4.15.9 オペレーション定義ファイルの作成(バックアップ対象がOracleデータベースの場合)

オペレーション定義ファイルは,拡張コマンドを使用するシステムの構成に合わせて作成します。作成したオペレーション定義ファイルは,拡張コマンドを実行する各サーバの次のディレクトリに格納します。

/opt/drm/script/conf/

オペレーション定義ファイルを所定のディレクトリに格納したあとは,オペレーション定義ファイルチェックツールを実行して,オペレーション定義ファイルの内容のチェックと,拡張コマンド用一時ディレクトリの自動生成をします。

この項の構成
(1) オペレーション定義ファイルの配置
(2) オペレーション定義ファイルの形式
(3) オペレーション定義ファイルの作成例(クラスタ構成の場合)
(4) オペレーション定義ファイルの作成例(RAC構成の場合)

(1) オペレーション定義ファイルの配置

オペレーション定義ファイルは,処理の対象となるOracleインスタンス一つに対して,同一のファイルを二つ作成します。一つのオペレーション定義ファイルをデータベースサーバに配置し,もう一つをバックアップサーバに配置します。クラスタ構成の場合は,バックアップ対象となるクラスタリソース(Oracleインスタンスまたは表領域)が定義されているすべてのサーバに,同一のオペレーション定義ファイルを配置します。

オペレーション定義ファイルの配置例を次の図に示します。

図4-15 オペレーション定義ファイルの配置例(バックアップ対象がOracleデータベースの場合)

[図]

この例では,クラスタを構成するデータベースサーバA(サーバ名:DBServer_A)およびデータベースサーバB(サーバ名:DBServer_B)で,仮想サーバC(サーバ名:VServer_C)が動作しています。

データベースサーバAおよびデータベースサーバB上にはOracleインスタンス「INSTANCE_1」が存在し,クラスタリソースとして仮想サーバCに定義されています。

この場合,データベースサーバA,データベースサーバBおよびバックアップサーバには,「INSTANCE_1」に関するオペレーション定義ファイルを配置します。

(2) オペレーション定義ファイルの形式

オペレーション定義ファイルは,処理の対象を一意に特定するオペレーションIDに対応して,次のような名称で作成します。

/opt/drm/script/conf/_<オペレーションID>.dat

オペレーション定義ファイルのサンプルは,次の場所にあります。

/opt/drm/script/sample

オペレーション定義ファイルの指定項目と指定する内容およびデータの最大文字数を次の表に示します。これらの項目の指定は省略できません。

表4-59 オペレーション定義ファイルの指定項目と指定する内容およびデータの最大文字数(バックアップ対象がOracleデータベースの場合)

指定項目指定内容最大文字数
BACKUP_OBJECTバックアップ対象の種別を示す文字列を指定します。「ORACLE」と指定します。32
DB_SERVER_NAMEデータベースサーバ名を指定します。
クラスタ構成の場合は,仮想サーバ名を指定します。
この仮想サーバ名は,Protection Managerの構成定義ファイル(init.conf)の「DRM_DB_PATH=<共有ディスク上のディレクトリ>;<仮想サーバ名>」に定義されている必要があります。
128
INSTANCE_NAMEOracleインスタンス名を指定します。128
TARGET_NAMEバックアップする表領域名を指定します。この指定はバックアップ実行時だけ有効です。リストア実行時のデータベース指定には使用されません。
表領域はコンマで区切って複数指定できます。指定を省略した場合,インスタンス単位にバックアップが実行されます。
1,024
SET_DRM_HOSTNAMEデータベースサーバの構成を指定します。クラスタ構成の場合は「1」,クラスタ構成でない場合は「0」を指定します。1
注※
文字として1,024文字ということであり,全角文字,半角文字は区別しません。
ヘッダ部分「TARGET_NAME=」は1,024文字に含みません。
区切りのコンマも1文字とします。

(3) オペレーション定義ファイルの作成例(クラスタ構成の場合)

クラスタ構成の場合に,オペレーション定義ファイルを作成する例について説明します。

この例の前提条件は次のとおりです。

この例では,次の表に示すオペレーションIDに対応するオペレーション定義ファイルを作成します。

表4-62 オペレーション定義ファイルを作成するオペレーションID(バックアップ対象がOracleデータベースでクラスタ構成の場合)

オペレーションID対象データベースサーバ対象インスタンスおよびデータベース
Operation_AVServer_CINSTANCE_1の全体

クラスタ構成の場合にオペレーション定義ファイルを作成するには:

  1. 現用サーバ(データベースサーバA)にオペレーション定義ファイルを作成し,必要な項目を設定します。
    次のファイル名で作成します。
    /opt/drm/script/conf/_Operation_A.dat
    ファイルの記述例を次に示します。

    BACKUP_OBJECT=ORACLE
    DB_SERVER_NAME=VServer_C
    INSTANCE_NAME=INSTANCE_1
    TARGET_NAME=
    SET_DRM_HOSTNAME=1

  2. 現用サーバ(データベースサーバA)でオペレーション定義ファイルのチェックツール「EX_DRM_ORA_DEF_CHECK」を実行します。

    EX_DRM_ORA_DEF_CHECK <オペレーションID> -db

    オペレーション定義ファイルのチェックが実行されます。また,拡張コマンド用一時ディレクトリが自動生成されます。
    エラーがあった場合はファイルの指定内容を修正し,チェックツールを再度実行します。
  3. 現用サーバ(データベースサーバA)で作成したオペレーション定義ファイルをバックアップサーバにコピーします。
    次のディレクトリにコピーします。
    /opt/drm/script/conf
  4. バックアップサーバでオペレーション定義ファイルのチェックツール「EX_DRM_ORA_DEF_CHECK」を実行します。

    EX_DRM_ORA_DEF_CHECK <オペレーションID> -bk

    オペレーション定義ファイルのチェックが実行されます。また,拡張コマンド用一時ディレクトリやバックアップファイル格納ディレクトリが自動生成されます。
    エラーがあった場合は,バックアップサーバの構成をオペレーション定義ファイルの内容に合わせて変更するか,オペレーション定義ファイルの内容をバックアップサーバの構成に合わせて変更してください。バックアップサーバの構成を変更する場合は,チェックツールを再度実行します。オペレーション定義ファイルの内容を変更する場合は,データベースサーバにも同一のファイルを格納し,チェックツールを再度実行します。
  5. 現用サーバ(データベースサーバA)で作成したオペレーション定義ファイルを待機サーバ(データベースサーバB)にコピーします。
    次のディレクトリにコピーします。
    /opt/drm/script/conf

(4) オペレーション定義ファイルの作成例(RAC構成の場合)

RAC構成の場合に,オペレーション定義ファイルを作成する例について説明します。

この例の前提条件は次のとおりです。

この例では,次の表に示すオペレーションIDに対応するオペレーション定義ファイルを作成します。

表4-64 オペレーション定義ファイルを作成するオペレーションID

オペレーションID対象データベースサーバ対象インスタンスおよびデータベース
Operation_A仮想サーバCINSTANCE_1に作成されたOracleインスタンスのファイル
Operation_BINSTANCE_2に作成されたOracleインスタンスのファイル

RAC構成の場合にオペレーション定義ファイルを作成するには:

  1. Oracleインスタンス「INSTANCE_1」の稼働サーバにオペレーション定義ファイルを作成し,必要な項目を設定します。
    次のファイル名で作成します。

    /opt/drm/script/conf/_Operation_A.dat

    BACKUP_OBJECT=ORACLE
    DB_SERVER_NAME=DBServer_A
    INSTANCE_NAME=INSTANCE_1
    TARGET_NAME=
    SET_DRM_HOSTNAME=0

  2. Oracleインスタンス「INSTANCE_2」の稼働サーバにオペレーション定義ファイルを作成し,必要な項目を設定します。
    次のファイル名で作成します。

    /opt/drm/script/conf/_Operation_B.dat

    BACKUP_OBJECT=ORACLE
    DB_SERVER_NAME=DBServer_B
    INSTANCE_NAME=INSTANCE_2
    TARGET_NAME=
    SET_DRM_HOSTNAME=0

  3. オペレーション定義ファイルを作成した各サーバ上でオペレーション定義ファイルのチェックツール「EX_DRM_ORA_DEF_CHECK」を実行します。

    EX_DRM_ORA_DEF_CHECK <オペレーションID> -db

    オペレーション定義ファイルのチェックツールでエラーがあった場合は定義ファイルを修正し,チェックツールを再度実行します。
  4. Oracleインスタンス「INSTANCE_1」の稼働サーバおよびOracleインスタンス「INSTANCE_2」の稼働サーバで作成したオペレーション定義ファイルをバックアップサーバ上の次のディレクトリにコピーします。
    /opt/drm/script/conf
  5. バックアップサーバ上でオペレーション定義ファイルのチェックツール「EX_DRM_ORA_DEF_CHECK」を実行します。

    EX_DRM_ORA_DEF_CHECK <オペレーションID> -bk

    オペレーション定義ファイルのチェックツールでエラーがあった場合は定義ファイルを修正し,チェックツールを再度実行します。