2.2.2 ドメインの値域と制約条件を基に,辞書を設計する

ドメインの分析で求められた,ドメインの名称と値域は,継承関係の上位に位置づけるデータ項目としてデータ項目辞書に登録します。また,ドメインの制約条件は,ドメインのデータ項目に対応する業務ルールとして業務ルール辞書に登録します。

ドメインにまとめられた共通の値域と制約条件は,データ項目の「継承」という仕組みによって,ドメインにグルーピングされたデータ項目に引き継がれます。この継承の考え方を,図2-2に示します。

図2-2 ドメインの値域と制約条件の継承

[図データ]

この継承の仕組みを有効に利用するために,ドメインを分析して,その内容を確定する(値域や制約条件を確定する)ということは,重要な意味を持っています。

あらかじめドメインの共通の値域と制約条件を整理しておき,辞書の設計にドメインの内容を取り込めば,個々のデータ項目や業務ルールを設計するとき,そのデータ項目または業務ルールに固有の値域や制約条件だけを決定すればよいことになります。すでにドメインに整理されている値域や制約条件を重ねて決定する必要がなく,設計作業の効率を向上でき,標準化を促進できます。

また,ドメインの内容を変更しなければならないときでも継承の仕組みを利用することによって,その変更内容を自動的にデータ項目や業務ルールに展開できるため,作業の効率化を図れます。

SEWB+/STANDARD-DICTIONARYでは,標準的なドメインのデータ項目(標準データ項目)と,そのデータ項目に対応する業務ルール(標準業務ルール)を用意した標準データ項目辞書を提供しています。また,この標準データ項目辞書を利用して各プロジェクト専用の辞書を自動生成する辞書生成機能を提供しています。このため,SEWB+/STANDARD-DICTIONARYを使用すれば,辞書を構築する作業の効率と,辞書の品質の向上を図れます。このプログラムプロダクトの概要については,「付録A 標準データ項目辞書の紹介」を参照してください。