6.6 アプリケーション開発の流れ

Cosminexusのアプリケーション開発環境での,開発環境の準備とアプリケーション開発の流れについて説明します。次の図に,アプリケーションの開発の流れと,参照するマニュアルの対応を示します。

図6-3 アプリケーション開発の流れと参照マニュアルの対応

[図データ]

それぞれの作業の概要を説明します。なお,作成するアプリケーションによって固有の作業がある場合は,そのつど説明します。

<この節の構成>
(1) 開発環境のセットアップ
(2) アプリケーションの設計
(3) プログラミング/コンパイル/デバッグ
(4) アーカイブファイルの作成
(5) テスト用実行環境の開始
(6) 実行/テスト/デバッグ
(7) アプリケーション/リソースの実行時属性の設定

(1) 開発環境のセットアップ

開発環境に必要な製品(Developer Standard,Developer ProfessionalまたはService Architect)をインストールして,開発環境およびテスト用実行環境をセットアップします。開発環境およびテスト用実行環境のセットアップには,開発環境のインスタントセットアップ機能を使用できます。この機能によって,次の環境をセットアップできます。

ただし,開発環境のインスタントセットアップ機能で構築できる環境は,アプリケーションを開発・デバッグするために必要な最小限の環境です。WebサーバやCTMなど,開発環境のインスタントセットアップ機能の対象に含まれない機能を使用したテストを実行したい場合には,Smart Composer機能を使用してシステムを構築してください。

開発環境のインスタントセットアップ機能については,マニュアル「Cosminexus アプリケーション開発ガイド」を参照してください。Smart Composer機能については,マニュアル「Cosminexus 簡易構築・運用ガイド」を参照してください。

(2) アプリケーションの設計

実現したい業務の内容に応じて適切なアプリケーションの形態を検討,設計します。また,フレームワークを使用する場合は,どのフレームワークを使用するかも検討します。Webアプリケーションを開発する場合は,画面のレイアウトや画面遷移についても設計しておきます。

なお,UMLを使用してアプリケーションを設計する場合は,MyEclipseの機能を利用することもできます。

(3) プログラミングコンパイルデバッグ

設計した内容に応じて,サーブレット,JSP,Enterprise Beanなどで処理を実装して,コンパイルします。実装やコンパイルには,Eclipseなどを使用します。

また,アプリケーションの内容に応じたDDも定義します。コンパイルで問題が発生した場合はデバッグを実施します。

Cosminexusの実行環境で動作するアプリケーションのプログラミングで留意する点については,マニュアル「Cosminexus 機能解説」を参照してください。

また,アプリケーション開発で使用する機能やアプリケーションの種類に応じて,次のマニュアルも参照してください。

J2EEアプリケーションを開発する場合
JSP,サーブレット,およびEnterprise Beanを作成します。
  • JSPおよびサーブレットの作成
    MyEclipseを使用すると,ひな型を利用してJSPおよびサーブレットを作成できます。また,MyEclipseのビジュアルJSPデザイナーを使用することで,グラフィカルにJSPを編集できます。
  • Enterprise Beanの作成
    Enterprise Beanの実装には,Eclipseの標準機能を使用できます。
J2EEアプリケーションを開発する場合は,マニュアル「Cosminexus アプリケーション開発ガイド」を参照してください。
SOAPアプリケーションを開発する場合
サーバ側とクライアント側のアプリケーションの実装が必要です。また,実装の前提として,SOAPアプリケーション固有の作業として,次のような作業が必要です。
  • SOAPアプリケーションのインタフェースの作成
  • WSDLの作成
  • サーバスケルトンの作成(サーバ側のアプリケーション)
  • クライアントスタブの作成(クライアント側のアプリケーション)
なお,必要な作業はSOAPアプリケーションの形態によって異なります。Cosminexusの機能を使用して,サーバスケルトンおよびクライアントスタブをWSDLから自動生成する方法については,マニュアル「Cosminexus SOAPアプリケーション開発ガイド」を参照してください。
また,Webサービスセキュリティの技術を使用する場合は,マニュアル「Cosminexus Webサービスセキュリティ 使用の手引」を参照してください。XML署名およびXML暗号を使用する場合は,マニュアル「Cosminexus XML Security - Core ユーザーズガイド」を参照してください。
メッセージを使用した非同期通信用のアプリケーションを開発する場合(Cosminexus Reliable Messagingを使用するとき)
JMSインタフェースまたは転送データ相互接続用インタフェースを使用してメッセージを操作するアプリケーションを開発します。アプリケーションの開発方法,およびCosminexus RMが提供するインタフェースについては,マニュアル「Cosminexus Reliable Messaging」を参照してください。

(4) アーカイブファイルの作成

実装したサーブレット,JSP,Enterprise Beanを,WARまたはEJB-JARの形式にアーカイブします。さらに,WARおよびEJB-JARをEARの形式にアーカイブします。アーカイブを作成するには,EclipseなどのIDEや,jarコマンドを使用します。

一度,J2EEサーバにデプロイしたアプリケーションは,サーバ管理コマンドというCUIを使用すると,EAR形式でアーカイブして,J2EEサーバから取り出すことができます。Eclipseの操作方法については,マニュアル「Cosminexus アプリケーション開発ガイド」を参照してください。サーバ管理コマンドの操作方法については,マニュアル「Cosminexus アプリケーション設定操作ガイド」を参照してください。

また,Cosminexusでは,アーカイブファイルを作成しないで,ディレクトリに展開されたファイル群をアプリケーション(展開ディレクトリ形式のアプリケーション)としてJ2EEサーバにインポートすることもできます。この形式を利用する場合は,アーカイブファイルの作成は不要です。

ポイント
MyEclipseでアプリケーションを開発する場合,アプリケーション開発中にアプリケーションの形式(アーカイブ形式または展開ディレクトリ形式)を意識する必要はありません。
MyEclipseでアプリケーションをデプロイするときに形式を指定すると,アプリケーションは,指定した形式でJ2EEサーバにデプロイされます。あらかじめ,アーカイブファイルを作成しておく必要はありません。

(5) テスト用実行環境の開始

アプリケーションのテストを実行するための環境を準備します。J2EEサーバなど,アプリケーションサーバで必要なプロセスを起動します。また,必要に応じて,データベースなど連携するシステムも起動します。

テスト用実行環境で必要なサーバプロセスの起動は,MyEclipseまたはServer Plug-inで実行できます。MyEclipseを使用したアプリケーション開発の延長でテストを実施する場合は,MyEclipseから起動すると便利です。ただし,MyEclipseから起動できるプロセスは,J2EEサーバだけとなります。Webサーバなどと一緒にJ2EEサーバを起動したい場合は,Server Plug-inを使用します。

アプリケーションのデプロイ,実行,テストは,MyEclipse,Server Plug-inまたはサーバ管理コマンドで実行できます。また,開発環境のインスタントセットアップ機能で構築したシステムの場合,テストに使用する組み込みデータベースの開始・停止などの操作は,スタートメニューから実行できます。それ以外の場合は,Developerで提供するコマンドを使用して,データベースを開始できます。

MyEclipseについては,マニュアル「Cosminexus アプリケーション開発ガイド」を参照してください。Server Plug-inおよびサーバ管理コマンドの操作方法については,マニュアル「Cosminexus アプリケーション設定操作ガイド」を参照してください。

(6) 実行テストデバッグ

テスト用実行環境にアプリケーションをデプロイ,実行して,テストを実施します。テストで問題があった場合はデバッグを実施します。

テスト用実行環境でのアプリケーションの実行,テストについては,MyEclipse,Server Plug-inまたはサーバ管理コマンドで実行できます。MyEclipseでのアプリケーションの実行,テストについては,マニュアル「Cosminexus アプリケーション開発ガイド」を参照してください。Server Plug-inおよびサーバ管理コマンドの実行方法については,マニュアル「Cosminexus アプリケーション設定操作ガイド」を参照してください。

ポイント
展開ディレクトリ形式のアプリケーションの場合,一度デプロイしたアプリケーションをデバッグで修正したときには,リロードによってアプリケーションを再読み込みできます。リロードをする場合,デバッグ時のアプリケーションの停止,削除,インポート後の再開始などの作業が不要になります。アプリケーションのリロードの詳細については,マニュアル「Cosminexus 機能解説」を参照してください。

(7) アプリケーション/リソースの実行時属性の設定

開発したアプリケーションを実行環境のJ2EEサーバにインポートして,必要な実行時属性を設定します。また,アプリケーションで利用するリソースについても必要に応じてインポートして実行時属性を設定します。

アプリケーション/リソースの実行時属性の設定は,Eclipseに組み込んだServer Plug-inまたはサーバ管理コマンドで実行できます。Server Plug-inおよびサーバ管理コマンドの操作方法については,マニュアル「Cosminexus アプリケーション設定操作ガイド」を参照してください。