付録D.3 論理サーバの設定

Management Serverの運用管理ポータルで一括管理するために必要な設定です。Cosminexusで構築するシステムの構成に応じて,必要な論理サーバを設定します。

Cosminexusのシステム構成を検討する場合,J2EEアプリケーションで使用する機能に応じて,その機能を実現するために必要なプロセスを意識して,各マシンにそれぞれのプロセスを適切に配置することが必要です。例えば,サーバ間連携でCTMを利用する場合は,スマートエージェント,CTMドメインマネジャ,およびCTMの設定が必要になり,システムの可用性を高めるセッションフェイルオーバ機能を使用する場合は,SFOサーバの設定が必要になります。このように,使用する機能によってシステムの構成も,必要な論理サーバも異なります。Cosminexusが提供する主な機能については,マニュアル「Cosminexus 機能解説」を参照してください。

J2EEアプリケーションで使用する機能に応じて決定したシステム構成を基に,次に示す手順で,必要な論理サーバの構成を定義します。

  1. 運用管理ドメインの構成定義
  2. 論理サーバの環境設定
  3. 論理サーバの起動/停止の設定
  4. 論理ユーザサーバの設定
  5. 論理サーバの起動/停止の確認
注※ 任意のプロセスを論理ユーザサーバとして定義する場合にだけ設定します。

なお,システム構成の詳細については,マニュアル「Cosminexus システム設計ガイド」のシステム構成の検討に関する説明を参照してください。

<この項の構成>
(1) 運用管理ドメインの構成定義
(2) 論理サーバの環境設定
(3) 論理サーバの起動/停止の設定
(4) 論理ユーザサーバの設定
(5) 論理サーバの起動/停止の確認

(1) 運用管理ドメインの構成定義

運用管理ドメインの構成定義では,運用管理ドメインに含まれる論理サーバの構成を定義します。

運用管理ドメインは,Management Serverが同一の運用管理ポリシーを適用して複数のサーバをまとめて管理する範囲のことです。運用管理ドメインを定義することで,あるサービスを提供するサーバ群を運用管理ポータルで一括して管理できるようになります。

「運用管理ドメインの構成定義」で,運用管理ドメイン内に必要な論理サーバを設定する手順を次に示します。

  1. 論理サーバを設置するホストを運用管理ドメインに追加します。
    [ホストの定義]画面で,ホスト名,ホストの表示名,ホストの説明,運用管理エージェントのポート番号,および運用管理エージェントのホスト名を指定します。
  2. 運用管理ドメインを定義します。
    デフォルトの設定では,「DefaultDomain」という運用管理ドメイン名が定義されています。[運用管理ドメインの編集]画面で,運用管理ドメイン名,運用管理ドメインの表示名,および運用管理ドメインの説明を指定して,運用管理ドメインの情報を編集します。
  3. J2EEサーバまたはWebサーバをクラスタ構成にする場合は,クラスタを追加します。
    論理J2EEサーバの[J2EEサーバクラスタの追加]画面,または論理Webサーバの[Webサーバクラスタの追加]画面で,追加するクラスタ名,クラスタの表示名,およびクラスタの説明を設定します。
  4. 論理サーバを追加します。
    それぞれの論理サーバの追加画面で,論理サーバを配置するホスト,論理サーバ名,論理サーバの表示名,および論理サーバの説明を設定します。
    J2EEサーバまたはWebサーバをクラスタ構成にする場合は,手順3.で追加したクラスタの構成要素として,J2EEサーバまたはWebサーバを追加します。論理J2EEサーバの[J2EEサーバクラスタ構成要素の追加]画面,または論理Webサーバの[Webサーバクラスタ構成要素の追加]画面で,論理サーバを配置するホスト,論理サーバ名,論理サーバの表示名,および論理サーバの説明を設定します。
  5. 論理J2EEサーバ,論理Webサーバ,または論理SFOサーバを接続先ホスト上にセットアップします。
    [セットアップ]画面で,セットアップが完了していない論理サーバを一括してセットアップできます。また,セットアップしたい論理サーバだけを選択して,セットアップすることもできます。
    注意
    運用管理ドメインの構成定義で定義した論理サーバを編集,削除する場合は,対象となる論理サーバがManagement Serverの各機能で操作中でないことを確認してください。また,対象となる論理サーバが停止していることを確認してください。
    操作中または停止していない状態で論理サーバを編集,削除した場合,Management Serverを使用した運用ができなくなるおそれがあります。

(2) 論理サーバの環境設定

論理サーバの環境設定では,運用管理ドメインの構成定義で追加した論理サーバを稼働させるために必要な設定をします。論理サーバを配置したホスト単位,および論理サーバ単位で環境を設定してください。例えば,ホスト単位では,ホストに配置した論理サーバの基本情報を設定します。論理サーバ単位では,論理J2EEサーバの場合はコンテナの動作やサービスの設定,論理Webサーバの場合はリダイレクタやワーカの動作など,各論理サーバの詳細情報を設定します。

「論理サーバの環境設定」で,論理サーバの環境を設定する手順を次に示します。

  1. ホスト内の論理サーバの基本情報を設定します。
    [ホスト内のサーバの設定]画面で,J2EEサーバの動作モード,Webサーバのポート番号や利用するネーミングサービスなど,ホスト内に配置した論理サーバの基本情報を設定します。
  2. 各論理サーバの環境を設定します。
    「運用管理ドメインの構成定義」で追加した論理サーバの環境を設定します。
  3. 設定情報をホストに配布します。
    [設定情報の配布]画面で,論理サーバの環境設定で設定した情報を各ホストに配布します。
    参考
    論理サーバの環境設定では,環境設定済みの別の論理サーバから設定情報を読み込むことができます。設定情報がほとんど同じ場合には,別の論理サーバから設定情報を読み込んで,設定の異なる個所だけ変更することで,効率良く環境を設定できます。また,J2EEサーバおよびSFOサーバでは,接続先ホストで稼働するサーバの設定情報を読み込むこともできます。

(3) 論理サーバの起動/停止の設定

論理サーバの起動および停止に必要な設定を行います。論理サーバ単位に起動/停止の監視時間,自動再起動の回数,自動再起動のリトライ間隔などを指定できます。また,論理サーバを一括起動する場合は,起動順序を設定する必要があります。

論理サーバの起動/停止を設定する手順を次に示します。

  1. 論理サーバごとに,起動,停止の情報を設定します。
    各論理サーバの[起動/停止の設定]画面で,起動や停止の監視時間,自動再起動の回数,自動再起動のリトライ間隔などを設定します。
  2. 論理サーバの起動順序を設定します。
    論理サーバを一括起動,自動再起動する場合は,運用管理ドメイン内での論理サーバの起動順序を設定します。運用管理ドメインの[起動順序の設定]画面,またはホストの[起動順序の設定]画面で,論理サーバの起動順序を設定します。

(4) 論理ユーザサーバの設定

ユーザが定義する論理サーバ(論理ユーザサーバ)の設定について説明します。

ユーザサーバは,ユーザが定義する任意のサービスやプロセスです。特定のサービスやプロセスを論理ユーザサーバとして定義しておくことで,そのサービスやプロセスがManagement Serverの管理対象となり,ほかの論理サーバと同様に,一括管理できるようになります。

定義した論理ユーザサーバは,運用管理ポータルに論理サーバとして表示されます。運用管理ポータルでの論理ユーザサーバの操作を次に示します。

なお,論理ユーザサーバは,運用管理ポータル(運用管理ドメインの構成定義および論理サーバの環境設定)では定義できません。コマンドおよびユーザ定義ファイルで定義します。論理ユーザサーバの追加および削除手順を次に説明します。

(a) 論理ユーザサーバの追加

論理ユーザサーバの追加手順を次に示します。

  1. 論理ユーザサーバ定義ファイルを作成します。
    論理ユーザサーバ定義ファイルはXML形式のファイルです。論理ユーザサーバのサーバ名や,サービスやプロセスの起動/停止用のコマンドなどを指定してください。
    論理ユーザサーバの起動用のコマンドを指定する場合には,Management Serverの監視対象となるサービスやプロセスの起動方法を意識しておく必要があります。
    • 直接起動
      実行したコマンドそのものが監視対象となります。
    • 間接起動
      コマンドが起動したサービスやプロセスが監視対象となります。コマンドを実行して監視対象のサービスやプロセスが起動されると,コマンドは終了します。
    また,論理ユーザサーバ定義ファイルでは,論理サーバを一括起動する場合の起動順序も指定できます。一括起動する場合,デフォルトの設定ではほかの論理サーバが起動されたあとで論理ユーザサーバが起動されるようになっています。
  2. mngsvrutilコマンドのサブコマンドaddで,引数userserverおよび論理ユーザサーバ定義ファイルを指定して,コマンドを実行します。
    論理ユーザサーバ定義ファイルに定義した内容で,論理ユーザサーバが追加されます。

mngsvrutilコマンドについては,マニュアル「Cosminexus リファレンス コマンド編」を参照してください。論理ユーザサーバ定義ファイルについては,マニュアル「Cosminexus リファレンス 定義編」を参照してください。

(b) 論理ユーザサーバの削除

論理ユーザサーバの削除手順を次に示します。

  1. 論理ユーザサーバが起動している場合には,停止します。
    運用管理ポータルの「論理サーバの起動/停止」またはmngsvrutilコマンドで,論理ユーザサーバを停止してください。
  2. mngsvrutilコマンドのサブコマンドdeleteで,引数userserverおよび論理ユーザサーバのサーバ名を指定して,コマンドを実行します。
    指定した論理ユーザサーバが削除されます。

mngsvrutilコマンドについては,マニュアル「Cosminexus リファレンス コマンド編」を参照してください。

(5) 論理サーバの起動/停止の確認

論理サーバの環境設定および起動/停止の設定が正しく行われているか,動作確認のために必要な操作です。論理サーバの起動と停止の確認に関する操作については,「1.3.1(1) 論理サーバの起動/停止」を参照してください。