付録D 用語解説

(英字)
cwa
閉世界仮説(Closed World Assumption)の略で,論理学やデータベース理論で使用される用語です。インスタンス文書では,cwaが真(cwa=true)であれば,任意の事実を計算するために必要な事実(アイテム)が,すべてそのインスタンス文書に含まれていることを意味します。
DTS
Discoverable Taxonomy Setの略です。
複数のタクソノミー文書を,論理的に一つのタクソノミー文書としてみなす範囲のことです。
JAXP
Java API for XML Processingの略です。米国Sun Microsystems, Inc.が提供するJava言語用の標準XML APIです。DOM,SAX,およびXSLTのリファレンス実装そのものをJAXPと呼ぶ場合もあります。
JAXPには,DOMパーサー,SAXパーサーを生成するAPIが含まれています。パーサーの実装やコードに依存しないので,プラットフォーム間で共通のプログラムを作成できます。また,JAXPには,XSLTトランスフォーマーのAPIが含まれているので,JavaプログラムからXSLTトランスフォーマーを使用できます。
W3C DOM
XMLデータのツリー構造を操作するためのAPIとして,W3Cによって規格化されたドキュメントオブジェクトモデル(Document Object Model)です。このマニュアルでは,XBRL DOMと区別するため,W3C DOMと表現します。
XBRL DOM
uCosminexus Business Reporting Processorが提供する,XBRL文書を操作するためのオブジェクトモデルのことです。
XBRL文書
インスタンス文書とタクソノミー文書の両方を指す場合の表現です。XBRLのバージョンを明記する必要がない場合の,文書の総称として使用します。
XLinkプロセッサ
XML文書に記述されているXLink属性値から,XLink構造を操作するためのオブジェクト構造を作成するソフトウェアのことです。uCosminexus Business Reporting Processorは,XLinkプロセッサとして,uCosminexus XML Link Processorが必要です。
XMLプロセッサ
XML文書をW3CのDOM(Document Object Model)に展開するソフトウェアのことです。uCosminexus Business Reporting Processorは,XMLプロセッサとして,Processing Kit for XMLまたはuCosminexus Application Serverが必要です。
XSLTプロセッサ
XSLT(eXtensible Stylesheet Language - Transformations)は,XML文書を別の形式に変換するためのW3Cの規格です。XSLTプロセッサとは,XSLTで記述された変換ルールに従って,XML文書などを別の形式に変換するソフトウェアを指します。
(ア行)
アイテム(item)
所定のビジネス実体に関して,所定の期間内に報告された事実を表します。XBRLでは抽象的なXML要素である<xbrli:item>に対応します。
アクティブ
ノードがインスタンス文書中にある場合,アクティブなノードといいます。アクティブなノードは,XBRLInstanceDocumentオブジェクトからオブジェクトツリーをたどることによって到達できます。一方,アクティブでないノードは,インスタンス文書に存在しないノードです。
インスタンス(instance)
ビジネスでの事実を指します。財務報告では財務事実に相当し,基本的には報告された金額のことです。
インスタンス文書(instance document)
ビジネスでの事実を報告するXML文書です。各要素は,タクソノミー文書(XMLスキーマ文書)に定義され,この要素と事実(金額など)を含めた文書を指します。
エンティティ(entity)
アイテムの主題であるビジネス実体です。XBRLでは,インスタンス文書でのXML要素である<xbrli:entity>に対応します。XMLやSGMLの構文規則上のentityを意味するときには,その旨を示します。
(カ行)
拡張リンク(extended link)
一つのリソースから任意の数のリソースに付けたリンクです。
協定世界時
協定世界時(UTC)は,グリニッジ標準時を基に,国際協定によって人工的に維持されている世界共通の標準時です。日本標準時(JST)は,協定世界時より9時間進んでいます。
コンテキスト(context)
インスタンス文書で報告されている内容を理解するために必要な項目の集まりです。
文書を発行した企業の説明(エンティティまたはentity),どの時点での報告内容なのかを示す時期(period),報告内容が予算なのか実績なのかなどを示す文書の状態(scenario)などを記載します。
XBRL2.0の場合,コンテキスト要素には,数値コンテキスト(numericContext)要素,非数値コンテキスト(nonNumericContext)要素があります。XBRLでは,インスタンス文書でのXML要素である<xbrli:numericContext>要素と,<xbrli:nonNumericContext>要素に対応します。
XBRL2.1の場合,数値または非数値の区別はなく,<xbrli:context>要素に対応します。
(サ行)
時期(period)
ある時点または期間を示します。ビジネス報告では,財務数値およびほかの事実は,ある年月日付の時点,または期間に関して報告されます。XBRLでは,インスタンス文書でのXML要素である<xbrli:period>に対応します。
事実
タクソノミー文書で<xsd:element>要素で定義される要素,およびインスタンス文書中に記述されるその要素の内容を指します。
(タ行)
タクソノミー(taxonomy)
ビジネスでの概念を指します。財務報告は,「財務概念(タクソノミー)」と「財務事実(インスタンス)」が報告される内容であり,財務概念は「貸借対照表」「損益計算書」などの概念です。財務事実は,基本的には金額ですが,その意味する数値を正しく理解するためには,財務概念が必須になります。
タクソノミー文書(taxonomy document)
新しい要素(概念)を定義するXMLスキーマ文書です。各要素は,インスタンス文書およびタクソノミー文書中で参照できる概念に対応します。タクソノミー文書は,XLinkに準拠した情報を含んだXMLスキーマ文書の拡張とみなせます。実際には,各要素を定義したXMLスキーマ文書(.xsd)と,XLinkを利用して各要素の関係を表現したXML文書(.xml)から構成されることが多くなります。
タクソノミー本体
タクソノミー文書を構成するXML文書のうち,XMLスキーマ言語によって要素の一覧を定義しているXMLスキーマ文書を指します。
タプル(tuple)
ある事実(アイテム)が,理解されるために必須となるアイテムの集まりを意味する用語です。XBRLでは抽象的なXML要素である<xbrli:tuple>に対応し,タプル要素はアイテムをまとめるために使用されるコンテナです。
トラバース(トラバーサル)
XLinkの用語で,任意の目的でリンクを使用することや,それをたどることをトラバーサル(traversal)と呼びます。
(ナ行)
ノード
インスタンス文書またはタクソノミー文書の構成要素を表すオブジェクトを指します。XBRL DOMのオブジェクトモデルでは,XBRLInstanceNodeインターフェースまたはXBRLTaxonomyNodeインターフェースを継承する各種インターフェースを実装したオブジェクトによって,ノードを表現します。なお,文脈によっては,W3C DOMのorg.w3c.dom.Nodeオブジェクトを指す場合もあります。
(ハ行)
ポイント(point)
XML構成要素がある位置を表します。ノードとノードの間や文字と文字の間にある一点を指します。
(ラ行)
リンク
XLinkの仕様に従って記述されたリンクを指します。
リンクベース(linkbase)
タクソノミー文書を構成するXML文書のうち,各要素の関係を,XLinkを利用して表現したXML文書を指します。XLinkの仕様では,インバウンド(リモートからローカル)とサードパーティー(リモートからリモート)リンクのコレクションを含む文書のことを,リンクデータベース,またはリンクベース(linkbase)と呼びます。
レンジ(range)
二つのポイントの間にあるXML構成要素を表します。
ロケーション(location)
XPointerで参照できるノード,ポイント,レンジの総称を指します。