VisiBroker 3.xの機能によって,ユーザはオブジェクトのイベントポーリングをネットワークやウィンドウコンポーネントのイベントループに組み込めます。VisiBroker 3.xの機能を次に示します。
- シングルスレッドライブラリによって,サードパーティライブラリに応答するCORBAアプリケーションを構築できます。このようなアプリケーションは再入可能でないシステムライブラリで構築する必要があります。
- Windowsでシングルスレッドサーバを構築するWDispatcherクラス。
このクラスによって,VisiBroker ORBイベントはWindowsメッセージイベントと統合できます。
- X Window Systemでシングルスレッドサーバを構築するXDispatcherクラス。
このクラスによって,VisiBroker ORBイベントはX Window SystemのXtMainLoopに直接統合できます。
- Dispatcherクラスによって,VisiBroker ORBイベントと別の環境との統合が可能になります。これは,Dispatcherからカスタムサブクラスを派生させ,すべてのメソッドのインプリメンテーションを提供することによって行うことができます。
また,Dispatcherクラスを使用して,VisiBroker ORBイベントを直接監視し,特定のファイルのディスクリプタのイベントを処理し,イベントタイマを設定できます。
ただし,再入可能なVisiBroker ORBライブラリでは,すべてのVisiBroker ORBイベントはVisiBroker ORBスレッドによって処理され,通常の状況下では別のイベント処理システムと統合する必要はありません。VisiBroker 5.xでは,このリリースにはシングルスレッドVisiBroker ORBライブラリは組み込まれていません。このため,上記の機能はVisiBroker 5.x以降のバージョンではサポートされていません。アプリケーションがVisiBroker 3.xの機能を使用するような場合,この機能を除去するためにコーディングを修正する必要があります。以降でこのような変更をするためのガイドラインを説明します。
- <この節の構成>
- 28.5.1 シングルスレッドVisiBroker ORBの移行
- 28.5.2 XDispatcherクラスまたはWDispatcherクラスによる移行