リンクベースの遅延読み込みとは,タクソノミー文書の解析時に,必要なリンクベースだけを読み込むことです。解析時にすべてのリンクベースを読み込む場合に比べて,効率良く文書を処理できます。
検証済みであり信頼できるタクソノミー文書を使用する場合,すべてのリンクベースの解析が必要とは限りません。例えば,あるアイテムのラベルを知りたい場合,ラベルリンクだけを解析すれば,ラベルの内容を知ることができます。計算リンクなどの解析は必要ありません。このような場合に,リンクベースの遅延読み込みが利用できます。なお,タクソノミー文書を検証する場合,XMLスキーマ検証やリンク検証を実行するため,リンクベースの遅延読み込みは使用できません。
ここでは,リンクベースの遅延読み込み時に最初に読み込まれる範囲,および遅延読み込みの指定方法について説明します。
XBRL2.1の場合にリンクベースの遅延読み込みを使用すると,DTSの構成によっては,リンクベースが読み込まれるたびに,参照するタクソノミー本体やリンクベースが増加する場合があります。異なるタクソノミー文書が参照されるとDTSの内容も変更されてしまいます。この場合,あらかじめタクソノミー文書を登録しておくことで,DTSが変更されるのを防げます。詳細については,「2.5.5 DTSの拡張読み込み(XBRL2.1の場合)」を参照してください。
リンクベースの遅延読み込みを使用した場合に,読み込まれる範囲を次の図に示します。
図2-10 リンクベースの遅延読み込み時に読み込まれる範囲
なお,XBRL2.1の場合,リンクベースの遅延読み込みでは,インスタンス文書内の脚注リンクを遅延読み込みできません。
XBRL2.0の場合の,リンクベースの遅延読み込み時に最初に参照される要素と属性の一覧を次の表に示します。
表2-5 リンクベースの遅延読み込み時に最初に参照される要素と属性の一覧(XBRL2.0の場合)
XBRL文書種別 | 参照される要素と属性 | 読み込まれるXBRL文書 |
---|---|---|
インスタンス文書 | <xbrl:group>要素のxsi:schemaLocation属性 | タクソノミー本体 |
タクソノミー本体 | <xsd:import>要素のschemaLocation属性 | タクソノミー本体 |
XBRL2.1の場合の,リンクベースの遅延読み込み時に最初に参照される要素と属性の一覧を次の表に示します。
表2-6 リンクベースの遅延読み込み時に最初に参照される要素と属性の一覧(XBRL2.1の場合)
XBRL文書種別 | 参照される要素と属性 | 読み込まれるXBRL文書 |
---|---|---|
インスタンス文書 | <link:schemaRef>要素のxlink:href属性 | タクソノミー本体 |
<link:roleRef>要素のxlink:href属性 | タクソノミー本体 | |
<link:arcroleRef>要素のxlink:href属性 | タクソノミー本体 | |
タクソノミー本体(タクソノミー文書) | <xsd:import>要素のschemaLocation属性 | タクソノミー本体 |
<xsd:include>要素のschemaLocation属性 | タクソノミー本体 |
リンクベースの遅延読み込みを使用するかどうかは,次のプロパティを指定します。デフォルトは,false(使用しない)です。
cbrp.parse.delayLoad
プロパティの指定方法については,「4.16.1 プロパティの指定方法と優先順位」を参照してください。