Application Server Enterpriseは,実行環境を構築するための製品です。オンライン処理を実行するアプリケーションや,バッチ処理を実行するアプリケーションの実行環境を構築できます。
Application Server Standardに比べて,次の機能が強化されています。
ここでは,J2EEアプリケーションの実行環境を構築する場合と,バッチアプリケーションの実行環境を構築する場合に分けて説明します。
J2EEアプリケーションの実行環境を構築する場合,Application Server Enterpriseは,フロントエンド/バックエンドで構成される業務システムを構築・運用する場合に適しています。フロントエンド/バックエンドシステムとは,業務システム内のサーバを,用途ごとに,次のようにフロントエンドとバックエンドに分けて運用するシステム構成です。
バックエンドシステムをApplication Server Enterpriseを使用して構築することによって,Enterprise Beanに対するスケジューリングや負荷分散などの機能を生かした,安定稼働性および可用性の高いシステムを構築できます。
Application Server Enterpriseで構築できるフロントエンドシステム/バックエンドシステムの構成例を次の図に示します。
図2-2 Application Server Enterpriseで構築できるフロントエンド/バックエンドシステムの構成例
フロントエンド/バックエンドシステム構成の場合,Webクライアントからのリクエストを負荷分散機が受け付け,フロントエンドのアプリケーションサーバに振り分けます。フロントエンドのアプリケーションサーバは,バックエンドのアプリケーションサーバにリクエストを振り分けます。バックエンドのアプリケーションサーバでは,EJBスケジューラとしての機能を持つCTMによってリクエストの負荷分散が実行され,適切なバックエンドのアプリケーションサーバ上で業務処理プログラムが実行されます。
Application Server Enterpriseで構築したシステムも,運用管理ドメインの範囲での一括管理ができます。
Application Server Enterpriseは,バックエンドに配置するアプリケーションサーバのマシンにインストールします。また,フロントエンドのアプリケーションサーバ,または運用管理用のサーバにするマシンには,Application Server StandardまたはApplication Server Enterpriseをインストールします。
Application Server Enterpriseで構築できるバッチアプリケーションの実行環境の構成例を次の図に示します。
図2-3 Application Server Enterpriseで構築できるバッチアプリケーションを実行するシステムの構成例
バッチアプリケーションは,Application Server Enterpriseをインストールして構築した環境で実行します。バッチアプリケーションからEnterprise Beanを呼び出す場合,Enterprise BeanはApplication Server StandardまたはApplication Server Enterpriseをインストールして構築した環境のEJBコンテナで実行します。なお,バッチアプリケーションの実行環境では,運用管理機能はアプリケーションサーバと同じサーバで実行します。