1.1.4 ワーク管理システムの適用業務と適用方法
- 〈この項の構成〉
(1) ワーク管理システムの適用業務
ワーク管理システムは,「さまざまなタイプの業務に対して,広くワークフロー的な仕組みを適用する」ことを目的としています。そのため,業務タイプには特化していません。しかし,従来のワークフローシステムと比較した場合,次のような業務への適用が有効です。
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複数の部門にわたって進行する業務
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状況に応じて,作業内容や手順を相互調整する業務
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作業内容や手順が一定でない業務
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案件の運用期間が長い業務
具体的には,販売,仕入,生産管理など,基幹業務の多くが該当します。
(2) ワーク管理システムの適用方法
ワーク管理システムの適用方法には,次の2種類があります。
- ●業務状態の管理モニタとしての適用方法
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「案件の状態を監視する」目的で,ワーク管理システムを適用する方法です。ワーク管理システムの最も基礎的な適用方法です。
この方法を適用する場合,業務状態(業務ステップ)を大きく設定し,全体の業務状態をさまざまな観点から監視できるようにします。監視できる情報には,「個別案件の進捗度」,「状態別の案件数(滞留数)」,「特定の案件群を対象とした,進捗度および状態別の案件数(滞留数)」などがあり,これらの情報はワーク管理システムから取得します。
この方法は,「複数のシステムにわたって広範囲に進行するような業務」などに適用します。
- ●ワークフローシステムとしての適用方法
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「業務システムを通常のワークフローシステムとして構築する」目的で,ワーク管理システムを適用する方法です。この方法を適用する場合,必要に応じて細かな業務状態(業務ステップ)を設定し,各業務ステップの作業者に対応したフロー制御をします。
この方法は,「基幹業務など,既存のワークフローシステムを適用しにくい業務をワークフロー化する場合」などに適用します。
実際に,ワーク管理システムを利用して業務システムを構築する場合は,2種類の適用方法を次のように組み合わせます。
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業務システムの開発範囲を次のように切り分けます。
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ワーク管理システムでワークフロー化する部分
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ほかのツールでワークフロー化する部分
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ワークフロー以外のシステムで開発する部分
ワーク管理システムでワークフロー化する部分は,「ワークフローシステムとしての適用方法」によって開発します。
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ビジネスプロセスとして制御しないで,業務状態だけを管理する場合は,監視対象となる範囲を切り出します。
業務状態だけを管理する部分は,「業務状態の管理モニタとしての適用方法」によって開発します。
このように,さまざまな業務レベルに対してワーク管理システムを適用することで,企業内の業務システムを統一的な考え方で設計できます。その結果,企業内の業務システム全体を,変化に即応できる柔軟な構造にしていくことができます。