2.1.2 ディスク複製によるOSセットアップ(Linux)

<この項の構成>
(1) マスタコンピュータのセットアップ
(2) マスタコンピュータのバックアップ
(3) マスタコンピュータ用ディスク複製用情報ファイル(パラメータファイル)の準備
(4) ディスク複製の準備
(5) マスタコンピュータのHDDバックアップ
(6) 複製するコンピュータのディスク複製用情報ファイルの用意
(7) ディスクイメージの配布

(1) マスタコンピュータのセットアップ

マスタコンピュータで行います。

ディスク複製の元となるコンピュータをセットアップします。OSのインストール,各種ドライバ,RPMのアップデートやアプリケーションのインストールを行ってください。

(2) マスタコンピュータのバックアップ

Webコンソール上で作業を行います。

DPMのバックアップ/リストア機能でマスタコンピュータのハードディスクをバックアップします。

【注意!】
必ずここでバックアップを取っておいてください。以降の作業を行うと,マスタコンピュータも再度セットアップをしなければ使用できなくなります。
【ヒント】
バックアップの実行方法については,「2.5 バックアップ/リストア」を参照してください。

(3) マスタコンピュータ用ディスク複製用情報ファイル(パラメータファイル)の準備

【ヒント】
管理サーバのイメージビルダー,またはイメージビルダー(リモートコンソール)で作業を行います。

マスタコンピュータは後述の「ディスク複製の準備」後,起動すると個別設定情報の適用ツールが実行されます。個別設定情報の適用処理を正常に終わらせるために,マスタコンピュータ用のディスク複製用情報ファイル(パラメータファイル)を作成します。

【ヒント】
ディスク複製用情報ファイル(パラメータファイル)の作成については,「3.3.2(2) ディスク複製用情報ファイルの作成(Linux)」を参照してください。
【重要!】
マスタコンピュータの再起動時に,作成したマスタコンピュータ用のディスク複製用パラメータファイルを使用します。マスタコンピュータの再起動が完了するまでは絶対に削除しないでください。
【注意!】
  • DPMに登録しているMACアドレスを持つLANボードには,固定IPアドレス,DHCPサーバから取得に関わらず必ずネットワーク通信ができるよう設定してください。ネットワーク通信ができない場合は,シナリオを実行した際にシナリオが完了しない場合があります。
  • ディスク複製時のネットワーク設定は,ディスク複製用パラメータファイルに登録されているネットワーク情報を以下の順序で反映します。
    1. MACアドレスが指定されているネットワーク情報
    2. MACアドレスが指定されていないネットワーク情報

MACアドレスの指定をしている場合はパラメータで設定しているデバイス番号と個性反映時に設定される実際のデバイス番号が異なる場合があります。

(例)
パラメータファイルの設定内容

eth0:MACアドレス指定,"00:01:02:03:04:05" (*a)
eht1:MACアドレス未指定                   (*b)
eth2:MACアドレス未指定                   (*c)
eth3:未設定

複製コンピュータの状態:

eth0=00:00:00:00:00:10                   (*b)
eht1=00:01:02:03:04:05                   (*a)
eth2=00:00:00:00:11:11                   (*c)
eth3=00:0a:0b:0c:0d:0e                    割当てなし

  • パラメータファイルのeth0(*a)はMACアドレスが指定されているので複製コンピュータで一致するMACアドレスのeth1に設定します。
  • パラメータのeth1(*b)はMACアドレスが指定されていないので未設定の中で一 番小さいデバイス番号のeth0に設定します。
  • パラメータのeth2(*c)は未設定で次に小さいデバイス番号のeth2に設定します。
  • eth3には設定が行われません。

(4) ディスク複製の準備

マスタコンピュータ上で行います。

以下の手順で,ディスク複製の準備を行います。

【注意!】
以降の記述におけるマウントポイントおよび,mountコマンドの引数は,お使いの環境にあわせ読み替えて作業を進めてください。
本書では,マウントポイントを/mnt/cdromとした場合を例に記述します。
また,デバイス名を省略してマウントできる環境を例に記述します。
  1. マスタコンピュータに,rootでログインしてください。
  2. DPMのプログラムのCD-ROM(1/2)をCD-ROMドライブにセットしてください。
  3. CD-ROMをマウントしてください。
    # mount -o exec /mnt/cdrom
  4. カレントディレクトリを以下に移動してください。
    # cd /mnt/cdrom/Linux/クライアントのアーキテクチャ/bin/linuxrep
    【ヒント】
    「クライアントのアーキテクチャ」フォルダのフォルダ名は以下のようになります。
    IPFアーキテクチャの場合 :ia64
    IA32アーキテクチャの場合:ia32
    (例)# cd /mnt/cdrom/Linux/ia64/bin/linuxrep
  5. LinuxRepSetUpを実行してください。
    # ./LinuxRepSetUp
  6. 管理サーバのIPアドレスの入力要求が出力されます。

    Enter the IP address of the manager server.
    >

  7. 管理サーバのIPアドレスを入力してEnterキーを押してください。

    Enter the IP address of the manager server.
    >
    192.168.0.1  ← 実際の環境に合わせてください

    【注意!】
    ディスク複製時のbondingおよびhbondingドライバはサポートしていません。マスタからbonding設定またはhbonding設定を解除してください。解除しない場合,個性反映時に正しく動作しない場合があります。

マスタコンピュータにエイリアスインタフェースが設定されていると,ディスク複製後にIPアドレスの競合が発生しますので,以下の手順でエイリアスインタフェース設定ファイルを削除してください。

# cd /etc/sysconfig/network-scripts
# rm -f ifcfg-eth*:*
# rm -f ifcfg-bond*:*

【注意!】
  • LinuxRepSetUpを実行すると現在固定IPアドレスに設定されているネットワーク設定がすべてDHCPからの取得に変更されます。
  • マスタコンピュータについても次回OS起動時に個性反映を行います。個性反映には「(3) マスタコンピュータ用ディスク複製用情報ファイル(パラメータファイル)の準備」で作成したディスク複製用パラメータファイルを使用します。マスタコンピュータ用に適切な設定のパラメータファイルを作成してください。ディスク複製用パラメータファイル作成の詳細については,「3.3.1(2) パラメータファイルの作成(Linux)」を参照してください。
  • シャットダウンは自動で行われません。
  • ディスク複製の準備を行った後では,DPMの管理サーバからのシャットダウンやシナリオによるシャットダウンはできません。手動にて電源OFFを行ってください。

(5) マスタコンピュータのHDDバックアップ

Webコンソール上で作業を行います。

DPMのバックアップ/リストア機能でマスタコンピュータのHDDをバックアップします。バックアップ終了後,自動的にマスタコンピュータが再起動し,個別設定情報の適用を行います。

なお,ここでバックアップしたファイルは,ディスク複製で使用するディスクイメージになります。

【注意!】
  • 必ず,「(2) マスタコンピュータのバックアップ」で使用したバックアップファイルと違うバックアップファイルとして保存してください。
  • バックアップのシナリオ設定で,「オプション」タブの「実行後に電源を切断する」を選択しないでください。選択した場合は,バックアップ終了後,手動で電源を入れてください。自動的にマスタコンピュータの個別設定情報の適用が行われます。
  • マスタコンピュータの個別設定情報の適用でエラーが発生した場合は,「(2) マスタコンピュータのバックアップ」でバックアップしておいたバックアップファイルをリストアして,マスタコンピュータを元の状態に戻してください。
【ヒント】
バックアップ用シナリオの作成については,「2.5.1 バックアップシナリオファイルの作成」を参照してください。

(6) 複製するコンピュータのディスク複製用情報ファイルの用意

管理サーバのイメージビルダー,またはイメージビルダー(リモートコンソール)で行います。

マスタディスクを複製するコンピュータごとに,ディスク複製用パラメータファイルを用意します。このファイルを用意することで,それぞれのコンピュータ個別の設定を自動的に反映することができます。

【注意!】
ディスク複製時のネットワーク設定は,ディスク複製用パラメータファイルに登録されているネットワーク情報を以下の順序で反映します。
1. MACアドレスが指定されているネットワーク情報
2. MACアドレスが指定されていないネットワーク情報

MACアドレスの指定をしている場合はパラメータで設定しているデバイス番号と個性反映時に設定される実際のデバイス番号が異なる場合があります。

(例)
パラメータファイルの設定内容

eth0:MACアドレス指定,"00:01:02:03:04:05" (*a)
eht1:MACアドレス未指定                   (*b)
eth2:MACアドレス未指定                   (*c)
eth3:未設定

複製コンピュータの状態:

eth0=00:00:00:00:00:10                   (*b)
eht1=00:01:02:03:04:05                   (*a)
eth2=00:00:00:00:11:11                   (*c)
eth3=00:0a:0b:0c:0d:0e                    割当てなし

  • パラメータファイルのeth0(*a)はMACアドレスが指定されているので複製コンピュータで一致するMACアドレスのeth1に設定します。
  • パラメータのeth1(*b)はMACアドレスが指定されていないので未設定の中で一番小さいデバイス番号のeth0に設定します。
  • パラメータのeth2(*c)は未設定で次に小さいデバイス番号のeth2に設定します。
  • eth3には設定が行われません。
【ヒント】
「ディスク複製用パラメータファイルの作成」の詳細については,「(3) マスタコンピュータ用ディスク複製用情報ファイルの準備」を参照してください。

(7) ディスクイメージの配布

Webコンソール上で作業を行います。

DPMのバックアップ/リストア機能でリストアします。

ここで使用するイメージファイルは,「(5) マスタコンピュータのHDDバックアップ」でバックアップしたファイルを使用してください。

リストアが完了すると,あらかじめ用意したディスク複製用パラメータファイルの内容に従って,自動的に各コンピュータの個別設定情報が反映されます。このとき,自動的に再起動を何度か繰返します。

【ヒント】
リストア用シナリオの作成については,「2.5.3 リストアシナリオファイルの作成」を参照してください。
【重要!】
  • リストアのシナリオを作成するとき,オプションタブの「実行後に電源を切断する」にチェックを入れないでください。
  • ディスク複製後,Linux OS起動時に以下のようなメッセージが表示されたり,X-Windowが起動しなくなる場合があります。
     

    "ホスト名"のURLが見つかりませんでした。そのため、
    GNOMEが正しく動作しなくなるおそれがあります。
    /etc/hostsファイルに "ホスト名"を追加することで
    この問題を解決できる場合があります。

    ※ “ホスト名”:ディスク複製後の各コンピュータのホスト名
     
    これは,/etc/hostsファイルにホスト名が登録されていないことによるものです。この場合には,/etc/hostsファイルにホスト名を登録してください。
    ご使用の環境が固定IPアドレスの場合,以下のような行を登録してください。
(例)192.168.0.1 servername
DHCPの場合は,ループバックアドレスに登録してください。
(例)127.0.0.1 localdomain.localhost localhost servername
【注意!】
ディスク複製では,Webコンソールに登録されているコンピュータのMACアドレスと同じ名称のディスク複製用情報ファイルを使用します。

以上で,ディスク複製によるOSセットアップの完了です。「(2) マスタコンピュータのバックアップ」でバックアップしたファイルを以降使用する必要がない場合は,削除してもかまいません。