エクスポート・インポートは,次の2通りの運用が想定されています。この考え方は,辞書とドキュメント共通のものです。
ほかの開発環境にオリジナルの資源を配布する運用です。辞書フォルダや資源同士の関連などを,すべてオリジナルと同じ状態で配布先のリポジトリに再現することを目的とします。
例えば,複数のリポジトリで同じ辞書を使って開発を進めたいとき,まず初めに,オリジナルの辞書を管理するリポジトリで,辞書登録をします。次に,完成した辞書をエクスポートし,配布先のリポジトリへインポートします。これによって,複数の開発環境や拠点へ速やかに辞書の環境を構築できます。さらに配布を繰り返す運用をしたい場合には,一度全体をエクスポートすれば,2回目からは前回にエクスポートした時点から追加または変更のあった情報だけをエクスポートするといったこともでき,作業の効率化を図れます。
また,システムの開発やコンポーネント機能の開発が終了したときに,その辞書をリポジトリから外部媒体に取り出して管理したい場合にも利用できます。辞書をエクスポートでファイルに取り出し,あとでシステムの保守や拡張が必要になったときリポジトリにインポートで取り込めば,以前と同じ環境に戻せます。
オリジナルの資源を基に,別の開発環境を構築するときの運用です。複製元(エクスポート元)のリポジトリの資源と複製先(インポート先)のリポジトリの資源は,運用の異なる別の資源として扱います。
例えば,新規システムの辞書を構築するとき,データ分析をした結果,既存システムの辞書を流用できる場合には,新規システムの開発環境に辞書を複製して効率の良い辞書登録ができます。
配布,複製のどちらの運用でも,インポート先に新規に追加する資源に対してエクスポート元とは別のアクセス権を設定できます。例えば,辞書を配布する際に,インポート先の辞書の資源に対して変更操作を制限するアクセス権を設定します。このようにして,オリジナル辞書と配布した辞書との整合性を守るというような運用ができ,辞書の管理が容易になります。
エクスポート・インポートをするには,まず複数の運用パターンを分散環境や運用状況に応じて設定し,用意しておきます。これを,エクスポートに対してはエクスポート運用,インポートに対してはインポート運用といいます。エクスポート・インポート運用を作成することで,辞書の配布や複製を定型化できます。また,一度運用を作成しておけば,ユティリティのウィンドウから実行するほか,コマンドで実行することもできるため作業の効率化を図れます。
エクスポート・インポートの実行時にはログ情報を取得できます。実行日時,運用名,エクスポートファイル名,対象となった資源の一覧情報などのログが出力されます。辞書の管理者は,分散されているサーバ間の辞書情報が相互に整合性があるかどうか,適切なタイミングでエクスポート・インポート作業が行われたかどうかを把握していなければなりません。ログ情報を取得して,辞書の管理に役立てることをお勧めします。
エクスポート・インポートユティリティを使ったエクスポート・インポートの流れを図3-1に示し,おおまかな手順を説明します。
図3-1 エクスポート・インポートの流れ
システム開発資源のすべてを定期的にバックアップするような運用をしたい場合は,Windows 2000 Server,Windows Server 2003またはWindows Server 2003 x64のファイルシステムに用意されているバックアップ機能を使用します。環境構築ユティリティを使用すれば,バックアップのためのコマンドファイルを生成できます。詳細は,マニュアル「SEWB+/REPOSITORY 運用ガイド」を参照してください。
また,辞書の配布に際して毎回,全体をエクスポートすると,処理時間がかかり,作業効率が下がります。2回目からは,追加または変更のあった情報だけをエクスポート・インポートして作業の効率化を図ることをお勧めします。
辞書に関する情報をインポートできるサーバを次に示します。
辞書フォルダをサーバ間で相互に配布する場合は,エクスポート運用の「他の辞書フォルダのデータ項目を一緒にエクスポートする」の設定を解除してください。標準の設定では,結合項目をエクスポートしたときに構成項目もエクスポートされ,資源の管理元となっている辞書フォルダ内のデータ項目が上書きされてしまう場合があります。「他の辞書フォルダのデータ項目を一緒にエクスポートする」の設定を解除することでこれを回避できます。
ただし,この設定では,構成項目となるデータ項目がインポート先に存在しなかった場合はエラーとなり,インポートが中断されます。