1.2.1 辞書の考え方

辞書は,データ中心アプローチの考え方に基づいて,システム開発の基本単位であるデータ項目と,データ項目特有の処理を部品化した業務ルールから構成されます。

辞書の基本構成
辞書は,データ項目を管理する「データ項目辞書」と,業務ルールを管理する「業務ルール辞書」から構成されています。この2種類の辞書は「辞書フォルダ」という単位で管理されます。辞書フォルダは,リポジトリで辞書を管理する場合の最上位の単位となります。
  • データ項目辞書とは
    データ項目は,システム開発で使用する情報の基本単位となるものです。データ中心アプローチによるシステム開発では,データ項目を標準化し,そのデータ項目を使ってシステムやプログラムを設計します。データ項目辞書は,この標準化されたデータ項目の保管庫の役割を果たします。
  • 業務ルール辞書とは
    業務ルールは,データ項目辞書のデータ項目に対応して,個々のデータ項目の性質,データ項目,データ項目間の制約条件などを表す処理です。業務ルール辞書は,業務ルールの保管庫の役割を果たします。
異なる各国語,プログラミング言語の情報を一元管理する
データ項目や業務ルールの定義内容をアプリケーション開発に使用するプログラミング言語間,国語間で共通化して一元管理できます。このため,同じ辞書を異なる国語圏で相互に使用するというような運用形態に対応できます。また,同じ辞書からC,COBOL,Javaなどの複数のプログラミング言語に対応できます。
独自の辞書にカスタマイズする
システムで使用する国語や開発言語,登録時の制限,データ項目や業務ルールの名称基準など,開発内容に合わせて辞書をカスタマイズできます。
辞書の構築を支援する検査機能
辞書登録やメンテナンス時などに,定義内容の妥当性を診断するための検査機能が提供されています。名称をリポジトリ内で重複して付けていないか,プロジェクトの名称基準(命名ルール)に従って名称が付けられているかどうかなど,辞書の構築を支援する検査項目が用意されています。また,ユーザ独自の検査項目を作成し,利用することもできます。
ほかのアプリケーションと辞書情報を連携する
ほかのアプリケーションから生成したCSV(Comma Separated Values)形式ファイルを辞書に登録できます。また,辞書情報を,CSV形式ファイルに出力できます。このほか,ODBC(Open Database Connectivity)インタフェースをサポートしているDBMS(Database Management System)上のデータベースから,データ項目辞書の情報を生成できます。