Hitachi Protection Manager Software ユーザーズガイド
オペレーション定義ファイルは,拡張コマンドを使用するシステムの構成に合わせて作成します。作成したオペレーション定義ファイルは,拡張コマンドを実行する各サーバの次のディレクトリに格納します。
/opt/drm/script/conf/
オペレーション定義ファイルを所定のディレクトリに格納したあとは,オペレーション定義ファイルチェックツールを実行して,オペレーション定義ファイルの内容のチェックと,拡張コマンド用一時ディレクトリの自動生成をします。
- この項の構成
- (1) オペレーション定義ファイルの配置
- (2) オペレーション定義ファイルの形式
- (3) オペレーション定義ファイルの作成例(クラスタ構成の場合)
- (4) オペレーション定義ファイルの作成例(RAC構成の場合)
オペレーション定義ファイルは,処理の対象となるOracleインスタンス一つに対して,同一のファイルを二つ作成します。一つのオペレーション定義ファイルをデータベースサーバに配置し,もう一つをバックアップサーバに配置します。クラスタ構成の場合は,バックアップ対象となるクラスタリソース(Oracleインスタンスまたは表領域)が定義されているすべてのサーバに,同一のオペレーション定義ファイルを配置します。
オペレーション定義ファイルの配置例を次の図に示します。
図4-15 オペレーション定義ファイルの配置例(バックアップ対象がOracleデータベースの場合)
この例では,クラスタを構成するデータベースサーバA(サーバ名:DBServer_A)およびデータベースサーバB(サーバ名:DBServer_B)で,仮想サーバC(サーバ名:VServer_C)が動作しています。
データベースサーバAおよびデータベースサーバB上にはOracleインスタンス「INSTANCE_1」が存在し,クラスタリソースとして仮想サーバCに定義されています。
この場合,データベースサーバA,データベースサーバBおよびバックアップサーバには,「INSTANCE_1」に関するオペレーション定義ファイルを配置します。
オペレーション定義ファイルは,処理の対象を一意に特定するオペレーションIDに対応して,次のような名称で作成します。
/opt/drm/script/conf/_<オペレーションID>.dat
オペレーション定義ファイルのサンプルは,次の場所にあります。
/opt/drm/script/sample
オペレーション定義ファイルの指定項目と指定する内容およびデータの最大文字数を次の表に示します。これらの項目の指定は省略できません。
表4-59 オペレーション定義ファイルの指定項目と指定する内容およびデータの最大文字数(バックアップ対象がOracleデータベースの場合)
指定項目 指定内容 最大文字数 BACKUP_OBJECT バックアップ対象の種別を示す文字列を指定します。「ORACLE」と指定します。 32 DB_SERVER_NAME データベースサーバ名を指定します。
クラスタ構成の場合は,仮想サーバ名を指定します。
この仮想サーバ名は,Protection Managerの構成定義ファイル(init.conf)の「DRM_DB_PATH=<共有ディスク上のディレクトリ>;<仮想サーバ名>」に定義されている必要があります。128 INSTANCE_NAME Oracleインスタンス名を指定します。 128 TARGET_NAME バックアップする表領域名を指定します。この指定はバックアップ実行時だけ有効です。リストア実行時のデータベース指定には使用されません。
表領域はコンマで区切って複数指定できます。指定を省略した場合,インスタンス単位にバックアップが実行されます。1,024※ SET_DRM_HOSTNAME データベースサーバの構成を指定します。クラスタ構成の場合は「1」,クラスタ構成でない場合は「0」を指定します。 1
- 注※
- 文字として1,024文字ということであり,全角文字,半角文字は区別しません。
- ヘッダ部分「TARGET_NAME=」は1,024文字に含みません。
- 区切りのコンマも1文字とします。
(3) オペレーション定義ファイルの作成例(クラスタ構成の場合)
クラスタ構成の場合に,オペレーション定義ファイルを作成する例について説明します。
この例の前提条件は次のとおりです。
- クラスタを構成するデータベースサーバA(サーバ名:DBServer_A)およびデータベースサーバB(サーバ名:DBServer_B)にOracleインスタンス「INSTANCE_1」が作成されていて,インスタンスに対する仮想サーバC(サーバ名:VServer_C)が動作している。
- クラスタグループ「ORACG_1」が存在し,次の表に示したクラスタリソースが登録されている。
表4-60 クラスタリソースの例(バックアップ対象がOracleデータベースの場合)
クラスタグループ名 仮想サーバ Oracle
インスタンス名ORACG_1 VServer_C INSTANCE_1 - Oracleインスタンス「INSTANCE_1」に対して,drmorainitコマンドが実行されている。
- 現用サーバの運用を待機サーバに引き継ぐための環境が設定されていて,環境設定ファイル「init.conf」に「DRM_DB_PATH=<共有ディスク上のディレクトリ名>;<仮想サーバ名>」が設定されている。
- ディクショナリマップファイル格納ディレクトリにProtection Managerが拡張コマンド用一時ディレクトリを自動作成できる権限がある。
- 拡張コマンド用一時ディレクトリが自動作成されるディスクに,次の一時ファイルが格納できる十分な空き容量がある。
- バックアップID記録ファイル
- バックアップ情報のファイル
- 制御ファイル
- 初期化パラメーターファイル
- 拡張コマンド用一時ディレクトリの命名規則に従ってディレクトリが自動生成されたときに,ディレクトリの長さがOSの制限を超えない。
- 各データベースサーバに,次の表に示したバックアップファイル格納ディレクトリが作成されている。
表4-61 バックアップファイル格納ディレクトリの例(クラスタ構成)
サーバ名 バックアップファイル格納ディレクトリ DBServer_A
DBServer_B/var/opt/drm/backup/oracle/Operation_A この例では,次の表に示すオペレーションIDに対応するオペレーション定義ファイルを作成します。
表4-62 オペレーション定義ファイルを作成するオペレーションID(バックアップ対象がOracleデータベースでクラスタ構成の場合)
オペレーションID 対象データベースサーバ 対象インスタンスおよびデータベース Operation_A VServer_C INSTANCE_1の全体 クラスタ構成の場合にオペレーション定義ファイルを作成するには:
- 現用サーバ(データベースサーバA)にオペレーション定義ファイルを作成し,必要な項目を設定します。
次のファイル名で作成します。
/opt/drm/script/conf/_Operation_A.dat
ファイルの記述例を次に示します。
BACKUP_OBJECT=ORACLE DB_SERVER_NAME=VServer_C INSTANCE_NAME=INSTANCE_1 TARGET_NAME= SET_DRM_HOSTNAME=1- 現用サーバ(データベースサーバA)でオペレーション定義ファイルのチェックツール「EX_DRM_ORA_DEF_CHECK」を実行します。
EX_DRM_ORA_DEF_CHECK <オペレーションID> -dbオペレーション定義ファイルのチェックが実行されます。また,拡張コマンド用一時ディレクトリが自動生成されます。
エラーがあった場合はファイルの指定内容を修正し,チェックツールを再度実行します。- 現用サーバ(データベースサーバA)で作成したオペレーション定義ファイルをバックアップサーバにコピーします。
次のディレクトリにコピーします。
/opt/drm/script/conf- バックアップサーバでオペレーション定義ファイルのチェックツール「EX_DRM_ORA_DEF_CHECK」を実行します。
EX_DRM_ORA_DEF_CHECK <オペレーションID> -bkオペレーション定義ファイルのチェックが実行されます。また,拡張コマンド用一時ディレクトリやバックアップファイル格納ディレクトリが自動生成されます。
エラーがあった場合は,バックアップサーバの構成をオペレーション定義ファイルの内容に合わせて変更するか,オペレーション定義ファイルの内容をバックアップサーバの構成に合わせて変更してください。バックアップサーバの構成を変更する場合は,チェックツールを再度実行します。オペレーション定義ファイルの内容を変更する場合は,データベースサーバにも同一のファイルを格納し,チェックツールを再度実行します。- 現用サーバ(データベースサーバA)で作成したオペレーション定義ファイルを待機サーバ(データベースサーバB)にコピーします。
次のディレクトリにコピーします。
/opt/drm/script/conf
(4) オペレーション定義ファイルの作成例(RAC構成の場合)
RAC構成の場合に,オペレーション定義ファイルを作成する例について説明します。
この例の前提条件は次のとおりです。
- RAC環境を構成するデータベースサーバA(サーバ名:DBServer_A)およびデータベースサーバB(サーバ名:DBServer_B)にOracleインスタンス「INSTANCE_1」,「INSTANCE_2」が作成されている。
- RACインスタンス「RAC_1」が存在し,次に示した構成となっている。
RACインスタンス名 仮想サーバ名 Oracleインスタンス名 マウントポイント RAC_1 VServer_C INSTANCE_1 HPTM/script1 INSTANCE_2 HPTM/script2 - RAC環境を構成するデータベースサーバAおよびデータベースサーバB上のマウントポイント/script1,および/script2にそれぞれ,各Oracleインスタンス用のOracle制御ファイル,初期化ファイル格納用ディレクトリが作成されている。
また,各Oracleインスタンスに対して,drmorainitコマンドが実行されている。- RAC環境を構成する全データベースサーバに,バックアップカタログ同期情報ファイルrac.confが作成されており,RAC環境を構成するすべてのOracleインスタンスのディクショナリマップファイル格納ディレクトリが記載されている。
この例では,次の表に示すオペレーションIDに対応するオペレーション定義ファイルを作成します。
表4-64 オペレーション定義ファイルを作成するオペレーションID
オペレーションID 対象データベースサーバ 対象インスタンスおよびデータベース Operation_A 仮想サーバC INSTANCE_1に作成されたOracleインスタンスのファイル Operation_B INSTANCE_2に作成されたOracleインスタンスのファイル RAC構成の場合にオペレーション定義ファイルを作成するには:
- Oracleインスタンス「INSTANCE_1」の稼働サーバにオペレーション定義ファイルを作成し,必要な項目を設定します。
次のファイル名で作成します。/opt/drm/script/conf/_Operation_A.dat
BACKUP_OBJECT=ORACLE DB_SERVER_NAME=DBServer_A INSTANCE_NAME=INSTANCE_1 TARGET_NAME= SET_DRM_HOSTNAME=0- Oracleインスタンス「INSTANCE_2」の稼働サーバにオペレーション定義ファイルを作成し,必要な項目を設定します。
次のファイル名で作成します。/opt/drm/script/conf/_Operation_B.dat
BACKUP_OBJECT=ORACLE DB_SERVER_NAME=DBServer_B INSTANCE_NAME=INSTANCE_2 TARGET_NAME= SET_DRM_HOSTNAME=0- オペレーション定義ファイルを作成した各サーバ上でオペレーション定義ファイルのチェックツール「EX_DRM_ORA_DEF_CHECK」を実行します。
EX_DRM_ORA_DEF_CHECK <オペレーションID> -dbオペレーション定義ファイルのチェックツールでエラーがあった場合は定義ファイルを修正し,チェックツールを再度実行します。- Oracleインスタンス「INSTANCE_1」の稼働サーバおよびOracleインスタンス「INSTANCE_2」の稼働サーバで作成したオペレーション定義ファイルをバックアップサーバ上の次のディレクトリにコピーします。
/opt/drm/script/conf- バックアップサーバ上でオペレーション定義ファイルのチェックツール「EX_DRM_ORA_DEF_CHECK」を実行します。
EX_DRM_ORA_DEF_CHECK <オペレーションID> -bkオペレーション定義ファイルのチェックツールでエラーがあった場合は定義ファイルを修正し,チェックツールを再度実行します。