5.1.4 リンクベース要素(linkbase)

タクソノミー文書は,インスタンス文書中に出現できる要素宣言のほかに,各要素の関係を示すリンクベースを記述します。ここでは,XBRL2.0の場合のリンクベースで使用する要素について説明します。

<この項の構成>
(1) <link:linkbase>要素
(2) 拡張リンク型要素(extend link-type)
(3) <link:loc>要素
(4) <link:label>要素
(5) <link:reference>要素
(6) <link:presentationArc>要素
(7) <link:calculationArc>要素
(8) <link:definitionArc>要素
(9) <link:labelArc>要素
(10) <link:referenceArc>要素

(1) <link:linkbase>要素

<link:linkbase>要素は,タクソノミー文書で使用される拡張リンク型要素,または<link:linkbaseRef>要素を記述するためのコンテナ要素として利用します。また,<link:linkbase>要素は,拡張リンク型要素を別ドキュメントに記述するためのルート要素です。

<link:linkbase>要素には,xmlns属性やxsi:schemaLocation属性などで,スキーマ検証で使用するタクソノミー文書を指定する必要があります。

(2) 拡張リンク型要素(extend link-type)

タクソノミー文書で使用される拡張リンクのリンクベースは,「5.1.3(1) <link:linkbaseRef>要素」の<link:linkbaseRef>要素のxlink:href属性に記述されたファイルまたはURIに対応する実体です。

タクソノミー文書に記述するどの拡張リンク型要素にも,次の属性定義が必要です。

表5-5 拡張リンク型要素の共通属性

項番属性名内容必須条件
1xlink:typeextended(拡張リンク)固定です。必須
2xlink:roleリンク種別を意味する文字列で,任意の値です。値を指定しても,uCosminexus Business Reporting Processorの動作は変わりません。デフォルトはnullです。任意
3xlink:title任意の文字列を設定します。デフォルトはnullです。任意

XBRL2.0の仕様で定義されていない子要素がタクソノミー文書に記述されている場合,警告を通知して読み飛ばし,処理を続けます。

拡張リンク型要素は,アーク型要素,ロケータ型要素およびリソース型要素のコンテナ要素となり,リンク種別ごとに子要素として含むことができる要素が異なります。次に,関係リンク,ラベルリンクおよびリファレンスリンクで含むことができる要素について示します。

(a) 関係リンク
(b) ラベルリンク(labelLink)

<link:labelLink>要素では,アイテムの表示名称(ラベル)を定義します。日本語,英語などさまざまな言語でラベルを記述したり,別名を定義したりします。

<link:loc>要素,<link:label>要素および<link:labelArc>要素を含むことができます。

(c) リファレンスリンク(referenceLink)

<link:referenceLink>要素では,参考文献を定義します。会計概念を定義する根拠となっている文献への参照などに用います。

<link:loc>要素,<link:reference>要素および<link:referenceArc>要素を含むことができます。

(3) <link:loc>要素

<link:loc>要素は,拡張リンクでのロケータ型要素で,タクソノミー文書では<link:calculationLink>要素などの拡張リンク型の子要素です。<link:loc>要素の属性を次の表に示します。

表5-6 <link:loc>要素の属性

項番属性名内容必須条件
1xlink:typelocator固定です。必須
2xlink:hrefXPointerのショートハンドポインタ(Shorthand Pointer)形式で指定します。記述形式を次に示します。
{URI}#id
URI:参照先ドキュメントの絶対URIまたは相対URIです。URIは同一ドキュメント内であれば省略できます。
id:参照先ドキュメント内のID型属性値です。
必須
3xlink:labelNCName型データです。アーク型要素によって参照しているロケータ型要素(<link:loc>)を識別するために必要です。必須
4xlink:roleツリー構造の開始点(ルート)を明示的に記述するときなどに使用します。XBRLでは,ルートとなるロケータ型要素の場合,次の値を推奨しています。
http://www.xbrl.org/linkprops/locator/root
ただし,この値によるルートを判定しません。そのため,設定値によってuCosminexus Business Reporting Processorの動作が変わることはありません。そのほかの値を指定した場合も動作は変わりません。デフォルトはnullです。
任意
5xlink:title任意の値です。デフォルトはnullです。任意

この形式以外のロケータ型要素が出現した場合,エラーとして処理を中止します。

(4) <link:label>要素

タクソノミー文書での,リソース型要素の一つで,<link:labelLink>要素の子要素です。<link:label>要素の属性を次の表に示します。

表5-7 <link:label>要素の属性

項番属性名内容必須条件
1xlink:typeresource固定です。必須
2xlink:labelNCName型データです。アーク型要素によって参照しているリソース型要素(label)を識別するために必要です。同一の値を持つことが許されます。必須
3xlink:role任意の値です。デフォルトはnullです。この属性値によって,同一言語であっても用途によって区別できます。
推奨値を次に示します。そのほかの値を指定してもuCosminexus Business Reporting Processorの動作は変わりません。
  • http://www.xbrl.org/linkprops/label/standard
  • http://www.xbrl.org/linkprops/label/total
ただし,この値による用途は判定しません。そのため,設定値によって動作が変わることはありません。デフォルトはnullです。
任意
4xml:lang任意の言語を特定するために使用します。ISOで定義されている言語コードである「ja」,「en」などです。必須
5xlink:title任意の値です。デフォルトはnullです。任意

<link:label>要素には,任意の文字列を要素の値として記述します。

この形式以外のリソース型要素が出現した場合,エラーとして処理を中止します。

(5) <link:reference>要素

タクソノミー文書での,リソース型要素の一つで,<link:referenceLink>要素の子要素です。<link:reference>要素の属性を次の表に示します。

表5-8 <link:reference>要素の属性

項番属性名内容必須条件
1xlink:typeresource固定です。必須
2xlink:labelNCName型データです。アーク型要素によって参照しているリソース型要素(<link:reference>)を識別するために必要です。同一の値を持つことが許されます。必須
3xlink:role任意の値です。デフォルトはnullです。任意
4xlink:title任意の値です。デフォルトはnullです。任意

<link:reference>要素には,任意の子要素を含むことができます。この任意要素を総称し,抽象的な要素表現であるpart(パート)と呼びます。

この形式以外のリソース型要素が出現した場合,エラーとして処理を中止します。

(6) <link:presentationArc>要素

<link:presentationArc>要素は,タクソノミー文書のアーク型要素の一つで,<link:presentationLink>要素の子要素です。<link:presentationArc>要素の属性を次の表に示します。

表5-9 <link:presentationArc>要素の属性

項番属性名内容必須条件
1xlink:typearc固定です。必須
2xlink:showembedまたはreplaceを指定します。必須
3xlink:actuateonRequest固定です。必須
4xlink:fromNCName型データです。一つのロケータ型要素(<link:loc>)のxlink:label属性の内容と同じ値を指定します。必須
5xlink:toNCName型データです。一つのロケータ型要素(<link:loc>)のxlink:label属性の内容と同じ値を指定します。必須
6xlink:arcrole次のどれかの値を指定します。
  • http://www.xbrl.org/linkprops/arc/parent-child
  • http://www.xbrl.org/linkprops/arc/child-parent
  • http://www.xbrl.org/linkprops/arc/dimension-element
  • http://www.xbrl.org/linkprops/arc/element-dimension
必須
7xlink:title任意の値を指定します。デフォルトはnullです。任意
8useoptional,prohibitedまたはrequiredを指定します。デフォルトはoptionalです。任意
9priorityuse属性のoptional,prohibited,requiredの関係に対してのプライオリティ(優先順位)を指定するための属性です。デフォルトは0です。任意
10order複数の兄弟要素間での表示順序を示す,マイナスでない10進数を指定します。デフォルトは1です。任意

この形式以外のアーク型要素が出現した場合,エラーとして処理を中止します。

(7) <link:calculationArc>要素

<link:calculationArc>要素は,タクソノミー文書のアーク型要素の一つで,<link:calculationLink>要素の子要素です。<link:calculationArc>要素の属性を次の表に示します。

表5-10 <link:calculationArc>要素の属性

項番属性名内容必須条件
1xlink:typearc固定です。必須
2xlink:showembedまたはreplaceを指定します。必須
3xlink:actuateonRequest固定です。必須
4xlink:fromNCName型データです。一つのロケータ型要素(<link:loc>)のxlink:label属性の内容と同じ値を指定します。必須
5xlink:toNCName型データです。一つのロケータ型要素(<link:loc>)のxlink:label属性の内容と同じ値を指定します。必須
6xlink:arcrole次のどれかの値を指定します。
  • http://www.xbrl.org/linkprops/arc/parent-child
  • http://www.xbrl.org/linkprops/arc/child-parent
  • http://www.xbrl.org/linkprops/arc/dimension-element
  • http://www.xbrl.org/linkprops/arc/element-dimension
必須
7xlink:title任意の値を指定します。デフォルトはnullです。任意
8useoptional,prohibitedまたはrequiredを指定します。デフォルトはoptionalです。任意
9priorityuse属性のoptional,prohibited,requiredの関係に対してのプライオリティ(優先順位)を指定するための属性です。デフォルトは0です。任意
10weight子要素から親要素に数値を加算するときに,その要素の値に適用する乗数を示します。値「1.0」はその要素の数値を100%親要素に加算し,「-1.0」は100%減算することを表します。必須

この形式以外のアーク型要素が出現した場合,エラーとして処理を中止します。

(8) <link:definitionArc>要素

<link:definitionArc>要素は,タクソノミー文書のアーク型要素の一つで,<link:definitionLink>要素の子要素として出現します。<link:definitionArc>要素の属性を次の表に示します。

表5-11 <link:definitionArc>要素の属性

項番属性名内容必須条件
1xlink:typearc固定です。必須
2xlink:showembedまたはreplaceを指定します。必須
3xlink:actuateonRequest固定です。必須
4xlink:fromNCName型データです。一つのロケータ型要素(<link:loc>)のxlink:label属性の内容と同じ値を指定します。必須
5xlink:toNCName型データです。一つのロケータ型要素(<link:loc>)のxlink:label属性の内容と同じ値を指定します。必須
6xlink:arcrole次のどれかの値とします。
  • http://www.xbrl.org/linkprops/arc/parent-child
  • http://www.xbrl.org/linkprops/arc/child-parent
  • http://www.xbrl.org/linkprops/arc/dimension-element
  • http://www.xbrl.org/linkprops/arc/element-dimension
必須
7xlink:title任意の値を指定します。デフォルトはnullです。任意
8useoptional,prohibitedまたはrequiredを指定します。デフォルトはoptionalです。任意
9priorityuse属性のoptional,prohibited,requiredの関係に対してのプライオリティ(優先順位)を指定するための属性です。デフォルトは0です。任意

この形式以外のアーク型要素が出現した場合,エラーとして処理を中止します。

(9) <link:labelArc>要素

<link:labelArc>要素は,タクソノミー文書のアーク型要素の一つで,<link:labelLink>要素の子要素です。<link:labelArc>要素の属性を次の表に示します。

表5-12 <link:labelArc>要素の属性

項番属性名内容必須条件
1xlink:typearc固定です。必須
2xlink:showembedまたはreplaceを指定します。必須
3xlink:actuateonRequest固定です。必須
4xlink:fromNCName型データです。一つのロケータ型要素(<link:loc>)またはリソース型要素(<link:label>)のxlink:label属性の内容と同じ値を指定します。必須
5xlink:toNCName型データです。一つのロケータ型要素(<link:loc>)またはリソース型要素(<link:label>)のxlink:label属性の内容と同じ値を指定します。必須
6xlink:arcrole次のどちらかの値を指定します。
  • http://www.xbrl.org/linkprops/arc/label-element
  • http://www.xbrl.org/linkprops/arc/element-label
必須
7xlink:title任意の値を指定します。デフォルトはnullです。任意
8useoptional,prohibitedまたはrequiredを指定します。デフォルトはoptionalです。任意
9priorityuse属性のoptional,prohibited,およびrequiredの関係に対してのプライオリティ(優先順位)を指定するための属性です。デフォルトは0です。任意

この形式以外のアーク型要素が出現した場合,エラーとして処理を中止します。

(10) <link:referenceArc>要素

<link:referenceArc>要素は,タクソノミー文書のアーク型要素の一つで,<link:referenceLink>要素の子要素です。<link:referenceArc>要素の属性を次の表に示します。

表5-13 <link:referenceArc>要素の属性

項番属性名内容必須条件
1xlink:typearc固定です。必須
2xlink:showembedまたはreplaceを指定します。必須
3xlink:actuateonRequest固定です。必須
4xlink:fromNCName型データです。一つのロケータ型要素(<link:loc>)またはリソース型要素(<link:reference>)のxlink:label属性の内容と同じ値を指定します。必須
5xlink:toNCName型データです。一つのロケータ型要素(<link:loc>)またはリソース型要素(<link:reference>)のxlink:label属性の内容と同じ値を指定します。必須
6xlink:arcrole次のどれかの値を指定します。
  • http://www.xbrl.org/linkprops/arc/reference-element
  • http://www.xbrl.org/linkprops/arc/element-reference
  • http://www.xbrl.org/linkprops/arc/actual-element
  • http://www.xbrl.org/linkprops/arc/element-actual
必須
7xlink:title任意の値を指定します。デフォルトはnullです。任意
8useoptional,prohibitedまたはrequiredを指定します。
デフォルトはoptionalです。
任意
9priorityuse属性のoptional,prohibited,requiredの関係に対してのプライオリティ(優先順位)を指定するための属性です。デフォルトは0です。任意

注※ この値を指定した場合,ロケータで指定されたURIを返します。


この形式以外のアーク型要素が出現した場合,エラーとして処理を中止します。