Hitachi Protection Manager Software ユーザーズガイド
オペレーション定義ファイルは,拡張コマンドを使用するシステムの構成に合わせて作成します。作成した拡張コマンド定義ファイルは,拡張コマンドを実行する各サーバの次のディレクトリに格納します。
/opt/drm/script/conf/
- この節の構成
- C.8.1 オペレーション定義ファイルの配置(Solarisの場合で,バックアップ対象がファイルシステムのとき)
- C.8.2 オペレーション定義ファイルの配置(バックアップ対象がOracleデータベースの場合)
- C.8.3 オペレーション定義ファイルの形式
- C.8.4 オペレーション定義ファイルの作成例(Solarisの場合で,バックアップ対象がファイルシステムのとき)
- C.8.5 オペレーション定義ファイルの作成例(バックアップ対象がOracleデータベースの場合で,クラスタ構成のとき)
C.8.1 オペレーション定義ファイルの配置(Solarisの場合で,バックアップ対象がファイルシステムのとき)
オペレーション定義ファイルは,処理の対象となるマウントポイントまたはファイルに対して,同一のファイルを二つ作成します。一つのオペレーション定義ファイルをファイルサーバに配置し,もう一つをバックアップサーバに配置します。
オペレーション定義ファイルの配置例を次の図に示します。
図C-4 オペレーション定義ファイルの配置例(Solarisの場合で,バックアップ対象がファイルシステムの場合)
ファイルサーバA(サーバ名:FSServer_A)上には三つのマウントポイント「/mnt1」,「/mnta」および「/mntb」が存在します。マウントポイント「/mnta」および「/mntb」は,一括して処理の対象とするようにマウントポイントディレクトリ一括定義ファイル「app.txt」で設定されているものとします。
この場合,ファイルサーバAには,「/mnt1」に関するオペレーション定義ファイルと,「app.txt」に指定されたマウントポイントディレクトリ(/mntaおよび/mntb)に関するオペレーション定義ファイルを配置します。バックアップサーバ(サーバ名:BKServer)には,「/mnt1」,「/mnta」および「/mntb」に関するオペレーション定義ファイルを配置します。
C.8.2 オペレーション定義ファイルの配置(バックアップ対象がOracleデータベースの場合)
オペレーション定義ファイルは,処理の対象となるOracleインスタンス一つに対して,同一のファイルを二つ作成します。一つのオペレーション定義ファイルをデータベースサーバに配置し,もう一つをバックアップサーバに配置します。クラスタ構成の場合は,バックアップ対象となるクラスタリソース(Oracleインスタンスまたは表領域)が定義されているすべてのサーバに,同一のオペレーション定義ファイルを配置します。
オペレーション定義ファイルの配置例を次の図に示します。
図C-5 オペレーション定義ファイルの配置例(バックアップ対象がOracleデータベースの場合)
この例では,クラスタを構成するデータベースサーバA(サーバ名:DBServer_A)およびデータベースサーバB(サーバ名:DBServer_B)で,仮想サーバC(サーバ名:VServer_C)が動作しています。
データベースサーバAおよびデータベースサーバB上にはOracleインスタンス「INSTANCE_1」が存在し,クラスタリソースとして仮想サーバCに定義されています。
この場合,データベースサーバA,データベースサーバBおよびバックアップサーバには,「INSTANCE_1」に関するオペレーション定義ファイルを配置します。
オペレーション定義ファイルは,処理の対象を一意に特定するオペレーションIDに対応して,次のような名称で作成します。
/opt/drm/script/conf/_<オペレーションID>.dat
オペレーション定義ファイルの指定項目と指定する内容およびデータの最大文字数を次の表に示します。これらの項目の指定は省略できません。
表C-13 オペレーション定義ファイルの指定項目と指定する内容およびデータの最大文字数(Solarisの場合)
指定項目 指定内容 最大文字数 BACKUP_OBJECT バックアップ対象の種別を示す文字列を指定します。
- ファイルシステムの場合
- 「FILESYSTEM」と指定します。
- Oracleデータベースの場合
- 「ORACLE」と指定します。
32 DB_SERVER_NAME
- ファイルシステムの場合
- ファイルサーバ名を指定します。
- Oracleデータベースの場合
- データベースサーバ名を指定します。バックアップ対象となるインスタンスがクラスタ構成の場合は,仮想サーバ名を指定します。
- この仮想サーバ名は,Protection Managerの構成定義ファイル「init.conf」の「DRM_DB_PATH=<共有ディスク上のディレクトリ>;<仮想サーバ名>」に定義されている必要があります。
128 INSTANCE_NAME
- ファイルシステムの場合
- マウントポイントディレクトリ名またはマウントポイントディレクトリ一括定義ファイル名を指定します。
- Oracleデータベースの場合
- Oracleインスタンス名を指定します。
128 TARGET_NAME
- ファイルシステムの場合
- バックアップするファイル名またはディレクトリ名を指定します。
- この指定はバックアップ実行時だけ有効です。リストア実行時のファイル名またはディレクトリ名の指定には使用されません。
- ファイル名またはディレクトリ名はコンマで区切って複数指定できます。指定を省略した場合,マウントポイント単位にバックアップが実行されます。
- Oracleデータベースの場合
- バックアップする表領域名を指定します。この指定はバックアップ実行時だけ有効です。リストア実行時のデータベース指定には使用されません。
- 表領域はコンマで区切って複数指定できます。指定を省略した場合,インスタンス単位にバックアップが実行されます。
1,024※2 AP_FILE_DIR(Oracleデータベースの場合)※1 制御ファイルおよび初期化パラメーターファイルの格納先ディレクトリを指定します。
この値は,drmorainitコマンド実行時に指定したバックアップファイル格納ディレクトリ名と一致している必要があります。128 DB_DATA_FILE_DIR※1 ファイルサーバまたはデータベースサーバ上の拡張コマンド用一時ディレクトリを指定します。
次のように指定します。
<任意のディレクトリ>/<オペレーションID>
このディレクトリは,拡張コマンドが一時ファイルを生成するときに使用します。バックアップサーバを使用しない場合にも,実在するディレクトリを指定してください。128 BK_DATA_FILE_DIR※1 バックアップサーバ上の拡張コマンド用一時ディレクトリを指定します。
次のように指定します。
<任意のディレクトリ>/<オペレーションID>
バックアップサーバを使用しない場合には,「-」を指定します。128 SET_DRM_HOSTNAME
- ファイルシステムの場合
- 「0」を指定します。
- Oracleデータベースの場合
- データベースサーバの構成を指定します。クラスタ構成の場合は「1」,クラスタ構成でない場合は「0」を指定します。
1
- 注※1
- ディレクトリ名は絶対パスで指定します。大文字と小文字が区別されます。
- バックアップ対象がOracleデータベースの場合,「DB_DATA_FILE_DIR」および「BK_DATA_FILE_DIR」には,「AP_FILE_DIR」と同一の値を指定しないでください。
- 注※2
- 文字として1,024文字ということであり,全角文字,半角文字は区別しません。
- ヘッダ部分「TARGET_NAME=」は1,024文字に含みません。
- 区切りのコンマも1文字とします。
C.8.4 オペレーション定義ファイルの作成例(Solarisの場合で,バックアップ対象がファイルシステムのとき)
テープバックアップする場合に,オペレーション定義ファイルを作成する手順について,図C-4のシステム構成を例として説明します。
前提条件は次のとおりです。
- ファイルサーバA(サーバ名:FSServer_A)上には三つのマウントポイント「/mnt1」,「/mnta」および「/mntb」が存在する。
- マウントポイント「/mnta」および「/mntb」は,マウントポイントディレクトリ一括定義ファイル「app.txt」で,一括して処理の対象とするように設定されている。
- ファイルサーバAおよびバックアップサーバ(サーバ名:BKServer)で,次の表に示す拡張コマンド一時ファイル格納ディレクトリが作成されている。
表C-14 拡張コマンド一時ファイル格納ディレクトリ(Solarisの場合)
サーバ名 拡張コマンド一時ファイル格納ディレクトリ FSServer_A /var/opt/drm_FS_tmp/Operation_A
/var/opt/drm_FS_tmp/Operation_BBKServer /var/opt/drm_bk_tmp/Operation_A
/var/opt/drm_bk_tmp/Operation_B次の表に示すオペレーションIDに対応するオペレーション定義ファイルを作成します。
表C-15 オペレーション定義ファイルを作成するオペレーションID(旧バージョン)(Solarisでバックアップ対象がファイルシステムの場合)
オペレーションID 対象ファイルサーバ 対象マウントポイントまたはファイル Operation_A ファイルサーバA /mnt1の全体 Operation_B ファイルサーバA 「app.txt」に指定されたマウントポイントディレクトリ(/mntaおよび/mntb) オペレーション定義ファイルを作成するには:
- ファイルサーバAにオペレーション定義ファイルを作成し,必要な項目を設定します。
次の二つのファイルを作成します。
/opt/drm/script/conf/_Operation_A.dat
/opt/drm/script/conf/_Operation_B.dat
「/opt/drm/script/conf/_Operation_A.dat」の記述例を次に示します。「/opt/drm/script/conf/_Operation_B.dat」の記述例を次に示します。
BACKUP_OBJECT=FILESYSTEM DB_SERVER_NAME=FSServer_A INSTANCE_NAME=/mnt1 TARGET_NAME= DB_DATA_FILE_DIR=/var/opt/drm_FS_tmp/Operation_A BK_DATA_FILE_DIR=/var/opt/drm_bk_tmp/Operation_A SET_DRM_HOSTNAME=0
BACKUP_OBJECT=FILESYSTEM DB_SERVER_NAME=FSServer_A INSTANCE_NAME=app TARGET_NAME= DB_DATA_FILE_DIR=/var/opt/drm_FS_tmp/Operation_B BK_DATA_FILE_DIR=/var/opt/drm_bk_tmp/Operation_B SET_DRM_HOSTNAME=0- ファイルサーバAでオペレーション定義ファイルのチェックツール「EX_DRM_FS_DEF_CHECK」を実行します。
EX_DRM_FS_DEF_CHECK <オペレーションID> -dbエラーがあった場合はファイルの指定内容を修正し,再度チェックツールを実行します。- ファイルサーバAで作成したオペレーション定義ファイルをバックアップサーバにコピーします。
次のディレクトリにコピーします。
/opt/drm/script/conf/- バックアップサーバ上でオペレーション定義ファイルのチェックツール「EX_DRM_FS_DEF_CHECK」を実行します。
EX_DRM_FS_DEF_CHECK <オペレーションID> -bkエラーがあった場合は,バックアップサーバの構成をオペレーション定義ファイルの内容に合わせて変更するか,オペレーション定義ファイルの内容をバックアップサーバの構成に合わせて変更するかしてください。バックアップサーバの構成を変更する場合は,チェックツールを再度実行します。オペレーション定義ファイルの内容を変更した場合は,ファイルサーバにも同一のファイルを格納し,チェックツールを再度実行します。
C.8.5 オペレーション定義ファイルの作成例(バックアップ対象がOracleデータベースの場合で,クラスタ構成のとき)
クラスタ構成の場合に,オペレーション定義ファイルを作成する例について説明します。
この例の前提条件は次のとおりです。
- クラスタを構成するデータベースサーバA(サーバ名:DBServer_A)およびデータベースサーバB(サーバ名:DBServer_B)にOracleインスタンス「INSTANCE_1」が作成されていて,インスタンスに対する仮想サーバC(サーバ名:VServer_C)が動作している。
- クラスタグループ「ORACG_1」が存在し,次の表に示したクラスタリソースが登録されている。
表C-16 クラスタリソースの例(Oracleデータベースの場合)
クラスタグループ名 仮想サーバ Oracle
インスタンス名拡張コマンド一時ファイル格納先マウントポイント ORACG_1 VServer_C INSTANCE_1 /var/mnt/drm_db_tmp - 拡張コマンド用一時ディレクトリ「INSTANCE_1」に対して,drmorainitコマンドが実行されている。
- 現用サーバの運用を待機サーバに引き継ぐための環境が設定されていて,Protection Managerの構成定義ファイル「init.conf」に「DRM_DB_PATH=<共有ディスク上のディレクトリ名>;<仮想サーバ名>」が設定されている。
- 各データベースサーバおよびバックアップサーバに,次の表に示した拡張コマンド一時ファイル格納ディレクトリおよびバックアップファイル格納ディレクトリが作成されている。
表C-17 拡張コマンド一時ファイル格納ディレクトリおよびバックアップファイル格納ディレクトリの例(クラスタ構成)
サーバ名 拡張コマンド一時ファイル格納ディレクトリ バックアップファイル格納ディレクトリ DBServer_A
DBServer_B/var/mnt/drm_db_tmp/Operation_A /var/opt/drm/backup/oracle/Operation_A BKServer /var/mnt/drm_bk_tmp/Operation_A /var/opt/drm/backup/oracle/Operation_A この例では,次の表に示すオペレーションIDに対応するオペレーション定義ファイルを作成します。
表C-18 オペレーション定義ファイルを作成するオペレーションID(旧バージョン)(バックアップ対象がOracleデータベースでクラスタ構成の場合)
オペレーションID 対象データベースサーバ 対象インスタンスおよびデータベース Operation_A VServer_C INSTANCE_1の全体 クラスタ構成の場合にオペレーション定義ファイルを作成するには:
- 現用サーバ(データベースサーバA)にオペレーション定義ファイルを作成し,必要な項目を設定します。
次のファイル名で作成します。
/opt/drm/script/conf/_Operation_A.dat
ファイルの記述例を次に示します。
BACKUP_OBJECT=ORACLE DB_SERVER_NAME=VServer_C INSTANCE_NAME=INSTANCE_1 TARGET_NAME= AP_FILE_DIR=/var/opt/drm/backup/oracle/Operation_A DB_DATA_FILE_DIR=/var/mnt/drm_db_tmp/Operation_A BK_DATA_FILE_DIR=/var/mnt/drm_bk_tmp/Operation_A SET_DRM_HOSTNAME=1- 現用サーバ(データベースサーバA)でオペレーション定義ファイルのチェックツール「EX_DRM_ORA_DEF_CHECK」を実行します。
EX_DRM_ORA_DEF_CHECK <オペレーションID> -dbエラーがあった場合はファイルの指定内容を修正し,チェックツールを再度実行します。- 現用サーバ(データベースサーバA)で作成したオペレーション定義ファイルをバックアップサーバにコピーします。
次のディレクトリにコピーします。
/opt/drm/script/conf- バックアップサーバでオペレーション定義ファイルのチェックツール「EX_DRM_ORA_DEF_CHECK」を実行します。
EX_DRM_ORA_DEF_CHECK <オペレーションID> -bkエラーがあった場合は,バックアップサーバの構成をオペレーション定義ファイルの内容に合わせて変更するか,オペレーション定義ファイルの内容をバックアップサーバの構成に合わせて変更してください。バックアップサーバの構成を変更する場合は,チェックツールを再度実行します。オペレーション定義ファイルの内容を変更する場合は,データベースサーバにも同一のファイルを格納し,チェックツールを再度実行します。- 現用サーバ(データベースサーバA)で作成したオペレーション定義ファイルを待機サーバ(データベースサーバB)にコピーします。
次のディレクトリにコピーします。
/opt/drm/script/conf