1.2.1 Cosminexusで実現できること

ここでは,Cosminexusで実現できることについて説明します。

Cosminexusの製品は,サービスを実行するための基盤となる製品(サービスデプロイメント)と,サービス統合の中核となるシステムを構築するための製品(サービスインテグレーション)で構成されています。

サービスデプロイメントおよびサービスインテグレーションに対応する製品を使用すると,次の3種類の環境を構築・運用できます。

アプリケーション実行環境
アプリケーションを実行することでユーザにサービスを提供する基盤となる環境です。
アプリケーション実行環境では,次の2種類の業務を実行できます。
  • オンライン業務(オンライン処理)
    インターネットやイントラネット上のユーザから送信された要求を随時処理する形式の業務です。オンライン業務では,J2EEの技術を使用して開発されたアプリケーションを実行します。この環境を,J2EEアプリケーション実行環境といいます。
  • バッチ業務(バッチ処理)
    定型的な業務を決まった時間にまとめて処理する形式の業務です。従来メインフレーム上などで実行されていたバッチジョブを,オープン環境の技術であるJavaを使用して実現できます。Javaで開発したバッチジョブを実行するためのアプリケーションを,バッチアプリケーションといいます。バッチアプリケーションを実行するための環境を,バッチアプリケーション実行環境といいます。
アプリケーション開発環境
アプリケーション実行環境上で動作するアプリケーションを開発する環境です。Cosminexusでは,実行環境上で動作するアプリケーションの設計・開発からデバッグまでを統括的に支援する開発環境を構築・運用できます。
サービス統合環境
J2EEアプリケーション実行環境で稼働しているサービスや,Cosminexus以外の環境で稼働しているサービスを統合して,新しいサービスとしてユーザに提供するための基盤となる環境です。Cosminexusでは,サービスの組み替えや新しいサービスの追加などを柔軟に実行できるサービス統合環境を構築・運用できます。

Cosminexusでは,これらの環境の組み合わせによって,多様な要件の業務システムの構築を実現します。

3種類の環境の概要を次の図に示します。

図1-2 3種類の環境の概要

[図データ]

アプリケーション実行環境では,性能と信頼性を確保しながら,ユーザからのリクエストを迅速に処理して,ユーザにサービスを提供します。また,バッチジョブを効率良く実行します。可用性や耐障害性の高い実行基盤として,24時間連続稼働が必要なサービス,停止することが許されない重要な業務,バッチジョブとして実行される基幹業務など,さまざまな要件のアプリケーションを実行するための環境になります。また,セキュリティに配慮したシステムや,内部統制に対応したシステムを実現する基盤としての機能も備えています。

オンライン処理に対応するJ2EEアプリケーション実行環境の概要と特長については,「1.2.2 J2EEアプリケーション実行環境の概要と特長」で説明します。バッチ処理に対応するバッチアプリケーション実行環境の概要と特長については,「1.2.3 バッチアプリケーション実行環境の概要と特長」で説明します。

業務内容の変更や組織の組み替えなどが発生した場合に,新しいアプリケーションを開発したり,既存のアプリケーションを変更したりするためには,アプリケーション開発環境を使用できます。アプリケーション開発環境では,画面設計から,バックシステムと連携する業務処理の実装まで,シームレスに効率良く実行できます。さらに,開発したアプリケーションを,実行環境と同じ機能を持つテスト環境でテストすることもできます。アプリケーション開発環境の概要と特長については,「1.2.4 アプリケーション開発環境の概要と特長」で説明します。

業務内容の変更や組織の組み替えなどに対して,アプリケーションの開発で対応するのではなく,既存のアプリケーションや他システムが提供するサービスの再利用で対応する方法もあります。サービス統合環境では,アプリケーション実行環境が提供するサービスやCosminexus以外が提供するサービスを統合して,新しいサービスとしてユーザに提供できます。また,サービス統合環境は,複数のアプリケーションやシステムから提供される既存のサービスを,統一されたインタフェースで提供するための基盤としても使用できます。サービス統合環境の概要と特長については,「1.2.5 サービス統合環境の概要と特長」で説明します。