差分量を考慮する必要があります※2
また,一般的にスプリット処理より再同期処理の方が,所要時間が掛かるので,
RESYNC_RETRY_WAIT > SPLIT_RETRY_WAIT
となるように設定してください。
0~360000
RETRY_WAITの値)
RESTORE_RETRY_TIMEリストア処理での再同期完了を確認するためのリトライ回数の最大値を設定します。
0を設定した場合,ペア状態が確認できるまでリトライします。
このパラメーターを追加する場合,「RESTORE_RETRY_TIMEの設定値×RESTORE_RETRY_WAITの設定値」が,再同期が完了するまでの時間よりも十分に大きな値になるようにしてください。
0~3600
RETRY_TIMEの値)
RESTORE_RETRY_WAITリストア処理での再同期完了を確認するためのリトライ間隔の秒数を設定します(単位:10ミリ秒)。
このパラメーターを追加する場合は,リストア処理の対象となるディスク数,ディスクサイズ,処理実行時の主ボリュームと副ボリュームの差分量を考慮する必要があります※2
0~360000
RETRY_WAITの値)
RESTORE_DELAY_RETRY_TIMEバックアップを実行した直後に,バックアップ対象となった主ボリュームとは別の世代からのリストアを実行すると,再同期を開始できるようになるまで時間が必要になる場合があります。
再同期を開始できるかを確認するためのリトライ回数の最大値を設定します。リストア処理でのpairresync -restoreが実行可能となるペア状態を確認する場合に設定します。0を設定した場合,ペア状態が確認できるまでリトライします。
このパラメーターを追加する場合,「RESTORE_DELAY_RETRY_TIMEの設定値×RESTORE_DELAY_RETRY_WAITの設定値」が,ストレージサブシステムで主ボリュームと副ボリュームが完全に同期するまでの時間よりも,十分に大きな値になるようにしてください。
0~3600
RETRY_TIMEの値)
RESTORE_DELAY_RETRY_WAIT再同期を開始できるかを確認するためのリトライ間隔の秒数を設定します(単位:10ミリ秒)。リストア処理でのpairresync -restoreが実行可能となるペア状態を確認する場合に設定します。
このパラメーターを追加する場合は,リストア処理の対象となるディスク数,ディスクサイズ,直前にしたバックアップ処理実行時の主ボリュームと副ボリュームの差分量を考慮する必要があります※2
0~360000
RETRY_WAITの値)
注※1
Protection Managerがpaircreateコマンドを自動的に実行するかどうかは,RAID Manager用連携定義ファイル(DEFAULT.dat)のパラメーターPAIR_CREATEに設定します。
注※2
リトライ間隔の設定値(RESYNC_RETRY_WAITSPLIT_RETRY_WAITRESTORE_RETRY_WAITBUSY_RETRY_WAIT,またはRESTORE_DELAY_RETRY_WAITの値)を小さくすると,CPUに対する負荷が高くなります。「表4-18 ストレージサブシステムごとのRETRY_WAITに設定する値」を参考にして,使用するストレージサブシステムに応じた適切な値を設定してください。